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日本代表 ワールドカップ2018ロシア大会
2015〜2018 ハリル−西野ジャパンの
観戦記などについての総括、まとめページ




黒星スタートから始まった最終予選

そもそも、2016年の9月から始まったアジア最終予選、初戦のUAE戦をハリルジャパンは黒星スタートから始まった。

過去の日本代表は、この初戦を黒星で落とすと、もう最終予選は勝ちあがれない、というジンクスがあった。

だが、あくまで香川を中央に置くハリルジャパンの実力に私は期待がかかるとみて、そんなジンクスなど打ち払ってやれ!と当時このHPで鼓舞したものだった。

その後、やはり日本は巻き返しを図り、負け無しで最終予選を勝ち抜けていき、そしてちょうど1年後の2017年8月31日のオーストラリア戦を完勝する形で、1試合を残して見事にW杯本戦出場を決めた。

この戦い、私は偶然にもチケットが当選し、初の代表戦の生観戦となったが、その最初の観戦が最高の思い出の試合となった。


デュエルに偏重していったハリルジャパン

見事に初戦敗戦のジンクスを撃ち破ったハリルジャパンだったが、このW杯出場を決めてから、ハリル監督は次のW杯本番に向けてモードを切り替えたところから暗雲が立ち込め、本田、香川、岡崎らのベテランを徹底的に外し、その代わりに求めていったものは”デュエル”、球際の強さとスピードだった。

そこには創造性など存在せず、とにかくボールを奪ったらひたすら速攻、メンバーについても、強い守備とフィジカル重視の3ボランチ、といったものに偏重していき、選手らはいつしかバラバラになり、何も連携など起きない、単に縦に走るだけのチームになり果てていった。


だが、イングランドやスウェーデンなどの国でそれを目指すのならわかるが、日本にはそこまでのフィジカルとスピードを求める事には、やはり限界があり、本田圭祐や香川らの前線での”タメ”の重要性を再認識させられることとなった。
やはり、日本には日本が望むべきサッカーがあるのではないか。
本当に、デュエルばかりを追い求める、フィジカルとスピードだけを追い求める先に日本の未来はあるのか、そんな事を模索していくうちにW杯本番は刻一刻と近づいていったが、とにかく先が見えない。


ハリル監督突然の解任、西野監督で本番へ

そんな、あまりに調子の上がらない、全く親善試合の数々でも結果の出ないハリル監督に対し、なんとW杯本番直前の2ヵ月前に、協会は電撃解任させ、急遽、代表に携わっていた西野さんを監督に就任させた。


西野監督は、まず本田や香川の両ベテランを、トップ下のポジションで争わせることで、チーム全体の競争心と、そしてそこから産まれる一体感を醸成していった。

しかし、西野ジャパンの船出となった初陣、ガーナ戦では、なんと長谷部をリベロに置く3バックをお披露目し、見事に撃沈。

続くスイス戦では、これまでのハリル監督の系統を受け継ぎつつ、本田をトップ下に置いた原点回帰の4−5−1で挑むも、流し気味のスイス相手に0−2の完敗。


本番直前のパラグアイ戦で一気に変革へ

もはや、全くもって希望の持てない西野ジャパンに、2ヵ月しか準備できなかったことによる、言い訳材料は十分、もはやグループリーグでの3連敗も既定路線、といった声も聞こえた中、本番ラス前となった最後の調整試合のパラグアイ戦では、全選手を試す、という宣言通り、ガラッとメンバーを代えての控え陣で挑む。

レギュラー布陣に全く目途が立たない中、貴重な本番直前の親善試合で、今から控え陣をテストしている場合か・・・?
普通なら、なかなか出来ない事だろうが、しかし西野監督はやってのけた。

そして、その大博打は大当たりとなり、この試合でようやくのスタメンとなった乾、香川のセレッソコンビ、そして柴崎岳が躍動しまくり、それまでの代表に立ち込めていた暗雲を全て払いのける4得点により快勝した。


W杯本番、南米勢に初の白星の快挙からベスト16へ

この勢いを活かすために、W杯本番でもレギュラー陣に乾、香川、柴崎岳を加えた新布陣で挑んだ西野ジャパンは、初戦のコロンビア戦、開始10分で相手が致命的なハンドでのシュート阻止による一発退場&PKという幸運も重なり、見事に2−1での大金星。
日本代表がW杯本番で、南米勢に初の白星という、歴史的な勝利で初戦を突破。

続くセネガル戦でも、2回リードされるも、2回追いつくという精神的な強さを見せつけ2−2のドロー。

そして3戦目のポーランド戦では、他会場のコロンビアが1点リードした報を受けてから、なんと10分のもの長い間、徹底した時間稼ぎのパス回しを行うという、他力本願ではあるものの、非常に大きい賭けに出た西野ジャパンは、その賭けに勝って、日本代表として3回目の予選リーグ突破、ベスト16進出を決めた。

どの試合も、全て相手と互角以上に戦ったのちに掴んだ勝ち点4であり、もはや3戦全敗が濃厚などという前評判など圧倒的に吹き飛ばした。


目前まで掴みかけたベスト8への進出

そして初のベスト8進出をかけたラウンド16のベルギー戦、日本は赤い悪魔相手に好調の乾や柴崎岳、香川らの活躍で2点をリードし、いよいよベスト8への快挙が目前まで迫っていた。

・・・だが、サッカーの神は、まだこのアジアの小国チームには、まだベスト8は少し早い、と見たようだ。

相手のラッカーヒットの、狙っても放てないヘディングシュートが山なりに決まったところから流れが変わり、すぐに同点に追いつかれ、そしてロスタイム、ほぼラストプレーでのベルギーのカウンターに屈する形で、あとほんの少しまで、指先に触れていたベスト8を逃す事となった。


本田、香川ら一時代の締めくくり

しかし、このロシアW杯は、本田圭佑や香川真司らの、代表で一時代を築いた男たちの締めくくりとしては、最高の舞台になったのではないだろうか。

男たちがこの約10年間もの代表キャリアの中で培ってきたものは、決して無駄ではなかった。

どんなに代表の試合結果が落ち込み、本田や香川らに酷評が集まろうとも、この大会では、男たちの実力が本物であり、世界に通用するものであることを証明してみせた。

同じ世代でありながら、ようやく最後の最後に代表で華開いた乾は、香川というセレッソ時代からの最高の相棒と共にキャリアのピークを持っていく事に成功し、左45度からの切れ込み、そしてシュートは、どの代表のアタッカーよりも相手DFに嫌がられるものとなり、それこそ同じポジションのネイマールすら凌駕するほどの破壊力と結果を見せた。
それも、ネイマールと違って、乾は守備にも貢献する。

守備でも貢献といえば、香川真司を忘れてはいけない。
前に述べたパラグアイ戦からはじまり、大会を追うごとに調子を上げていき、最後のベルギー戦では乾と共にキャリアのピークと言える攻守のプレーの凄みが光り、日本の善戦に大いに貢献。
香川がボールを持つと日本の攻撃が一気に活性化し、香川が相手を引き寄せる事で、相棒の乾にスペースが生まれ、そして乾と共に前線からの守備、プレスも光った。


本田圭佑が体現した、チームが一つになるという重要性

本番直前に香川にスタメンの座を奪われた本田圭佑も、見事なジョーカー役となって日本代表をスーパーサブの座で救った。
特にセネガル戦での乾からの低いクロスを冷徹なまでの正確さでゴールを決めてみせたシーンは、本田圭佑のサッカー哲学の集大成を見るものであり、日本中のこれまで本田を誹謗中傷してきたネットユーザーから謝罪の言葉の嵐を巻き起こさせた。

さらに本田圭佑の今大会の役割を観ている限り、非常に胸を打つ思いがある。

かつて、日本の絶対的なエースとして君臨し、ザックジャパンの際には俺のために代表というチームがあると言わんばかりの存在だった本田が、この大会の直前で香川にレギュラーの座を奪われながらも、とにかくチームが勝つために、少しでも駒を進めるために、己の全てをチームに費やし、その思いがセネガル戦での同点ゴールにも繋がった。

チームは1人のために、1人はチームのために、まさにチームが一丸となって戦える姿勢が、日本の何よりも大きな武器なのではないだろうか。

他のチームの、攻撃陣は多少守備をさぼってでも、とにかく点を獲ることだけを考えればいい、という同じ土俵で戦っても、なかなか日本は最後のところで個の打開にはどうしても劣る部分は否めないが、チーム全体で守り、良い守備から攻撃に転じ、そしてチーム一丸となって攻撃することで、個の力ではとても出せない力を出せる。

この本田圭佑の残した思いを、是非とも次の世代は受け継いで欲しい。




これまでで最高のスピード、運動量を披露した長友

この世代でもう1人、特筆すべき選手は、不動の左サイドバックとして全試合出場を果たした長友。

本人が言うとおり、31歳にしてキャリア上、最高のスピードとスタミナのピークをここに持ってこられたとのコメントの通り、左サイドの上下運動、守備の時の粘り強さ、攻撃の時のサイドをえぐるスピード、そして正確なクロスと、攻守に渡って完璧な左サイドバックとして君臨。
おそらく、左サイドバックの質だけは、世界のどの国のサイドバックにも、それこそブラジルのマルセロにも、総合力では勝っていたといっても過言ではなかった。

本番直前に、突然金髪にして、ドラゴンボールのスーパーサイヤ人にあやかる、といったお茶目な理由を言ったが、まさに変身したかのように、鬼神と化して左サイドを制圧し、好調な乾、香川らとの左サイドでのトライアングルは、世界のどのチーム相手にも十分に通用し、日本の一番のストロングポイントとなった。


柴崎岳と組むことで安定したキャプテン長谷部

この世代といえば、キャプテン長谷部もいる。
私からすると、もう一昨年の最終予選が始まったくらいの時点から、長谷部不要論を、誰よりも早く、そして誰からも支持を受けない中で、しかし己の信じるサッカー論からすれば、明らかにもう長谷部は代表ではない、と言い切ってきた。
そもそもが、長谷部をアンカーに据えること自体が信じられない。
長谷部はかつて最高のセントラルMFであり、それも中盤の底からゲームを組み立てる役ではなく、機を見た飛び出しで相手の急所を狙ったドリブル突破により、自らゴールも狙ってしまう、シャドー、いや、サードストライカーとしての能力が非常に高い選手であり、決してアンカーの選手ではない。

そして、そもそも私にとって不本意な位置でのアンカーの長谷部は、最終予選を含め、その位置で犯してはいけない致命的なパスミスなどが必ず1試合に数回繰り返され、明らかに長谷部のアンカーは危険にしか見えなかった。
世間はキャプテン長谷部だけはやたらと最初から最後まで持ち上げまくるが、私の目にはそんな迎合型の悪しき日本のメディアの象徴にしか映らなかった。

だが、W杯本番で、柴崎岳と組んだ長谷部は違った。
柴崎岳の安定したプレーの数々に引っ張られるように、長谷部も相乗効果となってプレーの精度が一段階、いや二段階と上がり、確かに絶対的なアンカーとしてW杯本戦の日本代表を支えた。

そうか、これまで組んだボランチの相性などがあったか・・・
ただし、これは単純に、柴崎岳があまりにも凄かったと言える証拠かもしれない。


次の世代は東京五輪組の台頭も視野に

この他にも、ビッグ3のもう1人、FW岡崎(今回の大会は怪我の影響で苦しみ、良い所はあまり出せなかった)、DF吉田(まだしばらくは代表続行だろう)、GK川島永嗣(グループリーグでの2失点は酷評となったが、ベルギー戦などでは守護神として存在感を取り戻す)など、前回W杯以前から長きに渡って代表を支えてきたベテラン達が、いよいよこのロシア大会をもってW杯でのキャリアは終えようとしている。


そうなると、次の代表を誰が支えるのか、と、これだけ多くのベテラン達が抜けた穴を誰もが危惧するところだろう。

だが、冷静に見まわしてみると、次の芽は確かに育ち、そして明るい兆しが広がっていると、私は感じる。

FWの軸としては、ポストプレーの質としては世界トップレベルを見せつけた大迫が健在だし、走力、攻撃力、得点力と、攻撃における全てのスキルを高次元でこなす武藤がいる。

2列目には、原口元気がこれからますます軸となり、最終予選で日本を支えた久保裕也もサイドアタッカーとしては原口に負けていられないだろう。
そして、今回の代表落選で一番ファンを落胆させた高速ドリブラー中島翔哉がいよいよ台頭してくるだろうし、東京五輪世代としてはレフティー堂安律が間違いなく主軸となってくる。

さらに、いよいよバルサ育ちの日本の至宝・久保建英(たけふさ)が、4年後になると21歳となってくる。
本来はパリ五輪世代だが、まずは東京五輪で19歳ながらどうメンバーに食い込んでくるか、それまでに身体、フィジカルがどう作られてくるかだろう。


中盤では、まずロシアW杯で完全に王の座に君臨した柴崎岳がいるし、その柴崎岳の後塵を拝する事となってしまった、本来の司令塔・大島の奮起も促されるところ。
問題はこの2人のセントラルMFを支えるアンカーだろうが、まず真っ先に思い浮かぶのは、攻撃力もある井手口か。
ここぞというところでのサードストライカーとしての得点力も期待できる。

だが、現実的にはまずこのロシア大会では出番を得られず悔しい思いをしたであろう、遠藤航あたりが、持ち前のキャプテンシーを発揮し、長谷部に代わるキャプテンとして代表を引っ張る存在となれるか。
3バックならばストッパーとしても素晴らしい活躍をみせるが、4バックの日本代表ならば、やはりアンカーが主戦場だろう。
他には鹿島の三竿などもいるし、昨年の最終予選のようなキレが消えている感のある山口蛍が復権してくるか、アンカー争いもなかなかに熱い。


守備陣では、もうセンターバックは私にとっては迷いなく昌子、植田の鹿島コンビ一択だが、吉田もまだしばらくは健在だろう。

問題は長友、酒井高徳らが抜ける左サイドバックなどか。
右サイドバックでは東京五輪組として、神戸の藤谷が有力。

GKは中村航輔らに川島からのバトンが引き継がれる。



本田圭佑が言う、次の世代こそ、W杯優勝を目指して頑張って欲しい、というバトンをしっかり受け止め、次の次元にいけるか。

いよいよ一新されていくであろう今後の日本代表のカタールW杯を見据えた動きに今後も注目したいし、自分としては期待感が高い。

乾、香川が見せたような、高い個の技術に裏付けされた、攻撃の連携こそが日本の今後も目指すべき最大の武器であることは間違いない。

まずはそういった点も含め、東京五輪のメンバー、戦い方に注目していくこととなるし、楽しみにしていきたい。




そんな世代交代の波を深く考えさせられつつ、見事に世間のバッシングをはねのけて結果を出した、西野ジャパン、及び最終予選までのハリルジャパンの4年間の記録を、ここに留めておく。


(18.7.9)






〜2018ロシアW杯〜

ハリル−西野ジャパン・ロシアW杯でのベスト16までの軌跡・戦いの模様

 2018ロシアW杯 決勝トーナメント ラウンド16 2点先制も世界の壁まであと一歩 ベルギー戦 2−3 (18.7.3UP)

 2018ロシアW杯 グループリーグ予選第3戦 得点奪えず敗戦も決勝トーナメント進出!ポーランド戦 0−1 (18.6.28UP)

 2018ロシアW杯 グループリーグ予選第2戦 先制される展開も2度追いつく執念のドロー セネガル戦 2−2 (18.6.25UP)

 2018ロシアW杯 グループリーグ予選第1戦 コロンビア戦 W杯本戦での南米相手の初の大金星!!2−1 (18.6.19UP)

 2018ロシアW杯 ハリル監督電撃解任&西野ジャパンの本番直前の展望 (18.6.16UP)

 2018ロシアW杯最終予選第10戦・サウジアラビア戦0−1(アウェイ) (17.9.6UP)

 2018ロシアW杯最終予選第9戦・オーストラリア戦2−0(ホーム) (17.9.2UP)

 2018ロシアW杯最終予選第8戦・イラク戦1−1(アウェイ) (17.6.13UP)

 2018ロシアW杯最終予選第7戦・タイ戦4−0(ホーム) (17.3.28UP)

 2018ロシアW杯最終予選第6戦・UAE戦2−0(アウェイ) (17.3.23UP)

 2018ロシアW杯最終予選第5戦・サウジアラビア戦2−1(ホーム) (16.11.15UP)

 2018ロシアW杯最終予選第4戦・オーストラリア戦1−1(アウェイ) (16.10.11UP)

 2018ロシアW杯最終予選第3戦・イラク戦2−1(ホーム) (16.10.6UP)

 2018ロシアW杯最終予選第2戦・タイ戦2−0(アウェイ) (16.9.6UP)

 2018ロシアW杯最終予選第1戦・UAE戦1−2(ホーム) (16.9.1UP)











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