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日本にとっては消化試合だが、相手サウジは超大詰め
先週のオーストラリア戦で、1戦残して1位抜けを決め、6大会連続のワールドカップ本戦出場を決定させた日本にとって、この最終戦は消化試合となる。
だが、相手のサウジは超大詰め。
現在2位につけ、3位のオーストラリアとは勝ち点が並び、そのオーストラリアは最下位タイとの戦いであるため、勝ち点3の可能性が高い。
そうなると、この試合で引き分け以下だと、オーストラリアに逆転されるわけだ。
逆に言えば、得失点差2を背景に、サウジにとってはこの試合、とにかく勝つ事が大事であり、日本が苦手とする中東のアウェイで、超本気の戦いを挑まれることとなる。
世代交代が進んできたハリルジャパンにとって、今やレギュラー陣と控えの差がほとんど無くなっている状態であり、オーストラリア戦で投入できなかった本田圭佑や香川といった、かつてのレギュラー陣も控えている。
来年の本戦に向けて、果たしてどうスタメンを組み立ててくるか。
相手サウジにとっては悪いが、ここは勝ってアジアでの有終の美を飾り、来年本戦につながる戦いとしたい。
岡崎、本田、そして柴崎岳起用のハリルジャパン
消化試合となった日本だが、当然本気になって挑んでくる敵を相手にできる貴重な機会であり、戦力を落とさずに新たな組み合わせを試すということで、前節途中交代で投入となった岡崎、原口元気、そして出番のなかったかつてのエース本田圭祐がスタメン復帰。
そして目玉としては柴崎岳が初スタメンとなり、まさにこのインサイドハーフというポジションにうってつけの人材が、この試合でどう活きるか。
また、怪我で出場できなくなった長谷部の代わりのアンカーに山口蛍が入るが、もともとこのアンカーの位置は私が以前から提唱するように、もう長谷部が来年の本戦に使えるとは思えないので、山口蛍、井手口あたりの世代交代が絶対必要であり、その点も注目となる。
世代交代という意味では、そろそろDF吉田麻也に代えて、昌子の鹿島での相棒・植田を試すべきだろうが、まだそこまでは踏み込めないか。
9岡崎
8原口元気 4本田圭佑
2井手口 7柴崎岳
16山口蛍
5長友 19酒井宏樹
3昌子 22吉田
1川島
本戦出場決定がかかるサウジアラビア
勝てば3大会ぶり5回目の本戦出場、引き分け以下で3位以下という、非常にハッキリした状況のサウジは、この満員のホームで本気で日本に挑むということになる。
リーグ途中まで頭1つ抜け出る首位だったサウジも、徐々にこの3すくみの状況まで追い込まれ、前節のイラク戦も負けてしまったわけだが、この試合だけはそれこそ死ぬ気で襲い掛かってくるだろう。
10アルサハラヴィ
18ナワフ 17タイセル 8ヤヒア
7アルファラジュ 14オタイフ
2マンスール 13ヤスル
5オマルハウサウィ 3オサマ
21アルマイウフ
蒸し暑い中でのキックオフ
夜になっても30度を下回らず、湿度も70%を超える、サッカーとしては非常に厳しい中でのキックオフ。
立ち上がりは互いに慎重気味に試合を進め、あまりリスクを負った攻撃が出来なかったが、5分、サウジは中盤のパス回しから一気に速いボールを前線に入れ、FW10アルサハラヴィがペナルティ内に抜け出ようとするが、DF昌子がすかさずカバーに入り事なきを得る。
するとその直後に、今度は原口からのパスから岡崎が抜け出ようとするも、相手DFがかろうじて先にカット。
試合が進むと、互いに中盤でダイレクトパスも入るようになって、前線のサイドにフリーで抜け出す場面も増えてくるが、お互いゴール前だけは固めて侵入させず、日本は17分は長友、18分は岡崎と連続で遠目からのシュートとなるが、枠を大きく外す。
そもそも日本はあまりガツガツ行く必要はなく、蒸し暑い中で体力面も考慮しながら、サウジボールの時はある程度外側でボールを回させる分にはOKといった姿勢も見られるが、サウジはとにかく点を獲らないといけないので、多少強引なパスも出してくるが、そういったところは山口蛍以下、守備陣もしっかりとカットしていくため、サウジとしてはほとんどチャンスを作れない。
28分には日本がDFラインでパスを回していったところで、MF8ヤヒアが激しくここを詰めてきて、吉田のパスがカットされるヒヤリとした場面も作られるが、ボールはラインを割る。
ここで主審から給水タイムが入り、選手の発汗の状況からしても、相当な蒸し風呂状態が画面からも伝わってくる。
互いにチャンス決まらず、前半はスコアレスで折り返し
33分、日本の右CKのチャンス、柴崎岳からのボールに、ゴールファー寄りの位置でDF昌子の決定的なヘディングシュートとなるも、ライン際に張っていた相手MF18ナワフがかろうじて足でクリア。
ドンピシャで左下隅の枠を捉えていただけに非常に惜しいチャンスだった。
40分、左サイドからの柴崎岳からのFKがゴールファー側に飛び、これはGKがはじくも、ペナルティ外で待っていたMF16山口蛍が、イラク戦の伝説級の劇的ゴールを彷彿とさせる、ボレーシュートを放っていき、これが非常に強烈なシュートとなって右枠を捉えるも、相手GKもここはファインセーブではじき出す。
さすが中東のGKは反応がいいい。
すると、このピンチをしのいだサウジは43分、DFラインに下がっていた山口蛍から本田圭祐への攻撃を入れていくパスをカットしたところから、一気にMF17タイセルが左サイドにパスを出していき、上がっていったDF2マンスールからの強烈なシュートがわずかにバーの上を逸れていき、この試合最大のサウジの決定機となる。
ちょっと本田へのパスのところが、明らかに相手3人に囲まれた中であって、そこにリスクを冒して入れていかないといけなかったのかは、パスを出した方の山口蛍らも注意しないといけない。
アンカーの位置としては、どうしてもこういった、リスクを冒してクサビのパスを入れるか、セーフティーにサイドに散らすかの判断が大事になる。
給水タイムが入ったため、3分という長めのロスタイムも過ぎ、互いにチャンスはあったものの得点できなかった前半はスコアレスで折り返しとなる。
日本としては引き分けでも構わないが、勝つしかないサウジ、後半は一気にリスクを冒してでも攻めてくることだろう。
日本はそこをどう守りつつ、1点を狙っていけるか。
サウジ、後半頭から快速ファハド投入でチャンスを作る
後半、頭から互いに選手交代。
日本はMF4本田圭祐に代えて、FW18浅野を投入。
サウジはFW10アルサハラヴィに代えて、快速で名を鳴らすMF19ファハドを投入。
後半立ち上がり、やはり攻めてきたサウジはいきなり左サイドから投入されたばかりのファハドを中心にギアを上げていき、吉田らもそのスピードに対処しきれず、決定的なグランダーのクロスをゴール前に入れられるも、かろうじてDF5長友がクリア。
投入された快速のファハドは左サイドに入り、MF18ナワフが1トップに入った様子。
すると4分は原口の粘りから右CKを得ると、柴崎岳のキックからのDF昌子のヘディングシュートに岡崎がシュートを押し込んでいくも、惜しくもライン際で相手DFがギリギリカット。
これでライン際で止められたのはこの試合2回目か。
相手サウジの執念を感じる気迫のDFと言える。
8分には左サイドから長友がフリーで抜け出てチャンスとなり、長友のペナルティに入れていったパスから原口がダイレクトにシュートを合わせていき、これはかろうじて相手GKがはじき出す。
この右CK、またもDF昌子のヘディングがドンピシャで合ってのシュートも、相手GKが抑えると、そこからの縦パス1本からMF19ファハドが右サイドから快速を活かして攻め込んでいき、これにはDF5長友が対応するも、ボールの競り合いの中でボールが裏にこぼれてしまい、身体を入れ替える形でファハドにかわされてしまうと、ペナルティ右でGKと1対1の局面とされてしまうも、ファハドのシュートをGK川島が残った足でかろうじてクリア。
サウジとしては、これでも点が入らないのか、と頭を抱えるほどの川島のビッグセーブとなる。
それにしても、後半頭から投入の、この快速のファハドによって、サウジの攻撃がガラッと雰囲気が変わった感がある。
15分、日本も後半投入のFW18浅野が右サイドから攻め入り、ゴールライン際からマイナスの決定的な折り返しも、原口がニアに詰めて距離が近すぎて詰め切れず、ボールはファーに流れる。
原口がファーで詰めていれば1点だっただろう。
すると18分、サウジはいつも通り外でパスを回させられていたが、一瞬の隙を突いてパスを中央に通され、MF18ナワフがペナルティ手前中央でボールを収めて日本のDFを3人集めさせたところで、スルッとペナルティ右にボールを出すと、MF19ファハドが右足を振りぬき、このシュートがゴール右上のギリギリのコーナーに決まる・・・!!!
・・・・・・・!!!!???・・・・・・・・・
つ、、ついにサウジが先制???
ここまでほとんど危なげなくボールを回させていたところだったが、ボールを回させるというより、レッドゾーンまでいつの間にか入られていたことを見落としていたような、ポッカリと空いてしまった手痛い場面となった。
また、カバーに入らなければいけないはずの後方の吉田も一緒につられたのは頂けない。
それにしても、やはり決めたのは後半投入のファハドか。
サウジのファハド後半投入はまさに采配ズバリ、ドンピシャの効果だったと言える。
22分、この失点を受けて2人目の交代、FW9岡崎に代えて、セレッソの187cmの長身FW15杉本を投入。
31分になると、今度はサウジが2人目交代、どうやらアクシデントがあった様子で、キャプテンで精神的支柱であるDF3オサマが下がり、DF23モタズが投入となる。
サウジ、執念の勝利、本戦出場決定
34分、反撃したい日本は原口、柴崎、杉本がボールを繋いで杉本のシュートの場面も、相手DFの執念のスライディングブロックで阻まれる。
せっかく虎の子の1点を獲ったサウジ、ここはさすがに強い執念を感じる。
ここで日本は最後の交代、MF7柴崎岳に代えてFW11久保裕也を投入し、久保はそのまま中央に入り、井手口と山口蛍の2ボランチ、2トップ気味とする。
41分、サウジも最後の交代、DF2マンスールに代えてDF4アルドサリが投入される。
その後、いよいよサウジも時間を使うようになりロスタイム突入し、アディショナルタイムは4分。
当然、サウジもボールはサイドにしかボールを運ばず、徹底したコーナーでの時間稼ぎの後に試合終了。
サウジはまさに執念の勝利をもぎ取り、そして自ら2位で3大会ぶり、5回目の本戦出場決定を果たし、オーストラリアは3位でプレーオフ進出となった。
日本は敗戦で最終予選の締めくくりとなってしまったが、やはりサッカーというものは、こういった勝利の執念というものが大きく影響するということがよく分かる試合となった。
日本も数々の得点のチャンスがあったものの、どちらかというと日本の問題よりも、サウジの執念、集中力の方が勝ったといった感がある。
また、後半投入のファハドが効果的だったのに対し、ハリル監督は有効な手立てを加えられなかった点もある。
やはり、終わってみるとあらゆる点で日本にとって難しい試合だったのだろうという事を感じる。
日本の今後の伸びしろ
ただ、柴崎岳はもう少し攻撃面でのキラメキを見たかった。
クラブワールドカップでのレアル戦で見せたような、強引に前線に割って入ってのシュートといった場面が1回も作れなかったのは残念だし、そこまで守備的にプレーする役目だったのかと疑問符が付く。
前節の山口蛍、井手口、長谷部の3ボランチは決して軸となるものではないだけに、本来の攻撃面でタクトを振るわなければいけない選手の発掘は重要であり、その最たる候補がこの柴崎岳のはずなだけに、やはりまだ日本はこのポジションには香川、本田圭祐らの力が来年も必要なのかと、若干の伸びしろの無さを感じる。
まあ、香川に関してはまたドイツでのリーグ戦の活躍次第では、来年の本戦での活躍もあるだろうし、本田圭佑のキープ力をインサイドハーフで活かす手もあるだろう。
そもそも本田は本来サイドの選手ではないので、1トップを大迫らに譲るのなら、インサイドハーフでこの先は試すべき。
そういった課題もいくつか見えた最終予選の最終戦となった。
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