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引き分け以上でトーナメント進出の日本だが・・・
最重要だった初戦を、相手の立ち上がりでの致命的な退場もあってコロンビアに勝利した日本は、次の第2戦、セネガルは相当に手ごわい相手で、そのスピード、パワーによって2度に渡り先制されるも、そこを見事に2度追いついた同点劇は見事で、1勝1分としている日本。
そしてグループリーグ最終戦のポーランド戦、これで引き分け以上でトーナメント進出となるところだが、しかしポーランドは過去のW杯でいずれも先に2敗し、そして最後の3戦目は必ず勝っているという、典型的な一矢報いる系のチームであるという不吉なデータが存在する。
実際、バイエルンミュンヘンで3年に渡り得点王に輝いているという、正真正銘の世界一のセンターFWレバンドフスキも擁しているわけだし、地力としては明らかに日本より上。
しかし日本には過去2戦の、コロンビア、セネガルと強敵相手に2得点を決めてきた、チームで連動して得点を決める攻撃力がある。
過去2戦を観ても、そうそうゼロで抑えられるとは思えない。
引き分け以上を掴むためにも、この試合もなんとか2得点を決めて決勝トーナメントを決めたい。
GK川島起用、先発6人入れ替えの西野ジャパン
中3日と連戦となる中だが、おそらくそうは今のスタメンを変えられないとは思う。
しかし、ただ一つ、やはりGK川島は変えるべきではないだろうか。
1戦目のコロンビア戦では、相手の壁の下を狙ったシュートへの反応に遅れ、2戦目はパンチングの判断をミスって、相手にみすみすパスを送る失態を演じた。
これだけ毎試合、GKのミスで失点してしまうチームが、この先勝ち続けられるわけはない。
だが、他のメンバーと同様、なかなかチームの好調の流れを変えるリスクもあることは確か。
そんな中、西野監督が選択したのは、GKは川島で続行、そしてその他のスタメンを一気に6人入れ替えるターンオーバーを敷き、連戦の疲れの考慮と共に、この先の戦いも見据えての控え陣の起用に撃って出る。
特に、普段は右サイドバックか左サイドバックで起用されるDF21酒井高徳を、一気に右サイドハーフに起用する奇策を採用。
これが吉と出るか凶と出るかが勝負の分かれ目となる。
13武藤
9岡崎
11宇佐美 21酒井高徳
7柴崎岳 16山口蛍
5長友 19酒井宏樹
20槙野 22吉田
1川島
エース・レバンドフスキ擁するポーランド
ポーランドの戦力はなんといってもエース・レバンドフスキがセンターFWとして目立つが、トップ下のMF19ジエリンスキのゲームメイクや、左サイドMF11グロシツキ、右サイドMF16ブワシュチコフスキらのスピード、パワーに溢れる突破力もやはり脅威。
また、守備陣ではDFリーダーのDF15グリクが2戦目の途中から復帰したのが大きい。
9レバンドフスキ
19ジエリンスキ
21クルザワ 11グロシツキ
6グラルスキ 10クリホビアク
3イェンドジェイチク 18ベレシンスキ
5ベドナレク 15グリク
22ファビアンスキ
両チームとも、ややちぐはぐな立ち上がり
立ち上がりからボールをポゼッションするのは日本。
ポーランドはあまり前から行かずに、陣地に入ってきたら一気にボールを奪いにいってショーとカウンターを狙うという策を張ってくる。
立ち上がり5分、いきなりそのパスのところを狙われ、右サイドからカウンターに入られるも、どうにかDF陣もブロックしてギリギリカット。
とにかく先制点だけは絶対に与えられない。
0−0で良いのは日本の方であり、焦って攻める事だけはしたくない。
12分、日本は相手ポーランドのDFラインでのパスミスをうまくFW13武藤が奪い取る事が出来、そのまま絶好の決定機を迎えるも、ゴール方向に走った宇佐美に武藤はパスを送れず、やむを得ず左に出して長友が再度クロスを上げて、FW9岡崎が代名詞のダイビングヘッドでの見事なシュートは惜しくもバーのわずか左。
さらに13分は、MF7柴崎の柔らかいミドルパスを受けたFW13武藤が、右足を一閃させてのシュートはゴール左枠を捉えるも、惜しくもGK抑える。
ポーランドも久々にDFグリクが復帰しての守備陣であり、この辺の立ち上がりは穴が見られる。
特に攻撃の際には両サイドバックが非常に高い位置をとり、ほぼ2バックとなるポーランドは両サイドにスペースが大きい。
しかしポーランドもいざ攻撃の時となると、高さとフィジカルからゴール前に圧してくる。
21分、右サイドからのクロスに対し、長友と山口蛍がマークに付くのを一瞬お見合いしてしまい、良いクロスを撃たれると、これに飛び込んだMF21クルザワの前でDF19酒井宏樹がかろうじて先に頭でCKに逃れる。
この左CK、ファーでDF15グリクにヘディングを放たれ、ゴール右枠下を捉えられてしまうも、GK川島、ここはどうにか抑える。
立ち上がりの時間帯、これまで2戦、パラグアイ戦から数えればしばらくの間控えだったメンバーが多い日本としても、まずは危うい時間帯は防ぐ。
どちらのチームとも、立ち上がりは守備陣がカチッとはまらないシーンも目立ち、不安定な部分から互いに決定機を与えてしまうも、どちらもそこはどうにかかわす形で立ち上がりの時間帯をゼロで抑える。
また、最初FW9岡崎に、怪我明けの影響が心配されMF8原口が立ち上がりの時間帯からアップで準備したりしたが、どうやら大丈夫らしく原口はベンチに戻る。
前半はスコアレスで折返し
32分、中央からポーランドに押し込まれ、ペナルティ手前右からクロスを上げられてしまい、MF11グロシツキの決定的なヘディングシュートでゴール左枠を捉えるも、GK川島、右手一本を懸命に伸ばして、これをファインセーブではじき出し、DF19酒井宏樹が間一髪外に出して難を逃れる。
批判も浴び、起用が危ぶまれた川島だが、ここで1点もののファインプレーを見せる。
この守護神のスーパーセーブに感化されるように、34分は速攻からMF11宇佐美がペナルティ右を高速ドリブルでキレ込んでいき、クロスかと思われた場面での右足でのシュートはGKにギリギリはじかれ、こぼれ球も惜しくも詰めていったFW9岡崎には届かず。
とにかく先制が欲しい。
先制さえ獲れれば、かなりの確率で引き分け以上の確率がグンと上がる。
いつまでもゼロで抑えられるとは限らない。
こうして1分間のアディショナルタイムも終わり、前半はスコアレスでの折り返しとなる。
試合内容的には五分五分といったところだろうか。
引き分けで良い日本としてはまずまずのところだが、やはり時折レバンドフスキにボールが入ると、パスなりシュートなり良い所までいかれてしまいそうになる場面も多く、いつまでも気が抜けない展開が続く。
とにかく後半に先制点が欲しい。
後半、FKから先制される・・・
後半はじまってすぐの2分、やはり怪我の影響があったか、FW9岡崎が下がる事となり、この大会で一皮むけた大黒柱・FW15大迫がトップに入る。
後半8分、MF11宇佐美が左サイドを抜け出しチャンスとなって中央に絞ってからシュートにいくも、これをブロックされると一気にカウンターに出られ、FW9レバンドフスキが抜け出しにいくも、GK川島がこれはいち早く前に出てかろうじて抑える。
今日の川島は過去2戦に無い安定感がある。
12分、相手DF陣のパス回しに猛追してプレスにいったFW13武藤が見事に詰め切ってスローインを得る。
パラグアイ戦で輝きを見せつつも、それでも右サイドの原口や1トップの大迫から奪いきれなかった武藤としては、待ちに待った先発に思い残さず走り切ろうといった気概を感じる。
しかし後半14分だった。
左サイドでFKを与えてしまった日本は、MF21クルザワの左足から送られたクロスに、ゴールファーでDF5ベドナレクに詰められ、これがついにゴール右に決まってしまう・・・
・・・・・・・・!!!!???・・・・・・・・
うううう、、、これはやられてしまった・・・
ついに受けてしまった先制・・・
やはり先制点を奪えた前半のチャンスのうちに決めたかった。。。
このまま負けると、同時に試合を行っているセネガルとコロンビアもスコアレスの同点が続いている中、敗退が決まってしまう。
なんとしてでも、とにかく同点に追いつく必要が出てしまった日本。
絶体絶命の状況となる。
周りが見えていないDF槙野・・・
20分、日本は2人目の交代、MF11宇佐美に代えて、この大会でも結果を出している、今一番日本代表でノッテいる男・MF14乾が投入される。
得意の左45度からのシュートの場面を作れるか。
25分、左サイドでボールを受けたMF14乾、ペナルティ左外からシュートもあったかもしれないが、武藤に送ったクロスは右に逸れる。
こういった、乾の左サイドからのプレーをもっと引き出したい。
27分、左CKを得た日本、柴崎のキックからニアでマークをうまく外してヘディングを放ったDF22吉田のボールに、ファーで武藤が詰めるも、惜しくも頭を越していく。
29分、乾がドリブルでいったところをカットされ倒されるもファールが無く、そのままカウンターで攻めあがられ、MF11グロシネツキのクロスからFW9レバンドフスキがマークに付いていたDF22吉田を左手で抑えながらのシュートはどうにかバーの上を越してくれて助かる。
ポーランドも明らかに足が止まってくる中、しかしその分ブロックがなかなか動かず、攻め手が詰まってくる日本。
33分、相手の左サイドからのクロスに、誰もいっていなかったのに関わらず、DF20槙野がヘタに頭でクリアにいってしまい、そのままボールが流れて無駄なCKを与えてしまう。
うーん、試合前の段階から、川島よりもむしろW杯初出場となる槙野の方がちょっと心配だな・・・と思ったが、FKでやられた場面もそうだし、周りが見えずにボールを追って、レバンドフスキを倒してイエローを受けたところも含め、どうも周りが見えていない。
センターバックだけは下手に代えるべきではなかったか・・・
DF昌子が非常に高い評価を受けていただけに・・・
ポーランドは1人目の交代、FW19ジエリンスキに代えてMF14テオドルチクを投入。
すると36分、ポーランドの右サイドからのMF11グロシツキのクロスに、DF20槙野がスライディングブロックで止めにいくも、この足に当てたシュートがゴール右を捉え、これはGK川島がどうにかはじき出す。
日本、史上まれにみる時間稼ぎで0−1、そして決勝トーナメント進出へ!!!
この時点で一方の会場でのセネガル−コロンビアは、コロンビアが1点を獲っており、そうなるとセネガルと勝ち点が並ぶ事となり、得失点差も同じ、直接対決もドローであるため、残りはフェアプレイポイント(カードの枚数)で勝っている日本が2位通過という事になる。
そこで日本は37分、FW13武藤に代えてMF17長谷部を投入。
西野監督はこの状況において、攻めよりも守りの選択肢を選ぶことになるが、しかしこれは大きな賭けでもある。
このまま0−1で終わったとしても、セネガルが1点取り返したら元も子もない。
なおかつ、万が一これ以上の失点やイエローカードをもらうと・・・といったところもある。
長谷部が入った日本は、DFラインと3ボランチでとにかくボールを回しにかかるが、いざポーランドにボールを奪われると、休みが入って元気も出てきたポーランドが強く前に攻めてくる事となる。
いや〜どうだろうか、この消極的作戦は・・・
過去2戦、世界から絶賛を浴びた、コロンビア、セネガルから2得点を奪った日本の戦いとしては、このトーナメント進出を第一優先にし過ぎる戦い方は、自分の目から見るとかなりリスキーにも見える。
それにしてもこんな日本の戦い方など観た事が無い・・・
負けてもいい、そんな試合の仕方があるだろうか。
ある意味、これも歴史的な戦い方だ。
日本がボールを持つと、とにかくDFラインでボールを回しまくり、そして疲れているポーランドも前から来ないため、いったい何の試合を観させられているのか、といった会場からの激しいブーイングが鳴り響く。
そして試合は90分を越えて、アディショナルタイムは3分。
ボールを中に入れない日本、決して前から奪いに来ないポーランド。
な、、、なんだこの試合、、、
すげえ・・・日本代表でこんなシーンが観られるとは、ある意味物凄く貴重だ。
一生に一回、観られるかどうかだ。
というか、この会場のブーイングは、日本に対してよりも、むしろ前からいかないポーランドにこそ向けられているかもしれない。
ポーランドは選手交代をしたいが、とにかく日本が絶対にボールを出さないので、仮病を使ってポーランド選手が倒れこみ、ようやく選手交代といったところ。
そして、5分近く日本がボールを回して保持したまま、試合は0−1で終了。
なんだか、世界中のブーイングが鳴り響くような試合展開の中、もう1試合のコロンビア−セネガル戦の結果をとにかく待つ。
そしてもう一方の試合も終了し、コロンビアが1−0でセネガルを倒し、セネガルと勝ち点、得失点差が並び、直接対決もドロー、そして最後のフェアプレイポイントの本当に僅差で日本は勝ち点4でギリギリの2位となり、決勝トーナメント進出となる。
この悔しさを決勝トーナメントにぶつけられるか
非常に微妙な感情を残した、後味の悪い試合となった。
何よりもまず、負けてしまった、という後味の悪さが残る。
できれば、とにかく1点を入れたかった。
1点入れて1−2で負けたのなら、また違った感情もあっただろう。
しかし、正直なところ、宇佐美の起用はやはり自分としても思ったとおり、あまり結果に残らなかったし、右サイドに酒井高徳を起用したところは本当に良かったのか、そして問題はDF槙野だった。
怪我から復帰の岡崎が怪我を再発させてしまったアクシデントも響き、思わぬ交代枠を使った事で、香川、本田といったジョーカーの投入も控え、なんと長谷部の守備的投入となった。
だが、前向きに捉えれば、これだけマイナス要因が重なった、控え中心のメンバーでの戦いの中で、それでも決勝トーナメントに進出できた事は、かなり前向きに捉えても良い。
主力陣が休め、フレッシュな状態で決勝トーナメントも戦えるし、GK川島もしっかりとこの試合では結果を残し、決勝トーナメントへの憂いは限りなく無くなった。
宇佐美らはやはり空回りだったが、あまり出番が少なかった武藤が、この試合でしっかりと存在感も見せ、前線のどこでも使える、運動量を発揮できる駒として決勝トーナメントで非常に使いやすい攻撃陣のオールマイティプレーヤーとして使える目途が立った。
こうして、2位通過となった日本は、グループGの1位との対戦となり、イングランドかベルギー相手となる。
どちらもポーランドを明らかに上回る強敵となるが、日本代表にとって初のベスト8進出に向け、この試合では鳴りを潜めた日本のサムライ魂を再び見せつけて得点を奪えるか。
この試合、プレーしていた選手たちはさぞや悔しかった事だろう。
だが、この悔しさを得ながら、決勝トーナメントで戦えるという事は、ある意味貴重でもある。
久々のトーナメント進出となり、次こそが日本の歴史を賭けた最重要な、世界に日本のサッカーを見せつける一戦となる。
(18.6.28UP)
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