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ザスパ”草津”であるということ
〜ザスパと草津の相関関係〜
Vol.3

それでも草津であるために


横棒


草津だからこその群馬の象徴
〜群馬ゆえの内情〜

チームは草津からは離れたが・・・

前回のVol.2では、ザスパ草津のトップチームは実質前橋に拠点を移してしまったが、その後の草津での活動はチャレンジャーズチームが引き継ぎ、2007年からはさらにU−23に形を変えて、ザスパの原点である草津との結びつきを今後も継続させていこうという現状を書いた。

まだまだクラブの規模も小さく、知名度も低いザスパは、まずは県民全体にその存在を広めていかないと、という姿勢は十分わかるものであり、ザスパ”群馬”化は今のところやむを得ない方針だとも思える。

しかし、これで本当にザスパ”草津”と呼べるのだろうか。
実質前橋に拠点を置き、群馬全域を活動範囲に広げたザスパが、草津の名を冠する事が本当に適切なのだろうか。
いくらU−23などの下部組織が草津で活動していようとも、やはり本体であるトップチームがこれだけ草津から離れているのは如何なものか。

このシリーズの最終回であるこのVol.3ではある程度の将来型も見据えて書いていきたい。



草津という地名

現在の活動を見る限り、U−23以外のトップチームなど本体の活動は前橋を拠点とした群馬県全域だ。
ならば、ザスパ草津ではなく、ザスパ前橋、もしくはザスパ群馬とした方が適切であろうと第三者からみると判断されてしまう。

事実、ザスパ草津という名前で弊害もある。

昔からスポーツをよく観戦してきたはずの職場の知人や友人達の中では、やはり”草津”という名称にひっかかり、前橋市民だけどあまり親身に応援できない、とか、群馬県としても全面的なバックアップという風潮でない(県職員の友人談)という話を実際に聞く。
実際の話、草津という地名は同じ群馬とはいっても、ちょっと群馬の中心地からは一歩離れた印象も否めない。
やはり前橋、高崎から2時間かかる草津は、一般的な距離感では遠いものを感じるようだ。

私のように根っからのサッカーファンならそんな名前や距離感など全く関係なく、地元群馬の初のプロスポーツクラブで地元出身のプレーヤーが何人も活躍するザスパ草津を応援することは、群馬県人ならあまりに当たり前の事だとばかり思っていたが、世間一般はそういう残念な考えもあるのも確かだ。
プロスポーツに対する個人の温度差は当然ある。


ザスパ前橋だったなら?

実際に、もしザスパがザスパ前橋なら、もっと前橋市民の全面的な人気は上がるだろう。
あまりスポーツに関心のない主婦層やおじいちゃん、おばあちゃんに至るまで、やはり地元の名前が付いたチームは応援したくなるものだ。甲子園と同じだ。
しかし、それだと草津はおろか高崎や伊勢崎などの他の市民からの応援はある程度諦める事になる。

群馬の一番の問題は、県民が揃って群馬県の代表と言える市町村が存在しないことにある。

例えば他のチームならどうであろう。

同じJ2の仙台などは宮城県よりも仙台の方がよっぽど有名であり、東北最大の都市の仙台ならば宮城県民も十分納得して仙台というチームを宮城県の代表として応援するだろう。
愛知県の名古屋や北海道の札幌もまた同じ、それぞれの県庁所在地がそれぞれの道県を代表する。

これが前橋ではダメだ。
(はじめに言っておくと私は前橋で生まれ前橋で育った生粋の前橋人なので、ここから自虐ネタとなります)

人口も面積も合併後の高崎に負け、街の活性具合も新幹線の止まる高崎市に大きく水をあけられている。
勢い的にも最近の伊勢崎市、太田市にも押され気味の感がある。

群馬県という県は、20〜30万程度の市が乱立する、群雄割拠の連合軍だ。
その連合軍の中の、どれか一つの市の名前を県の代表の名称にするなど、他の市民が許さない。


せめて前橋市が群馬市という名前だったなら、ザスパ群馬としてまだ他の市民にも認知されるかもしれない。
正式には群馬市の事を指しても、表向きには群馬県の群馬と言っておけばいい。
しかし前橋市の名前が変わるはずもない。


草津であったからこそ

ザスパ草津の場合、Jリーグチームになるにあたって、どこかの市町村の名前を付ける必要があったわけであり、それが”草津”であったから現実として群馬を代表する、県民全体が支持するプロチームが創設できたのではないだろうか。

結局のところ、全国的に知名度の高い群馬の知名がどこかといえば、やはり草津だろう。
日本の三大名湯の名に恥じない最高級の泉質を誇るこの温泉地は、群馬が他県より優れ、誇れる山の恵み、観光資源の代表地である。
スキー場もあわせ持つ立地条件で、ジャンプや複合で活躍した荻原兄弟なども選出させた。

草津の名を群馬の代名詞とすることで、群馬のこの豊富な観光資源を一気に国内全土に更に広める事となり、その宣伝効果、相乗効果は図り知れない。

そして、群馬が唯一日本一だと自負できる草津ならばこそ、前橋も高崎も納得できる。
実質は例え前橋に拠点が移り、草津から離れてしまっても、群馬の象徴たる草津を名に冠している限り、やはりザスパは群馬の代表たるチームだと認められる。

もしかしたら今のザスパにとっての草津はお飾りとの誹りを受けても仕方ないのかもしれない。

しかし前橋でも高崎でもない、草津だからこそ、この群馬の乱立する地域を一つにし、県内の意思の統一されたプロチームが出来た。

ザスパはやはりこれからも草津であるべきだし、他のどの地域にも鞍替えすべきではない。

 
群馬が全国に誇る最高の泉質・草津温泉


(ところでザスパ前橋ではなく、ザスパ”群馬”なら?という事についてはこのページの下の番外編で)


では、それでも草津であるために、今後ザスパは何ができるだろうか。
提案も交えて将来像を描き、このシリーズを終わりにしたい。




それでも”草津”であるために
〜もっと草津との連携強化を〜


もっと草津での活動を

今の段階で運営規模の小さいザスパ草津が、草津でも前橋でも、その他県内でも、と活動を行う事は非常に限られており、多くの事は求められない。

しかしザスパ”草津”として今すぐ出来ること。
それはやはり、トップチームがもっと草津と触れあう環境、状況を作るべきだろう。

昨年の植木監督復帰の際、今年は練習も半分くらい草津で行う、といったコメントを目にしたが、やはり前橋から往復4時間の壁は厚かったようであり、日程が空いた時に年に2回程度3日間程度のミニキャンプを行ったり、年始の祈願に行くくらいであった。

今後はもっと大きな行事への参加や草津に密接したイベントなど、トップチームが何かやるから今週末は久々に草津温泉にでも行くか、と県内サポータが集まるようなものが欲しい。


トップチームが草津で試合をする意義

手っ取り早くできることといえば、空いた日程の中で草津小雨グラウンドでの練習試合などがいいのでは。

J2リーグは奇数チーム数のため、毎回1チーム試合が空きお休みとなる。
そのお休みがシーズン中4回あるわけなので、そこで毎回ミニキャンプを張り、U−23や他チームとの練習試合を積極的に草津で行えばいい。

週末、休みの日に行う練習試合は年間通してもごくわずかしかない。
特に練習試合でしか観られない控えの選手を応援しているサポータにとって、草津巡礼と共に練習試合が観られる事は有意義なことだ。

例え練習試合でも、やはりトップチームが頻繁に草津でサッカーの試合を行うという事は、草津の地にサッカーの根を下ろすのに必要な事だと思う。

選手にとっても草津の澄んだ空気のもと、1200m級の気圧で心身を入れ替え、草津温泉で精神的にも落ち着ける。
そして何よりも”原点”に帰れる。
草津はいつまでたってもザスパ草津のホームだ。


とにかくここ最近、トップチームが草津に出向く事が少なすぎる。
こういった無理の無い範囲で回数を増やしていって欲しい。



草津温泉・サッカー観戦ツアー

草津といえば当然温泉地であり、大事なのは観光での集客。

ザスパ草津としての理想は前にも書いたとおり草津で試合を開催し、そして観戦客をそのまま観光客として引き込む事。

しかしそれができないのなら、せめてツアーやパックを組んで、前橋での試合開催と草津での観光を結びつける手がある。

ツアーならば、具体的な形としては、新幹線も止まる群馬県最大の交通の要所、高崎駅から観光バスが出て、まずは前橋でサッカー観戦、そしてそのまま草津温泉へ直行、1泊2日で翌日また高崎駅へ、という形だろうか。

しかし現実問題として、サッカーの客層と温泉観光の客層がかなり違い過ぎるのでは、という点がある。
一般的にいってサッカーに関心の高い若年層とツアー温泉旅行などを好む熟年層の差だ。

 
せっかくの群馬、試合観戦後は草津温泉でゆっくりと・・・


草津温泉・サッカー観戦パック

ツアーともなると確かに最小催行人数も確保しなければならず、バスを貸し切るというリスクも生じる。
それならば草津温泉1泊2日、前橋でのサッカー観戦チケット付き、といった個人参加型のパックなら、運営側もパックを組むだけのわずかな費用でいいのでリスクも無く、空振りでもいいのでとりあえず試せるのではないだろうか。
何より草津観光協会は積極的になってくれると思う。

このようなパックやツアーの宣伝を常時ザスパのトップページなどにバナーが貼り付けてあれば、案外全国のアウェイチームのサポータなども食いついてくるかもしれない。
利益云々ではなく、ザスパ”草津”としての実質的な(ザスパ、草津温泉双方にとっての)宣伝効果、アピールになると思う。
今のザスパのHPは草津温泉に直結するようなコンテンツはない。
せめてザスパ草津と草津温泉観光協会のそれぞれのトップページくらいはバナーを貼り合って欲しいもの。
やはりザスパ草津の存在意義としては、草津温泉の宣伝媒体でもあることが重要だ。


これまで不思議とあまりそういう企画は目にしていないが、確かに一昨年までのザスパはそんな事に目を向ける余裕など無かった。
いや、今も全くそんな企画を立ち上げるほどの余裕は無いのかもしれないが、これに関しては観光のプロである草津の観光協会や、他の草津温泉と日頃から結びつきの強い旅行代理店などに任せておけばいいだろう。

この程度の案は既にどちらからともなく出された事もあると思う。
その時は何かの理由、状況で頓挫したかもしれないが、今ならば実行できるかもしれない。

せっかく存在自体がコラボ企画であるザスパ草津。
もっと具体的なコラボ企画があっても、と思う。






番外編
〜ザスパ群馬の可能性?〜

チームに群馬の名も?

ところで最後にちょっと番外編。
前橋や高崎など、特定の市町村名を冠する事は群馬を代表するチームとしては難しい、と記述したが、ならばいっそ群馬県全域が活動地域なら、手っ取り早く県の名前を付けてザスパ群馬ではどうだろうか。

この考えは多くの人が一度は考えた事だろうし、将来的にも可能性はあるかもしれない。
しかし、この地域名ではなく、県名を安直に名称にする事については、やはりVol.1で述べたJリーグの理念に背くのではないだろうか。
そう、地域密着性の理念だ。
活動内容はチーム運営の一環として大目に見たとしても、チームの象徴となる名称すらも堂々と県名を名乗っては、もはや地域密着などとは言えない。

やはりJリーグチームの名称は地域や市町村の名前を付ける事が原則なのだろう。
(ただし23区などあまりに多くの自治体に細分化される東京都や大阪府などは別格扱い)


愛媛FCという例外

また、たった一つ例外があった。
現在最も若いJリーグチーム、愛媛FCだ。
松山市を中心とした愛媛県全県がホームタウンである愛媛FCは、松山FCではなく堂々と愛媛FCを名乗る。
これはもはや、一番最初に言ったモン勝ちで押し通した感がある。

愛媛FCの場合ははじめから愛媛全県をホームタウンとする大義名分でJリーグ側にも申請していた経緯があるのだろう。

しかしザスパの場合、あくまで最初は草津からのスタートだったわけであり、それを今更ザスパ群馬、もしくはザスパ群馬・草津にしますなどと言っても、それは逆効果でしかない。

古参のサポータからは総スカンを喰らい、クラブの理念は崩れ、そもそも”温泉”を直訳したTHE・SPAの名前はどうなるのか。
それならいっそ群馬FCに名前を変えた方がいいという意見も出るだろう。


何にせよ、今の段階で草津の看板を下ろす事はあり得ない。
群馬の称号を付けるとしても、それはもっと県内にザスパとサッカー文化が浸透した、本当に群馬の名を冠する事が相応しくなった将来にならないといけないだろう。

これはもはや最初のチーム理念、創設経緯の問題であり、簡単には変えられない問題であるため、今回のシリーズではひとまず置いておくために番外編とした。






ザスパの将来像は・・・

このままザスパがザスパ”群馬”化していくべきなのか、はたまたVol.1で前述したとおりの、小さいながらも身の丈にあった草津町のチームとして本来あるべき姿に戻るべきなのか。

今の日本のサッカーレベルでは、群馬化していった方が現実的だろう。
しかし、遠い将来になるかもしれないが、ザスパがいつか草津に5000人規模のスタジアムを建設し、本格的に草津でプロのサッカーの試合ができる日が来るかもしれない。
その時のカテゴリーは現在の2部ではなく、制度が変わった後の3部(現在のJFL)、J3リーグかもしれないし、はたまたJ4リーグかもしれない。

例えカテゴリーは下がろうとも、しかしサッカーをやることには何ら変わりはない。
そして草津を代表して戦っている選手達を応援するファンやサポータ、地域の人々の熱い思いにはなんら変りはない。

ザスパがそんな本当の意味での草津のチームとなるか、現在の草津の名を冠した群馬の代表チームとして、更なる飛躍を目指し、後々には世界クラブ選手権まで出場できるようなビッグクラブにまで成長できるか。

将来の展望は果てしない。
そしてその選択肢は多種多様だ。

世にも珍しい背景を併せ持ちながら、しかし現実にれっきとしたプロチームとして存在するザスパ草津。

その時代の生き証人となるべく、これからもザスパ草津を応援し、見守っていきたいと思う。

なにやら今回はもっともらしいことを書いてきましたが、ご静聴有難うございました。




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(2007.01.29UP)






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