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J2 ザスパクサツ群馬

2018シーズンの総括
−シーズン後半戦−
〜布サッカーでしぶとく追い上げるも、昇格にはあと一歩届かず〜
横棒


J14年目・2018シーズンのザスパクサツ群馬

J14年目、J3・1年目のシーズンを例年通り振り返るこのコーナーもシーズン後半戦編へ。

・・・2018シーズン−前半編−はこちら・・・

開幕シーズン、戦術ジャンボで臨み、敢え無く撃沈した布ザスパは、その後、ジャンボを外した3−4−3にシステムをガラッと変更させ、天皇杯を含む公式戦5勝3分と一気に巻き返しに図った。

だが、それまで前線のキープレーヤーだったFW岡田翔平が負傷離脱するなどを機に、前線は再び停滞感を産み、手詰まり感いっぱいの中、悪夢の3連敗でシーズンを折り返すこととなってしまった。

しかし、シーズン後半戦の頭から、布監督は起死回生の一手を繰り出し、悪夢の3連敗からの奇跡の逆転昇格に向け、再び巻き返しを図っていく。

そんな2018シーズン後半戦を振り返ります。




風間を2列目に上げた3−1−4−2という真の答えを見つける

悪夢の3連敗となり、もう絶望感が漂ってきたシーズン後半戦頭の第19節鹿児島戦だった。

この時、1位琉球に次ぐ快進撃で勝ち点を伸ばしていた2位鹿児島相手に、ここで負けたらもう鹿児島は勢いに乗って手が付けられなくなり、そしてザスパは早くも今シーズンが完全終了といった、絶対絶命の中での試合だった。

その崖っぷちの中、布監督は次なる一手を打ってきた。

なんと、長崎からレンタルで補強したばかりのMF33碓井を1アンカーに置き、MF8風間をMF6竜樹と組ませて2シャドーに上げる3−1−4−2という、攻撃的な布陣で臨む。

この形はかつて秋葉監督時代の後期に、この布陣を採用しだした時期があり、その時もこの布陣で一気に巻き返したものだが、その時を彷彿とさせるこの攻撃的な布陣により、風間らがシャドーの高い位置でボールを拾いまくり、どんどんセカンド攻撃で相手を押し込んでいく。

シャドーの位置から2トップに上がったFW7高橋駿太も、トップに上がる事で前線を自由に動き回り、ゴール前以外でもサイドにも流れ、あらゆるところで起点を作り、相手はマークを捉えきれない。

そして左に岩田、右に星原と、本職FWの両サイドの2人がどんどんサイドで仕掛けていき、ザスパの攻撃は変幻自在となった。


その理想的な形を支えたのは、やはり1アンカーの碓井だった。

攻守ともに非常に安定感があり、運動量があり、そして献身的な中盤のプレーヤーとしては全てが揃っている碓井の存在により、この攻撃的な前から仕掛けていく布陣を支える事ができた。


最初は、なぜ攻撃的なプレーヤーではなく、ボランチを補強したんだ??と首をかしげたが、この碓井の加入により、攻撃が売りの風間の守備的な負担がグッと減り、そのことで風間が前に出る事が出来、完全なるセカンドストライカーとして重要な得点を挙げていく事となる。


この3−1−4−2により、2位鹿児島相手に2−0と完勝を収め、その次の鳥取戦でも、天敵鳥取相手に2−1と、ついに初勝利を挙げる事に成功し、連勝を収める。

これだ・・・

この布陣、この攻撃、この勢いこそが昇格に何より必要だ・・・

悪夢の3連敗から、この3−1−4−2により、奇跡の逆転昇格に一筋の光明が確かに見えた。






岩田の離脱、ガンバ23との完敗から守備重視の布サッカー確立へ

この後、リーグは夏の中断期間に入り、3週間ほど間が空いたところで、ガンバ23との戦いとなる。

当然、中断前の勢いのまま、この先も連勝をと期待されたが、ガンバはトップチームの不振による監督交代となり、それまでのU−23の宮本ツネ監督がトップチームの監督にスライド就任となり、一緒に数名のU-23の選手も連れて行ったため、これはここでU-23で活躍すれば、一気にトップ昇格のチャンス、とばかりに、若い選手達の目の色が違う勢いはすさまじかった。

さらに、この中断期間の間に左サイドでの突破力がチームのストロングポイントとなっていた岩田が大けがを負ってしまい、チームを離脱。

岩田を失ったザスパは、この血気盛んなガンバ23を押し返す力はもはや無く、成すすべなく0−4の完敗を負った。


この大敗を受け、布監督は再びチームの大改革を決行し、左サイドには守備が得意な金城ジャスティンを起用し、更に風間を再びボランチに戻し、1アンカーの攻撃的布陣から一気に守備重視に組み替える。

非常に手堅い守備で守り抜き、セットプレーや速攻、カウンターからの得点で勝ち抜いていく戦法で、東京23、そして再びガンバ23と再戦となり、当時J3最強を誇ったガンバ23の攻撃も封じ、全て1点差でしぶとく4連勝となる。


昨年、一回も出来なかった1−0のウノゼロで勝っていくその様は、まさに守備重視の市立船橋を築き上げた布サッカーの真骨頂といったところ。

だが・・・そのガンバ23に勝った時も、1点先制している時点で相手が自滅の形で1人、そして2人とファールで退場していく中、なぜもっと畳みかけて追加点を獲れないのか、と焦れる展開も多く、とにかく勝っても勝っても得失点差が上がらず、結局リーグ2番目の失点数の少ない35失点に抑える事には成功しつつも、得点は37得点の、得失点差がわずか2点となった要因となった。




左サイド岩田を欠いて攻撃力がガタ落ちに

その得点力不足は、やはり昇格争いとしては致命的な弱点となり、チーム初の5連勝がかかった盛岡戦では、やはり攻撃に迫力不足となり、どうしても点が奪えないまま、相手に逆に点をとられ惜敗。

本当にこの盛岡戦を落とした事は痛く、この間に1位の琉球はさらに独走態勢となり、早々に昇格圏内の2位以内を手中に収め、2位の鹿児島もまだまだ着実に勝ち点を伸ばし、なかなか勝ち点で追いつかない。

当時、自分もHPで、とにかくジャスティンの左サイド起用だけはダメだと言い続け、本人の能力を見ていれば一目瞭然だが、おそらく左サイドでの起用が一番ジャスティンの能力を封じてしまうものであり、左からのクロスは苦手であり、右に切り返してからのクロスはタイミングも遅く、それでいてなかなかチャンスに繋がらず、またライン際深くまで攻め込むような突破など皆無。

更には、得意なはずの守備でも徐々にサイドの守備では穴が開き始め、ではなぜジャスティンの左サイド起用にこだわるのか、それよりもなかなか大島か山アか小牟田かで固定できないワントップに据えた方がよっぽどいいのでは、と散々訴えてきた。


当時、この左サイド問題は本当に深刻であり、今でもここに手を入れておけば、もっと結果は違っていたはずではと悔やまれてならない。

その左サイドに必要だった人材として、ガンバ23に大敗するまでは完全レギュラーだった阿部巧がいるが、大敗の責任を取らされるような形でパッタリと起用されなくなり、さらにもう一人のレフティーとして、鈴木崇文もいた。


崇文の左の精度の高さは岡田、岩田と攻撃の駒をどんどん失ったシーズン後半の希望の光であり、後半に崇文の投入があると、試合の流れをその精度の高い左足でガラリと変えてくれた。

あれだけ左サイドでの攻撃力がガタ落ちする中、なぜもっと阿部巧と鈴木崇文の2人のレフティーを有効に使えなかったのか、本当に残念でならない。




しぶとく粘るも、力及ばず昇格を逃す・・・

盛岡戦での痛い敗戦以降もやはり得点力不足は続いたものの、セットプレーなどからしぶとく点を獲っていき、その虎の子の1点を守る形で再びウノゼロで勝っていく流れをどうにか繋ぎ留め、薄氷の戦いは終盤まで続いていく。

だがいよいよ大詰めとなった30節の首位・琉球戦では、化けの皮が剥がされるように当時のJ3で大暴れしていた攻撃陣に飲み込まれるように4失点を重ね、2−4の大敗となる。

やはり、いくら失点数が少ないとはいっても、その内容はJ3ゆえの相手の決定力の少なさに助けられていた点が多く、さらにこのシーズンのMVPとも言える守護神GK松原のスーパーセーブにも助けられる場面ばかりの、どの試合も一歩間違えば大量失点を重ねてもおかしくない危うさはあった。
それが首位・琉球の攻撃力の前に露呈されただけの結果だった。

これでいよいよ昇格に黄色信号が灯った布ザスパは、怪我から復帰した竜樹と共に風間が1列上がっての3−1−4−2の攻撃的布陣を再度採用し、さらに阿部巧を久々にスタメン復帰させて、ジャスティンをそれまでの左サイドから右サイドに移行。

これがそれまでの得点力不足をグッと解消させ、左からは阿部巧の積極的な攻め上がり、そして右でもジャスティンがそれまでの苦手な左サイドから解放された喜びを爆発させるように、左サイドでは見せなかった積極的な攻め上がり、そして右からのダイレクトでのクロスなど自信の溢れるプレーでチームを押し上げる。


だから言ったじゃないか・・・なぜもっと、この本来あるべき形にしなかったのか・・・

あまりに遅すぎたこのチームの変革により、鳥取戦では3得点を挙げるものの、だが不運なことも重なり、鳥取にも3点を奪い返され、手痛いドローとなり、次の北九州戦では終了間際にどうにか1点をもぎとり、薄氷の勝利。

しかし、ラスト2試合となったアウェイ藤枝戦では、それまで獅子奮迅の活躍をみせてくれたアンカー碓井を累積で欠いたことで、なぜかジャスティンを今度はボランチでの起用とし、そして代わりの右サイドには長谷川巧を起用することで、長谷川もあまり深くまで攻め込めず、再び右翼を失う形となってしまい、盛岡戦と同じような展開でどうしても得点が獲れず、またしても0−1の惜敗となってしまった。

これにより、鹿児島の2位が確定となり、ザスパは1年でのJ2復帰を逃す事となってしまった。

最終節、今度はなぜかジャスティンを右ストッパーまで下げ、右サイドには相変わらず長谷川巧を起用し、そしてそれまでチームの攻守の軸だった風間を累積で欠くことで、結果的に引退試合の様相となった松下裕樹を起用するも、やはり右サイドからの長谷川の攻撃の貢献が極端に少なく、なかなか追加点を奪えない展開で、ロスタイム最終プレーとなったYS横浜のFKを決められてしまい、2−2のドローと、まさに今シーズンを象徴するような残念な結果で、それまでの3位の座から、沼津、鳥取に抜かれる形で5位での幕引きとなった。

この時も、なぜ舩津を3バックの中央という本来のポジションではなく、本来の右サイドに回さないのか、坪内という3バックの中央に据えるべき選手もいるというのに・・・という点でガッカリしたものだった。





J3・2年目の戦いはいかに・・・

今シーズン、サッカーとしてはこれまでのザスパの中でもかなり応援しがいのあるシーズンだったと思う。

チームは1年でのJ2復帰に向け勢いもあり、開幕シーズンの躓きから、負けてなるものかと徐々に追い上げた。

特に、シーズン中盤の3−1−4−2の1アンカーの布陣に辿り着いたときは、これぞザスパの目指すべきサッカーと、拍手喝さいを送ったものだった。

だが、その後の3−4−3の2ボランチに戻した後は、上記した守備的な布陣に特化し、特に前半は何も出来ない、まずは相手の攻撃を受け止めるといった、布サッカーのやり方に辟易したものだった。


まず開幕シーズン躓いた戦術ジャンボの失敗が悔やまれるが、その後の色々な改善点がある中で、それでも腰が引けた戦いに終始してしまった事が残念でならない。


J2から降格した救済金1億2千万のアドバンテージがあった今シーズンは、他のチームからみれば2チーム分の戦力を持っており、もっとその戦力を活かして、3−1−4−2の前線からのプレスでガンガン攻めにいっても良いのでは、と何度も感じた。


もっとやれたはずだ・・・

特にシーズン終盤では、ここで勝てば2位に浮上、といった正念場でことごとく勝利を逃してきた勝負弱さも露呈された。


来年は1億2千万の救済金は無くなり、ダゾーンからの配当金3千万のみとなる。

その9000万円の収入の減は、この12月の数々の契約満了に即座に表れ、特に妻子を持つ二十代中盤からの選手はほとんどチームに残れない事態となっている。


今後も実績のある選手はほとんど呼べず、チームの大半はアマチュア契約などでの若い選手主体となるだろう。


今のところ、来年のチームの形は全く見えない。

ただ、布監督だけは続投が決まった。

金が無い中、あと頼れるのは布監督の采配のみ。

これからが本当の布サッカーの本領発揮となるかもしれない。

今は、とにかく信じて来年のザスパの戦いを待つしかない。




敷島・正田醤油スタジアム ザスパクサツ群馬 たゆたえども沈まず
昨年の最終戦に続き、サポータ仲間から用意されたフラッグが掲示される
「たゆたえども沈まず」
フランス・パリのモットーの言葉として知られる名言であり、
パリ市を一つの船として捉え、
そしてどんな動乱に巻き込まれようとも、しかしパリという船が沈むことはない、という、強い意志を表す言葉。




これから長いJ3での戦いが続いてしまうのか、これからが本当の新生ザスパの姿が見られるのか。
本当の戦いは来年からなのかもしれない。


敷島・正田醤油スタジアム ザスパクサツ群馬 奈良社長の挨拶
ザスパ、1年でのJ2復帰ならず・・・
敷島・正田醤油スタジアム ザスパクサツ群馬
必ずや、来年こそはJ2復帰を!!!






(2018.12.16UP)


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