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2008 FIFAクラブワールドカップ(FCWC)

2011年12月15日(木)
準々決勝 FCバルセロナ(スペイン) VS アルサッド(カタール)
(日産スタジアム)
4−0

横棒


今のバルセロナが日本で公式戦!!????

今年6月のチャンピオンズリーグ決勝、バルセロナがマンチェスター相手にみせたサッカーはあまりにも衝撃的だった。
そのことについてはこのHPでも最大限の賛美と共に綴っているとおりであり、現在のバルセロナがまさに奇跡の賜物、史上最高のチームである事は私の中では揺るぎない。


2010-2011チャンピオンズリーグ決勝の観戦記は以下のとおり↓
 2010-2011チャンピオンズリーグ決勝戦・FCバルセロナ3−1マンチェスターユナイテッド (11.06.01UP)


そのバルセロナがヨーロッパチャンピオンとして出場するFCWCが幸運な事に今年は日本で開催される。
昨年、一昨年はアラブで行われ、もはやオイルマネーに乗っかって日本で開催される事は無いんだろうか、とも思っていたが、やはり面スポンサーがトヨタという事もあり今年、来年は日本での開催を確保したわけだ。


このチャンスを逃すわけにはいかない。

そしてこれまた幸運にも、友人の湘南サポの方がチケットを抑えてくれた。


ということでなんと生のバルセロナを観に行けるという貴重な体験をしてきたので、ここに観戦記として残しておきたい。






日産スタは6万7千人の大観衆、一大イベント

キックオフ2時間前に到着した日産スタ。

このスタジアムはまだ横浜国際の名前の頃、横浜FLUGELSがまだ存命しており、横浜マリノスとの横浜ダービーが演じられるなど、本当に思い出深い地。
自分の場合、群馬を出てFLUGELSを観に行けだした年が遅いため、三ツ沢よりもこちらの横国の方が思い入れがある。
FLUGELSが消滅した後も、平野のチームなどが来た時は積極的に観に行ったものだ。


思えばその後、子供が産まれた頃からほとんど東京方面にも行けなくなり、すっかりご無沙汰していた事に気づく。
最近の東京遠征の際の観戦場所はたいてい国立か味の素スタだ。


その久々の日産スタは、ゲートからしてFIFA公式試合の重厚感に溢れる。
FIFAクラブワールドカップ


チケットは完売。
今日の入場者数は約6万7千人。
キックオフ2時間各ブースでは様々な展示がされ、特に特設ステージでは日テレ解説者の北澤氏のフリートークショーも展開。



FIFAクラブワールドカップ
特設ステージでの北澤氏のフリートークショー


そのトークショーの中で、おそらくメッシはプレーしている中で調子を上げていくタイプでもあるので、試合に出るだろうが、他の選手は準決勝、しかもアジアチームとの対戦という事もあってメンバーをある程度は温存してくるのではないか、その中でどういった戦いを見せてくれるか、といった話が出た。


そうか、確かにフルメンバーのバルサでくるとは思えない。
特に30を越えベテランの域に入っているシャビなどは今日は温存だろう。

できればなるべくフルメンバーに近いバルサを観たいものだが、そういった覚悟はいると感じながら、いよいよ会場入りしキックオフを迎える。




シャビ、セスクら温存のバルサ

バルサのスタメンは、やはり予想どおりシャビは温存。
意外だったのは、シャビを温存する場合はセスクファブレガスは出ると思っていたが、セスクも温存。

その他、アンカーのブスケッツ、右サイドのアウヴェス、CBのピケも温存となるが、前線はメッシはじめ、イニエスタ、ビジャ、ペドロとほぼフルメンバーが出揃う。

北澤氏の言っていた、前半はかなり点を取りにいき、早々に試合を決めてその後温存したいのでは、という話と一致する前線の顔ぶれと、守備陣の温存っぷりだった。


ちなみに布陣としてはアウヴェスの代役のアドリアーノもDF登録ながらアウヴェスと同じく右ウィングの位置に張り続けるため(守りに戻る必要が無いため)、はじめ4−3−3かと思ったが、実質3−4−3だった。



7ビジャ
17ペドロ    21アドリアーノ
10メッシ
8イニエスタ     11チアゴ
15ケイタ

22アビダル      5プジョル
14マスチェラーノ

1バルデス


DF登録のアドリアーノが右ウィングだったり、本職はアンカーのマスチェラーノが真ん中のリベロだったり、中盤は本職のアンカー不在で守備なんて考えていないなど、さすがはバルサ(笑)

もはや普通の尺度では理解できない布陣。





5バックのアルサッド

アルサッドはセンターバックに元鹿島のイジョンスらが入る固い守りと、FWケイタら身体能力の高い攻撃陣が速攻から点を奪う典型的な中東サッカーチームと言える。

この試合ではバルサ相手という事もあり、実質5名のDFを並べとにかくバイタルエリアのスペースを消す事に腐心する事となった。

とにかく守って、そして前線の身体能力の高いニアンやケイタらのワンチャンスのカウンターに全てを託す感じ。


9ニアン
14ハルファン        12ケイタ
5ウェサム 15アル・ブロウシ
3ベルハジ              6カソラ
13イブラヒム      21コニ
4イジョンス

18サクル


FIFAクラブワールドカップ
いよいよ選手入場!
2階席からの風景。日産スタは角度があるので2階席からも見やすいが、やはり距離はある。
前半はほぼ遠い方のアルサッド側のハーフコート内で試合が行われ、見えずらかった。




本来のサッカーではないバルサ

立ち上がりから早くもバルサが圧倒的にボールを支配。

そもそもアルサッド側も意図的にボールを獲りに行こうとはせず、とにかくバイタルエリアを固め、ある程度まではボールをもたせる。

まあ当然そういった対応となるだろう。


しかしバルサの方はポゼッションはしているものの、本来のバルササッカーという訳ではない。

やはりシャビやブスケッツなどが不在のため、いつものトライアングルを組んでボールを回すロンドはあまり観られず、イニエスタやメッシらの個人技でキープしている感じ。

チャンピオンズリーグ決勝では相手が守備を固めるバイタルエリアの直前でボールを回してしまうという離れ業を成し遂げ、もはやとても足で行っているスポーツとは思えない、ほぼバスケのような圧倒的なキープ率でマンチェスターを圧倒したものだが、それとは違う。

つまり、もはやサッカーではないスポーツをやってしまっていたのが本来のバルサだが、この試合では結構サッカーをしている。

その証拠に、練習のロンドと同じ距離感でサッカーをやってしまう本来のバルサではなく、結構選手間の距離が長い。


つまりまあ、こういった本来のサッカーではないバルサだが、それでも個々の圧倒的な能力が相手を圧倒し、ボールをずっとポゼッションし続けてしまうわけだ。



しかしバルサにボールこそ持たれてしまうものの相手のアルサッドもなかなかのもので、5人のDFと4人のMFでバイタルエリアはしっかり固めてバルサにもなかなかスペースを与えない。

最前線に張る形のビジャに当ててから後方からイニエスタ、メッシが受けて狭い地域を打開しようとするも、そのスペースすら与えず、さすがのバルサも閉塞的になる。



粘るアルサッドが自滅の形で手痛い失点

よく守っているアルサッドだが、やはりあまりにもバルサがボールを持ち続けるので、徐々に守る方の体力と集中力は奪われていく。

17分にはイジョンスのクリアボールがケイタに当たってしまい、はね返ったボールをビジャが1対1のシュートもミートしきれずGK正面。



そして中央を固めるあまり空いてしまっていたアルサッドの右サイドを再三ペドロがフリーで受ける場面が増えていた中での24分、そのペドロが左サイドからゴールファーに入れたクロスをゴール右隅でDFベルハジがトラップしてGKに渡そうとするも、GKもバックパスで手で取れないか、と一瞬躊躇してキックが中途半端になったところに、DF21アドリアーノが詰めていてそのままゴールへ。


GOOOOAAAAAALLLL!!!!


もう少し美しい形での得点を期待していたが、まさか粘に粘るアルサッドが自滅の形で失点しまうとは意外だった。

とにかく前半の30分、あわよくば前半全てをいかにゼロに抑えるかがポイントだったアルサッドとしては非常に痛い失点となった。




ビジャ、まさかの疲労骨折で退場

当然バルサが1点で満足するわけもなく、先制してもやる事は同じ。
アルサッドも守り方は同じ。

やはりバルサの圧倒的なポゼッションの中で試合は進み、33分にはイニエスタの鋭いミドルをGKがはじいたところをビジャが押し込んで追加点!!・・・と思ったがビジャがオフサイド。


なかなか1トップに張る形のビジャのところがイジョンスはじめマークがきつすぎ、思ったような得点シーンに絡めず苛ついた感じのする中の35分だった。

カウンターの形で抜け出したビジャに対し、イジョンスらDF陣が2人掛かりで左右から挟み込んでゴール前で交錯。


ん?ビジャが起きられない、というか速攻の交代のジェスチャー。

なんとこのままビジャは退場となり、FW9サンチェスが交代で入る事となる。

その後の情報からするとなんと疲労骨折だったらしく、この後に手術して全治4、5ヶ月となってしまったらしい。

そんなに激しい接触ではなかったが、もつれ合った足がちょうど嫌な角度になってしまったか。


アドリアーノの2点目が決まり前半終了

前半も終わろうかという43分、右サイドから中央に入っていったチアゴの右足アウトサイドでのパスを更に右外から中央に入っていったアドリアーノが受けて、そのままシュートを流し込む。


GOOOOAAAAAALLLL!!!!


これで今日アドリアーノ2点目。
結局前半で2点のリードを奪う事となったバルサ。


しかしアルサッドもまだ前半終わってはいなかった。

44分、縦パスを右サイドからコートジボワール代表のケイタがDFアビダルに対し身体の強さで押しのけるように前に進め、そのままの突進のままペナルティ右に入ったところでのシュートは惜しくもバーの上。

これがアルサッド最初のシュートにして最大のチャンスだった。


そして更にアルサッドにはチャンスがあり、45分、前半ロスタイムに入ったところで今度は左サイドから中央に縦パスが入り、セネガル代表のニアンが走り込み、今度こそと思われたところをペナルティ直前でマスチェラーノがファールで止める。

これがこの試合、アルサッドの2回目のチャンスだった。
このニアンのFKは壁に当たり前半終了。


ビジャの欠場が大変残念な事になったが、やはりバルサが複数得点での折り返しとなった。




FIFAクラブワールドカップ
キックオフ時こそ4−3−3に見えたが、結局右サイドバックのアドリアーノが右ウィングの位置に上がりっぱなしになったため、3−4−3の形だった。




メッシのスルーパスからケイタの追加点

後半開始となり、今度は私の席側にバルサが攻める格好となり、前半よりは格段に見えやすい。
特にメッシやイニエスタのテクニック、そしてペドロのスピードなどがよく分かる。


後半も前半とほぼ同様な展開。

アルサッドは2点リードを奪われながらも、だが自分達から攻勢にいけるわけでも無いので、前半同様に再び粘り強く守る。


とにかくバルサはボールを奪われてからの守備がやはり早い。

いち早くアルサッドの選手を狭い地域に追いやり、パスコースを限定させてすぐに手詰まりにさせ、アルサッドは3本目のパスを繋げず敢えなくバルサに再びボールを奪われる。

これがバルサの強さ、ポゼッションを7割以上に持っていってしまうサッカーだ。


そんな中、7分、密集地帯の中でイニエスタ、サンチェスと繋いだボールから、メッシが4、5人ものDFの中をすり抜けてペナルティ内に侵入しての左足でのシュートはバーの右。


17分、バルサはペナルティ手前中央の絶好の位置でのFKを得ると、これを蹴りにいったメッシの左足からのシュートは速く、そして曲がるボールでゴール左上を鋭く狙うも、GKファインセーブではじく。
この素晴らしいFKとGKのファインセーブに会場もどよめく。


そして19分、左サイドからメッシにボールが渡ったところで、メッシの完璧な右足でのスルーパスがケイタに送られ、ケイタが右足アウトで流し込むようにシュートを流し込む。


GOOOOAAAAAALLLL!!!!


本当に完璧なメッシのスルーパスだった。
これだけ流れるようにきれいに攻撃を繋げられては、どんなに守備を固めようとも仕方ない。
この精度の高さがやはりバルサだ。



メッシのオーバーヘッドに会場も沸く

ダメ押しとなる3点目を決められ、アルサッドは1人目の交代、
MF15アル・ブロウシに代え、MF10アル・ヤジディが入る。


21分、裏に出されたボールをメッシが追い、寿司路からマークに来たDFと入れ替わりながら、GKと競り合ったボールが空中に上がり、このボールをメッシはオーバーヘッド!!!

しかしこれはジャストミート出来ずに惜しくもバーの左。
ゴールはもはや無人だったため、大変残念。
この試合の中で、最も印象深いプレーとなり、観客に対しての最大のサービスとなった。


FIFAクラブワールドカップ
ボールをキープするイニエスタ(右)とパスを受けにフリーで動くメッシ(左手前)



その後、バルサは2人目の交代、DF2アビダルに代えてDF19マクスウェルを投入。

更に26分にもバルサは早くも3人目の交代、FW9サンチェスに代えて27クエンカを投入。


それにしても、前半は終了間際に2回のビッグチャンスを作ったアルサッドだが、この後半は全く攻撃が出来ず、本当のワンサイドゲーム。
頼みの綱のFW12ケイタも、後半はガッチリとDFプジョルがマークして全く仕事をさせない。

3点目を決められて試合が決定してからは試合自体の緊張感はやや薄れる。




マクスウェルの4点目

31分、FW9ニアンに代えてFW7ユセフを投入。
アルサッドもとにかく1点は獲りたい。


35分、バルサは左サイドからのFKから、チアゴがスルーパスを送り、交代で入っていたDF19マクスウェルがそのままペナルティ内左を突破し、そのままのスピードで左足を振り抜き見事にゴールに決める。


GOOOOAAAAAALLLL!!!!


あまりに華麗なスピードそのままのゴールシーンだった。
これで4点目。
バルサとしてはもうあまり無理に点を獲りにいっていないが、やはりこういった試合は4、5点は入る。


40分、アルサッドは最後の交代、FW12ケイタに代えてFW11アル・ハイドスを投入。

しかしもはや試合の雰囲気は消化試合の様相を呈し、会場もいかにウェーブをうまく作るかに腐心し、スペインからのバルササポータはこの辺の時間帯から急に合唱を始め、会場は試合内容よりも応援に力を入れ始める。


そして2分のロスタイムも終わり試合終了。

やはりというか、バルサの圧倒的な個人技の強さ、そして組織としての精度の高い連携、完成度の高さを実感させられた試合だった。

レギュラーを半分以上外しても、控えの選手も皆カンテラ育ちの長年バルサのサッカーを知る選手ばかり。

強い。

これがバルサか。

誰が入っても、その精度の高さには一切の衰えがない。


しかし、それでもこれにシャビやセスク、ブスケッツらが入ると、その精度は今度は悪魔的なまでになってしまう。

これが今のバルサだ。




決勝でのサントスも圧倒しバルサ優勝!!

結局、この3日後に行われたブラジルの強豪・サントスとの決勝戦。

その試合では3−7−0と言えるようなポゼッション重視のメンバーを組み、シャビやセスク、ブスケッツらも加わったバルサはこの試合と変わらないような圧倒的なポゼッションを成し遂げ、サントスを相手にしているというのに、まるでアルサッドと変わらないように試合を演じてしまう。

注目された19歳の新星FWネイマールにもほとんど仕事をさせずに、圧倒的な総合力の高さでこのアルサッド戦と同じく圧巻の4点を奪い、4−0で優勝を遂げた。


もはや今のバルサをまともに倒せるチームなどない。

今後の注目は、バルサと共にモウリーニョ監督のもとチーム力を増しているレアルとのリーガでの接戦を制して連覇を延ばせるか、いかに伝説を完璧なものに出来るかにかかることとなる。



ドリームチーム。

まさにドリームチームだ。


こんなチーム、もう2度とお目にかかれると思えない。

この凄まじい伝説を、今リアルタイムに体感できるこの幸せが少しでも長く続く事を、一サッカーファンとしては望んでやまない。




本来のバルサではなかったが、しかし異次元のサッカーに違いは無かった。
本当に、今のバルサを生で観られたこの幸せの記憶をここに残そう。









(2011.12.23UP)






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