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本格推理小説
についてのページ


〜誰でも手軽に本格推理〜



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さてさて、サッカー以外にも趣味の多い私元Fファン。
そもそもこのホームページはその趣味や関心事をいろいろと書き綴っていくために開いたページなので、また新しいページを立ち上げようと思います。

今回新たに開くページは”本格推理”について。
いわゆる推理小説などですが、このページでは推理する楽しさを伝えて、1人でも多く推理小説を一冊読んでみようかと思ってもらえるよう書き綴っていこうと思います。




本格推理って何?

推理小説って、皆さんは読んだことがあるでしょうか。

いわゆる大衆紙とも言える赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズなどは読まれた事があるかもしれませんが、ここでいう推理小説はちょっと違います。

あくまでも本格推理です。

本格推理の定義は特に正式なものは無いと思います。
じゃあ”本格”って何?何をもってして数ある推理小説の中から"本格”と呼べるものを言うの?

その点で自分が常々思う事で、「本格推理」とはあらゆる散りばめられた証拠、ヒントの中から、理論的に積み上げていき、最終的にそれらの散りばめられたパズルを1つに結びつける解答を導くように出来ている推理小説のことを言うと思います。

よくサスペンスドラマなどの題材に使われる推理ものはこれとはちょっと違います。
あくまで決められた道筋で、親切丁寧にヒントをちょっとづつ小出しにし、何も考えないで読み進めても最後には主人公の探偵、もしくは湯煙旅行を楽しむOLと一緒に真相にたどりつけます。
またよくあるベタな手法で、それまで一切ヒントも無かったような(あっても思わせぶりな出演者の表情一つ)意外な真犯人が突然現れたり、殺人の動機の真相が思いもよらぬ事だったりといったどんでん返し。


自分からするとこれは推理小説とはちょっと呼べない代物です。

あくまで自分で考えてズバリと犯人や真相を言い当てる。
それこそが本格推理であり、醍醐味だと思いますし、これから私が紹介していく小説たちは皆自分でナゾを解いてナンボの小説ばかりです。


自分自身で解く楽しさ

赤川次郎などのものは、大衆ウケするためにあまり小難しい事は書きません。
眉間に皺をよさせて読ませるものではなく、簡潔にストレスなく読ませる。
あくまで読み物です。

それに関して私は全く否定しませんし、あれだけヒットしたという事はそれだけ文章力や構成力が優れているということです。
ただ、それを推理小説と呼ぶのかは疑問です。

人から与えられたシナリオで、ただ漠然と読み進み、そして用意されたエンディングを万人と同じく読み終えて、ああ良かったなと思う。

それに対し、本格推理は1ページ目から既に作家と読者の真剣勝負が始まります。
作家の用意するトリックに対し、いかに早い段階で見破るか。
ある小説などは5ページ目くらいで既に用意された罠の概要を見抜けてしまうものもあれば、最後の方の”読者への挑戦状”までいき、そしてどんなにじっくり考えても答えがわからないものもあります。

そんな難問に対して、よく考えなければわからないし、よく考えればわかるのが推理小説の面白さです。
自分の力でよく考え、そうか!こうか!と閃いた瞬間の快感。

自分の力試しであり、そして自分の力で切り開く喜びをまだ知らない人が多い事に歯がゆいばかりです。


ある1人の嫁の推理小説の読み方

また例外として、本格推理に実は触れていながら、その面白さを知らない人もまた多いものです。

例えばある1人の嫁。
(そう、私の嫁です)

彼女は旦那と出会う前から、なんと共通の推理小説をお互いに愛読していました。

それが日本の本格推理会の帝王・島田荘司の「御手洗シリーズ」です。

未だに男性ファンより圧倒的な女性ファンが多い天才・御手洗潔(みたらい・きよし)が活躍する本格推理シリーズであり、そのシリーズの数々の大仕掛けな度胆を抜くトリックはどれも圧巻です。


私の生涯トップの作品「斜め屋敷」

ちなみに私が生涯の中でダントツ1位の作品はこの御手洗シリーズの「斜め屋敷の犯罪」です。

あの分かる人はすぐに分かり、分からない人はどんなに考えても分からない。
そう、その時にたまたまその事実に気付くかどうか、その1点のみ、一瞬の直感、ひらめきがあるか無いかで全てを分かつあのトリック。
おそらく解ける人はすぐに解けてしまうトリックなので印象が薄い人もいるでしょうが、私は幸いな事に考えても考えても分からない部類でした。
あの一瞬の閃きがなぜ当時出なかったのか、今でも不思議ですが、しかし分からなかったからこそのあの解答編での衝撃を受ける事ができたことは、おそらく解けた事よりも何倍も幸せだったと今になると思います。
だからこそ、今でも「斜め」が私の中で一番なのです。
他の推理ものはたいてい薄々分かってしまいますし、予想の範囲内か、もしくは多少ルール違反のトリックで逆に白けるものが多い中、斜めのトリックの潔さは圧巻です。


考えないで読んでしまう嫁

さて、こんなに力説できるほど私がその推理小説に感銘を受ける事ができたのはなぜか。

それは本当に、眠れないくらい真剣にトリックを解こうと考え、悩み抜いたからです。
解こうが解くまいが、とにかく考える事、自分の力で打破しようとする事が重要です。

その結果、一瞬の閃きが舞い降りトリックの全貌が分かった瞬間、それはまさに神のお告げを受けたかのような感銘となりますし、どんなに考えても解けなかった時に、苦しみ抜いて解答編を読み、それが納得できるトリックだった場合、その時は作者に対して脱帽ものの感銘を受けるのです。


それなのに嫁は、全く同じ本格推理小説の長たる御手洗シリーズを、”何の考えもなし”に読みます。
いや、読んでしまうのです。


まるで赤川次郎の三毛猫を読むかのようにふふ〜んと読み、その中でこの人が犯人なんじゃないの〜?と適当に言い当て、そして本当にそうだった場合、この人が怪しいと思っていたんだ、やっぱりね、とちょっと得意になるのです。

つまり嫁にとって御手洗シリーズはトリックを解くためのものではなく、あくまで御手洗という超絶の頭脳を持ち、それでいて長身で美男子(これは小説にありがちな女性ファンの勝手な妄想も含む)、スマートでクールでとにかく格好良いスーパーマンの活躍を読んでいるだけなのです。

この話を聞き、私は衝撃を受けました。


なんて・・・

なんてもったいない事を・・・



そして”はた”と気付いたのです。

確かに少女マンガの題材にもされてしまうほどの女性達からの御手洗人気は、こういう嫁のような人種に支えられているのか、と。

いや〜、読む人が違えばその作品から受ける感情もこれほど違うものです。

彼女達にとっては御手洗シリーズは本格でも推理でもなんでもなく、ただ単に怪傑ヒーローものなのです。


そしてそこには斜め屋敷で私が受けたあの電撃を受ける事などなく、なんだ今回の御手洗さんは地味だったわね、で終わってしまう彼女達がいるのです。

(実際、斜め屋敷での御手洗の登場ページは驚くほど少なく、あっさりしています。御手洗にとって斜め屋敷のトリックは謎でも何でも無いからです。御手洗の冒険が読みたい彼女達にとっては、全くもってつまらない作品と言えましょう。)




本格推理小説の面白さを

本当にもったいないことです。
せいぜい1000円程度の文庫本。
古本屋で買えば数百円、安ければ100円以下で買える、大変身近でお手軽な推理小説達の中で、これほどの人生の財産にもなりえる感動が待っているというのに、それを知らない人達や、そして読んでもその楽しさを知らない人達がどれだけ多い事か。

私はこのページの中でいろいろと推理小説、それも「本格」と呼べるものの楽しさを伝えていければと思っています。


(06.10.06UP)








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