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1994FIFAワールドカップ1994
Cグループ 予選リーグ ドイツ−韓国
3−2

横棒




なぜか私に贈られた1枚のDVD、それが1994年ワールドカップ・アメリカ大会の1試合だった。

1994年といえば日本はJリーグ人気で一気にサッカー熱が高まったものの、注目されたアジアでの予選でのドーハの悲劇によりあと一歩でワールドカップ行きを阻止され、思えばあの時の悔しさ、不完全燃焼が未だにキング・カズを現役続投に突き動かしている要因なのではと思える。
(今年の2011シーズンも、J2横浜FCでの主将を継続させるという公式発表あり)

この17年も前の大会、日本は出ていなかったが、同じアジアの雄・韓国が優勝候補ドイツに対し予選リーグで対戦した試合を観戦記にまとめておきたいと思う。



マティウス、クリンスマン健在のドイツ

ドイツは攻撃ではFWクリンスマンが攻撃を引っ張り、守備ではマティウスが中央で指揮をとる。

そういえば、ドイツといえば当時はベッケンバウアーから始まる正当なる系譜による司令塔が守備の中心に陣取るという独特のスーパーリベロ方式だったことを今更ながら思い出す。

今ではもはや3バックを採用するチームはほとんど見られなくなったが、当時の主流はむしろスイーパーを中央に置く3バックだった。

そしてストッパーの位置に入るのはこのアメリカ大会後に浦和レッズで活躍したギド・ブッフバルト。
おお!!懐かしい!!!



18クリンスマン 9リードル

16ザマー
3ブレーメ         20エッフェンベルグ
14ベルトホルド 8ヘスラー

6ブッフバルト     4コーラー
10マティウス

1イルグナー




ホンミョンボ率いる韓国

韓国はあの伝説のリベロ、ホンミョンボが守備の要。
攻撃ではFWハンソンフォンが引っ張る。

ちなみに試合中はMF10コジョンウンはだいぶ左サイドに張っている事が多いし、ボランチ、DF陣あたりの布陣、配置は違うかもしれません。
なにせ当時はまだサッカーの知識がだいぶ薄かったので、ほとんどこの試合、特に韓国側は予備知識無しです・・・



9キムジュソン 18ハンソンフォン

10コジョンウン
7シンホンギ         12チェヨング
6イユンジン 15チョジンホ

5パクジョンベ    4キムパンクン
20ホンミョンボ

1チェインヨン



早い時間帯にクリンスマン圧巻のスーパーゴール炸裂!!

立ち上がりからやはり圧倒的に圧すのはドイツ。
とにかく体格が大人と子供の差があり、そのフィジカルからの球際、せめぎ合いというところでことごくドイツに圧倒される韓国。
なかなかドイツのペナルティエリアに近づけさせてもらえない。

8分にはゴール前右に入っていったクリンスマンにパスが通り、GKもかわされてシュートを撃たれるもチェヨングがどうにか抑える。


しかし12分、右サイドをフリーで突破していったMF8ヘスラーからのセンタリングをゴール前中央で受けたクリンスマンがマークについたDFの逆側でボールを右足でトラップしながら浮かせると、そのままターンしながら左足でシュートをゴール左に押し込む。

GOOAAALLLLL!!!!


さすがクリンスマン、ゴール前でのこのあまりにも精度の高いプレーはさすが。
最近、こんなにも落ち着いてゴールを決める場面を世界のサッカーでもそうは見ない。



ブッフバルトのシュートからリードルの追加点

韓国としては圧倒的な力の差があるドイツ相手には、どうにかゼロの時間帯を長く続かせ、なんとか先制すれば面白いところだったが、本当に手痛い失点となる。

そして試合の主導権を完全に握ったドイツは更に19分、右サイドでのスローインを受けたDF6ブッフバルトはMF6イユンジンのマークを受けながらも、ペナルティライン上で粘って右のアウトサイドで蹴ったボールはGKの裏をかいた形でゴール方向に曲がっていき、なんと左のポストを直撃!!
ここに詰めていたFW9リードルが難なく決める。


GOOAAALLLLL!!!!


これで早くも2点目。
もはやドイツと韓国の力の差を考えるとこれはもはや決定的。



韓国反撃も得点奪えず

その後22分、右サイドでボールをキープに入ったMF10コジョンウに対しDF3ブレーメが後ろからタックルにいきイエロー。

このプレーで流れは一気に韓国に傾き、23分、左サイドを起点にFW18ハンソンフォンからのワンツーを受けたFW9キムジュソンの強烈なシュートは惜しくもGKイルグナーに阻まれる。


続けて25分、右サイド寄りからDF4キムパンクンからのスルーパスを受けたMF15チョジンホが抜け出してからのシュートはわずかにバーの左に。

更に続けて26分、ペナルティ左サイド隅でボールを受けたFW18ハンソンフォンの振り向きざまのシュートはバーの右に逸れる。


この時間帯、明らかにドイツは韓国に対してのプレスが弱まり受け身に。
やはり2点とったことによる緩みというか、余裕というか。
韓国としてはここで1点取り返しておけばまだ試合が分からないところだっただけに惜しい。

28分、この緩みの時間帯にドイツは前線でのオフサイドの判定があってからのクリンスマンがシュートまでいってしまい、これに対してもイエローが出てもったいないカードとなる。



FKからクリンスマンの2点目でダメ押し

韓国の攻撃をいったん受け止めたドイツは再び試合のペースを復帰させる。

32分には左サイドを抜け出たDF6ブッフバルトが強烈なシュートを見舞うもバーの上。
ところで2点目のアシストといい、こんなにもブッフバルトが攻め上がるものなのか?

リベロのマティウスはもちろんの事、前を向ける時は積極的にDFも上がるというのはこの頃のドイツのお約束だったのかもしれない。
ちょうど今の広島の3バックがそうで、今は渡欧したDF槙野などが相手のボールを奪った時はそのままの勢いで上がるというお約束があり、それによりチームは勢いづいてJ1でも旋風を起こした。
こういったDFも積極的に攻撃参加する姿勢はサッカーにおいて最も大事な流動性の確保としては重要な事で今も昔も変わらない。


そして36分、右サイドでFKを得たドイツはMF20エッフェンベルグのキックがゴール左に伸び、これをがっちりとDFのマークを背に受けながらキープしたFW18クリンスマンが難なくこれをゴールに流し込む。


GOOAAALLLLL!!!!


これでドイツにとってダメ押しともいえる得点が入る。
正直、これだけ体格差があってはセットプレーからの失点はもはや想定内であり、更にクリンスマンのストライカーとしての身体の使い方があまりにも上手すぎる。
DFにとってもペナルティエリアの中でファールせずに止めるのは至難の技であり、ゴールファーポストにボールを入れらた事も、マークが分散する要因となった。



前半は3−0で折り返し

39分、韓国はこの3失点目を受けて苦渋の交代策。
MF6イユンジンに代えDF2チョンヨンソンを入れて、どうやらホンミョンボをリベロの位置から中盤の位置に上げて攻撃を組み立てようというものらしい。

44分になりMF20エッフェンベルグが右サイドで苛立ったようなファールでイエローを受ける。
試合は完全にドイツが圧しているというのに、早くも3枚目のイエローはちょっと集中力が欠けている。

この左サイドからの韓国のFK、ゴール前でGKイルグナーがはじいたボールがファーのFW18ハンソンフォンの前に落ちそうになるも、DF4コーラーが間一髪これをブロック。
”サッカーの神”の異名をとるコーラーのさすがのプレー。
これが世界最高のストッパーと謳われたユルゲン・コーラーか・・・


こうして前半はドイツの3点リードでの折り返し。

正直もう試合は決まった感もあるが、ドイツとしてはイエローが多いところは残念なところ。





後半立ち上がり、ハンソンフォンのシュートで1点返す!!

後半になり、GKチェインヨンに代わりGKイウンジュに交代。
イウンジュは前半終盤から既に準備しており、点を獲りにいかないといけないのにGKをわざわざ代えるというのは戦術的というよりもアクシデント的なものだろう。

後半立ち上がりに左CKを掴んだドイツは、こぼれ球を後方からDF10マティウスがミドルシュートを放つも、交代したばかりのGKイウンジュこれはどうにか前にこぼさずに抑える。

更に立て続けにFW18クリンスマンがペナルティ手前でぽっかりとDFの穴が空いたところに入り込みGKと1対1気味のところで早めにシュートを狙うも、これもGKイウンジュの守備範囲。
あまりにも絶好機に、あまりに軽く蹴りすぎたクリンスマンはさすがに苦笑い。


そしてこの後半立ち上がりの時間帯に得点したのはなんと韓国だった。

7分、DFラインからのリスタート、ロングボールを入れると思わせ意表をついてすぐ前のMF5パクジョンベにボールを渡すと、するするっと前線に上がりつつ左サイド前方へ浮き球のスルーパスを送り、これを見事に抜け出したFW18ハンソンフォンのシュートは見事にゴール右に流れ込む!!!


GOOAAALLLLL!!!!


まさかの得点だったが、敗戦濃厚だった韓国にとって、これは一筋の希望の光となる。
まさに一瞬のドイツの隙をついた見事な得点だった。


ホンミョンボのミドルシュートで1点差に詰め寄る韓国!!!

このまさかの失点に火がついたドイツは11分、マティウスも上がるなど一気に人数をかけて韓国ゴール前に襲いかかるも韓国もどうにかボールを掻き出す。
その後は互いにカウンター気味の速攻の応酬となるが、これは双方最後のパスをカット。

ややヒートアップした時間帯も過ぎ、ここでドイツはゆっくりと中央より後方でパスを回し試合を落ち着けようとする。


だが、このドイツの動揺の時間帯を見逃さず18分、韓国は左サイドで起点となったMF10コジョンウンからのクロスが相手DFのクリアに合うも、このクリアボールが短く中盤に上がっていたMF20ホンミョンボに渡ると、すかさずミドルシュートを放ちこのややアウト気味に右に少し軌道を描いたシュートがゴール右に豪快に決まる!!!


GOOAAALLLLL!!!!


おおおお!!!!!
まさかのミドル一閃!!!!
さすがホンミョンボ!!!!

それにしてもこれだけのメンバーのドイツ相手にまさかここで1点差に詰め寄るとは・・・
ドイツはもっと手堅く守りつつ、余裕を持って試合を決める1点を狙いにいけば良かったが、ハンソンフォンの得点により急に落ち着きが無くなってしまった。



ドイツ苦肉の策のメラー投入

19分、このまさかの2失点を受けてドイツは選手交代で立て直しに入り、DF10マティウスに代えて足を痛めてベンチで温存されていたMF7メラーを苦肉の投入。
メラーといえばドイツには珍しい希代のファンタジスタ。
まさかメラーをここで使わなければいけないとは予想していなかったことだろうし、韓国としてはメラーを引っ張り出したという事でしてやったり。
スタジアムの雰囲気も最高潮。


プライドを引き裂かれたドイツはここで一気に攻勢にいくも、前半の余裕と冷静さを保った攻撃ではもはや無く、韓国としてもこれは守りやすい。

逆に韓国はカウンターがしやすくなり、左サイドからのクロスからゴール前で詰めたり、左サイドを抜け出したMF10コジョンウンがシュートにいくもオフサイドに阻まれるがチャンスは多く作れるようになる。


それにしてもどうもドイツ側の動きが後半あまりに悪すぎるが、どうやらこれはこのアメリカ大会で散々非難された猛暑の中の昼間の試合開催強行という背景があるようで、選手達も息も絶え絶えといった様子。

逆にそこを韓国側は強いメンタル面でカバーしてこの後半の反撃を成功させたということか。


30分になるとドイツは更に交代、MF20エッフェンベルグに代えMF5ヘルマーを投入。
やはり明らかにこのサイドあたりは運動量が激減していた。



酷暑の中、更に押し込む韓国

更に韓国の攻勢は続き、31分に左サイドでFKを得ると、MF10コジョンウンの強烈な直接シュートはゴール左上を捉えるもGKイルグナーこれを弾き出す。

更に押し込む韓国、ドイツ自慢のDF陣をゴール前にへばりつかせ、サイドから攻撃を仕掛ける。


36分にはハンソンフォンからのクロスがペナルティ内で明らかにドイツ選手の手に当たるも、これはハンドによるPKの判定はもらえず。いや、これを普通見逃すか?
こういう事からみてもドイツはかなり追い込まれている。

更に波状攻撃を仕掛ける韓国、38分にはこぼれ球からペナルティ手前でMF12チェヨングのミドルはわずかにGKイルグナーの右手に阻まれる。

まさかここまで韓国のペースになろうとは・・・3点差で前半を折り返したところからは想像もつかなかった展開。
この試合はてっきりクリンスマンの美しいゴールのためだけに存在すると思われたが・・・
酷暑のピッチに対する追う側と追われる側の精神力の差が試合を狂わせた。


更に続く韓国の早いパス回しによる攻撃に、中盤でまったくプレスのかからないドイツはいともたやすくペナルティ内へのボールの侵入を許すも、もはやここはドイツの最後の砦の高さとフィジカルに頼るのみ。


あと一歩まで追いつめるも韓国惜敗

44分、久々に攻めに転じたドイツはペナルティ手前左寄りの絶好の位置でFKを得るも、MF7メラーの右足でのキックは大きくバーを越す。

ロスタイム1分に入り、左サイドからMF7シンホンギがワンタッチでゴール前に上げたボールにFW18ハンソンフォンは一歩届かず。

ロスタイム2分、ペナルティライン上で中央突破に入ったFW9キムジュソンらの攻撃が倒され、ほぼライン上でのFK、ボールをわずかに動かし直接打っていくも、さすがにこれは距離が近すぎて壁に当たり、ここで無情のホイッスル。


優勝候補ドイツをあと一歩まで追いつめた韓国の、酷暑にも負けない素晴らしい精神力が光った試合だった。


あの明らかなハンドからのPKになれば同点、もしくは奇跡の逆転もあり得た試合であったし、本当に惜しい試合だった。


あの当時の、まだまだアジアと世界との差が大きかった時代、あれだけのメンバーを揃えたドイツ相手に、当時の韓国がここまで追いつめた事実を、この17年後の今(2011年)再度確認できた事は大きな意義があった。



ドイツ相手に3−0での前半折り返し、そしてまさかの後半の怒濤の追い上げ。
こんな事があるところがサッカーの面白さだ。

ちなみに韓国は同リーグに入ったボリビアに0−0、スペインに2−2という快挙の2引き分けを演じ、特にボリビア相手には圧倒的に攻めながらもついに得点奪えずに悔しい引き分けだっただけに、これを勝っていれば奇跡の予選リーグ突破もあり得た惜しい敗退となった。







(2011.02.15UP)








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