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2019年12月14日
2019 J1参入プレーオフ決定戦
湘南ベルマーレ(J1・16位) VS 徳島ヴォルティス(J2・4位)(ホーム)
観戦記 1−1

横棒


プレーオフに挑むことになった湘南

ホーム最終戦で広島相手に見事に勝利を挙げた湘南ベルマーレは、最終節でJ2降格の決まっていた松本相手のアウェイで勝利すれば自力でのJ1残留が決まっていたところだったが、そのアウェイ、アルウィンでの松本戦、野田隆之介のゴールで先制した湘南だったが、ロスタイム間際に松本のFW阪野の同点ゴールで追いつかれ、無念の引き分けとなってしまい、あとわずかな差で16位、プレーオフへと追いやられた。

本当に惜しい試合だったが、しかし結果は仕方ない。
ここは今シーズン、もう1試合できるといったポジティブに捉えるしかなく、そしてホームで戦え、引き分けでもJ1残留というイニシアティブもある。

相手は攻撃が波に乗っていた山形を倒してプレーオフ決定戦まで駒を進めたJ2の難敵・徳島。

チョウキジェ監督のパワハラ解任騒動から終盤で何とか立ち直った湘南の、正真正銘、最後の戦いが始まる。

ちなみに、我らがザスパはJ3・2年目にしてようやくJ2復帰を決めた。

湘南にJ2に堕ちてしまわれては、来年戦う事になってしまう。
そしてザスパは平塚の地で滅茶苦茶相性が悪い。
正直勝った覚えがほとんど無く、何か不運な失点が多い記憶ばかり。

湘南にはJ1に残ってもらわないと困るし、ここは何としてでも残留、そしてチョウショックからの立て直しを図りたいところ。





湘南ベルマーレ

湘南は松本戦を引き分けてしまった一番の要因といえる、左アウトサイドで売り出し中の鈴木冬一(といち)



MF7梅崎、MF10山田直輝の2人のベテランシャドーはコンディション、怪我の悪化か、メンバーに入らず。
あの2人の精度の高いプレーは最後の決定機に非常に重要なので、これは残念なところ。

また、ザスパで武者修行を積んだMF50古林将太も戦列を外れている。
いろいろシーズン終盤になり、選手のコンディションの維持も難しいところか・・・

そしてゴールを守るのは、もはや湘南の新守護神、元ザスパのGK21富居。



11山ア
14中川 18松田

28鈴木冬一       6岡本
19金子 16斎藤未月

13山根 4坂 13山根

21富居


ベンチにはFW20クリスラン、FW15野田隆之介、FW9指宿(いぶすき)、MF30柴田、DF23小野田、、DF5杉岡、GK1秋元。

監督はパワハラ問題でチームを去ったチョウキジェ監督の後を継いだ下部組織から昇格就任となっている浮嶋監督。


岩尾、徳真擁する徳島

徳島といえば、私が常々理想のアンカー像と讃える、館林市出身のMF8岩尾と、前橋育英を初の決勝に導いたMF23鈴木徳真を擁する。
徳真も本来はアンカーだが、最近ではシャドーの位置で使われている様子。

同じく前橋育英で同級だった坂元擁する波に乗っていた山形を制した勢いで湘南の首を獲り、2回目のJ1昇格を狙う。



9河田

23鈴木徳真 11野村
44島屋          2田向
8岩尾 32小西

7内田裕 3ヨルディバイス 5石井

21梶川


ベンチにはFW47押谷、FW22藤田征也、MF16渡井 、MF14杉本、MF13清武功、DF20福岡、GK31長谷川。

監督はJ2では珍しい外国人、リカルド・ロドリゲス監督。


立ちあがり湘南押し込むも、徳真のCKからのボレーで先制される!!??

引き分けでも残留となる湘南だが、当然湘南に守備は似合わず、立ち上がりから攻めまくる湘南、3分、右サイドを起点に厚みのある攻撃を見せると、徳島のクリアが小さくなったところでMF16斎藤未月のシュートはミートせず。

対する徳島は堅守から速攻に繋げていき、5分にはダイレクトのパスで繋いだカウンターからFW9河田が単身攻め込み、最後はシュートまで持っていき、これはバーの左。

6分、湘南はすかさず反撃からFW18松田のアウトにかかったシュートはバーの上。


前半の半ばまでで両チーム目立った戦力としては、湘南はやはり左アウトサイドのMF28鈴木冬一が最終節出られなかったパワーを爆発させ、対する徳島はMF11野村が右サイド、左サイドにと大車輪の活躍で湘南のゴール前を脅かす。


21分、そのMF11野村のクロスから、やむなくコーナーに逃げた湘南から奪った左CKに、MF11野村のキックからファーでDF5石井がヘディングで折り返したところを、ゴールニア左でMF23鈴木徳真がボレーで合わせる!!!


・・・・・・・!!!!!????・・・・・・・・・・・


これは仕方ない・・・
本当に見事なCKからの流れだった。
それも決めたのは前橋育英で伝説の準決勝同点ゴールを決めた鈴木徳真か・・・

個人的には嬉しいゴールだが、しかし応援する湘南的には大変痛いゴールとなってしまった。

勝たなければJ1昇格は無い徳島にとって、この先制は大きなゴールとなったが、しかし湘南としてはこれで攻めるしかなく、同点に追いつけば残留できるわけで、これでハッキリできる。




前半は1点ビハインドで折り返し

その後は互いにあまり決定機までは到らず、やはり共に3−4−3のシステムのためかミラーゲームとなり、サイドでの人数も同じためギャップが生まれにくい感があり、特に先制点を決められ早く同点に追いつきたい湘南としては、決め手が作りにくい様子。

そもそも湘南のシステムではやはり遅攻が不得意なところ。

そして奪われると徳島の速攻を受ける場面も作られ、29分にはGK富居の出足の速い詰めからどうにかピンチを防ぐ。

37分にはMF11野村が湘南ペナルティ右でMF14中川、MF28鈴木冬一の2人相手に、右に左にとフェイントの嵐で決定的なクロスを蹴りにいく。
この試合での野村は凄いキレ味だ・・・

前半の半ば過ぎからは防戦一方の湘南、GK富居が大忙しとなってくる。

こんな展開になろうとは・・・
まさか湘南がここまで押し込まれるとは思わなかった。
これがプレーオフから勝ち上がってきたチームの勢いというものか。

前半ロスタイムのラストプレーでも右サイドのFKから何回も押し込まれるも、最後、ゴールライン際でDFがギリギリ食い止めるといった場面で前半は終了し、1点ビハインドでの折り返しとなる。


うーん、前半、ここまで観てきた中では、やはり徳島は強敵だ・・・

特に中盤、シャドーのMF11野村、MF23徳真、MF44島屋、MF2田向井、MF8岩尾ら、1人1人に穴が無い。

下手にボールを奪われないので、湘南のショートカウンターがハマらない。

しかし後半に1点返せないとJ2に堕ちてしまうわけであり、そこをどうにかこじ開けて同点に追いつくしかない。

そもそも前半勝負の湘南が、前半で負けているとは・・・

CKから獲られたのは仕方ないが、苦しい戦いになってしまった。





湘南、後半頭からクリスラン投入

どうしても同点に追いつかなくてはいけない湘南は、後半頭から選手交代、ほとんど前半チャンスを作れなかったMF14中川に代えて、FW20クリスランを投入。

後半に入っても湘南の苦戦は変わらず、後半2分、MF2田向が右サイドで起点となったところからFW9河田のシュートが際どくゴール左バーをかすめる。

6分、湘南は徳島ゴール前になだれ込み、FW18松田が放ったシュートは惜しくもGK21梶川に防がれるが、久々に湘南のチャンスを見た。

そして続く7分には左サイドからのMF28鈴木冬一のクロスからゴール雨でFW20クリスランのヘディングシュートは惜しくもGK梶川がファインセーブで抑えるが、ようやく湘南が攻撃で押し込み始めた。

この辺はクリスランの投入による前線での迫力の創出が出来始めている。


11分も右CKからゴール前でFW20クリスランを中心にゴール前で何度も押し込むも、昇格に向けて意気の上がる徳島ゴール前も堅い。


17分、徳島1人目の交代、MF32小西に代えてMF16渡井を投入。
これにより、渡井がシャドーに入るため、MF23鈴木徳真が本職のボランチに下がる。

18分、湘南はFW11山アがペナルティラインで落としたボールにFW20クリスランのシュートは惜しくもバーのわずか左。




クリスランを囮に松田天馬の同点ゴール!!!!

そして後半19分だった。

左サイドでMF28鈴木冬一が粘って横にパスを出し、FW11山アが起点を作り中央へ折り返したところで、FW20クリスランが詰めて囮となり、その裏から詰めていったFW18松田天馬がこれをゴールに流し込む!!!!!


GOOAAALLLLL・・・!!!!


よく決めた松田!!!!!
やはり後半、頭からクリスラン投入により前線に明らかに迫力が出て徳島を押し込むことに成功し、このゴールに繋がった。

この同点ゴールはデカい。
残留に向けて大きな、本当に大きな得点となった。

ここは湘南、後半の交代の采配ズバリといったところ。



猛攻仕掛ける徳島

同点に追いつかれ、これで再度先制となるゴールを決める必要が生じた徳島は25分に2人目の交代、MF44島屋に代えてMF14杉本を投入。

28分、その交代で入ったMF14杉本が左サイドを抜け出してクロスを放ったところでCKを得ると、その左CKからGK富居がパンチングにいき、これが裏へ逸れてあわや危ない場面となるも、ギリギリクリア。

その後も2回、3回と徳島のCKが続き、最後はFW11山アがクリアにいったところをMF8岩尾が頭で捉えにいって交錯し、ペナルティ内のためPKを要求する徳島だが、主審の判断ではノーファールの判定。

残留か昇格か、まさに天国と地獄を分けるこの勝負、非常に痺れる時間帯となってくる。


貴重な同点で追いついた湘南は、やはり無理に攻めようとはせずに、サイドを中心にボールを保持する時間帯が増えてくる。


湘南らしく、決して守りに入るわけではなく、攻めの姿勢を見せながらも時間を効果的に使っていく湘南はもう後半も40分を過ぎる。

42分、MF28鈴木冬一に代えて、怪我から復帰のMF5杉岡が入る。
久々にJ1での戦いで湘南を支えた左の杉岡、右の岡本といった両サイドが揃う事となる。

43分、左サイドからMF14杉本が岡本のマークを振り切ってのクロスに、ゴール前に上がっていったDF3バイスのところはギリギリブロック。
これにはハンドではないか、の抗議が入るも、主審がVARの確認をした結果からも、これはノーファールの判定。

さらに45分、今度は左サイドからのアーリークロスにFW9河田のヘディングシュートはGK富居も獲れないコースとなるが、危うくバーの右。

このシュートを最後にFW9河田も起き上がれず。
どうも脳震盪の様子。
MF6岡本も足を攣らせ、この入れ替え戦という特異な状況の中での死闘を物語る。




長いロスタイムを守り切り、ついに引き分けに、そして残留決定!!!!!!

4分のアディショナルタイムに入る中、倒れたFW9河田に代えてMF13清武を投入。


湘南も交代、足を攣らせたMF6岡本に代えてMF23小野田を投入。
あと数分、湘南耐えられるか???

徳島は代わったばかりの清武、そしてパワープレイで上がりっぱなしのDF3バイスを含め、とにかく攻撃に圧力をかける。


ロスタイム5分、左サイドから入ったクロスがDFラインの裏に落ち、ここにギリギリのタイミングでGK富居が抑えるファインプレー。

さらに続くプレーで右サイドからMF2田向のマイナスのクロスをギリギリブロックする湘南DF陣。


ロスタイム5分を過ぎる中、こぼれ球を拾ったMF23鈴木徳真がそのままペナルティ手前右からミドルシュートを放つと、これが右サイドの外のネットを突き刺す!!

外か!!!危ない!!!!!

先ほどFW9河田が倒れていたロスタイムが何分獲られるんだ??とやきもきする中、ついに終了のホイッスルが鳴る!!!!


やったーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!

湘南、引き分け!!!!!!!!!

J1残留!!!!!!!!!!!!!!



やった・・・

よくやった・・・

後半途中まで、松田天馬のゴールが決まるまでは、本当にもう無理だと頭をよぎった。

それだけ徳島は強かった。

岩尾、徳真の群馬ゆかりのこの2人の精度の高いボランチ2人は攻守においてとことん湘南を苦しめた。

そんな中、浮嶋監督のインタビューの通り、苦しんだシーズンだったが、それを象徴するようなゲーム、それでも湘南は大きな、大きな残留を手に入れた。




苦しんだシーズン・・・来年も浮嶋監督続投決定!!!

本当に苦しんだシーズンだった。

これまでチョウキジェ監督でもっていた湘南から、まさかのパワハラ問題からの急な監督のフェードアウトにチームは揺れに揺れ、6連敗というわかりやすいほどにチームは崩壊した。

遅すぎるクラブ側のあいまいな判断も要因となり、遅ればせながらその後を引き継いだ、下部組織から昇格の形で就任した浮嶋監督は最初は4バックを試すなど苦しみ抜いたが、結局は最終盤になって湘南スタイルの純粋な復活に成功し、湘南本来の強さを見せつけて、この残留を勝ち取った。


プレーオフを勝ち抜いてきた徳島のような勢いのあるチーム、それも先制されたというのに、それでも後半頭からのクリスラン投入が功を奏し、見事に同点までこぎつけた浮嶋監督の手腕は見事だった。

正直、自分からするとクリスランではなく、ここ最近結果を残している野田隆之介では??と思ったが、この試合ではわかりやすい前線での圧力として、クリスランが正解だった。


そして試合後、公式で浮嶋監督の来期の続投が発表された。

これで一安心。
来年も湘南は相変わらず残留に向けて厳しいシーズンになるだろうが、しかしいつまでも頼るわけにもいかないチョウ監督からの脱却も含め、この残留に向けたシーズン終盤の熱意さえあれば、来年も必ずややってくれることだろう。
それだけ、やはり湘南のまとまりのあるサッカーは素晴らしい。
これだけ攻守に一体となれるチームはそうはない。

来年はJ2ザスパ、J1湘南とで、非常に楽しみなシーズンを迎えられそうで良かった・・・

ザスパJ2復帰、湘南J1残留、これで来年の最低限の準備は整った。

どちらも最後の1点までわからない、大変苦しいシーズンとなったが、終わり良ければ総て良し、非常に印象的なシーズンの幕引きとなった。








(19.12.14UP)




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