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2017年12月23日
2017-2018リーガ・エスパニョーラ
エル・クラシコ
レアルマドリード−FCバルセロナ
3−0

横棒




ひょんなことから、1枚のDVDを頂き、その録画内容は昨年末のエルクラシコの対戦だった。

おお、クラシコ!!

レアルマドリードとFCバルセロナの伝統の一戦。

間違いなく、どの試合よりも、それこそワールドカップでもクラブワールドカップでも叶わない、最高のチーム同士の対戦である事は間違いない。


ただ、この時点で順位としてはバルセロナは首位独走の形に対し、レアルはクラブワールドカップへの参戦などもあって、なかなかリーガには集中しきれない状況が続いているせいか、4位と低迷し、両チームの勝ち点差も11開いており、どちらかというとレアルは負けたら決定的な勝ち点差が開いてしまうため、最低でも引き分け以上は獲らないと、という対戦となる。


それにしても、32歳のCロナウドと、30歳のメッシの2人が、この10年間、ずっとサッカーシーンをトップで引っ張っているという事実が重い。

共に年俸も50億近くと、本当に異次元だが、そろそろCロナウドの加齢も考えてくると、トップレベルでのプレーを観られるのも、そろそろ終盤かとも思われるところ。

この一時代を築いた2人の希代のストライカー2人のプレーを、ここで今一度目に焼き付けたい。





ネイマール離脱後のバルセロナ

バルセロナはネイマールが移籍し、攻撃の比重は再びトップ下で自由に動くメッシにかかるものとなっている。
システムもネイマール離脱に伴い、メッシを攻撃の軸、トップ下に置いた形となっている。

ネイマールが抜けた分、攻撃のカードは確かに減ったが、その代わりに11人全員で守備をしなければいけない現代サッカーとしてのバランスはむしろ高まっているとのこと。



9スアレス
10メッシ
8イニエスタ 15パウリーニョ4ラキティッチ
5ブスケッツ
18ジョルディ・アルバ   20セルジ・ロベルト
25ヴェルマーレン 3ピケ

1テア・シュテーゲン






C・ロナウドら攻撃陣を操るカゼミーロ擁するレアル

レアルはやはりエースC・ロナウドが攻撃の軸であることはもちろんで、相方のベンゼマと共に世界屈指の2トップとなっており、普段はそのトップ下のMF22イスコは左寄りにポジションを取る事が多いなど、自由に動く役割だが、この試合ではベンチで、コヴァチッチが代わりにトップ下に入る。

そして、それら攻撃陣を操るのが、守備的MFのカゼミーロであり、高いタックル力、ボール奪取力で相手ボールを取ってから、すかさず攻撃に繋げるスイッチを入れる重要な役割を持っているとのこと。



7C・ロナウド 9ベンゼマ

23コヴァチッチ
8クロース    10モドリッチ
14カゼミーロ
12マルセロ      2カルバハル
4セルヒオ・ラモス 5ヴァラン

1ケイラー・ナバス







立ち上がりから試合を支配するレアル

開始2分、いきなり右CKを掴んだレアルは、MF8クロースのキックからゴール前でヴァランが競り合って頭でファーに反らしたところに、FW7Cロナウドがヘディングで叩きつけてゴールに突き刺すも、これはオフサイドの判定で帳消しに。

立ち上がりから試合を支配するのはホームのレアル、10分には左サイドからえぐったところで、ゴール前にボールをマイナスに入れると、ここに入って待っていたのはCロナウド!!

誰もが、これは入っただろうと思ったところで、なんとCロナウドがこれを空振りの痛恨ミス。
今シーズン、なぜかCロナウドにしては得点が少ない状態だが、こういった決定機でかつてのほどの決定力を示せないのがそのゆえんか。


19分、MF10モドリッチがバルサのボールをインターセプトすると、すかさずカウンターに走ったところを、DF25ヴェルマーレンがファールで転ばす形となり、これにはやはりイエロー。

早い時間帯から、かなり押し込まれてしまっているバルサ。


レアルは、守備の際には相手のDFラインにまでマンマークを付けるほどの徹底した前からの守備で、バルサにまともにDFラインでのパス回しすら与えさせず、結局GKしかフリーでボールを受けられない、といった場面を何度も作り出させ、そして苦し紛れにバルサが縦にボールを入れると、先ほどのモドリッチのようにすかさずボールをカットして速攻を狙う、といった図式。



共に決定機外し、前半折返し

だが、バルサもやはりバルサ、苦しい時間帯を耐えると30分、右サイドで起点を作ると、MF4ラキティッチが切り返して左で入れたアーリークロスに、一気に前線に抜け出したMF15パウリーニョが伸ばした足に当たったシュートは、惜しくもバーの上。

これが入っていると、絶対負けられないレアルとしては非常に苦しくなるところだったが、やはりバルサ、一瞬の隙でも与えると、どこからでも点を狙ってくる。


すると、すかさず今度はレアル、32分、左サイドから切れ込んだCロナウド、角度の無いところからの強烈なシュートを、GKテア・シュテーゲン、左足でかろうじて当ててバーの右に逸らす。

39分にはまたバルサ、バルサらしいイニエスタらの連携したパス回しから、ペナルティ左に侵入したMF15パウリーニョが詰めていったシュートは、GK1ケイラーナバスがこれをセーブ。

前半のこの終盤、両チーム共に守備に穴が開き始め、互いにチャンスシーンが増える。


42分、レアルは左サイドを上がったDF12マルセロからのクロスに、絶妙のタイミングでゴール前に入っていったFW9ベンゼマのダイビングヘッドでのドンピシャのシュートは、なんと右のバーを直撃!!!

あまりにも完璧なタイミングと完璧なヘディングだっただけに、本当になぜバーに・・・と神を恨むしかないシーンだった。



こうして、終始レアル優勢の前半だったが、しかし点を獲れなかったのは大きい。

かなり飛ばし気味にプレスをかける形だったので、後半への影響が懸念もされるところ。

レアルとしては絶対負けられない戦い、そしてバルサとしては敵地でドローなら御の字といったこのクラシコの一戦、結果はどうなるか。



後半、バルサがカウンターから先制!!

後半もはじまり、立ち上がりの時間帯も終わってきた9分だった。

バルサは自陣でのパス回しに、レアルのプレスをかいくぐる形でMF5ブスケッツがうまくボールをキープすると、前線を走るMF4ラキティッチにパスを通し、そのままラキティッチが前線中央にボールを運ぶと、右を走るDF20セルジ・ロベルトにボールを通すと、すかさずセルジ・ロベルトがファーに折り返し、ここに詰めていたFW9スアレスが見事にゴールファーの右に突き刺す!!

GOOAAALLLLL!!!!


なんと、前半劣勢だったバルサが、レアルのお株を奪う鮮やかな速攻、カウンターの形で見事な先制ゴールを奪う事となった。

あの密集地帯を見事にキープし前線にパスを通したブスケッツと、前線中央のぽっかり空いたスペースにドリブルで運んだラキティッチのの戦術眼、そしてそこのドリブルに対し、一緒に前線に走るメッシらのマークに気を取られ、伏兵的に中央に入ってきたラキティッチに対してのマークにいく選手を一瞬迷ってしまったレアルの守備の綻びによってのバルサの先制となった。


やはり、そもそもが、レアルは前半のあれだけ攻勢のうちに先制を決め切れなければいけなかった。

そこを決めきった連続ゴール中のFW9スアレスの決定力が光った形。


それにしても、レアルは決して負ける事だけは許されない試合で、まさかの先制を喰らったレアルとしては、これはどうにかするしかない。



レアル、2点目の失点と共に退場者

1点入った効果は重く両チームにのしかかり、レアルには大きな動揺からプレーが荒くなり、バルサは持ち前の伸び伸びとしたプレーが出てくる。

18分、相手のボールをカットしたDFピケが持ち上がり、前線のメッシに送ったパスからFW9スアレスが再びゴール前、ペナルティエリア左から強烈なシュートを放つと、これのこぼれ球にメッシが拾い、これを恐ろしく冷静に左に戻し、飛び出してきたGKケイラーナバスをかわす形で再びスアレスがシュートを撃ちこむが、これが右のポストを直撃し、これをMF15パウリーニョがGKが飛び出していた無人のゴールにヘディングで押し込んだところに、DF2カルバハルが思わず右手を伸ばしてしまい、このハンドで一発レッド退場。

このPK、メッシの冷静なゴール右上のシュートが突き刺さり、なんとレアルは 2点先制され、そして退場者を1人出す、という事になり、まさに万事休すといったところ。


レアルはFW9ゼンゼマに変わり、MF6ナチョを右サイドに補充する事となる。

それにしても、一連の波状攻撃の中で目立ったのは、やはり前線中央で冷静にセカンドを拾ってスアレスの攻撃に繋げたメッシの冷酷なまでに正確なプレーだった。



人数少ないレアルの猛攻

まさに後がないレアルは、27分、残りの選手交代を全て使い、MF23コヴァチッチとMF14カゼミーロに代えて、FW11ベイルと、MF20アセンシオを同時投入。

ベイルが右ウィング、左にアセンシオ、1トップにCロナウドという形で、この絶体絶命の状況を委ねる。


どんどん反撃したいレアルだが、如何せん1人多いバルサは余裕を持ってボールを回し、1人少ないレアルもそこまで強引にはプレスに行けない。

32分、バルサは初めての交代、MF8イニエスタに代えて、DF2ネルソンを投入。
DF20セルジ・ロベルトを右ハーフに上げて、MF4ラキティッチを左に代える。


攻めるしかないレアルは33分、左サイドからMF20アセンシオが起点となったところで、右サイドからの折り返しをFW11ベイルがシュートを放つも、これはGK1テアシュテーゲンが好セーブ。

よくある事だが、レアルは1人少ない事で攻撃が最短距離を狙うシンプルなものとなり、逆に圧倒的に優位に立ったバルサは、無理をしない消極的な姿勢が色濃くなり、特に守備の際にはあまり強引に守備をする必要がなくなった分、人数は揃っているのにレアルの少ない人数の速攻に対し、これだけの決定的な場面を作られてしまう状況となる。


37分、レアルが猛攻から左CKを掴み、この流れからゴール左でDF4セルヒオラモスがシュートを放つも、GK1テアシュテーゲンが足でギリギリのセーブ!!!


バルサは2人目の交代、MF21アンドレゴメスを投入。



ダメ押し点を決めてバルサ快勝

そしてアディショナルタイムは3分。

バルサは最後の交代、DF20セルジオ・ロベルトに代えてDF22アレイシュ・ビダルを投入。

ロスタイム3分、もう勝負が決してきた時間帯に、右サイドでメッシがライン際で粘ってボールを拾ったところから、ゴールラインまで攻め寄ってからのマイナスの折り返しに、スアレスがスルーした後に、投入したばかりのDF22アレイシュ・ビダルが見事に詰めてゴール。

まさにダメ押し点を決めて、バルサが快勝となった。



こうして、なんとバルサとの勝ち点差が14に開いてしまったレアルは、まだシーズン半ばといえども、取戻しの無い致命的な勝ち点差を開いてしまう事となった。


ちなみにだが、現在この記事を書いている3月下旬時点では、さらに勝ち点差が開き、15点差となっており、もはや今シーズンはバルサが独走態勢。


なんというか、この試合での決定的な両チームの差は、やはり最後の精度の違いかと思うところで、先制点を決めたスアレスといい、2点目、3点目をお膳立てしたメッシといい、決定的な場面で逃さず得点に繋げてしまうところが凄い。

対してレアルは、エース・Cロナウドが、いよいよ32歳という加齢もあるのか、最後の精度のところで、かつてのほどの圧力を感じなかったのも確かだし、決定機にあまりに外し過ぎた。

まさに両チームの両エースの明暗分かれたといったところで、レアルとしては、いい加減Cロナウド頼みの体勢を見直す時期に来ている事は明らかなところだろう。

とは言っても、3月下旬の時点で、1位のメッシ25得点を追う2位のスコアラーは、22得点のCロナウドであることも、また間違いない事実ではあるが、もっと決定的な仕事をしなければいけなFWベンゼマがCロナウドを喰うほどの存在感を示さなければいけないだろう。

そう、やはりベンゼマにはCロナウドのような傲慢さが明らかに足りない。


バルサとレアルという両雄の、両エースが、いよいよ分岐点に来ている中、そろそろ次の打って出る手が互いのチームに求められているのだろうと強く思うクラシコだった。


それにしても、この両チームの選手のラインナップは本当に豪華そのもの。

今年のロシアW杯でも、この試合に名の上がった選手が何人も出てくる事だろう。

すっかりとJ2、そして今年はJ3の戦いにばかり見慣れた自分にとっては、一つ一つのプレーの精度の高さ、あれだけの密集地帯、敵のプレスを受けている中での、あまりにも落ち着いた、冷静なプレーの数々は、さすが世界トップレベルの試合であることを強く感じた。


この世界最高レベルの戦いから、学ぶべき部分はあまりにも多いだろうが、日本もそのレベルに近づかなければいけない。




(2018.03.26UP)








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