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天才パサー MF 大野 敏隆 所属

・・・柏レイソル、2005シーズンJ2降格 決定・・・



横棒


2005シーズンMF大野所属・柏レイソル初のJ2降格・・・

2004シーズンと2年連続となった柏レイソルの入れ替え戦。
昨年の相手福岡には大野の大活躍があり2試合とも2−0と圧倒的な実力差を見せつける事ができた。

しかし、今年の甲府との入れ替え戦では1試合目の甲府でのアウェ−で1−2、2試合目の柏ではなんとFWバレーが6得点という滅多に見られないダブルハットトリックを達成されてしまい、2−6の完敗となった。

そもそも本来ならば昨年はJ1のチームを2チーム増やすシーズンだったので、柏レイソルは年間最下位だったにも関わらず自動降格ではなく福岡との入れ替え戦を戦う事ができた。
そして今年は2チーム増えたJ1でゲビ3。
つまり順位的には昨年となんら変わる事のない順位に甘える事となった。

なぜ、柏がここまで低調となってしまったのか。
それは大野ファンという視点からすると下記のとおりとなる。
ここでその事を綴っておきたい。


またもやブラジル人頼みの方針

昨シーズン、低迷していたレイソルを救うべく、早野監督が就任し、レンタル先から呼び戻され柏を救う原動力となった大野。
今シーズンはてっきりこの大野を中心としたチーム作りを早野監督はやってくれるものと信じた。

しかし蓋を開けてみれば、攻撃の核としてブラジル人をまたもや補強。
FWレイナウドはよく動き、決定力もあり、テクニックもある申し分ない戦力だったが、問題はMFクレーベルにあった。

とにかくその緩慢なプレーぶりには目を見張るものがあり、明らかにJリーグをなめてかかっているその姿勢はもはや時代遅れの骨董品だ。

チームがどんなに負けていようとも、目の前で敵がパスを回す場面で全くプレッシャーに行こうともせず、一度抜かれれば絶対にその後はフォローに走らない。

そもそも中盤の選手のくせにセンターラインから後ろになかなか下がらない。
あれは完全にFWの位置どりだ。

そんなクレーベルでも使い続けられる理由としては、その圧倒的な個人技にあり、特にペナルティエリア手前からの素早い足の振りからの強烈なシュートは、全く日本人では有り得ないタイミングで放たれる。

確かにあのプレーを見せられては早野監督も気持ちが揺らぐ。
なおかつ、フロントが威信を賭けて連れてきたこの高額な外国人選手を、まさか外すような采配はなかなか出来ないのだろう。


クレーベルに対する早野監督のジレンマ

しかしこれがいけなかった。
おそらくここに早野監督が本来持つサッカー哲学とのズレが生じたはずだ。

早野監督はそもそも横浜マリノスを固い守備からの速攻で優勝に導いた実績を持つ。
固い守備というものは、中盤から後ろの選手はまず組織として守備をすることを念頭に置かなくてはいけない。
そして、クレーベルにはそんな考えは一切ない。

そして速攻とは、なるべく早く前線にボールを送る事が必要だ。
しかしクレーベルのような個人技に頼るブラジル人司令塔は、ロングボールよりもまず自分のドリブルやキープを選択する。

つまりこの1人のブラジル人司令塔を使う事は、これまでの早野監督のサッカー哲学にまるで合っていない事となる。


周りの選手を使おうとしないクレーベル

また、クレーベルはどうも周りの選手を使う事が下手だ。
活かす事ができない。

結局は同じブラジル人であるレイナウドは昔からの慣れからか、このクレーベルと歩調と合わせられた訳だが、あれだけ日本代表で活躍するFW玉田は代表とはまるで別人のように柏レイソルの中では輝きを失った。

FWがあれだけ死んでしまうということは、それはやはり司令塔に多いに問題があるはずだ。
つまり玉田の高い能力を理解せず、合わせようとせず、ひたすら己の好き勝手な攻撃を仕掛ける。
結果として、柏の攻撃はシーズンを通じて全くもって単発的、個人に頼り過ぎで、チームとしての攻撃ができなかった。

この点が、同じようにブラジル人司令塔を置き成功しているガンバ大阪(フェルナンジーニョ)、浦和(ポンテ)とは違う点だ。
少なくともフェルナンジーニョやポンテは自分のチームの点取り屋の特徴をよく理解し、それを最大限に活かす。なおかつクレーベルのように点もとれる。
クレーベルの場合、そのチームメイトへの理解がなく、己の力のみに頼る。

典型的な悪いサッカーのお手本のような結果となってしまった。


方針変更も時既に遅く・・・

2004シーズンも同じようにブラジル人3人をチームの軸に据え、それが失敗し、大野を中心とした日本人プレーヤーでのチームの立て直しで再生を図り、なんとか入れ替え戦にはその修正が間に合った。

しかし、今シーズンはその方針変更があまりに遅かった。
結局シーズン終盤まで、早野監督はブラジル人頼みの戦術に頼る事となり、その期間が長くなるほど、もはや引っ込みがつかなくなってしまった。

その陰に隠れ、大野の出番は格段に減ってしまい、サテライトなどで調整する日々が続く。

しかしここにきて明神が怪我を負うなど、中盤の層が薄くなり大野も再びトップに戻る事となる。

そうしてクレーベルの出場停止により、ゲビ2である東京ヴェルディとの最後の決戦を迎える。

ヴェルディはこの戦いに引き分け以下なら降格決定という大一番。

その試合で大野は素晴らしいキックの精度で3得点をアシスト、5−1と圧勝を収め、ゲビ2という自動降格を免れ、入れ替え戦が決まる。

早野監督は最後の入れ替え戦ではブラジル人に頼る事をやめ、柏というチームに思い入れの強い日本人プレーヤーに賭ける事を明言。


甲府との第1戦、大野はその言葉どおり司令塔でスタメン。大野のFKによりレイナウドが1点を先制するものの、甲府はひるむ事なくホームの地で持ち前の攻撃サッカーを展開させ、1−2と逆転勝利を収める。

第2戦、なぜかクレーベルを再びスタメンで起用。大野はボランチと司令塔の中間のような位置でプレー。
結局柏は全体的に覇気のないプレーとなり2−6の大敗を喫する事となる。


このクレーベルを最後の最後まで使った事からも、早野監督はもはや後戻りのできない、ジレンマが感じられる。


ここで大野の試合後のコメントがまさしくここまで私の書いた文章をそのまま表わしているように思う。
「今年は最後まで個の力に頼ることが多かった。チームとしての決まり事がほとんどなくて、やるべきことも中途半端だった。みんなが走って戦って、その上でやっと個の力が出るのに、そういうサッカーができなかった」

まさにそのとおりだ。
そういえば、柏はシーズン途中に精神面に喝を入れるためラモスをコーチとして招聘した。
果たしてラモスは日本人選手には喝を入れる事は出来ただろうが、このクレーベルにはどうだったのだろうか?
いくら日本で大活躍したカリスマ的な人物といえども、ブラジルでは無名に近いだろうし、ブラジル代表の経歴もないこの日本かぶれの人物の言う事など、クレーベルは聞く耳を持っただろうか。
結局はこの元凶たるブラジル人司令塔の意識が根底から変えられなければ、柏の復活はなかった。

どんなに他の日本人プレーヤーに激を飛ばそうにも、この司令塔との温度差は広がる一方だっただろうし、逆にどんどん逆効果だっただろう。

下手にクレーベルのプレーが凄いものだから、昨年のような大改造もできず、この激しいジレンマに最後まで早野監督は苦しめられた。
そして失敗した。


この失敗を糧に

2005シーズンの柏レイソルのこの失敗事例をサッカーファンやサッカー関係者は理解すべきだ。

これがサッカーだ。
決して上手い奴を集めたからといって勝てるスポーツではない。
全てはチームとして機能しなければ意味がない。
そしてこのような典型的な我がままブラジル人司令塔をチームの核に据えるとどうなるのか。

安易に補強を優先させてしまう、愚かなチームは未だに多い。
しかし、そのようなチームは結局はチーム作りに成功しない。
そしてそのようなチームのサッカーは観ていても非常につまらない。

せめて来年のJ2での柏は大野などを中心とした、チームとして組織されたサッカーを今一度復活される事に期待したい。
柏の社長のコメントからも、若手が伸びているチームなのでそれらを更に成長させたチームの構築をしたい、とある。
当然J2での減収による資金とのバランスもあるだろうから、もはや安易な外国人の補強をするべきではないだろう。

とにかく、来年は群馬に柏が来る。
ザスパVS大野の柏との戦いは楽しみだ。

そしてJ1から神戸、ヴェルディ、柏といずれも始めてJ2に落ちるチームが揃い踏みとなる。
2以内の自動昇格+3位の入れ替え戦の狭い枠を狙って、来年のJ2は史上希にみるサバイバルとなるだろう。

ちなみにヴェルディはアジアチャンピオンズリーグなど出ている場合ではない。
即刻出場権を辞退すべきだろう。
J2の長い戦いはヴェルディ首脳陣の考えるほど生易しいものではない。



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(05.12.10UP)



天使



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