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2004-2005高校サッカー選手権

〜群馬県代表・前橋商業ベスト8への軌跡〜



横棒



タレント不揃い・・・前評判の低い前商

毎年多くのU-18を抱え、高校生の割にやたらと体格のいい(高校生の割に鍛えすぎた)タレント集団の個の強さで戦う前橋育英と違い、前商はあくまで小兵が中心ながら全員サッカーで戦う。
そう、確かに目玉の選手はいない。ストライカーである群馬大会得点王の13番都丸もまだ2年でスピードだけが自慢のまだまだ小柄な体格。
流れを変えるスーパーサブだという10番FWのキャプテンは怪我でベンチから応援するのみ。
そんな前評判もくそもない前商ははっきりいって、
え?今年群馬は前橋育英じゃないの?な〜んだ。
という扱いをあきらかに受けていた。

また、長い間前橋商業を率いた名将・奈良監督からバトンを受けた贄田(にえだ)監督もまだ1年目という事があり、不安要素は多かった。


第1戦 東海大仰星(大阪)

宿命の黄色と黒の縦じま

何の因果か、前橋育英と同じ黄色、黒の縦じまの仰星。
そしてTVを観てびっくりしたが、とんでもない大雪。
厚く降り積もる雪の中、ボールは止まりまくり、選手は軸足が滑ってこけまくる中、それでも前商は一つのスタイルを確立する。
キャプテンを引き継いだゲームキャプテン糠谷(ぬかや)を中心としたDF陣の固い守り、やたらと素早く速く裏を突きまくる13番都丸と11番阿部の2トップに速めにボールを送る速攻という戦法。
そしてそのFWとDFをフォローしまくり、とにかく動くMF陣。
当然この中盤は前商伝統のテクニックも身に付け、誰でもFKが蹴れるほど。
絶対的なゲームメーカーが不在の前商にとってこの速攻を軸とした戦いは非常に有効なものだった。

そんな中、MF長部(おさべ)がボレーで決勝点を決め、後半はその固い守りで守りきって1−0。


第2戦 済美(愛媛)

大型ストライカー堀川

市原に入団するという180cmの大型ストライカー堀川を擁する済美。
しかし固い前商のDF陣とすぐに挟み込んでしまうMF陣の前には堀川は仕事はできなかった。
堀川をあてにしない相手のサイド攻撃により守備陣に一瞬のスキが生じ1点を与えてしまうものの、DFリーダーキャプテン糠谷がセットプレーからヘディングと華麗な左足でのワンタッチシュートの2発で2−1。

DF糠谷伝説のはじまり

セットプレーの指示は全て糠谷を中心とするという実況の情報が本当かどうか、DFラインからゆっくり上がる糠谷は上がりながら主要なメンバーに耳打ちで毎回作戦を伝え、解説の風間さんもびっくりの味方を使った頭脳的な動きで相手の守備をかわし、ヘディングを決めてしまい、続いては足でも決めてしまう。

糠谷の伝説がはじまった。。。


第3戦 仙台育英(宮城)

超ロングスローの大久保

まあ高校野球でもサッカーでも名門かもしれないが、ようするに宮城には他にチームがないだけだろ?仙台育英って。
前橋育英との熾烈な争いから奪わなければいけない群馬代表の座を軽んじてもらっては困る。
しかし相手にはフロンターレに内定している大型FW大久保がいる。先の堀川といい、他のチームは羨ましいタレントがいるものだ。
そしてこの大久保のロングスローはとにかく凄く、ハーフウェイラインからもゴール前まで運んでしまうほど。
しかし先の堀川と同様、前商の挟み込みディフェンスの前にはまったく怖さを感じない。
まあ考えてみればロングスローを受けてシュートしなければいけない大型エースが自分でスローイングしていては意味がない。

空っ風を上回る強風

上州名物空っ風をあきらかに凌駕する強風が吹く中、前商側はこの日たったひとりだけ先発が代わった。
(さすがに3連戦の疲れもあるのだろう)
それが2年大朏(おおつき)であり、なんとこいつが開始3分くらいでサイドからきたセンタリングを頭で決める。
強風のアゲインストの中、この先制は大きいと思われたが、出鼻で1点取った場合、一番悪いパターンである、守りの姿勢が少し出てしまう。
まあゴールキックがセンターライン手前に押し戻されるこの強風の中では仕方ない。
そんな強風の中、相手のFKの球がやはり風の勢いに乗り1年ながらU-16選抜キーパー土田は不運にも球をこぼしてしまい、押し込まれ同点に。
その後も相手は風におされ攻め込みまくるが、この苦しい状況をよく守備陣は耐え、前半を

気合いで1−1で乗り切る。

炸裂する糠谷のヘッド

そして風を背に受けての後半。
逆の立場となった前商は快速のFW陣がFK、CKをとりまくる。
相変わらず糠谷を中心に耳打ちで指示は伝わり、またしても糠谷がCKから高いヘディングを決め勝ち越し。
そしてそして、もうすっかりとマークされているにもかかわらず、前回の試合から続いてまたしてもセットプレイから糠谷がヘディングを決め3−1で試合を決める。

厳しいマークがついていながら、それを一瞬だけかわしての高い、高い打点の圧巻のヘディング。
181cmくらいしかないはずだが、その打点の高さは身長が2mくらいあるんじゃないかと錯角するほど。

ホントかよ。。。
決まった瞬間はさすがに我が目を疑った。

暫定得点王DF糠谷

これで3試合で4得点。
え?今のところ得点王単独トップ?
解説のセルジオ越後からもすっかりボンバーヘッド中沢の高校生バージョンの御墨付きをもらう。

かなりチームとしてセットプレーの練習をしたことだろうし、それを忠実に実行してしまうMF陣の正確なキック、そしてどんなにマークされても研究されても点を決めてしまう丸坊主ながらなんちゃってボンバーヘッドの糠谷。

未だに就職先(Jチーム)が決まっていないのが信じられない。
まあ間違いなく、大会後どこかに入ることだろう。
とにかくこの糠谷がいる限り、前商のセットプレーは今大会中ダントツであり市船や国見も目じゃない。

総合力の高い前商

先にも言ったとおり快速FW陣と固い守備陣、よく動くテクニックのある中盤という理想的な全員サッカーを展開する前商に、このセットプレーという強力な武器。
ある意味タレント集団育英よりも今年の前商は期待できる。

次の相手は初戦で滝川ニ、そして最近ノってきている沖縄勢の那覇西をやぶった強豪星稜。
これに勝てばベスト4で国立。。。
あの何度もベスト4まではいっている育英も未だ成し遂げていない国立での1勝、つまり群馬県勢初の決勝進出を今大会こそは果たしてもらいたいものだ。


タレントがいなくともギリシャは優勝した。
今の前商にはその優勝を掴みとる実力は十分ある。


残念!ベスト8どまり

・・・とここまでが正月明けにサッカーファンの友人に送ったメールの内容だったのですが、その後の準々決勝、星稜戦では、相手のエース司令塔本田(グランパス内定)を自慢の固いDFと運動量豊富なMF陣で挟み込んで仕事をさせないものの、本田の意地のCKがするどく落ち、そこをヘッドで先制され、結局得点できずに惜しくもベスト8で敗退となってしまいました。

群馬勢の決勝への道は遠く険しい・・・

もうそろそろいいと思うんだけどな〜実力的には前商も育英も。
来年こそは頑張れ!群馬代表!
そして悲願の優勝旗を!

国見じゃない、市船じゃない、鹿実じゃない、東福岡でもない。
群馬の名前を日本に轟かせてくれ・・・




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