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第101回2022-2023全国高校サッカー選手権
2023.1.2
3回戦
前橋育英 2−1 昌平(埼玉)


横棒



前橋育英、夏冬2連覇を目指して・・・3回戦の相手は同じ関東の優勝候補・昌平!!

2017シーズンに前橋育英が群馬県勢初の全国制覇を成し遂げてから、2度目の、そして今度こそ黄黒のタイガージャージでの全国制覇を狙う前橋育英は、2022シーズンは念願のプレミアリーグにも参戦となり、更に強さに磨きをかけ、夏のインターハイでは古豪・帝京高校を決勝で破り、2回目のインターハイ王者となった。
十分に実力を示した前橋育英は、夏冬連覇に向けての戦いとなる。

その前橋育英は1回戦、相変わらずの初戦の呪縛に捕まり、終始圧倒的に試合を支配しながらも日章学園相手になかなか点が獲れないまま後半先制を浴び、なんとか2点を獲り返して2回戦に駒を進めることとなったが、過去2回対戦して惜敗もしている因縁の対手・香川西とは前橋育英の強さが爆発し、6−1の圧勝で3回戦に駒を進めた。
その対戦相手はJ1内定者2名をはじめとする大会きってのタレント集団・同じ関東代表の埼玉県の昌平(しょうへい)。
青森山田が上がってくると思われる決勝への切符を賭けた事実上の準決勝のような戦いとなるが、今の前橋育英の実力を発揮できれば必ず勝てる。
問題はその自分達の実力が出せるか、1回戦から戦う育英に対して2回戦から出場の昌平には体力面でもアドバンテージがあるところが気になる。



前橋育英

チームの中心は当然伝統の14番を受け継ぐキャプテンMF14徳永涼と、2年生の時から全国で活躍している相棒のMF7根津の史上最高と言えるボランチコンビだが、根津はまだ靭帯断裂の怪我の影響が多少残っているところで、1回戦も後半早々に大事をとって交代し、2回戦は終盤に調整で出場するだけに留めている状況。
その代わりに躍動しているのがMF19青柳であり、根津復帰までの徳永の相棒を務め、攻撃面でもチーム一の積極的な姿勢で状況を打開し、1回戦の決勝点を見事に演出するアシストを決めており、そういったこともあってか2回戦はMF7根津をあえてベンチに温存し、ボランチにはMF19青柳が入れている。
その他攻撃のエースとなるのは2年生からエースとして活躍し2回戦も2得点のFW9小池直矢と、身長が無いながらも点取り屋でパワフルな突破が魅力の1回戦、2回戦連続得点中のFW10高足が切り札となるが、それ以上に1回戦から輝きを放っているラッキーボーイがFW15山本颯太であり、1回戦は途中出場から流れを変えるワンタッチでのアシストを、そしてスタメンとなった2回戦では2得点を決めている。
更に守備ラインでは元々攻撃的プレーヤーであるDF3井上や正確なキックが武器のレフティであるDF6山内が攻撃時はインサイドハーフの位置まで中央に入り、攻撃に厚みを持たせている。
なお、今年の前橋育英は各Jリーグチームのユースや埼玉出身が多いが、山内だけは前橋FC出身のレギュラーメンバーでは唯一と言っていい郷土出身プレーヤーなので、その点でも相当に熱いところ。

その山内に代わって左サイドの外に張り出すMF8大久保がまたいい仕事をしており、山内に代わって何本も良いサイド攻撃とクロスを仕掛け、もはや前橋育英の攻撃は止まらない状態。

この試合では1回戦スタメンで2回戦ベンチ温存だったDF24ポンセ尾森がスタメン復帰となり、そして2回戦では温存していたMF7根津をスタメン起用し、この昌平戦がいかに重要であるかを語っている。
そうなると、2回戦大活躍していたMF8大久保はベンチに回ることとなるが、連戦を考えるとこういったレギュラークラスで回していけるのは層の厚い育英の強みでもあると言える。


10高足善
15山本颯太
19青柳龍次郎     9小池直矢
7根津 14徳永涼

6山内恭輔         3井上駿也真
4齋藤駿 24ポンセ尾森

1雨野


ベンチには、MF8大久保帆人、MF11堀川直人、MF17山田皓生、MF26齋藤颯太、MF23茂木碧生、MF25眞玉橋(またはし)、DF18福永竜也、DF13杉山、GK12大澤






タレント集団・昌平

昌平はFC東京内定のMF荒井悠汰、鹿島内定のDF津久井佳祐をはじめ、2回戦の近江戦では2ゴール1アシストと全得点に絡んだMF篠田が左サイドで躍動しており、さらに1トップの小田晄平と厄介な攻撃陣が揃うが、そこを抑えつつどう津久井らの壁を越えていけるか。
この試合では1トップはFW9小田ではなく、FW25上野を起用。
やはり前橋育英対策として、前線からのチェイシングなど守備面も考慮してのことだろう。
MF18大谷、DF3上原はまだ1年生と、今後が怖い昌平のメンバー。


25上野
18大谷湊斗
11篠田翼     10荒井悠汰
7土屋飛雅 8長準喜

2武村圭悟         3上原悠都
5石川穂高 4津久井佳祐

1上林真斗




ベンチにはFW9小田晄平、FW17伊藤、FW15鄭志錫、MF14佐々木小太郎、MF6佐藤海空斗、MF19甲斐田、DF13佐怒賀、DF12今井大翔、GK16葛西



開始早々から無人のゴールに決められ先制される!!??

開始3分、FW25上野が抜け出してきたところをGK1雨野が前に出て先に触ってカットするも、そのカットしたボールをMF10荒井悠汰に拾われすかさず無人のゴールに向けてシュートされると、これがゴール右に決まってしまう!!???


・・・・・・・・・・・・・!!!????・・・・・・・・・


なんと!!!!
早くも先制されてしまうとは!!!????
それもGK1雨野が積極的に飛び出したまでは良かったが、体勢厳しくなり大きくクリアできなかったことが


反撃しなければいけない育英は8分、縦パス一本からFW15山本颯太が抜け出すが、鹿島内定のキャプテンDF4津久井がさすがのスライディングでのカバーリングでこれを阻止する。



根津の粘りからFW15山本の同点弾!!

すると14分だった。
中盤でボールの奪い合いとなる中で個の球際の強さを見せてきた育英は、DF6山内が相手に囲まれ倒れながらもギリギリ前線にボールを繋げ、これをMF9小池直矢が受けてペナルティ左にスルーパスを送ると、これをFW15山本颯汰が前に出てきたGKの左脇を狙ったシュートを転がしていき、見事にゴール右に!!!


GOOAAALLLLL!!!!


おおお!!!FW15山本颯汰、2回戦の2得点に続く2試合連続弾!!!
本当にラッキーボーイ的に乗りに乗っている。
育英のファーストシュートを見事に沈めた。

またこのボールを繋いだ起点がDF6山内の粘りと強さだった。


同点に追いつかれた昌平はここでポジションを変えてきて、トップ下のMF18大谷とMF11篠田のポジションを入れ替え、2回戦で2ゴール1アシストの篠田をよりゴールに近い位置に変更する。




これぞ黄金の中盤

これまでの2回戦では正直ポゼッションして当たり前だったが、個の力で互角ともいえる強豪昌平との戦いを観てわかった。

大黒柱MF14徳永、その徳永と最強の相棒となっている、どんなに囲まれても動じずにボールを完全に自己支配下におけるMF7根津、そしてその2人以上にこの大会での活躍著しいMF19青柳、2年生からエースで高さもあり得点能力も高いMF9小池直矢と、まさにこれは黄金の中盤だ。
この4人の攻守のバランスがあまりに良いため、昌平と言えどもこの4人のパスワークにはついていけない。
この黄金の中盤のパス回し、球際の強さは間違いなく日本一だ。
そして忘れてはいけないがMF8大久保。
大久保の存在も含め、これぞ黄金の中盤だ。

29分、その黄金の中盤の一角、MF7根津が足を痛め引きずりながらいったんピッチを出て、相棒の徳永や山田監督も、根津の大怪我を気遣って無理はするなといった表情だが、この昌平戦に賭ける思いが強いからか、根津はOKサインを出しそのまま続行。

33分の右CKには、そのMF根津が早速ボールを蹴りにいき、ファーでDF6山内が頭で折り返してからゴール前でMF19青柳のヘディングシュートは、惜しくもGK1上林にはじかれる。
これは非常に惜しいCKだった。


38分には中盤の混戦を抜け出した昌平がMF10荒井悠汰にボールが渡り、ミドルシュートを放つも、DF6山内が素晴らしいスライディングブロックでこれを食い止める。
山内は攻撃時には相変わらずインサイドハーフの位置まで中央に絞って攻撃のアクセントとなり、セカンドボールを支配することに貢献しているが、守備でも山内は素晴らしい。
彼は本当に良い選手だ。
先ほどに挙げた黄金の中盤、前線には山本、高足、サイドバックにもこの山内がいるし、本当に今年の育英は相当に強い。
個が強いのにチームとしても強い。

こうして前橋育英の面々の素晴らしさに目を奪われながら前半はあっという間に終わり1−1での折り返しとなる。

正直、昌平のJ1内定者などほとんど目に入ってこないほどに、育英の個の力、そしてそれが融合されたチームの力が素晴らしい。

これまでの1回戦、2回戦のように、後半はこの個とチームの力で点をもぎ取って勝ち上がりたい。
こんなところで負けている場合ではない。
そう感じる事のできるチームだ。




後半、青柳の逆転ゴール!!!

後半頭から昌平は1人交代、FW25上野に代えて本来のレギュラーFW9小田晄平を投入。
上野のスピードを活かした奇襲攻撃は先制点を奪うきっかけとなったが、あとは昌平本来の正攻法で力で勝つという意思の表れか。

すると10分、MF7根津からのサイドチェンジからDF3井上が右サイドで前線へパスを出し、MF9小池直矢がゴール前へ折り返すと、ファーに走り込んだMF19青柳が詰めてシュートはゴール左へ!!!


GOOAAALLLLL!!!!


まさに狙い通り、球際、セカンドボールを徐々に支配していった前橋育英の攻撃に昌平がついに付いていけなくなった。
そしてこのクロスの場面でニアでFW15山本颯汰がわざと一歩下がった事で昌平の守備陣がそれにつられた事で、ファーに詰めていた青柳をフリーにさせた。

完璧だ。
個の力がこれだけ強いのに、それがチームとして結合している。
これほど強い育英は近年稀に見る。
隙が無い。
まさに完璧なチームだ。
もはや大会きってのタレント集団昌平も霞んで見える。



連戦で体力厳しい育英、昌平のペースへ

逆に追いかける立場となった昌平だが、とにかく前橋育英のボールをとられてからのカーストDFがあまりに速いため、なかなかボールを保持できず、やっとボールを持ってもいつものポゼッションの癖からか攻撃が遅れる場面も目立つ。
もっとシンプルに割り切って速めに前線にボールを送っていかなければ、育英相手には通用しない事を、昌平の力をもってしてもそれしかない事をこの試合で証明している。

18分、ようやく昌平は前線でボールをカットしてショートカウンターの形でボールを右サイドに回しシュートにいくが、GK1雨野の鋭い出足でこれをブロック。

この場面から昌平の時間帯に入ってきて、20分にはペナルティ内で倒れてPKか?という場面も作り出す。

23分、互いにオープンな展開となる中、右サイドからMF10荒井悠汰のさすがの前線へのパスが出て、これにFW9小田が抜け出し完全にGKとの1対1となったところからのループシュートは、これはやられた!!!と思ったが、このシュートはなんとボールわずか1個分、バーの左を外れる。

この辺の押される時間帯は、やはり1試合多く連戦となっている育英側の体力面もあるのだろう。

そういうこともあり25分、育英は2人交代、DF24ポンセ尾森に代えてDF13杉山、そしてMF19青柳に代えてMF8大久保を投入。
中盤は怪我が心配される根津を下げるかと思ったが、どうやら根津の足は大丈夫の様子で、それよりもずっとフル出場となっており、逆転弾を決めるなど既にチームの大黒柱となっているMF19青柳の体力面を考慮しての交代となる。



最後は粘り勝ちでベスト8進出!!

いよいよ試合も大詰めとなる30分、昌平は2枚交代でMF18大谷、DF3上原の1年コンビニ代えてFW17伊藤風河、MF14佐々木小太郎を投入。

31分、育英はMF14徳永のクサビのパスからワンタッチで繋げFW10高足善が見事にゴール右隅決める!!!・・・だが、これは惜しくもわずかにオフサイドの判定。

それにしてもさすがは昌平。
これだけ育英がセカンドを支配して何度も昌平ゴール前に攻め込むも、何度も決定的な最後のところでDF4津久井に止められており、なるほど鹿島に内定するはずだという個の力を見せつけられる。
津久井がいなければ、とっくに追加点を入れてこの試合決めている事だろう。

35分には左サイドに抜け出したDF2武村が抜け出すが、DF3井上がしっかりと対応してこれを食い止める。
本来攻撃的な選手である井上だが、左サイドバックのDF6山内が目立つ分、井上はしっかりと守備でもチームを支えている。

37分、ペナルティライン手前右での絶好の位置でのFKを昌平が掴み、MF10荒井悠汰が左足で巻いて落としてくるが、この直接シュートは落ちきれずにややバーの右上。

気にかかるのは、この時間帯になってもまだ交代が入らない。
堀川、山田といるはずなのに・・・
それだけ昌平相手には守備面も含めて動きにくいということだろうが、しかし連戦の疲れを考えるともっと控えも活かしたい。
小池直矢なども相当にこの連戦疲れているだろうに・・・

そうしてようやく40分、FW10高足善に代えてMF11堀川を投入。

その堀川、1人元気なところを活かして4分のロスタイムに入っても激しく前線からボールを追いかける。

すると右サイドから左サイドへ切れ込んできたMF10荒井悠汰に対してファールで止めるしかない育英。

そしてタイムアップ。

前橋育英は見事な逆転勝ちで強豪昌平相手に力でねじ伏せてベスト8、準々決勝まで駒を進めることとなった。





浦和・駒場スタジアムは埼玉と群馬の戦いということもあって1万5千を超える観客で、次の試合の応援団が一時トラックの外側に避けなければいけない異常事態となった中、前橋育英はまさに夏の王者たる力を存分に見せつけたが、相手の昌平も1点差で食らいつく姿勢は見事なものだった。

しかし、それでもどう見ても勝利したのは前橋育英だった。
完全に昌平相手に力勝ちした。

この力は本物だ。

MF8大久保も含めた黄金の中盤の個の強さと連携、MF9小池直矢をFWに上げる必要もない程の存在感を放っているFW15山本颯汰、相変わらずの前線での相手の脅威になり続けているFW10高足善、そして貴重な同点ゴールの起点ともなったサイドバックながら攻撃ではセンターでの軸となっているDF6山内と、タレントが豊富過ぎる。
本当に強い。
これで優勝できなければ嘘だ。

ずっと中1日での4連戦となる中での同じプレミアリーグ勢の熊本代表・大津との準々決勝となるが、青森山田との決勝まで、その力を存分に発揮してもらいたい。
今年の前橋育英なら出来る。
全国2回目の制覇はすぐそこまで来ている。




(23.1.2UP)






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