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第101回2022-2023全国高校サッカー選手権
2022.12.29
1回戦
前橋育英 2−1 日章学園(宮崎)


横棒



前橋育英、夏冬2連覇を目指して

今年もいよいよ全国高校サッカー選手権の季節となる。

2017シーズンに前橋育英が群馬県勢初の全国制覇を成し遂げてから、2度目の全国制覇を狙うも、ここ最近は2019シーズンの前橋育英、2020シーズンの前商と、2年連続で鹿児島代表の神村学園に1回戦で惜敗し低迷となったが、2021シーズンはエース笠柳や2年生レギュラー達が噛み合い準々決勝まで駒を進め久々に前橋育英の名を全国に知らしめた。

そして念願のプレミアリーグにも参戦となった前橋育英は更に強さに磨きをかけ、夏のインターハイでは古豪・帝京高校を決勝で破り、2回目のインターハイ王者となった。
十分に実力を示した前橋育英は、夏冬連覇に向けての戦いとなる。

2回目の全国選手権制覇を山田監督に届ける事ができるか。
前橋育英の新たな戦いが幕を開ける。



前橋育英

チームの中心は昨年のベスト8までいった時も2年生ながら主力だったMF14徳永涼、MF7根津の史上最高と言えるボランチコンビに、攻撃ではFW9小池直矢が軸となり、FW10高足が切り札となる。
更に守備ラインでは元々攻撃的プレーヤーであるDF3井上や正確なキックが武器のレフティであるDF6山内からのサイド攻撃も魅力となる。




10高足善
9小池直矢
8大久保帆人      19青柳龍次郎
7根津 14徳永涼

6山内恭輔         3井上駿也真
4齋藤駿 24ポンセ尾森

1雨野


ベンチには、FW15山本颯太、MF11堀川直人、MF17山田皓生、MF23茂木碧生、DF26末森、DF18福永竜也、DF16磯村、DF13杉山陽太、GK12大澤






日章学園

日章学園としてはポゼッションが前橋育英にとられる事は織り込み済みだろうから、まずはキャプテンDF4工藤を中心にどう育英の攻撃を抑えるかにかかるところ。
チームの心臓はDF6金川であり、地元J3宮崎に内定している。


15篠田 11石ア

7高岡       10松下
6金川(きんかわ)8石田

5芝         2藏屋
4工藤 3新穂

1小林俊雅




ベンチにはFW22金丸、FW9田上、MF20川越、MF19安藤、MF12赤木、DF24阿部、DF18宮本、DF13雑賀、GK17鈴木俊介



立ち上がり、しっかり守りにくる日章学園

共に本来ポゼッション同士のチームながら、やはり日章学園は育英相手にはなかなかボールをもたせてもらえない。
5分、ゴール前に入ったシュートのこぼれ球に反応し詰めていったFW10高足が詰めるも、惜しくもGK小林に阻まれる。

9分にはクサビのパスを受けたFW9小池直矢がすばやくターンして前を向いて突破に入ると、日章学園もファールで止めるしかなく、左寄りの位置からチャンスを得る。
このFK、最初はDF6山内が蹴りにいき、MF7根津が直接狙い、壁に当たったところを山内がミドルシュートも、GKの正面に入る。
この大会の前にセットプレー合宿をしたという前橋育英、セットプレーにはいくつかバリエーションを持っていそう。

それにしてもやはり日章学園は前半の最初15分をどうゼロに抑えるかをテーマにしてきているらしく、その通りにある程度攻撃は捨ててでも、とにかく前からのプレスと育英にスペースを与えない事を徹底している。



なかなか崩れない日章学園

なかなか決定機を作らせてもらえない育英は18分左サイドから回されてきたパスからMF7根津が得意のミドルを放っていき、これは根津らしい低く抑えられた良いシュートだったが、わずかにバーの上を越える。

それにしても、日章学園のスペースを消していく守備は見事であり、育英はMF14徳永がボールを保持しながら、サイドへのサイドチェンジや時にはズバッとクサビの縦パスを入れるなど、多彩なパスで風穴を開けようと奮闘するも、それでもなかなか崩れない日章学園。

そして日章学園も防戦一方ではなく、本当に10分に1回程度だがセットプレーのチャンスを掴むと、数少ないセットプレーのチャンスを大事にゴール前に放り込んでいき、ゴール前での混戦から虎の子の1点を掴みに来る。

すると26分、左サイドにダイレクトパスから攻め上がったMF19青柳が角度の無いところからの直接シュートはGK小林がはじき、このこぼれ球をFW10高足が再度シュートにいくも、惜しくもカットされCKに逃げられる。

この試合、ようやく最初の決定機が訪れる。
非常に惜しい場面だった。


日章学園にも決定機訪れ前半はスコアレス

28分、中盤のボールの奪い合いでDF24ポンセ尾森が足を上げて相手の顔に当ててしまうファールでイエローをもらってしまう。
累計2枚で出場停止となってしまうトーナメント戦、今後殿ためにもここは不要なイエローは避けたい。

33分、右サイドでボールを受けたFW10高足が鋭いボールをゴール前に送り、FW9小池直矢が合わせた決定的なシュートは惜しくもバーの上。


しかし34分、左サイドからMF7高岡の決定的なシュートを浴び、これはGK雨野がかろうじて防ぎ、さらに後方からMF8石田のミドルを浴びるもバーの上。

やはり試合を通じてなかなか圧倒的に攻めるわけにはいかず、日章学園にもチャンスが訪れる。

すると更に36分、FW15篠田がボールを奪うと、すかさずロングシュートを放ちにいき、これが見事にコントロールされたシュートとなり、右上のバーを跳ね返ったボールが一瞬ゴールラインを割ったかと思ったが、かろうじて完全にゴールラインを割っていないという判定で助かる。

さすが宮崎代表の日章学園、劣勢ながらもしっかりとチャンスを作ってくる。


かろうじて助かった育英は、その後は圧倒的に攻め込み2分のロスタイムも攻撃し続けるも日章学園の固い守りを崩せず時間は過ぎ前半はスコアレスで折り返しとなる。

これが初戦の難しさか・・・

ボールは保持するものの、日章学園の巧みな試合運びに翻弄されているような形で、ボールを持っているというか、持たされているというイメージで絡めとられている印象。

そこをどう打ち崩して後半に勝利を手に入れられるか。

更に何本か浴びたシュートなど、やはり日章学園のシュート能力も高く、どこかで一矢刺される可能性も高い。
とにかく先に点を獲りたい。



後半、日章学園に先制を入れられてしまう!!!??

後半立ち上がり、日章学園はギアを変えてきたのか、育英相手にポゼッションしながら攻め込む時間帯を作り上げる。
やはり狙い通り前半をゼロに抑えられている事がチーム全体に力を与えている。

10分、日章学園は右サイドでFKのチャンスを得ると、MF6金川のキックがファーに飛び、これをFW11石アがドンピシャで頭で合わせてこれを決める・・・

・・・・・・・・・・・・・!!!????・・・・・・・・・


なんと先に奪われてしまうと・・・!!!
やはり前半に点が獲れなかった事が全てであり、日章学園に流れをやってしまった中での、どうにもならないセットプレーからの見事な得点となってしまった。

育英にとってはここからが本当の勝負となる。



育英、高足の同点ゴールを突き刺す!!

これで目の色が変わった育英は13分にFW10高足のシュートなどで反撃。

14分、日章学園は1人目の交代、MF10松下MF20川越に交代。

さらに日章学園は2人交代DF5芝、FW15篠田に代えて、DF24阿部、FW9田上を投入。

18分、育英も交代、MF7根津に代えてFW15山本颯太を投入。
この交代でMF19青柳をボランチに下げる。

すると19分、右サイドでMF14徳永が相手に囲まれながらも見事なターンでこれをかわすと前を向き、ズバットペナルティライン上に縦パスを送ると、これをFW15山本颯太がダイクレトに落とし、FW10高足のシュートがゴール右上に突き刺さる!!!


GOOAAALLLLL!!!!


さすがFW10高足!!!そしてそのゴールをお膳立てしたキャプテン徳永!!!
そのクサビのボールをワンタッチで落とした山本颯太も見事だった。
まさに育英の総合力の高さを示す同点弾だった。



時間が無い中、青柳のボールからMF山田が押し込んで追加点!!!

その後は同点に追いつき一方的に攻める前橋育英、防戦一方の日章学園DF陣もいよいよ厳しくなり、DF4工藤が足を攣らせる。

その後も育英だけのポゼッションのままいよいよ時間が押し迫った30分過ぎ、MF14徳永から中央バイタルで受けたMF19青柳が左足からの渾身のミドルシュートも枠の上をわずかに外れる。

31分過ぎにはFW10高足が強引にゴール前に入っていき、こぼれ球を右からDF3井上のシュートは右外のサイドネットに突き刺さる。

ここで相手DF4工藤が再び足を負傷し、いよいよ交代。

MF8大久保に代えてMF17山田皓生を投入。

とにかく追加点が遠い。
遠すぎる。
もはやポゼッション率など9割を超え、圧倒的に攻め込み、そして何本シュートを撃ったかもわからないが、それでも点は入らない。


そんな中での36分だった。
左サイドからMF9小池直矢らが強引に切れ込んでいき、MF19青柳がMF9小池直矢のヒールパスを受けて割って入るようにペナルティ左を抜けていき、ゴールライン際からの折り返しのようなゴール前へのグランダーのクロスに、見事に先ほど入ったMF17山田皓生が詰めてゴール!!!!


GOOAAALLLLL!!!!


よく決めた、よく詰めた山田!!!
そして日章学園の固すぎる守備を崩したのは、ここまで攻撃のアクセントとして1人奮闘していたMF19青柳だった。

ああ、本当にここまでの1−1の時間帯がどれほど長かった事だろうか・・・




1点リードを守り切り、育英初戦突破!!

40分、育英はいよいよ足を痛めたFW10高足に代えてFW11を投入。

ロスタイムは5分。
ここからは育英も割り切って時間を使いにいき、サイドで激しくボールを奪い合う。

ここまで圧倒的に華麗にパスを繋いできた育英だが、プレミアリーグで鍛えられた時間の稼ぎ方、勝負へ徹する心はここでも活きる。
5分のロスタイムの間、結局は日章学園にはほとんど何もさせず危なげなくゴールを守りタイムアップとなり、大事な初戦をモノにすることとなる。


正直、誰もがもっと圧倒的な、複数点差以上での勝利を予想していただろうが、これが初戦ゆえの固さ、初戦ゆえの大きなトラップといったところ。
これまでも過去の歴史の中で常に優勝候補と称される前橋育英が何度この初戦で足元をすくわれていただろうか。

しかし、これで一安心とも言える。
この苦しい重苦しい初戦の空気の中で、見事に自分たちの力で逆転してみせた。
これはこの先の戦いとしても大きな成果と言える。
この自らの力でこじ開ける戦いを通じてこそ成長がある。
そしてこの試合でも最後をこじ開けたのはMF9小池直矢のヒールパスだったように、最後の一工夫が無ければ、こういった膠着した試合ではそうは点は入らない。

この最後の一工夫、最後の精度を忘れなければ、育英の栄冠は近づく。

2回戦はもうすぐそこに迫っている。






(22.12.29UP)






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