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2019-2020第98回全国高校サッカー選手権
2019.12.31
第1回戦前橋育英 0−0(PK4−5) 神村学園(鹿児島)


横棒



前橋育英、2度目の優勝を目指して

2017年度に悲願の全国制覇を成し遂げた前橋育英は、昨年は3回戦で散る事となってしまったが、しかし常に優勝候補であることはこれからも変わらない。

特に群馬縣大会の準決勝で桐生一の世代別日本代表のエース若月を抑えた自信はあるはず。

優勝を狙うためにも常に大事となる初戦、これがまず大切だ。

まずは目の前の一戦。

大事な初戦が始まる。




初めて見る前橋育英の3−4−3

育英はなんと3−4−3。
長年育英を見ているが、これは初めてだ。

その育英はMF14櫻井が怪我で離脱となり、代わりに群馬県大会は出られなかったMF10渡邉綾平が出場となる。

3−4−3であるため、両サイドの上がり、ボランチ2人の攻守の舵取りが鍵を握るか。


11中村草太
8山岸   9倉俣
3並木      2山田涼太
10渡邉綾平 6栗原

4相原 5松岡 13関

1高橋怜士


サブはFW23我妻、FW19久林、MF26白石、MF20熊倉弘貴、MF17西山、MF7千葉、DF24稲村、DF16水上、GK12内橋




1トップ1アンカーの神村学園

神村学園は1トップ1アンカー4バックの布陣。

キャプテンマークを巻く1アンカーのMF8軸丸がまさにチームの攻守の軸となる存在だろう。

その中でMF14濱屋がエースらしく、県大会でもチーム17得点のうち、11得点というチームトップの得点を挙げてきたという点取り屋とのこと。


12寺田
 16加治屋     11野邉
14濱屋 10永吉
8軸丸
13下川床        7中島
5稲田 3成富

17吉山



立ち上がりから攻め込むも得点ならず

立ち上がりから押し込むのは前橋育英、ほぼ相手のバイタルエリアでボールを保持し、右サイドからの山田涼太のロングスローやCKから押し込む。

すると右CKから折り返しを蹴り込んでゴール!!!と思われたが、どうやらMF10渡邉綾平の蹴ったボールがすでにラインを割っていた様子であり惜しくもノーゴール。

しばらくは育英の時間帯が続いたが、10分過ぎると神村学園も押し返しはじめ、11分、神村学園は良い右サイドへのボールが出たところからの折り返しのこぼれ球を拾ったMF14濱屋が狙いすましてはなったシュートは危うくバーの左をわずかに外れる。
これはフリーで撃たせてしまったため、非常に危ない場面だった。

さらに15分も左サイドからのクロスがこぼれたところからMF14濱屋のシュートもバーの左。

うーん、濱屋は要注意だな・・・


対する育英は23分、前線で落としたボールに左サイドから上がってきたDF3並木がシュートにいくが、惜しくもブロックされる。

並木は群馬県大会から注目している左サイドのアタッカーであり、3−4−3であるためこの試合はもっと並木を使った攻撃を観たいところ。

その左の並木と右の山田は小学校時代からずっと組んできたチームメイトということで、共にロングスローが投げられ、まさにこの左右のウィングがこの試合の攻防の鍵を握る。




神村学園の攻撃も抑え前半はスコアレス

30分、またしてもMF14濱屋がペナルティ手前左でボールを受けると、昔よく言われたデルピエロゾーンとばかりに自らスペースを作っての右で巻いていったシュートはバーの上。
相当にシュート力に自信を持っているプレーがみなぎっている。


35分、またもMF14濱屋にペナルティ手前左でボールを持たれてしまい、ドリブルで中央に入って行ったところにDF13関がファールで止めざるを得ず、イエローと共にFKを与える。

ファールでないと止められないとは、濱屋、やはり相当な選手だ。

この危険な位置でのFK、濱屋が直接狙ったシュートはわずかにバーの右上を逸れて助かる。

前半、2分のロスタイムに入ったところで、MF10永吉が中央に攻め込んだところでクリアミスとなり、永吉がこれを再度拾うと、GKと1対1になりかけたが、ぎりぎりDF4相原のカバーが間に合い、どうにかこのピンチを止める。

こうして前半の後半は神村学園のシュートに脅かされたが、どうにかゼロに抑え前半は共にスコアレスでの折り返しとなる。


全体的なチームの総合力の高さで押し込む育英と、濱屋などを中心に個人技を活かした速攻が怖い神村学園の、なかなかに拮抗した試合展開となっている。





後半、決定的場面をDF4相原のスーパークリア

後半もMF14濱屋のゴールを狙う姿勢は変わらず、9分左サイドでボールを受けて、まだ角度も距離もある中での意表を突くシュートを狙っていくもバーの右上。
濱屋だけはいついかなる時もボールを持ったらシュートまでいっていいというチームの約束事でもあるのだろうか。

対する育英は押し込んでCKを掴むと、高さのある3バックを中心に渡邊綾平が入れていくキックからゴールを狙うというスタイルが見られる。

15分、中盤でのボールの競り合いからMF6栗原がボールを奪いショートカウンターのような形になり、数的有利な状況で攻め込めるも、パスを急いてしまいカットされる。
ここは落ち着いて攻撃に繋げれば決定的な場面を作れたところだった。


21分、神村学園に中央から押し込まれ、MF11野邉がど真ん中から割って入ったところでDF陣が集められてしまい、左にパスを出され、MF14濱屋がフリーでボールを受け、切り返して狙い通りの決定的なシュートを放つも、なんとこのシュートコースを読んでいたDF4相原が渾身のDFライン間際でのヘディングでこれを奇跡のブロック!!!!

凄い!!!相原!!!

よくGKの逆サイドをしっかりとカバーしていた。
まさに1点モノをよく止めた。



セットプレーで押し込むも得点が遠い

24分、中央からボールを繋いだ育英はうまくターンで相手のプレスをかわしたMF9倉俣が得意の左足でのシュートを放つも、惜しくもGK吉山の正面で止められる。

続く25分にはペナルティ右手前での良い位置でのFKを得ると、MF10渡邉綾平の狙いすましたFKは惜しくもバーのわずか右上を逸れる。
良いキックだったが、本当に惜しかった。
この試合は両チームともに1点が遠い。

いよいよ試合時間も短くなった30分、神村学園はMF16加治屋に代わりMF6樋渡が入り、対して育英はFW11中村草太に代わりFW23我妻が投入される。


32分、左サイドDF3並木からのスローインにゴール前に上がった3バックがヘディングで競りチャンスになるも、惜しくもGK吉山に抑えられる。
育英としてはこのセットプレーからの高さを活かしたいが、それにしても点が入らない。

ここで両サイドのDF3並木、DF2山田が共に足を攣らせ始める。
しかし、この2人にはロングスローを投げてもらわなくてはいけないし、攻守のアップダウンで負荷もかかるところ。



決定的シュートも入らずPK戦へ

38分、神村学園の速攻の場面を後ろから追いかけ手で止めた形のDF4相原にイエローが出される。

ロスタイムに入る中、育英は速攻からカウンターとなり、MF9倉俣の左足からの決定的なシュートはGK吉山のファインセーブに阻まれ、惜しくもCKに逃れられる。

ラストプレーとなった右CKでも点は入らず、ついに80分が終了し、PK戦へと入ってしまう事になる。



運が無いPK戦で敢え無く初戦敗退・・・

PK戦、先攻は神村学園。
うーん、PKに有利な先手を獲られたか・・・

1人目、相手のMF8軸丸は左に決め、MF6栗原も左に決めて1−1。

2人目、DF7中丸の右を狙ったシュートはGK高橋が触るも、威力を止められず惜しくも決められる。
DF2山田涼太は左隅に決めて2−2。

3人目、MF14濱屋は右で右を狙うシュートで決め、MF8山岸は右で左上に決め3−3。

4人目、MF6樋渡はタイミングを外しながらのちょっと弱い左へのシュートをガッチリGK高橋が止めるも、続くMF10渡邉綾平は力んでしまったか上に外してしまう。

5人目、MF11野邉が右上にしっかり決め、DF4相原、左で右下を狙い、GK吉山も少し触るがゴールに決め4−4。

6人目、DF3成富のシュートは左のバーに当たるも、そのボールがGK高橋に当たってしまいゴールに・・・これは非常に不運なゴールになってしまった。
運が無い・・・

嫌な流れだな・・・と思ったMF9倉俣、左で右を狙ったシュートがGK吉山に止められてしまい、4−5で試合終了となる。



遠かった得点

これがサッカーというものだろう・・・

育英は攻守ともによく戦ったが、相手の神村学園も濱屋や軸丸、野邉といったキーマン達を軸によく応戦し、互角の展開に持っていった。

強いて言えば、3−4−3であるはずなのに、攻撃がちょっと中央に寄り過ぎていた感があり、もっと並木、山田の両サイドを効果的に使いたかった。

とにかく得点が遠かったのは確かだし、DF4相原の奇跡のクリアが無ければPK戦すら出来ていなかったわけで、この敗戦は仕方ない。

この試合、初めて育英の3−4−3を見たが、山田監督としては3バックの高さを活かしたかったためといったところであり、つまり今年の攻撃陣はどうしても得点力に繋がる攻撃力が弱いと見ていたのだろう。
そのための3−4−3、セットプレーからの高さを主戦としたわけだろうが、しかし所詮はセットプレー頼みではサッカーはなかなか勝てない。


そして最後のPK戦はやはり先攻が有利だったとしか言いようがない。

特にこの試合を引っ張ったキャプテンMF10渡邉綾平が外した場面はこの試合を象徴させるものだった。


残念ながらこうして今年の群馬代表、前橋育英の戦いは早々に年内で終わってしまった。

だが、これもまたサッカーだ。

まだまだ来年以降も、群馬県勢の2回目の全国制覇を狙った戦いは続くし、今年の戦いもまた一つの糧になってくれればと願う。






(19.12.31UP)






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