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2019-2020全国高校サッカー選手権
2019.11.24
群馬県大会決勝前橋育英 1−0 健大高崎


横棒



群馬県勢の、次の全国への切符を賭けた群馬県大会決勝

今年もいよいよ全国高校サッカー選手権の季節がやってくる。

一昨年、ついに悲願の全国制覇を果たした前橋育英にとって、再び全国制覇を目指した戦いとなり、準決勝ではU−17で湘南内定の、世界を相手に活躍するエース若月を擁する桐生一相手に苦戦しながらも1−0で勝利を挙げ、今年も決勝に進出となった。

事実上の決勝戦と言えたこの準決勝、桐生一の敗因とするなら、エース若月がチームを固める大事な時期に、あまりに長い時間、代表の戦いで抜けてしまい、そのせいか試合の中では若月は一瞬のスピードの速さで育英守備陣を切り裂くものの、1人での単独突破ばかりで、さすがに育英守備陣を完璧に崩すまでには至らなかったこと。

ここに多少でもワンツーなどの連携があったならば、もっと結果は違っていただろうと言える。


その粘り強い守備をみせた育英に対し決勝に進出してきたのは、健大高崎。

機動破壊のコンセプトのもと、甲子園での高校野球が有名な健大高崎だが、近年はサッカーの方でも力をつけてきたということ。


そんな群馬県大会決勝、今年の全国への切符を掴むのは前橋育英か健大高崎か。






全国連覇を狙う前橋育英

8番山岸が準決勝でもゴールを決めた点取り屋となっており、個人的に準決勝をみて気になったのは左サイドバックのDF3並木であり、かなり良い攻め上がりを見せていた。

また、左ハーフのMF15熊倉弘達と、ベンチのMF20熊倉弘貴は双子。

県内初となる、6年連続の全国選手権への切符を掴めるか。



11中村 8山岸

15熊倉弘達    9倉俣
14櫻井 18栗原

3並木         2山田涼太
22大野 4相原

1高橋怜


ベンチには、MF25新井、MF23我妻、MF20熊倉弘貴、MF17西山、MF7千葉、MF6吉澤怜央、DF24稲村、DF16中島、DF13関、GK21内橋、GK12牧野





健大高崎

カウンターが武器という健大高崎はFW22松本憲吾がなんと決勝にして初出場という。
これは健大高崎の篠原監督、どういった狙いがあるか。
ちなみに篠原監督は39歳の前橋育英出身であり、山田監督とは師弟対決となる。
その、山田監督を知り尽くした篠原監督ならではの奇策ということか。

育英と全く同じ布陣の陣形であり、このミラーゲームがどう試合を左右するか。


22松本憲吾 11平井
 
23千木良    7黒田
10橋爪 8小林蓮太
17設楽       6廣嶋
4今野 2有村

21倉石



圧倒的に攻撃する育英攻撃陣

季節外れと言える、秋の長雨が降る中の正田醤油スタでのキックオフ。

健大高崎は育英に臆することなく、立ち上がりからMF23千木良が積極的に仕掛け、良いサイド攻撃からのクロスを上げるなど目立った動き。


10分、DF3並木のサイド攻撃から育英は左CKを掴むと、MF14櫻井が右足で精度の高いキックをニアに入れていき、こぼれ球も再度櫻井がクロスを入れに行く。
なるほど、これが伝統の14番を背負う、今年のチームの司令塔となる櫻井か。

14分も、MF14櫻井からの展開からDF3並木が攻め上がり、ニアにパスを出すと、これを受けたMF15熊倉のシュートはバーの上。


16分にも左サイドからスルスルっと密集地帯をドリブルで抜け出していったDF3並木のニアへのシュートを、GK21倉石がファインセーブ。

さらに17分、育英の右CK、櫻井のストレート系のボールからのファーからのヘディングシュートもGK倉石がセーブし、連続のファインセーブでゴールを死守。

18分には今度は密集から右サイドバックのDF2山田が抜け出し、強烈なシュートをGK21倉石が止めると、これを再度山田が拾い、そこからFW8山岸の決定的なシュートを、ゴールライン際で健大DF陣がかろうじてクリアで食い止める。


やはり1人1人に力がある育英がどんどん前に出ていく攻撃で健大を圧倒していく。




GK高橋の正確なフィード

育英の中で特徴的なのは、GK1高橋が後ろでのパス回しの際には積極的にセンターバックの真ん中に入り、自ら縦パスのフィードを入れていくところ。

通常、ボランチの片方が下がってこの役目をするのが4−4−2を敷くチームの通例だが、今年の育英はこのGK高橋のフィード力にかなり自信がある様子で、この珍しいシステムを敷く。
思えばかつて、現ザスパの守護神、GK吉田舜がまさに奇跡的なパントキックでチームを初の全国選手権の決勝まで導いたが、GK1高橋はそれを彷彿とさせるキックの精度を誇る様子。


27分、健大高崎は左スローインを掴むと、注目のMF23千木良のロングスローが入り、ゴール前に入ったボールのこぼれ球をMF10橋爪が拾ってボールを送り、FW11平井がヘディングでシュートもGK高橋がこれをキャッチ。


31分、ボールを繋げ右サイドMF8倉俣が巧みなテクニックでマークをかわしながら攻め上がると、フリーでペナルティ内に入ってきたMF15熊倉にスルーパスが通り、熊倉のシュートは決定的だったが、相手のブロックが入ったのか、なんとこれがバーの左を外れる。
さすがにこのフリーでのシュートは入ったかと思ったが、CKになったということは、GK倉石が少し触ったか??




前半はスコアレスで折り返し

35分、健大高崎はなんと前半、まだスコアレスドローの内から選手交代、FW22松本憲吾に代えてFW9廣嶋大輝を早くも投入。

フィジカルから前線でのタメを狙った松本憲吾のスタメン起用だったが、思うほどにボールが収まらず、本来のエースを早い時間帯で投入となった様子。


育英も相手GK倉石のファインセーブもあってなかなか点が入らない中、MF15熊倉とMF9倉俣の左右のポジションを入れ替えるなど揺さぶりをかけてくる。


こうして1分の前半のロスタイムも終わり、育英は何度も決定機がありながら健大高崎の最後の一線での守備の堅さに阻まれ、スコアレスで折り返しとなる。

対する健大高崎は前半あれだけ攻め込まれながらゼロで抑えられたことは後半に繋がる善戦といえる。

後半、数少ないチャンスを掴めるか。





後半も粘り強く守る健大

後半も育英はMF15熊倉を右サイドに、MF9倉俣を左サイドに配置したままキックオフ。

後半2分、立ち上がりに左サイドでFKを掴んだ健大高崎は、MF23千木良が右足で直接狙ったシュートは惜しくもバーの左。
前半1本しかシュートが撃てなかった健大だが、後半は早くも最初のシュートとなった。

5分、育英は左サイドでスローインを得ると、DF3並木がロングスローを入れていき、ヘディングシュートまで繋げる。
並木はロングスローまで持っているか・・・最近の高校サッカーには、もはやロングスローは必須のようだ。
ロングスローは威力がキックと違いフワッと来るため、守っている方はクリアしずらく、ゴール前での2次攻撃に繋げやすい利点がある。

10分には健大が左サイドからのスローインをMF23千木良がロングスローを入れていき、クリアしそこねたボールはわずかバーの右を逸れる。
どちらもやはりロングボールの方がCKよりもチャンスに繋がっている。


11分、健大は2人目の交代、MF8小林に代えてFW14中島を投入。

13分、右CK、MF14櫻井の右足からのキックは、低く速い弾道でゴール前を襲う。
櫻井のCKは本当に独特だ。
これに育英攻撃陣は練習で慣れるわけだろうが、守る方としては初めて見る弾道のボールに処理をとまどうことになる。


15分、育英はペナルティラインで左から中央へFW11中村がスライドしながら健大DFラインを翻弄し右にパスを出すと、FW8山岸のシュートは惜しくもバーの右。

その後もFW11中村が何度もクロスやスルーパスに対してセンターバックの間に割って入ろうとするも、健大のセンターバック2人もこれをしっかりとシャットアウトし粘る。
後半20分を過ぎても、まだ育英の攻撃をゼロに抑えているのは凄い。

22分、健大高崎はそのよく守ってきたDF2有村に代えてDF3小島を投入。
小島はボランチに入り、MF10橋爪がセンターバックに下がり、橋爪がDFラインからゲームをコントロールしようという采配。



ついに育英がゴールをこじ開ける!!

25分、育英は左サイドのボール争いに競り勝ち、FW11中村がマーク2人相手に切れ込んでの切り返してからのシュートはGK倉石がファインセーブも、そのこぼれ球にMF15熊倉が詰めてこれがついにゴールに突き刺さる!!!


GOOAAALLLLL!!!!


ついに育英が健大ゴールをこじ開ける。
FW中村のボールを奪ってからの2人のマークを相手に果敢に切れ込んでのシュートも見事だったが、GK倉石もよく反応しこれを一度は防いだが、育英の波状攻撃は熊倉のシュートまで持っていく分厚さがあった。

ここでFW11中村に代えてMF23我妻を投入。


1点先に獲られた健大は猛反撃し、28分、FW9廣嶋の右サイドからの攻撃からクロスをニアに送り、これにFW14中島のヘディングシュートはGK高橋が抑える。

30分も健大は右サイドからのロングスローからゴール前に落としたところでチャンスをつかむも、育英DF陣もそうはゴールは割らせない。
お互いロングスローの名手がいるので、守備の練習も出来ているという事だろう。


33分、もう何本目かというMF14櫻井の低弾道のキックから、ニアでDF4相原のヘディング




育英、1点リードで試合を制し、6年連続の全国へ!!

35分、ここでお互い選手交代、育英は先制点を決めたMF15熊倉に代えてMF17西山が投入。

健大は2人同時に交代、FW11平井とFW9廣嶋に代わって、FW24高桑とMF18榊原を投入。
高校サッカーは4人交代できるので、ここを最大限使ってくる。
しかし、FW9廣嶋は前半に代わって入った選手であり、もう引っ込めるとは・・・廣嶋は左手にグローブらしきものをしていたので、怪我の影響もあったか。


試合は3分のロスタイムへ。

育英もコーナーで時間を使うプレーが目立ってくる。
健大も1点ならばまだ試合はわからない。

ロスタイム2分、育英はMF9倉俣に代えてMF7千葉を投入。


そしてタイムアップ。

育英は県内初の6年連続の全国選手権への切符を手に入れる事となった。


やはり決勝を観る限り、FW若月擁する桐生一との準決勝が事実上の決勝戦だったんだなと感じるほど、終始育英のペースでの試合内容だった。

だが、対する健大、篠原監督は地力の差を潔く認め、対育英としての守備の粘り強さをしっかり見せつけた。
大会初出場というFW22松本憲吾の起用も、やはり守り、フィジカルを重視したもので、実際に後半25分までゼロで粘れたのは篠原監督の狙い通りと言えた。


こうして、この年末からの全国選手権、群馬県勢の代表はこの前橋育英となる。

チャンスメーカーのFW11中村、点取り屋でシュート力のあるFW8山岸、そしてMF9倉俣とMF15熊倉の2人のサイドハーフは何度もサイドを圧倒し、それをコントロールするMF14櫻井と、なかなかのタレントが揃う。
そこにDF3並木、DF2山田の両サイドバックが絡んでいく攻撃陣の活躍が今から楽しみだ。

そしてDF陣も準決勝で若月を抑えた事は自信に繋がっただろう。
GK高橋の足元のテクニックの確かさ、フィード力というオプションもそこに加わる。

今年の育英もなかなかのチームに仕上がっている。
やはり全国を制覇してから育英の地力に磨きがかかった。

今年も群馬代表としての育英の戦いに期待したい。






(19.11.24UP)






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