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2017-2018全国高校サッカー選手権
H30.1.6
準決勝 前橋育英 6−1 上田西(長野)

〜地力の差は歴然・・・油断から1失点するも圧勝で決勝進出!!〜

横棒



約束の地までは来た・・・あとは決勝に勝ち進むのみ・・・

昨年の青森山田との決勝での悔しさをバネに、雪辱の決勝を目指し勝ち進んできた前橋育英も、いよいよ昨年の決戦の地・埼玉スタジアムという、約束の地まで辿り着いた。

つい数年前まで、この準決勝を突破するのがどれだけ大変だったか。

それが、前橋育英にとっては3年前、そして昨年と、準決勝は突破するのが当たり前、問題は決勝でいかに優勝するかと、目標がついに最終段階まで来た。

昨年の雪辱を晴らすのは、やはり優勝しかない。

そのためには、とにかくこの準決勝を勝つしかない。


埼玉スタジアム
昨年に続き、今年もやってきました!!埼玉スタジアム2〇〇2!!!




キャプテン田部井涼2試合連続温存の前橋育英

前橋育英は昨日の準々決勝に続いて、右足を打撲しているという田部井涼を温存。
準々決勝でも、軽いストレッチ程度のアップはベンチ脇でしていたとのことで、プレーは出来るのだろうが、なんと準々決勝、そして準決勝でキャプテンを温存し、決勝に全てを賭けるという、とんでもないチームの総合力の高さをここで感じる。

結果として、スタメンは代わりに入る2年生のMF23秋山含めて昨日と全く同じメンバーとなる。

まさか準決勝まで温存するとは思わなかったが、2年生の秋山にとっては良い経験となることだろう。



22榎本
10飯島陸
8五十嵐     9田部井悠
23秋山 7塩澤

15渡邊泰基(たいき) 2後藤田
3角田 5松田陸

12湯沢




ダークホース上田西

お隣・長野県代表の上田西は、まさに今大会のダークホース的チーム。

キャプテンDF2大久保が最終ラインから気迫でチームを統率し、エースFW根本、セットプレーでのキッカー宮下、ロングスローの名手・田嶌ら、各々の特徴を活かして結果に繋げている。

何よりも怖いのは、こういったダークホース的チームだからこそ、育英のような盤石のチームを足元ですくってしまう可能性がある。

油断は出来ない。
やはり先制点がモノを言うことになるだろう。



10根本
14上原   9新田
7丸山        19岡崎
6宮下 29篠原

4金井 2大久保 3田辺

1小山



堅く守る上田西相手にCKから先制!!!

立ち上がりから、やはりボールを制するのは前橋育英。
6分、右サイドのスローインから、MF9田部井悠がペナルティ右サイドで強引に相手からボールを奪うと、マイナスへの折り返しにFW10飯島がフリーで詰めにいくも、GKの位置を気にしてか、シュートは左脇に逸れる。
いきなりの決定機だった。

続く8分、今度は遠目の位置からMF23秋山が左足を振りぬき、このミドルシュートが良い軌道で上田ゴールを襲うも、惜しくもバーのわずか右上。


その後も攻める前橋育英、22分には右サイドからのFKでDF3角田が入れていったボールにゴール前左ファーでDF5松田陸がヘディングで直接シュートにいくが、惜しくもGK小山の正面。

うーん、なかなか点が入らない・・・
これほど攻め込んでもまだ点が入らないとは・・・

その前のもう一つの準決勝、流経と矢板中央の戦いでも、矢板が最後までしぶとく粘り、0−1の接戦に持っていったが、点が入らないとそういったギリギリの戦いに持ち込まれるのが怖い。
当然スコアレスでPK戦にでもいければ、上田西としては勝ったも同然。


そんな嫌なイメージが浮かんでくる23分だった。

左CK、MF9田部井悠が入れていったボールに、ニアに入っていったDF5松田陸がうまく頭で反らすようにシュートをゴールに流し込み、右へ決める。

GOOAAALLLLL!!!!


さすがヘディングの強さではチーム一の松田陸!!!
この試合、上田西は最もマークしなければいけないはずの松田陸をあまりにセットプレー時にフリーにさせ過ぎていたが、ゾーンで守もうとしているのか、単にマークしきれないのか、この点は上田西の守備にも大きな綻びがあったし、流れの中で堅い守備を破るのは、やはりセットプレーに限る。

よし!!

これでこの試合もイケる!!!

先制さえ取れれば勝てる!!!

埼玉スタジアム
ゴール前でヘディングシュートにいくDF5松田陸
右がセンターバックの相棒DF3角田





エース飯島陸の追加点!!

ここで上田西は、失点前から用意していた早目の交代のカードを切り、DF29岡崎に代えてFW18田中悟を投入する。
出来れば上田西としては、この失点の前に投入したかった事だろう。

しかし、この時間帯で交代とは、随分と思い切ったというか、ではスタメンはなんなのだろう、と思うところ。


すると26分にも決定機が訪れ、右CKの流れからセカンドを拾った育英は、MF23秋山がグッとゴール左奥まで切れ込むと、マイナスの折り返しにDF15渡邊泰基のシュートは、なんと至近距離にも関わらず、相手GK小山がビッグセーブでこれを阻止。

埼玉スタジアム
左サイドからMF8五十嵐とのコンビで圧倒的な攻撃力を見せるDF15渡邊泰基



むー、なかなかやるな、、、と思った矢先の27分、今度はDF3角田が得意の左足からのサイドチェンジで、一気に右サイドにボールを送ると、ペナルティ内中央のFW22榎本にガッチリくさびのボールが入り、ここからボールを受けたFW10飯島が、マークを翻弄するように左足で切り替えてからのシュートは、GK小山の逆を突いて見事にゴール右に!!!

埼玉スタジアム
左に切り替えてからのエースFW10飯島陸のシュート!!


GOOAAALLLLL!!!!


よく決めた!!飯島!!!
これで大会6点目。
もう大会の得点王は決定だろうが、こうなると大迫の記録10得点に届かせたいところ。
あとこの試合で2、3点は獲りたい。

やはり先制点が大きかった。
相手も多少攻めなくてはならないし、そうなると飯島が動けるスペースが増えてくる。



一瞬の隙を突かれ、カウンターからなんと失点!!??

もう、この連続得点で終わりだろう・・・そう誰もが思った直後だった。

なんと、先ほどの得点からわずか1分後、隙を突いた上田西の速攻から、右寄りのサイドがスポット的に空いてしまい、そこをFW14上原がボールを運び、DF5松田陸のマークも付ききれない内に、ペナルティラインからその松田の股を抜くパスを左に出し、その勢いのままパスをダイレクトにFW10根本が放っていったシュートがゴール左隅に突き刺さる!!!??


・・・・・・・!!!????・・・・・・・・


な、、、なんと、、、この大会はおろか、県大会予選からずっと無失点だった、松田陸と角田のU−18コンビが守る守備陣から、上田西が点を獲るとは・・・

これは本当に予想外。

まさか失点するとは思わなかったが、飯島の2点目があまりにあっさりと入ってしまったものだから、さすがに気のゆるみが生じたというか、左サイドを破られたということは、普段は田部井涼がしっかりカバーする範囲で、秋山、塩澤のフォローが若干ズレたのかもしれない。

まさに油断が産んだゴールと言えるが、ゴールを決めたFW10根本も上田西の得点源、絶対的なエースであり、育英から点を獲るというのは偶然だけではなく、やはりそれだけ実力もあるということだ。

このままだと上田西は本当にサンドバック状態になりそうだったが、この1点、そして1点差に詰め寄れた事実は大きい。


そして31分、上田西はさらに2人目の選手交代で、FW14上原に代わってFW11田嶌(たじま)を投入。
この田嶌がロングスローの名手だ。




スピードスター五十嵐の追加点!!

まさかの失点で逆に火がついた前橋育英は33分、MF8五十嵐が中央に切り込んでのシュートは、これもGK小山がファインセーブで掻き出すと、続く右CK、MF9田部井悠のキックから、ゴール前でFW22榎本が合わせにいったシュートも、GK小山が腕を伸ばしてギリギリゴール上へ!!
GK小山がとにかく今日は当たり日。
すでに2点は止めている。


これで上田西にも勢いが付いてしまうか、と思われたが、34分、育英は速攻のチャンスからFW22榎本が中央で前に運び、前にスルーパスを出すと、これにDF2人の間をすり抜けるようなダイゴナル、斜めの動きでMF8五十嵐がスルスルっとスピードを加速させてこのボールを受け、マークに付いていたはずのDF4金井を置き去りにしてしまい、前に出てきたGKの前にシュートをゴール右隅に流し込む!!

GOOAAALLLLL!!!!


ついに決めたか、五十嵐!!!
さすが50mを5.79秒で走ってしまうという五十嵐、圧倒的なスピードでマークを置き去りにし、瞬く間のゴールを決めてしまった。

この大会においての五十嵐のスピードは攻守において非常に重要なものとなっており、攻撃だけでなく、守備でも後ろからまさかのスピードでカバーに入ってしまうという、チームに無くてはならないものと言える。

埼玉スタジアム
随一の俊足、スピードで相手を抜き去るMF8五十嵐




前半は3−1で折返し

こうして前半は3−1で折り返しとなる。

先制点によって、ゴールをこじ開けやすくなり、2点目、3点目と飯島や五十嵐が動けるスペースが生まれた。


相手の上田西で特徴的なのは、これまでの対戦相手は前線にせいぜい2人を残すのがやっとだったが、上田西はしっかりと3トップを残す事を徹底しており、いつでも点を獲るという気概は感じた。


だが、これまでの試合では、上田西の攻撃といえば、2列目、3列目からどんどん攻撃の人数が湧き出るサッカーが魅力で、守備よりもむしろ攻撃で圧倒するスタイルが特徴的だったが、この試合ではその姿は正直見られない。

どうしても育英相手となると、そこまで攻撃的なスタイルを貫けない、圧倒的な部分があるのだろう。

埼玉スタジアム
終始上田西を圧倒する攻撃陣
左からFW22榎本、FW10飯島陸、MF23秋山





後半、上田西システム変更

後半頭から、上田西は3人目の交代を入れていき、DF4金井に代えてMF5石嶺を投入。
4バックにシステム変更し、


後半立ち上がり3分、MF9田部井悠からパスを受けたDF2後藤田が巧みなボールコントロールでゴールライン深くで2人のマークをかわし、ニアに決定的なパスを送ると、MF8五十嵐がこれに合わせていったシュートは惜しくもバーの右。

埼玉スタジアム
右サイドで積極的に攻撃参加するDF2後藤田


更に4分、カウンターからMF8五十嵐が快速を活かして前線にボールを運ぶと、ペナルティライン中央のFW10飯島陸にボールを送り、飯島はマークを相手にキックフェイントで間合いを作ってから左足での決定的なシュートも、GK小山がこれまたファインセーブでセーブ。

8分、右CKでのMF9田部井悠の低めのボールに、ニアでボールを繋げ飯島がシュートを押し込みにいくも、これもGK小山ギリギリ抑える。
なかなか育英も、決定的な3点差となる4点目を決めきれない。
やはりGK小山が当たっている。




五十嵐の絶妙なコースのシュートでダメ押し点

その後も飯島のシュートなど、なかなか点が入らない中だったが、後半18分、右サイドを起点にボールをゴール前で受けたFW22榎本がマーク2、3人を相手に果敢にシュートを狙いにいき、手詰まったところですかさず後方ペナルティラインのMF8五十嵐にパスすると、五十嵐はワントラップ後にすかさずシュートを放つと、右足アウト気味に蹴られたこのボールは、ギリギリゴール左外からすり抜けてゴール左隅に決まる絶妙のコースで、この日当たっているGK小山の伸ばした手も届かないところに見事に決まる!!

GOOAAALLLLL!!!!


素晴らしいタイミングでの五十嵐のシュートにより、いよいよ3点差のダメ押し点となる。
五十嵐は前半のスピードを活かした貴重な追加点に続く2得点目となり、チームの幅が広がることに繋がる。



22分、育英はそろそろレギュラーメンバーを休ませる交代に入り、FW22榎本に代えて、フィジカルモンスターFW13宮崎を投入。

埼玉スタジアム
この日は得点こそ無かったが、前線の起点として、そして五十嵐、飯島らへの絶妙なパスでチームの攻撃に大きく貢献したFW22榎本




投入された宮崎は早速26分、右サイドからのクロスにニアでマークを押さえつけながらのヘディングシュートは、惜しくもバーの右外に外れる。
相変わらず力強いプレースタイルだ。


29分、前橋育英はMF23秋山に代えてMF24高橋尚紀が投入される。

埼玉スタジアム
2年生MF23秋山も準々決勝に続いて積極的に前線の攻撃に絡み、良い経験となった

同時に上田西もMF5石嶺に代えてMF8大場を投入。

その投入された高橋尚紀、31分に前線に出たスルーパスに抜けだし、ペナルティラインから右足でシュートもバーの左。

もっと後半、立て続けにゴールラッシュかと思われたが、なかなか諦めない上田西の懸命の守備もあってか、そうは簡単には追加点を獲らせてもらえない。



飯島、大会得点王を決定づける7点目

36分には左サイドから前線へのスルーパスに抜け出したFW13宮崎が、腕で力強くマークを押さえつけながらのシュートも、バーの右。

さらに38分、後藤田から宮崎のワンツーを経てゴール前右に抜け出したMF24高橋尚紀の決定的なシュートも、GK小山がギリギリ足でセーブ。
本当、今日はこのキーパーで無ければあと2点は入っていたはず。

むー、しぶとい、上田西!!
公立高校でこれほどまでに今年の育英相手に粘るとは・・・


40分、育英はさらに選手交代、DF2後藤田に代えてDF16若月が投入される。



すると41分、GK湯沢のキック1本から、FW13宮崎が頭で後ろに反らすと、これをトップスピードで受けたFW10飯島がそのまま斜めの走りで角度を作りながらペナルティ左隅まで持ち込むと、左足でのシュートが見事に逆サイドのゴール右隅ギリギリに決まる!!

GOOAAALLLLL!!!!


よし!!!飯島よく決めた!!!
これで大会7点目!!!



育英はここでさらに選手交代、MF9田部井悠に代えてMF27釣崎が投入される。

この試合でも田部井悠は、昨日の準々決勝に続いて、まさにチームの攻撃を引っ張る素晴らしい攻撃力を見せつけ、特にセットプレー、左右のCKでの質の高い、速いボールからのDF5松田のヘディングというところで、完全に上田西を翻弄した。

埼玉スタジアム
右サイドで圧倒的な存在感を発揮したMF9田部井悠




投入されたばかりの釣崎が6点目で試合終了

試合は3分のロスタイムに入ったところで、途中投入されたMF27釣崎が前線で相手のクリアを執拗に阻み、気迫でカットしていくと後ろにボールがこぼれ、さらに前に詰める釣崎は、相手GK小山がボールを抑えるより先にボールをゴールに流し込む!!

GOOAAALLLLL!!!!


ロスタイムに入ってもなお、当然のように時間稼ぎはせずに、あくまで前線から執拗に、泥臭く詰めていった成果が表れた。
なおかつ、投入されたばかりの釣崎が決めるというところが、育英の層の厚さ、気迫を感じる。

育英はここで最後の交代、MF8五十嵐に代えてMF26高橋和輝を投入。



こうして、結局育英は前半の失点のシュート1本のみでの圧勝で決勝進出を決めた。



優勝に向けて死角なし

得点ラッシュとなったが、しかし際立ったのは守備だった。

今大会、いや群馬県大会から数えて初めて失点したわけだが、松田陸と角田の2人のセンターバックがとにかく素晴らし過ぎる。
共にチャレンジ&カバーを阿吽の呼吸で行い、どちらかがらミスをしても、どちらかのカバーがあまりにも速い。
その全ての判断、動きがあまりに速いため、相手の攻撃はほとんどカット、潰され、ノーチャンスに終わらせてしまう。

やはり昨年、2年生コンビで決勝の舞台まで戦った経験値は果てしなく大きく、山田耕介監督も、この2人の2年がかりでの守備連携の構築については、絶対的な信頼を寄せている。


同じく関係性といえば、生観戦して改めて感じたのは、2人のボランチの位置関係の良さ。
基本的には塩澤が田部井涼の代役として時にはDFラインまで後ろに下がり、その代わりに秋山が前、中央のスペースを埋めるようなポジショニングでチームのパス回しの核となる。
この縦の関係の徹底ぶりが素晴らしかった。

埼玉スタジアム
この日もMF14田部井涼不在の穴を埋めつつ、攻撃でも左右への正確なサイドチェンジ、前線へのクサビのパスなど見事にチームの主軸を担ったMF7塩澤


例えば昨年のザスパの、山岸と岡庭がコンビを組んでいたころのボランチはどうだったか。
互いに中途半端な位置取りで横に並ぶ事が多く、すぐにパス回しも手詰まりとなり、相手の前線からのプレスに圧される展開となってしまったが、本来2ボランチとはこの動きが基本だろう。
現に岡庭が鈴木崇文と組んだ時などは、積極的に前に出ていくことで縦の関係を保ち、チームもスムーズに流れるようになった。


初の失点の場面では、このボランチの関係性のところで、やはり田部井涼不在の穴の影響が多少出てしまったのだろうが、しかし決勝では涼も万全の状態で復帰することだろう。


もはや前橋育英に死角は見当たらない。

奇しくも、決勝の相手は3年前の準決勝の相手、流経大柏となったが、3年前、流経に勝ったことで、初めて準決勝の壁を打ち破ったように、今回は流経を倒す事で、初の全国制覇の壁を打ち破るしかない。


上述したとおり、今年はこれまでの育英には無かった、絶対安定のセンターバックコンビがいる。

これまで数々の名ボランチを輩出してきたとおり、ボランチは育てられるが、身体能力と判断の良さがモノを言うセンターバックは天性によるところが大きく、こればかりは偶然の産物と言える。

この奇跡的な守備陣を擁する今年のメンバーで優勝できず、いつ優勝するというのか。

月曜の決勝は、もはや優勝しか見えない。




(18.1.6UP)






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