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2017-2018全国高校サッカー選手権
H30.1.5
準々決勝 前橋育英 3−0 米子北(鳥取)

〜総合力の高さを見せつけ、プレミアリーグチームに圧勝!!〜

横棒



決戦の地・埼玉スタジアムまであと1勝

昨年の青森山田との決勝での悔しさをバネに、雪辱の決勝を目指し勝ち進んできた前橋育英も、いよいよ昨年の決戦の地・埼玉スタジアムまで残り1勝となった。

特に一昨日の3回戦での富山第一との戦いでは、相手の堅守に苦しめられたが、最後の最後、ラストプレーで決勝弾を決められた流れも、また追い風を感じる。

常に優勝候補と言われながら、永遠の候補止まりを今年こそ払拭できるか。

大いなる目標に向かって、残り3戦、絶対に負けられない戦いは続く。




キャプテン田部井涼抜きの前橋育英

前橋育英は、なんとキャプテンMF14田部井涼の姿がスタメンに無い。
一昨日の試合で相当に右足を削られ、痛いそぶりを見せていたが、心配は本物のようだ。

ただ、田部井涼もベンチには入っているので、ここはその先の準決勝以上をにらんで大事を取った温存策といったところ。

代わって入るのは2年のMF23秋山。
2年生ながら、群馬県大会では左サイドハーフのレギュラーだった選手であり、チームへの浸透というところでは問題ないだろうが、しかしキャプテンの代役となるとどうしても荷は重いか。
長いトーナメントを戦う上では、こうしたバックアップメンバーの活躍がどうしても不可欠となるところ。
いよいよ正念場と言える。



22榎本
10飯島陸
8五十嵐     9田部井悠
23秋山 7塩澤

15渡邊泰基(たいき) 2後藤田
3角田 5松田陸

12湯沢




プレミアリーグで鍛えた米子北

米子北は11番葉間田と、10番佐野が2年生。
2年で10番、11番をつけるということは、それだけの実力者という事だろう。
また、9番城市は、城市総監督の子供ということで、こういう選手が中心にいるチームは強い。

特徴的な選手と言えば、DF2三原が167cmという身長で異例のセンターバック、そしてキャプテンという、チームの主軸を担う。
センターバックでこの身長で主軸、キャプテンという事は、176cmの松田陸と同じように、よっぽどの身体能力があってのものだろう。

なんといっても米子北は、育英がどうしても参加できないプレミアリーグで鍛えてきたチームであり、そういう意味では格上とも言える強敵。



9城市
11葉間田
8坂田      7馬場
10佐野 14鍛治川
4赤嶺        3井上
2三原 5宮本

1佐藤



立ち上が最後の時間帯、CKから先制!!

立ち上がり、いきなり米子北に攻め込まれ、なかなかクリアしてもセカンドをはじき返され、しぶとく2トップに繋げる攻撃が続いてしまうが、ここは松田陸らがしっかりセーフティに対応。

正直、この2試合ではここまで育英がしつこく攻撃される場面は少なかったので、いきなり主導権を握られるとは、さすが準々決勝、さすがプレミアリーグチーム。


そこをしぶとくはじき返した育英は6分、左サイドでスローインのチャンスを掴むと、DF15渡邊泰基が連続でロングスローを入れていき、ゴールまでFW22榎本が競り落としたこぼれ球にFW10飯島陸が詰めるという、いきなりの決定機を作り出す。


その後は育英の攻勢が続き米子北は防戦となるが、それにしてもその防御がまた凄く、4−4−2に徹底した、特に中盤がフラットに4人並ぶ守備は美しさすらある。


だが、その間隙を突いて塩澤らが鋭い縦パスを入れていくと、動き出しを武器とするエースFW10飯島陸らがその裏を突いていく。

すると20分、右CKを掴むと、左の田部井涼がいないので、双子の兄のMF9田部井悠が右で蹴っていくと、ファーに飛んだボールにチーム一のヘディングの強さを誇るDF5松田陸が競りにいき、この競り合いからボールが落とされると、ここにシュートにいくのはセンターバックの相棒DF3角田が左を振りぬく!!

GOOAAALLLLL!!!!


おおお!!!
なんと理想的な時間帯での先制ゴール!!!

米子北の守備でたびたびボールが引っ掛かり、2トップにショートカウンターを浴びるような場面も少なくなかっただけに、このままゼロで焦らされると厳しくなると思われたが、まさか普段右CKを蹴らない田部井悠の右足から、この理想的な早目の時間帯にCKから点が入るとは思わなかった。

プレミアリーグチーム相手にも、育英のサッカーは変わらない。
守備でも攻撃でも非常に安定感がある。


この先制はでかい。


泰基のマイナスの折り返しから榎本の追加点!!

すると、まだ先制から間もない26分だった。

右サイドから展開した育英は、左サイドから中央に寄ってきたMF8五十嵐にボールを渡すと、五十嵐はペナルティ左隅で相手守備陣を吊りだし、さらに左外を上がってきたDF15泰基にボールを渡すと、泰基は単純なクロスではなく、マークを相手に粘ってゴールライン際まで突破し、マイナスの折り返しという、より得点の可能性の高いプレーを選択すると、ニアに詰めていたFW22榎本がGK佐藤よりも先にちょこんと足に当てて、これが見事にゴールへ!!!

GOOAAALLLLL!!!!


よし!!!
正直、これは勝った!!!!

チーム全体での守備が武器の米子北に、セットプレーと流れの中での1点ずつという、完璧な展開。
そして2点先取。

もう、これは勝ちですね。

大黒柱・田部井涼温存でこの安定感、この強さ・・・

育英といえば、歴代数々のキャプテンであり、大黒柱であるボランチがチームの全てを担ってのチーム作りが特徴だった。
逆に言うと、そこが機能させられなくなると、大変苦しい展開とされることが多く、またどうしても個人にかかる負担が大きく、あと一歩優勝までいけない一因だった。

だが、この試合でしっかり証明されている。
今年の育英はもはや個人に頼るチームではないと。

誰が主軸というものない。
チーム全員、1人1人が主役となれる。

現に、これまで5得点の飯島陸ではなく、DF角田と、もう一人のFWである榎本がこの準々決勝で点を決めてみせた。

チームの総合力の高さでは、これは史上最強かもしれない。



絶対安定のセンターバック2人、2点リードで前半折り返し

思うに、やはり今年の育英は特にセンターバック2人の存在がでかい。
左でのフィードに絶対の自信を持つ角田、そしてサッカーに必要な全ての能力が総合的に高い松田陸の2人が最終ラインで絶対安定のパス回しとフィードを狙っていき、そこが絶対的なので両サイドバックも安心して上がれ、センターバック2人が左右に開いた中央には田部井涼の相棒である塩澤がきちんとDFラインまで下りてパス回しに加わる。

今年の育英は、もはやボランチが全てのチームではない。
センターバックからしっかりと構築できる、総合力の強さのチームだ。


こうして、センターバックからの絶対安定の育英は、危なげなく2点リードを守って前半を折り返し。

プレミアリーグで戦ってきた米子北としては、前半は是非とも自慢の守備力でゼロで折り返すことが主要プランだったと思われるが、完全にそのプランを打ち破った。

キャプテン田部井涼温存のまま、この試合に負ける要素は今のところ見当たらない。

完璧だ。

高校サッカーでこれほど完璧な試合運びを観た覚えはない。

このレベルの相手に対し、これほど完璧な試合を出来るとは、今年の育英は本当に恐ろしいチームだ。

やはり昨年の決勝の無念さが、このチームの根底には流れている。

精神的な強さが、昨年の決勝から継続されている。




後半、米子北は複数交代策で攻勢に

後半、やはり米子北は選手交代、DF4赤嶺に代えて1年生のDF12田中、そしてFW9城市に代えて2年生のFW16高橋諒を2人同時に投入。
この2点差という点差を考えると、この程度の交代策は当然だろう。


その米子北、後半立ち上がりからラッシュをかけていき、左サイドからMF8坂田が切れ込んでいくと、ゴール前への折り返しにFW9城市らが詰めていく迫力の攻撃を見せる。


10分には育英の守備ラインとのボールの奪い合いからカットインしたMF7馬場が、そのまま右サイドを持ちあがり、右足アウトサイドでの良いパスをゴール前に入れていき、FW11葉間田が詰め寄るという、前半では無かったチャンスを作り出す。


11分、米子北は早くも3人目の交代、DF3井上に代えてDF15馬塲隆を投入。

5名の交代枠をきちんと踏まえての早目の交代策はさすが。





途中投入の宮崎の身体の強さを活かしたダメ押し点!!

米子の交代策に対し育英も1人目の交代、2点目を決めたFW22榎本に代えてMF19高橋周を投入。


すると19分、左サイドからMF8五十嵐が俊足を飛ばしての突破を見せると、ゴール前ファーにクロスを送り、これを右サイドから回ってきたMF19高橋周がガッチリトラップし、狙いを定めての強烈なシュートは、惜しくも上のバーを直撃!!
決まればまさにダメ押しとなるところだったが、本当に惜しい展開だった。


22分も右CKから、ファーでDF5松田陸が難しい高さに来たボールに、身体をコントロールしての難しい体勢からのボレーシュートは、上のバーを直撃しながらゴール裏に外れる。

本当に松田陸の身体能力の高さは素晴らしい。
センターバックをやってはいるが、FWをやらせても相当な活躍が出来る事だろう。


25分、育英は2人目の交代、MF8五十嵐に代えて大型FWのFW13宮崎を投入。


すると27分、DF2後藤田がうまくオフサイドラインにかからずに右サイドで縦パスを受けると、MF9田部井悠のコンビネーションからMF23秋山に預け、秋山からペナルティ内中央でボールを受けると、相手DFからプレッシャーを受けつつも、身体の強さを活かしてボールをガッチリキープすると、そのまま左足でシュートを撃ちこんでいき、ゴール左へ!!!

GOOAAALLLLL!!!!


これで宮崎、途中投入ながらも大会2点目。
それも、山田監督の期待通りの、身体の強さを活かしての圧巻のゴール。

これは準決勝以降も非常に大きい武器となる。


とにかく、この時間帯、このダメ押し点、試合は決まった。




危なげなく準決勝へ

33分、米子北は4人目交代、MF8坂田に代えて1年生のFW18岡田を投入。
米子北は投入した4人が全員3年ではない、来年以降のチームを担う1年、2年が投入されるという交代策が監督の新たな決意の思いを感じる。


36分、育英は3人目の交代、MF9田部井悠に代えてMF11室井を投入。

双子の弟、田部井涼の穴も埋めるべく奮闘した田部井悠は、先制に繋がったCKといい、その他も浮き球の巧みなコントロール、正確なヒールパスと、さすが涼の双子の兄たるテクニックの高さを見せつけた。
3点目も田部井悠が絡んだからこそのボールの繋ぎであり、もはや田部井悠がいない育英の右サイドはイメージ出来ない。

39分、MF23秋山に代えて、DF6山アを投入。
この試合での落ち着いたボランチでのゲームメイクを観るに、秋山は来年の育英の主軸ボランチ候補No.1だろう。
この全国でのピッチは非常に大きな自信、経験になったはずだ。
山口素弘から始まり、松下裕樹、青木剛、細貝、最近では徳真、大塚と続く、育英のボランチの系譜は途絶えることが無い。


そしてロスタイム3分に入り、最後の米子北のカウンターからの左サイドからの攻撃で、ニアでのシュートに詰めるも、このシュートは左に外れ試合終了。


最後まで圧巻の安定感で育英は危なげなく準決勝へ駒を進める事となった。




舞台はいよいよ埼玉スタジアムに

こうしていよいよ準決勝、埼玉スタジアムに戦いの場所を移す事となる。

日程の関係から、異例の準々決勝から準決勝が連日の連戦となるが、もはや条件はどのチームも同じ。

準決勝の相手は、隣県・長野の上田西であり、正直なところ、この大会の中では、これまで対戦したどのチームよりも格下といえる。

またキャプテン田部井涼は温存となるかもしれないが、しかしダークホースの格下だからこその大どんでん返しというものもある。

なにせ舞台は準決勝。
もはや簡単な試合など、あるわけがない。

この試合も、良い時間帯に先制できたことが追加点に繋がり、試合の主導権を握れたが、ゼロの時間が長引けば、やはり苦しい展開ともなっていただろう。


気は抜けない。

とにかく、この試合で証明してみせた、史上最高と言える総合力の高さを信じる他ない。

昨年の借りを返しに、決勝の舞台を賭けた準決勝はすぐ明日に迫る。






(18.1.5UP)






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