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2016-2017全国高校サッカー選手権
H29.1.9 決勝
前橋育英(群馬) 0−5 青森山田(青森)


〜内容は勝るも得点の流れで屈辱の大敗〜

横棒



一昨年に続いての決勝進出!!もはや全国制覇しかない!!

準決勝は奇しくも栃木代表・佐野日大との北関東ダービーとなり、なかなか追加点を獲れない予想以上の苦戦を強いられたが、今年の育英らしく粘り強い対応で1−0と競り勝ち、見事一昨年に続く決勝進出となった。

群馬県勢にとって、何度ベスト4まで駒を進めようととも、一昨年まではあれだけ壁の高かった決勝だったが、この3年間で2回決勝進出という事実は本当に感慨深い。


しかし、もうその決勝進出も2回目。
準優勝は一昨年経験した。
あと優勝、全国制覇のみ。

長崎出身で35年前橋育英を率いてきた山田耕介監督を、いよいよ悲願の胴上げさせる時が来たと感じざるを得ない。


正直、一昨年は決勝進出の時点で燃え尽きた感もあり、そしてなんとか延長までは競ったものの、決勝の相手の星稜との力の差も感じられ、優勝まではまだ一歩足りない感覚はあった。

だが、インターハイ1回戦を敗退という、山田監督就任以降の歴史的屈辱となった今年のチームは、周囲からも今年のチームへの諦め感ばかりが膨らむ中、一からスタートしなおし、そして史上最高のバランスの取れたチームへと成長した。

一昨年の凌磨や徳真のような世代別代表や、かつてのようなJリーグ内定者がゴロゴロいるようなタレント集団ではない。

しかし、だからこその個の力に頼らない、連携と運動量を重視した、攻守に素晴らしい連動されたサッカーを体現し、ここまでの5試合、無失点という快進撃を続けてきた。

これまでの準決勝まで、思えばヒーローらしいヒーローなどいない。
前線で素晴らしいポストプレーを見せるFW人見も、2年生エースFW飯島陸も、まさに切り札のジョーカーFW馬場も、キック力と精度を誇るMF高沢も、チームの舵を取るキャプテン大塚、長澤のボランチコンビも、田部井兄弟も、全員2年生という驚くべき松田陸、角田、後藤田、渡邊の4バックも、準々決勝から存在感をみせレギュラーとなったDF小山も、そして無失点記録を支える守護神GK月田も、だからといって誰がヒーローだったのかなんて、誰にも言えないだろう。


ヒーローというヒーローはいない。
そう、チーム全員が、前橋育英サッカー部に関係する方々が全員ヒーローだ。

今年のチームを越えるチームが、来年以降も続く保証などどこにもない。

今年の、この最高のチームで群馬県勢悲願の優勝、全国制覇を成し遂げて欲しい。




DF後藤田復帰の前橋育英

育英は準決勝、発熱で欠場した右サイドバックDF19後藤田がスタメンに復帰。
毎試合スタメンが入れ替わる右サイド、最後の決勝は田部井兄弟の兄、田部井悠となった。


24人見(ひとみ)
10飯島陸
9高沢      25田部井悠
6長澤 7大塚

15渡邊泰基        19後藤田
3角田 5松田陸

1月田




ベンチはFW18馬場、MF11岩下、MF8田部井涼、MF14塩澤、DF16金田、DF4浅賀、DF2小山翔、GK12松本。



プレミアリーグ制覇の青森山田

プレミアリーグ制覇の青森山田の攻撃は点取り屋の鳴海と、ジェフ千葉内定の司令塔・高橋壱晟(いっせい)が共に得点王を争う形で今大会4得点ずつと得点力があり、チームを牽引。
そしてチーム全体の指揮を執るのはキャプテンMF6住永。
4−1−4−1のシステムの1アンカーを務め、度々4バックの間に入っては後方からチームを操る。

しかし一番の注目はFC東京内定のGK廣末であり、今大会No.1キーパーの評価のとおり、安定したセービング能力ももちろんのこと、小学生までFWをやっていたという、そのキックの精度は非常に高いものがあり、準決勝でもDFラインから前線に縦のフィードを送るのはGK廣末という事が徹底されているほど、そのフィード能力は非常に高い。

そして影の注目はMF7郷家(ごうけ)のロングスロー。
3回戦の桐光学園や準決勝東海大仰星なども、ことごとくこのロングスローに屈している。
特に仰星戦では、前後半、左右どちらのスローインでも、ゴールに近い位置からなら常にこのMF7郷家がロングスローを入れる徹底ぶりだったのが大変印象的だった。

しかし、ロングスローの質では、前橋育英のDF15渡邊の方が上であり、このロングスロー対策はしっかり立てている事と信じたいところだが、180cm以上が5人揃う青森山田の高さも脅威だ。



11鳴海

14住川 7郷家 10高橋壱 8嵯峨
6住永

5三国スティビアエブス     3小山新
13小山内 4橋本

1廣末



立ち上がりの奇襲から攻勢も、高沢の1対1は入らず

キックオフは青森山田。
準決勝でも見たが、青森山田のキックオフは特徴的で、フィールド全員がセンターラインに真横に並び、GK廣末が一気に前線にボールを送り出すというものだが、なんとそのキックオフの裏を突き、FW24人見が猛突進でこのキックをブロックにいき、狙い通り頭に当たって跳ね返ったボールが無人のゴール方向へ転がるという奇襲が成功する。

しかし惜しくもこのブロックしたボールは転々と転がり、右バーの右を逸れる。

だが、この奇襲が青森山田の動揺を誘ったか、序盤はかなり前橋育英ペースとなり、人見のポストから一気に分厚い攻撃を仕掛け、高沢の左サイドからのアタックや、渡邊のクロスなどが青森のゴールを脅かす。

5分にはCKの流れから高沢が右サイドから送ったクロスにMF25田部井悠のヘディングシュートは惜しくもバーの左を逸れる。

12分、青森のCKを跳ね返した後からカウンターを入れるが、FW10飯島の人見へのパスがズレ、シュートまではもっていけず。

立ち上がりの時間帯はほぼ完ぺきに青森の攻撃をシャットダウンし、チーム全体でパスをつなぐ攻撃に繋げている。


そして決定的だったのは16分、左サイドでFW24人見からの絶妙な浮き球のパスを受けたMF9高沢が見事に抜け出し、GKとの1対1となるも、このシュートはGK廣末が足でブロックするスーパーセーブでゴールならず!!
いや〜それ入らないか〜
ここは是非とも決めておきたかった。
特にこの時間帯、かなり育英のペースとなっているので、ここで先制点を奪うかどうかが鍵を握る時間帯となった。



コース変わる不運で青森山田に先制される

そして23分だった。
前橋育英の攻撃のペースに慣れてきた青森は徐々にペースを掴み、右サイドからの折り返しをペナルティ中央で受けたMF10高橋が左足を一閃させて放ったシュート、GK月田もコースに反応はしていたものの、その手前でブロックに入ったDFに当たってコースが変わり、無情にもGK月田の逆にゴールが決まってしまう。


・・・・・・・!!!???・・・・・・・・


なんと、、、やはり先ほどのGKとの1対1を外した流れがここに出た。
DFが触れなければおそらく月田はセーブしていただろうが、こういった不運なゴールとなってしまうのが試合の流れというもの。

非常に悔しい先制献上となってしまった。


この直後の27分、右サイドからのクロスをGK廣末とFW24人見が競り合い、廣末がこぼしたボールをMF9高沢が拾ってゴールライン際からのマイナスの折り返しに、MF7大塚が詰めていったシュートはなんとふかしてしまい、ゴールバーを越えていく。

お、、大塚、、、

なぜ高沢の1対1、そしてこの大塚と、育英の入れるしかない決定機はことごとく入らない・・・

やはり流れの悪さが随所にみられる。




前半終了間際、得点機逸失からの追加点・・・

さらに育英は同点を狙いにいき、ペナルティ手前中央で得たFK、DF3角田が左でフワッと送ったファーへのボールに、DF5松田陸がボレーシュートにいき、これはややミートせずバーの上を越えてしまう。
う〜ん、これも惜しい!!


育英は前半終了間際の45分、右CKを得るとMF9高沢のキックがゴール前のDF3角田の足元に収まり、GK廣末も逆を突かれていた中、あとはゴールに押し込むだけだったが、なんとギリギリのDF5三国スティビアのブロックにより、シュートならず。

この決定機逸失の後のゴールキックから、跳ね返ったボールを拾われ、すかさずワンツーから抜け出され、MF8嵯峨にペナルティ内右で滑り込みながらのシュートを放たれ、これが転々とゴール左に・・・


・・・・・またか・・・・

また得点機逸失からの失点か・・・
しかもこの前半終了間際の時間帯という、サッカーにおいて最悪の時間帯での追加失点・・・


こうして育英は青森山田の倍以上の得点機がありながらも1点も入れられず、そして青森山田は2回の得点機を全て決めるという、本当に最悪の流れによって2点ビハインドでの折り返しとなる。


2失点目は本当に余計な失点となってしまったが、しかし2点差は高校サッカーならばすぐに取り返せる得点差。

内容は勝っているのだから、自分たちのサッカーを信じ、後半に戦えるかだ。







後半、GK廣末のキックから鳴海の2得点で勝負が決まる

後半、やはり前半終了間際の失点が効いているのか、前半のようにセカンドボールをなかなか拾えない展開が増え、流れが更に悪くなっている感がある。

7分には青森の左サイドからの攻撃から、中央でFW11鳴海がボールを受けてからのシュートは右のバーを直撃し、致命的な3失点目はどうにか免れる。

流れが変わらないとみるや、育英はここで1人目の交代、MF25田部井悠に代えて、準決勝はスタメンだったMF11岩下を投入。


しかし12分、GK廣末のパントキックがピンポイントで右サイドに渡り、ショートクロスからゴール前でFW11鳴海が胸でのワントラップ後にそのままの右足でのシュートがそのままゴール左に突き刺さる。


これで3失点目・・・


しかしこれだけではなかった。
この失点直後のGK廣末のキックからMF7郷家が競ったボールがペナルティ右に流れ、そのままFW11鳴海が先ほどの位置と同じような場所でのシュートがまたしてもゴールに突き刺さる。


4、、、4失点、、、、

正直、この試合の勝敗がここでハッキリ決した。

どちらもGK廣末のキックを起点とした速攻であり、これほどまでにGKのキックが重要となるのか・・・と驚かせられた連続失点だった。

これで鳴海はこの大会6得点となり、高橋の5点を抜いて得点王となる。

しかし、、、やはり前半終了間際の2失点目があまりに致命的だった。
あそこで育英が同点に追いつていれば試合は全く違ったものになっただろうに、本当に悔やまれる。



やれることはやり切る姿勢をみせる育英

16分、青森はアクシデントがあり倒れたMF8嵯峨に代わりMF18檀崎(たんざき)が入る。

絶望的な状況となってしまった育英だが、しかしこの決勝という舞台でこのままでは終われない。
18分、DF19後藤田に代えてDF2小山翔が入り、準決勝と同じくDF5松田陸が右サイドに回る布陣に変更する。

正直、自分としてはスタメンからこのメンバーでいくべきだと思っていた。
発熱があったという後藤田が、どうもこの試合は本調子で無いような雰囲気が随所に見られたし、せめて後半頭からこれでいっても良かったのではと思うところだった。

22分、右サイドからそのDF5松田陸が攻め上がり、右足で放っていったシュートは惜しくもバーの左。

FW10飯島陸も果敢に両サイドでボールを最後まで追い、気持ちを見せる。

そうだ、飯島や松田らは、まだ来年ここに帰ってきてもらわなくてはいけない。
戦いは今年だけではない。
たとえこの試合負けようとも、この試合でやれるだけのことはやり切らないといけない。

25分にはMF6長澤がワンツーで抜け出し、マークを相手に切り替えてから左での技ありのシュートは惜しくもバーの左。


28分、育英は3人目の交代、FW10飯島陸に代えてMF8田部井涼が入る。
田部井涼は来年のキャプテン候補とのこと。
交代した2年生エース飯島陸はベンチで悔し涙を見せる。
飯島、この悔しさは来年、またこの決勝の舞台で晴らしてくれ・・・!!



最後までどうしても得点ならず試合終了

31分、右サイドからDF5松田陸が攻め上がり起点となると、一度戻してからクロスを上げると、FW24人見があと一歩まで詰め寄り、こぼれ球を再度MF9高沢がドリブルでゴールライン際まで入ってからのマイナスのクロスに、ゴール前でMF7大塚のヘディングシュートはほんのわずかバーの上。

なぜこれも入らない???

本当に、これがやはりサッカーなのかという無念の得点機逸失が続く試練の育英。
このあまりの劣勢の中でも、どうにか得点という爪痕を残して来年に繋げられるか。


38分、育英は最後の切り札FW18馬場をMF6長澤に代えて投入し、いよいよ最後の攻撃を託す。

それにしても、このジョーカー馬場は本当ならばもっと1点を争う場面で投入してやる流れを作りたかった・・・

対して青森はMF14住川やFW11鳴海ら攻撃陣を下げて、いよいよ守備固めに入ってくる。


43分、青森山田は右サイドで育英が攻撃にいきかかったところをカットし、そのままFW9佐々木快のシュートがゴール左に突き刺さり5得点目となる。

45分、今度は育英、FW18馬場が思い切り右足を振りぬいて巻いていったシュートはバーのやや右上。


アディショナルタイムは4分。
最後まで育英も攻め続け、5点差と余裕のある青森山田も時間稼ぎの必要はないと最後まで共に攻め合い、そしてタイムアップを迎え、決勝は0−5という屈辱的な大敗に終わった。




全国制覇の戦いは続く

本当に悔しい大敗となった。

内容的にはとても5点差の試合ではなかったが、とにかく前半終了間際の得点機逸失、そしてその直後の2失点目が全てを表していた。

決めるべきところで決めないと負ける、というサッカーの定石を本当によく表した試合だった。


数々のあの1点が入っていれば、と悔やまれる場面ばかりであり、そして20回目の全国選手権もまた準優勝で終わってしまった悔しさが残る。


まだか・・・まだ山田耕介監督の胴上げはまだ早いということなのか・・・

ベスト4の壁を打ち破るのにも、30年以上の時間を要したが、今度はこの全国制覇への壁を打ち破る挑戦の道筋が、この試合でハッキリ見えた感はある。


とにかく、この悔しさを晴らすのには来年しかない。

この最高のバランスを持った今年のチームで是非とも全国制覇を成し遂げて欲しかったが、こうなってしまっては、やはり来年のチームに託すしかない。


次の世代の代表に選ばれてくるのでは、というほどの逸材っぷりをこの大会で見せつけたDF5松田陸やDF15渡邊をはじめ、DF3角田、DF19後藤田の4バックはそのまま来年も4バックを組むだろうし、中盤には田部井兄弟が、前線にはエース飯島陸がいる。

決勝の舞台を経験した2年生レギュラー7人がそのまま次も戦える来年のチームが、どういったチームに成長してくれるか。

前橋育英の、群馬県勢の悲願の全国制覇の夢はまだ終わらない。



最後に今年のチームの選手達へ、明らかに総合力では前橋育英が一番だった。
あと少しの流れの差さえあれば、優勝は前橋育英だった。
ここまで戦えた経験を糧に、準優勝を誇りに、今後のサッカー人生で活躍して欲しい。
(何人かザスパは獲れないものかホントに・・・人見、馬場、高沢、大塚、長澤、月田、、、誰でも良い、、、)





(17.1.9UP)






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