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2016-2017全国高校サッカー選手権
H29.1.7 準決勝
前橋育英(群馬) 1−0 佐野日大(栃木)


〜守護神のビッグセーブで一昨年に次ぐ決勝進出!!〜

横棒



一昨年の借りを返しに・・・育英再びのベスト4・埼スタ!!

注目選手がいない前橋育英だったが、見事2回戦で夏のインターハイ覇者であり、優勝候補筆頭だった宿敵・市船を因縁のPK戦で倒し、3回戦遠野、準々決勝滝川第二と、強豪達を倒し、ついに一昨年に続くベスト4・埼スタに駒を進めた育英。


一昨年のように、渡辺凌磨も、鈴木徳真もいない。

しかし、だからこその攻守に連携した今年のチームの強さがある。


確かに来年になれば、ベスト4を経験した今年の2年の4バックやエース飯島、田部井兄弟らが3年生になり、優勝候補となるだろう。

だが、今年のチームだからこそ、2年生の主力を3年生がしっかりとカバーし、助け合う、今年のチームだからこそ優勝を狙える力がある。


一昨年、延長までいきながら、最後の最後で涙をのんだ決勝戦の借りを返すために、この準決勝必ずや勝とう。


奇しくも相手は栃木代表の佐野日大。

ザスパ最大のライバル・栃木SCがJ3にいるため、昨年、今年とJ2で叶わなかった北関東ダービーが、この準決勝・埼スタという最高の舞台で繰り広げられる事となる。

このダービーを勝ち抜き、そして一昨年の借りを返しに、忘れ物をとりに決勝へコマを進めたい。


埼玉スタジアム
一昨年に続き現地参戦となりました!!
2年ぶりの埼スタ!!


DF松田右サイド起用の前橋育英

スタメンとしては、右サイドにMF25田部井悠ではなく、この試合ではMF11岩下を起用。

しかし一番驚いたのは、これまで不動のセンターバック起用だった2年DF松田陸が右サイドバックに入っていること。
どうやらここまでの全試合フル出場だったDF19後藤田の体調不良があったようであり、そして前の試合のDF角田の代役で出場したDF小山翔が非常に安定感があったため、角田が戻った後も小山をスタメンで起用するめどが立ち、この松田の右サイドバック起用が実現したのだろう。

ここまで4試合無失点の前橋育英のDF陣、この布陣変更がどう影響するか。



24人見(ひとみ)
10飯島陸
9高沢      11岩下
6長澤 7大塚

15渡邊泰基       5松田陸
2小山翔 3角田

1月田




ベンチはFW18馬場、FW23吾妻、MF25田部井悠、MF8田部井涼、MF14塩澤、MF23池田、DF16金田、DF17松田優希、GK12松本。



超守備的布陣の佐野日大

佐野日大は、栃木の県大会で矢板中央相手に0−3で負けてから標榜しているのが、超守備的サッカーというスタイル。

3−4−3ではあるが、守備の時には両サイドが下がり5−4−1という前線に1人だけ残しての10人で守り抜く守備から、一気にカウンターを狙うサッカーで、ここまで大番狂わせを繰り広げ、ついに準決勝まで進出となった。


元々、ポゼッションサッカーが持ち味となっている前橋育英とは、まさにポゼッションとカウンターの戦いとなるが、いかに焦れずに攻め続け、そしてカウンターに対応できるかがポイントとなる。




7野澤
11大熊   10長崎

3梅澤        9小澤
6飯淵 2小林

5今泉 4福田 14柴崎

1中村


埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
佐野日大の応援席には、ゆるキャラ2013で優勝している”さのまる”の姿も!!



人数をかけて圧倒的に攻め込む前橋育英

佐野日大は基本的にはFW7野澤を1トップに残し、あとは全員が引いてバイタルエリアを徹底的に埋めてスペースを作らず、まさに亀になって守りつつ、カウンターのチャンスとみるやいったんFW7野澤に預けながら、2列目からFW10長崎が一気に駆け上がって少ない手数でゴールを狙ってくるという策。

埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
分厚い守備を敷く佐野日大と攻める前橋育英

開始からやはり攻め込むのは前橋育英、早速3分を過ぎたところでFW10飯島陸がワンバンドのボールをそのまま切り返してからのペナルティ内からのシュートは惜しくもGKの範囲内。


13分にも人数をかけて攻め込んだ育英、左サイドDF15渡邊のクロスからファーで落とし混戦となったところで、MF11岩下が詰めていったシュートはわずかにバーの右を逸れる。
埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
シュートを放つ、この日スタメンのMF11岩下


17分にはMF11岩下が倒され得たペナルティ右手前の絶好の位置でFKのチャンスを得て、これを蹴りにいくのは、やはりプレースキックといえばのMF9高沢。
だが右足で直接狙っていったシュートは壁を越えてバーの上も越してしまう。
やはり高沢としては、もう少し距離があるくらいの方があのキック力は活きるだろう。


25分、中央でうまく相手を囲み奪ったボールからMF7大塚が持ち上がり、左のMF9高沢にボールが渡ると、高沢のシュートは惜しくもバーのほんの右。


人数をかけて圧倒的に攻める育英だが、やはりなかなか佐野日大の守備陣も点を入れさせてもらえない。



守護神・月田のビッグセーブから高沢の先制!!!

そんな28分、佐野日大は一瞬の隙が開いたとみるや、MF2小林がシュートを撃ちにいくも、これはやや威力弱くグランダーとなるも、これをさらにペナルティ手前中央でFW10長崎が受け、ワントラップから反転しながらの右足でのシュートが右上の枠を捉えるが、これをGK1月田がファインセーブ!!!

よく止めた月田!!!!

あのシュート級のパスをワントラップでシュートまで持っていったFW10長崎も相当に凄かったが、そのスペシャルなシュートを見事に止めた絶対的な守護神GK月田も本当にさすがだった。

埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
決定的なビッグセーブでチームを救ったGK月田


このセーブが一気に流れを呼び、30分、DF陣からの縦パスに左サイドで抜けていったエースFW10飯島陸がゴールライン際まで見事なドリブルで切れ込むと、そこからマイナスの折り返しを入れ、そこに走り込んだMF9高沢が見事にこれに詰めたシュートがゴール右に決まる!!!


GOOAAALLLLL!!!!


よく決めた高沢!!!!

この試合、引いて守る相手に対しては、高沢の遠目からも狙えるシュート力は一つの鍵になるだろうと期待していたが、まさにその期待通りとなった。

この試合の一つの目安と捉えていた前半の内の待望の先制が入り、これで引いて守る相手のこの試合、非常に有利に試合を進められる。

埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
MF9高沢のシュート!!



前半は1点リードで折り返し

1点リードされたが、佐野日大はまだやり方を変える必要はなく、しっかりと10人で引いて守って、ここぞというところで人数をかけて攻勢する姿勢は変わらず。
それにしても、どんなに育英がサイドからクロスを上げても、ことごとくゴール前で跳ね返す3バックの堅さはさすが。


対して育英もFW24人見のポストプレーも冴え前線でボールを収めまくり、そして特筆すべきはDF5松田陸の右サイドバックとしての秀逸さ。

これまでのセンターバックのDFリーダーとしての姿では考えられなかったくらい、攻め上がってからの的確なパス、ドリブル、そしてクロスの高い精度と、どれをとっても一級品。
CKなどセットプレー時は175cmながらも的となる役目を与えられるほどヘディングが強い松田陸だが、足元の技術もここまで高いとは、流石過ぎる。
まだ2年だが、次の世代代表に呼ばれる事だろう。
埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
DF5松田陸とFW10長崎(右)
この日、松田はセンターバックだけでなく、サイドバックとしても高い資質を証明してみせた


こうして、育英は1人1人がしっかりと役割を果たしながら前半は1点リードでの折り返しとなる。


とにかくGK月田の、あのビッグセーブがターニングポイントだった。

あのセーブのおかげで一気に試合の流れが動き、飯島のドリブルで佐野日大の守備陣に綻びを生じさせ、この試合のキーマン・高沢が見事に決めてくれた。

月田も高沢も前橋FC出身の地元プレーヤーであり、この2人の活躍でもぎとった1点をしっかり守りつつ、後半追加点を狙いたい。



埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
この日も優れたドリブル突破から先制をアシストしたFW10飯島陸と、ポストプレーが冴えわたったFW24人見



後半、なかなか追加点ならず長崎のカウンターが冴えてくる

後半に入り、1点負けている佐野日大もやや守備のプレスの迫力を上げて、守備からの速攻というところをより強く狙ってくる。


6分、育英は右サイドでの連携プレーでパスをダイレクトに回し、ゴール前右でMF11岩下が放ったシュートは惜しくもブロックにあう。

さらに7分には左サイドDF15渡邊からのクロスに、FW24人見のヘディングシュートは、GK中村の右手一本でのファインセーブで止められる!!
これはGKを褒めるしかない、非常に惜しい場面だった。

12分、またも左サイドからのクロスからゴール前混戦となり、人見、大塚らがシュートを狙っていくも、ことごくブロックされる。

なかなか追加点が獲れないとみるや、13分、前橋育英・山田監督は1人目の選手交代、MF11岩下に代えてMF25田部井悠を投入。


この一連のシュートが入らなかった事から、後半の流れは徐々に佐野日大に流れる事となり、特にFW10長崎が前線で執拗にボールを追うようになり、ショートカウンター気味に攻め込まれる危ない場面も作られる。

14分には中央でFW11大熊がカットしたボールから、FW10長崎が抜け出し、ゴール左まで詰め寄るも、GK月田がギリギリのところでセーブ。

これを佐野日大は狙っているわけで、この佐野日大のカウンターは非常に怖い。




佐野日大の長崎が襲いかかる

18分、徐々に流れがきだした佐野日大も1人目の交代、MF9小澤に代えてMF8赤間を投入。

この時間帯、佐野日大は左サイドを中心に前線で起点を作り、佐野日大の攻撃の時間がかなり増えてくる。

23分、佐野日大はさらに2人目の交代、FW11大熊に代えてFW21本石を投入。


26分、育英は左サイドからのDF15渡邊の伸びのあるスローが裏に渡り、そこからMF25田部井悠がペナルティエリア左で切り替えしてからの右足でのシュートはほんのわずか右上外に逸れる。
惜しい!!非常に良いシュートだった。

埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
MF里見以来のロケットスロー系のロングスローを投げる事ができるDF15渡邊


28分、前橋育英も2人目の交代、FW10飯島陸に代えてMF8田部井涼を投入。
田部井涼は右サイドに入り、田部井悠が2トップに入り、双子が同時に準決勝、埼スタの地に立つこととなる。


時間が経過するほど、気づけばまだ1点しか点を獲れていない事に焦りも出てくる。

33分、ボランチ陣のパスミスを突かれ、これをカットされてFW10長崎に決定的なパスが渡りそうになるも、下がりながらの守備となったDF陣がこれを殊勲モノのカットで食い止める。
このミスと、ピンチは非常に危なかった。





佐野日大の反撃を食い止め、育英決勝進出!!

38分、佐野日大の縦パスにFW10長崎が絶妙のスタートを切り、抜けられそうになるも、DF3角田が戻りながらのカバーリングでこれをギリギリカットする。
先ほどのパスカットもだが、戻りながらのカバーの守備がこの試合では光っていたのも大きな収穫。


育英も39分、左CKのチャンスにMF9高沢のキックから、DF5松田のバックヘッドでのシュートはGK中村がファインセーブで止める。

40分、育英はFW24人見に代えてFW18馬場を投入。
おそらく山田監督としては、1枚イエローをもらっている人見は、決勝のためになるべく早く下げて温存すべく、2点目のリードを待っていたのだろうが、なかなか点が入らないばかりにこの時間帯となった。


42分、DFラインからの縦パス一本に抜け出したFW10長崎に対し、今度はDF2小山翔が戻りながらのカバーでこれを食い止める。
それにしても長崎のここ一番でのスピードはさすがであり、チームを準決勝まで導いただけのことはある。


佐野日大はDF14柴崎に代えてDF13原を投入し、180cmの原をそのまま前線に上げていよいよパワープレイ。
佐野日大の応援席も、日大名物応援歌マグナをこの終盤でやり続ける意気込みでイレブンを鼓舞させる。


45分、FW10長崎が右サイドをスピードで抜け出し、クロスを上げられるも、これはかろうじてバーの上をかすめていく。


アディショナルタイムは3分、育英も極力サイドで時間をかけつつ、守りでは自慢の4バックがしっかりと鍵をかけ、そしてついにタイムアップ。


こうして奇しくも北関東ダービーとなった準決勝で、結果的には1点のリードを守る形で前橋育英が一昨年に次ぐ決勝進出となった。


埼玉スタジアム 前橋育英VS佐野日大 準決勝
ヒーローインタビューの決勝点を決めたMF9高沢



一昨年の忘れ物を取りに・・・初の全国制覇は今年しかない!!

試合が終わり、キャプテンMF7大塚が足をひきずりながらピッチを早々に下がるシーンも心配されるところだが、よく総合力で守り、攻め、決勝へ進出することとなった。

佐野日大は予想以上に強く、やはりさすがは準決勝、そうは簡単に勝たせてもらえない。
正直、前半に先制を決められたので、この試合は最低でも2−0、もしくは3−0までいけると思えたが、しかしここまで勝ち進んできた佐野日大の徹底された守備力はさすがだった。

試合の最大のターニングポイントは、明らかにあの守護神GK月田のビッグセーブ。
あのセーブが高沢の先制を呼び込んだ。


それにしても、またもや決勝進出・・・

一昨年まであれだけ夢見た決勝の舞台が、もはや当たり前のところまで来ている現状が信じられない。

一昨年、自分も準決勝に続き決勝戦も観に行ったわけだが、あの延長にいきながらも惜しくも優勝を逃した悔しさは忘れはしない。


やはり今年の育英の総合的なバランスは最高だ。

これだけ攻守にバランスの取れた高校チームなど見たことがない。

奇跡的なバランスで成り立っていると言っていい。

その結果が5試合無失点という記録であり、そしてあの当時の育英も点が獲れなかった1999-2000の市船以来の無失点優勝が目前と迫っている。


今の数多くの2年生レギュラーが3年となる来年も、この最高のバランスが取れている保証などどこにもない。

今年こそがチャンスだ。

今年こそ、、、今年こそ山田監督の悲願の胴上げを見たい。












(17.1.8UP)






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