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宿敵市船を破り、もはや狙うは優勝のみ
19年前、準決勝でPK戦で敗れた宿敵市船に、因縁のPK戦で撃破し3回戦に駒を進めた前橋育英。
Jリーグ内定者3名を擁し、夏のインターハイを制した優勝候補筆頭の市船を倒した強さは本物だ。
敗れていった市船のためにも、あの2回戦が実質の決勝だったと言わしめさせるためには、もはや優勝しかない。
3回戦の相手・遠野は2回戦からなので、まだこの試合が2戦目となり、3連戦となる育英は分が悪いが、市船を破ったチームがそんな弱音を吐いている場合ではない。
この試合を突破し、昨年と同じベスト8にまずは肩を並べたい。
田部井悠スタメンの前橋育英
昨日の試合から連戦となる育英は、右サイドだけ双子の兄、MF25田部井悠に代える。
その他は同じスタメン。
しかし、やはり注目なのは後半投入されるであろう、ジョーカーFW18馬場か。
注意はDF3角田が前の試合で1枚イエローをもらっているので、あと1枚もらうと勝っても準々決勝に出られないところ。
24人見(ひとみ)
10飯島陸
9高沢 25田部井悠
6長澤 7大塚
15渡邊泰基 19後藤田
3角田 5松田陸
1月田
ベンチはFW26室井、FW18馬場、FW23吾妻、MF11岩下、MF8田部井涼、MF14塩澤、DF16金田、DF2小山、GK12松本。
個人技の高い岩手代表の遠野
岩手は個人技の高い選手が揃い、足元のテクニックを使ったドリブルが鋭いという下馬評。
特にFW9佐々木琢光(たくみ)がエースストライカーとのことで、ここは要注意。
まだ遠野は2戦目であるため、連戦3戦目となっている育英にとっては、この試合が一番苦しいところか。
特に後半の足の疲れが気になるところだが、高校生にとっては昨日の疲れなど無縁か。
11阿部 9佐々木琢
14佐々木渓人 8青沼
7浅沼 10千田
6瀬川 2五嶋
3高橋 4沢里
1菊池
開始直後、いきなりCKから先制!!
キックオフ開始直後、DF19後藤田のクロスから最初のCKを得ると、MF9高沢のキックからニアのところでDF15渡邊らが絡んでボールがこぼれると、その後ろからDF3角田が右足で詰めて、これをいきなり決める!!!
GOOAAALLLLL!!!!
開始2分でのいきなりの先制!!!
市船戦は惜しいシュートが何本もあったものの、GKをはじめとした堅守に阻まれたが、この試合ではきっちりと早々に得点し、幸先の良いスタートとなった。
角田痛恨の累積2枚目のイエロー
だが9分、跳ねてきたボールに思わず手が出てしまったDF3角田にイエローが提示され、冒頭に書いたとおり、これで累積2枚目となるため、なんと勝っても次の準々決勝、角田を欠くこととなる。
レギュラーのセンターバックの欠場・・・以前にもあったな・・・同じようにセンターバックが欠場し、そこで守備の安定が崩れ敢え無く敗退した年が・・・
まずはこの試合を勝ってからの話だが、しかしこれは痛い。
これも優勝するための試練か・・・
その後は15分には右サイドからのクロスにFW24人見が詰めたり、16分にも人見が落としたところにMF7大塚が詰めていって、あと一歩までゴール前に詰め寄る。
さらに20分頃には連携の取れた連続攻撃を何本も遠野のバイタルエリア付近で繰り広げ、人見のヒールでの落としや、田部井悠の2人のマークを振り切っての決定的なマイナスの折り返しなど、この試合を決定付ける2点目の追加点まであと一歩惜しいところまで詰め寄る。
圧倒紀に攻め続けるも追加点獲れず前半折り返し
育英が圧倒的に攻め続けるため、ほとんどチャンスを作れない遠野は、31分にようやく左サイドのクロスからFW9佐々木琢がヘディングシュートにいけるものの、ここにはしっかりとGK月田が競りに行き潰す。
この守護神の好セーブの直後、今度は育英が前線へのパスからFW10飯島が素晴らしいトラップからの2、3人のマーク相手の右足でのシュートは、惜しくもバーの右上をわずかに越す。
さらに35分、自陣から入ったパスを相手がクリアしそこねたボールがワンバンドしたところに、田部井悠がそのままドライブを利かせたループシュートを放っていき、相手GKも前に出ていたため届かないところで、ボールはバーの上を直撃!!!
この一瞬の隙を逃さず、しかも相手GKの位置がしっかりと頭に入っているという、判断力の速さと技術が光った決定的なシュートシーンだった。
39分の前半終了間際、DF5松田からのクリア気味のパスがそのまま前線へと繋がり、これに詰めていったFW10飯島がうまく抜け出す形となり、ペナルティ内ギリギリまで飛び出してきたGK菊池に倒されるも、これはわずかにボールにいっていたという判断か、惜しくもPKまではもらえない。
こうして前半はタイムアップとなり、開始直後の1点によるリードで折り返しとなる。
正直、先制の後からの数々の決定機に、この試合何点入るか・・・というイメージまで持ってしまったが、相手遠野もさすが3回戦まで駒を進めただけのことはあり、苦しいながらもしっかりと育英の攻撃に対応し、最少失点に抑えての前半折り返しとなった。
育英としては、とにかく後半早い時間帯でしっかりと追加点を獲り、この試合決めるのが大事となる。
後半、遠野に連続の決定的シュートを撃たれる
後半開始、いきなり後半1分にDF15渡邊のロングスローが入り、ニアで惜しい競り合いとなる。
それにしてもこの渡邊のロングスローは1戦目から何度も観ているが、ストレート系、ロケットスロー系の非常に良い球筋のロングスローであり、安定感もある。
攻撃も守備も高い次元でこなしながらのこのロングスローという飛び道具を持ち合わせる渡邊が、まだ2年生というところが素晴らしい。
5分にも連続攻撃となった育英は、MF25田部井悠が3人のマークを相手にかわしていき、左足でのシュートは惜しくもほんのわずかバーの左。
チャンスを逃し続けると、やはりピンチが待っている。
6分、左サイドからの縦パスに抜け出したFW11阿部が素晴らしいトラップで一瞬でマイボールとすると、GK月田との1対1となり、月田も一か八か腕を伸ばしてプレッシャーをかけるしかない中での阿部の決定的なシュートは、どうにかバーのわずかに左を逸れてくれて命拾い。
やはり追加点を早めに獲らなければ、どんどんこういったピンチは生まれてきてしまう。
さらに9分、遠野はMF7浅沼のパスからFW9佐々木琢が抜け出してからのシュートは、これまた決定機的なシュートとなるも、バーのわずか右に。
この遠野の流れを断ち切るために、山田監督は早めの1人目の投入で11分にMF25田部井悠に代えてジョーカーFW18馬場を投入する。
これで意気を吹き返した育英は馬場を起点にした攻撃から早速CKを得る勢いとなる。
このCK、高沢のキックからゴール前でのFW24人見と相手DFの競り合いでのボールはわずかにバーの右。
さらに続くCK、今度はDF3角田のヘディングシュートがしっかりと枠を捉えるも、GK菊池がファインセーブでこれをはじき出す!!!
惜しい!!!!
何本もギリギリのセーブをしてきた相手GK菊池も、いよいよノッてきてしまったか。
とにかく追加点が遠い育英。
流れがなかなか断ち切れない中、山田監督は2人目の交代、FW10飯島陸に代えて、MF8田部井涼を投入。
遠野の決定的なシュートが育英を襲う
GK菊池のファインセーブにまたしても息を吹き返した遠野は、速攻の流れからMF14佐々木渓人がドリブルで抜け出し、シュートはギリギリGK月田が抑える。
うーん、育英が圧倒的に攻めていた前半と違って、この後半はかなり互角の展開とされてしまっている。
やはり前半を1失点で抑えた遠野と、連戦の疲れがいよいよ後半に出始めた育英か、といったところ。
19分、遠野が1人目の交代、再三鋭いドリブルを見せていたMF14佐々木渓人に代えてMF15高原が投入され、高原はボランチに、右にはMF7浅沼が移る。
23分、その右サイドに回ったばかりのMF7浅沼が左足でのアウトでクロスを上げ、FW9佐々木琢の飛び込みはあと一歩届かず。
アウトサイドであれほどのキックを蹴ってしまうとは・・・さすが個人技の遠野のテクニックは高い。
本当に危ない決定的な場面だった。
育英も負けておらず、24分には左サイドからFW18馬場の突破からニアで受けたFW24人見が回転しながらの技ありのシュートは惜しくもバーの左。
そして30分、遠野は右サイドMF7浅沼からの前線中央へのパスに見事に抜け出したFW11阿部の、この試合一番の決定的なシュートを放ち、これはさすがにもう決められたか!!!!と覚悟するしかなかったが、なんとギリギリバーの左を逸れてくれて、本当に命拾い。
この試合、両チームとも極端にゴールだけがあと一歩遠い。
とても開始2分で先制点が入ったとは思えない試合展開。
本当ならば、2点差、3点差にして、次の試合出られないDF3角田に代えて、その代りに入るであろうDF2小山を投入し、準々決勝に備えたいところだが、なかなかそんな状況にさせてもらえない。
33分、遠野はMF8青沼に代えてFW20立花を投入。
1点を死守する形で準々決勝進出!!!
残り時間も5分となってきた35分、山田監督もいよいよ動き、MF6長澤に代えてDF2小山を投入。
本当は先ほど書いた通り、角田と代えてセンターバックでやらせたかっただろうが、ここはアンカーの位置に入り、守備固めの様相となる。
遠野もこれに合わせるように3枚目の交代、DF6瀬川に代えてDF12遠山を投入。
37分、山田監督は4人目の交代、MF9高沢に代えてMF11岩下を投入。
39分、FW20立花がワントラップのそのままドリブルに移ろうとしたところを思わずDF2小山が倒してしまい、イエローと共にFKを献上。
このペナルティエリア手前左の絶好の位置でのFKとなってしまった中、MF7浅沼が左足で直接狙っていったシュートはGK月田がこれは読んでおり、こぼすことなく正面でしっかり収める。
試合はそのまま3分間のアディショナルタイムへ。
育英もいよいよここは守り切るしかないと、サイドで時間を稼ぐプレーが増えつつ、いざとなったら馬場らが決定的な追加点を狙う。
しかし時間稼ぎも簡単に出来るものではない。
ここは育英のこれまで培ったテクニックを駆使し、本当に粘り強くCKやスローインを泥臭く奪っていく。
こうして最後はヒヤヒヤした展開となったが、最後の最後、ロスタイムに入ってからはまともに遠野に攻撃に入らせず、タイムアップを迎えることとなり、見事に準々決勝に進出する事となった。
さいたまスタジアムまであと1勝
こうして準々決勝進出、昨年に並ぶベスト8となった。
あと1勝で準決勝、さいスタに行ける。
幸先よく先制点を奪った時は、この試合かなり楽な試合になるのではと、観ているこちらも思わず気を緩む雰囲気となってしまったが、その後は遠野に粘られ、追加点を獲れなかった事が苦しい展開としてしまった。
この追加点を獲りきれなかった事、またその前の市船戦も無得点だったという事の決定力といった点は懸案点として残る、
しかし、厳しい中でも守り切って1−0で逃げ切るというのは、サッカーにおいて非常に重要な事であり、チームの成長にも繋がる。
やはり一番の問題は、その守備を支えてきたセンターバックの一角・DF3角田が準々決勝に出られないという事だろう。
その代役と期待のかかるDF2小山も、この試合で早速イエローを受けてしまっているところからも、万全の準備が整っている状況とは言えない。
だが、ここを越えてこそのベスト4・さいスタ、そして優勝だ。
次の相手は育英とは対照的に、ここまで圧倒的な攻撃力からの得点差で勝ち進んできた滝川二高。
準々決勝以上となれば、どこと当たっても優勝候補の強豪ばかりとなるが、今のチームの力を出し切って欲しい。
(17.1.3UP)
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