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2015-2016全国高校サッカー選手権
H28.1.3 第3回戦
前橋育英(群馬) 3−1 帝京第三(山梨)


〜レフティー金子拓郎のドリブルから堅守を打破!!〜

横棒



強敵大津を倒し3回戦の前橋育英

難しい初戦となった昨日の2回戦、特に相手の熊本代表の大津は一美、野田とガンバ内定のU−18代表を2人擁するタレント集団だった。

その大津相手に、メッシ横澤のドリブル突破から2度先制しつつも、2度追いつかれるという大変苦しい展開の中、ロスタイムに勝負も決めたのもやはりメッシ横澤。
ゴールライン際からの決定的なゴール前への折り返しは本当に見事の一言だった。

完全に切り札的なジョーカーの存在となった横澤を中心として、チーム全体で点を獲る事ができるのが今年の前橋育英の強み。

このまま勝ち進んで、昨年の準優勝を上回る優勝に向かっていきたい。



GKを入れ替える前橋育英

育英はほぼ昨日の2回戦のとおりだが、手痛い2失点目のトンネルのミスをしたGK山岸に代えて、PK要員としてロスタイムで交代出場したGK平田が先発となる。

また、昨日はベンチにGKを2人置くという珍しい体制だったが、山岸がベンチに入る事で万が一も大丈夫とのことか、この試合では普通にベンチにはGK1人体制。




11野口
10横澤
13金子拓郎   9佐藤誠司
8大塚 5尾ノ上

7吉田         15綿引(わたひき)
4大平陸 3小畑

12平田



ベンチはFW23田端、FW17馬場、MF18外林、MF14関川、MF19高橋、MF6井上、DF29渡邊泰、DF16大畑、GK1山岸。



爆発的な得点力を誇る帝京第三

山梨代表の帝京第三はこれまでの全国選手権で3回ベスト16になっており、ベスト8以上が目標とのことで、この試合がまさにベスト8への試合となる。
だが、そんな目標があまりに控えめに聞こえるほど、これまで爆発的な得点力で山梨県大会、そして1回戦、2回戦と圧勝で勝ち進み、1回戦の高松南に3−0、2回戦の山口鴻城に8−0と驚くべき得点を誇る。

FW7梅田が絶対的エースということだが、両ひざが怪我がちになっているようであり、昨日の2回戦は温存されたとのこと。
エース温存で8−0で2回戦を勝つチームなんてそうは無い。

そのエース梅田に代わって、2試合通算で5得点を挙げているMF村上光樹にも要注意となる。


20泊谷(とまりや)7梅田

14山元     11村上
 10加藤 2吉野

3穂坂          6木村
5鮫島 4山下

17松本



堅守も誇る帝京第三に苦しむ

開始3分、帝京第三の鋭いCKを跳ね返した育英は、左サイドからMF9佐藤誠司が鋭いドリブルで駆け上がるカウンターを決め、ゴール前左からの決定的な折り返しにあとはFW11野口が決めるだけ、といったところだったが、野口が大事に合わせにいったシュートはなんとゴール右。
うわ〜、開始早々だったが、それは決めないとダメだ、野口・・・

帝京第三はこれまで圧勝で勝ってきただけに、先制を育英が獲れば相当に精神的なダメージを与えられるだろうが、逆に先制を与えてしまうと攻撃力に火が着いてしまうため、先制が非常に重要な意味を持つ試合となるだけに、とにかく先制点が欲しい。


それにしても、帝京第三、どうしてもこれまでの爆発的な得点力に目がいってしまうところだが、そもそも帝京第三の売りは本来堅守とのことで、なるほど、しっかりとしたゾーンディフェンスがチームに浸透しており、逆サイドのスペースも含めてほとんどスペースを与えない徹底ぶりはさすが。

さすがの育英もなかなか中盤でボールが繋がらない。


19分、その帝京第三の前線からの激しいプレスをGK平田含めた細かいDFラインでのパス回しで繋ぎ、左サイドの金子拓郎まで繋げると、そのまま金子の突破からのゴール前への折り返しに野口が詰めるも惜しくもオフサイド。
かなりリスキーな最終ラインでのパス回しだったが、これをやってしまうところは育英のポゼッションの自信ゆえか。




金子拓郎の2度のフェイントからのクロスにエース横澤が決め先制!!

それにしてもなかなか手ごわい帝京第三。
とりあえずこの前半はゼロにさえ抑えられれば御の字かと思われた25分だった。
左サイドからMF13金子拓郎がドリブルで攻め上がり、ペナルティ左外に来たところでマークに付いたDF6木村をまずキックフェイントでかわし、ここでクロスを上げるかと思いきや、なんともう一度切り返して利き足の左に持ち替えてからの、フワリとした軟らかいクロスがそのままループシュートとなってゴールに入るかと思うような軌道から、ゴールファーに入ってきたFW10横澤が見事に詰める!!


GOOAAALLLLL!!!!


すげえ・・・金子拓郎のあの2度のフェイントはなんなんだ・・・
さすがに堅守を誇る帝京第三も、このまさかの2度目のフェイントで完全に崩された。
そして、昨日は3度のゴールシーンの全てに絡みながらも、自身のゴールは無かったが、2試合目にしてついにエースが自ら決めてみせた。
また、昨日の試合は明らかに佐藤誠司などの右サイドが育英の武器となっていたが、この試合では逆に左サイドの金子拓郎がキーマンになれるというところが、やはり今年の育英の強み。
MF13金子拓郎も、さすが育英のエースナンバー、13を背負うだけの事はある。

先ほど書いたとおり、この先制はこれまで圧勝で勝ち上がってきた相手にとっては本当に大きい。

あとは昨日の試合の二の舞とならないように、得点後の失点に気を付けるのみ。
前半をゼロで抑えられれば相当にこの試合有利になる。



更に30分にも再び左サイドからMF13金子拓郎が上がり、ファーへのクロスにMF9佐藤誠司がダイレクトに折り返すと、ゴール左に詰めていたFW10横澤が合わせにいったシュートは惜しくもバーの左にほんのわずかに逸れる。



帝京第三のシュートはバーに阻まれ前半はリードで折り返し

37分、帝京第三は右サイドからワンタッチで繋ぎ、ペナルティ右に侵入してからの折り返しにMF10加藤が詰めていったシュートは入ってしまったかと思われたが、なんと上のバーに直撃で助けられ、さらにシュートを浴びるも、これはGK平田が正面で抑え難を逃れる。


こうして帝京第三にも最大の決定機を与えてしまったものの、どうにか前半はゼロに抑え1点リードでの折り返しとなる。

相手の攻撃力を考えると、ゼロに抑えるのは相当に厳しい。
後半、先制している間に、どうにか追加点を入れて試合を決めたい。



後半頭、共にポスト役を代える

後半開始から、なんと両チーム共に選手交代。

帝京第三はFW20泊谷に代えてDF19松本大輔を入れる。

対する前橋育英は、前半決定機でどうも噛み合わなかった1トップのFW11野口に代えて、昨日決勝点を挙げた2年生FW17馬場を投入し追加点を狙っていく。
馬場は182cmと上背もあるため、ポストの役目もある。


試合が開始されると、てっきり帝京第三はDF松本を入れることで、ポジションをスライドさせてこの大会で得点力が絶大のラッキーボーイMF11村上を2トップに入れるのだろうと思ったが、なんとDF登録の松本がそのまま前線に入り、ポスト役となる。

つまり、両チーム共にポストワーカーを代えたということか。

それだけ前半は共にポストが活きなかった表れであり、つまりは互いの守備がしっかりと相手のストロングポイントを抑えていたという証明。

(ただ、試合後の山田監督のコメントからすると、単に野口が前半頭を打ったから、といっていたが、半分は謙遜ではないだろうか)


またしても金子拓郎圧巻のフェイントから吉田が決め追加点!!!

後半9分、育英は左CKからショートコーナーを使い、ヒールで落としてから尾ノ上がもう一度蹴りにいく作戦をとるが、なんと尾ノ上が走る方向とは逆に落とされ、明らかなサインミス。

前半にもニアにゴロで転がすトリックプレーを用いながら、誰もそこに詰めていなかったが、どうやら前橋育英、セットプレーだけの合宿も組んだほどにセットプレーには自信を持っているようだが、ここまでの2試合ではあまり成果が見られない・・・


しかし10分、左サイドからFKを掴むと、MF5尾ノ上のキックがゴールファーの右を捉え、GK松本もこれははじくのがやっと。
そしてこれを拾った育英は、MF13金子拓郎がゴール前右の、3人に囲まれた中で、直角フェイントをなんと3回連続決めるという離れ業をやってのけ、GKも飛び出してきた裏にボールを入れると、ここに詰めたDF7吉田があとは決めるのみ。


GOOAAALLLLL!!!!


おお、、、昨日のヒーローが2得点を決めた右サイドの佐藤誠司ならば、今日のヒーローはまさにこの金子拓郎。

群馬県大会の決勝でも、本当にテクニック溢れながら、スピード、運動量もある良い選手だと思っていたが、この試合では120%その能力が活かされている。

ていうか横澤とこの金子拓郎、この2人のレフティーはザスパも本気で獲りにいかないとダメだ!!
とんでもない逸材だ、この2人は。


これで2点リードとなった育英、正直これで勝ちは99%決まった。



CKからダメ押し点!!

さすがに2失点目は帝京第三にとっても堪(こた)えた様子の中、前橋育英は帝京第三のお株を奪うノリノリの攻撃力を発揮しはじめ、15分、左CK、MF5尾ノ上のキックが山なりにニアに飛び、ここに飛び込んだFW17馬場が高さを活かしてのヘディングがこれまた山なりの軌道を描き、ゴール右に決まる!!


GOOAAALLLLL!!!!


おお、2年生FW17馬場が、2試合連続の途中出場からの得点とは・・・
またしても山田采配ズバリといったところ。

やはり2点目を先に獲った事が大きく、これまで鉄壁を誇ってきた帝京第三の徹底したゾーンDFの穴を突くことに成功した。


18分、帝京第三はエースFW7梅田に代えてFW8谷戸を投入。
梅田は育英の堅い守備に阻まれ、また怪我の影響もあったのか、あまりエースたる仕事が出来なかった。
このFW8谷戸は右サイドに入り、いよいよ得点を決めてきているMF11村上をFWに上げる。
帝京第三は後半開始から先にこれをやるべきだった。
村上は得点力を活かすどころか、今日絶好調の育英の左サイドのMF13金子拓郎らに翻弄され、守備に大きく力を削がれてしまっていたわけで、もっと早めにゴール前の仕事に専念させた方が効果的だったはず。



FKから1点返される

27分、育英は2人目の交代、MF9佐藤誠司に代えてMF14関川を投入。
育英の両軸である両サイドは、この3点リードの中ならば早めに温存したいところ。
左の拓郎も早く下げた方がいい。
高校サッカーは4人まで交代が可能だ。


しかしまだ予断は出来ない。
30分、帝京第三に左サイドでFKを与えると、MF14山元の左足からのキックから、ファーで落とされた混戦の中でDF19松本が押し込み、ついにゴールを許してしまう。
これで3−1、まだセーフティーリードではあるものの、ダメ押し点を入れている中でこの試合はしっかりとゼロで抑えたかったところであり、消えかけていた帝京第三の闘志を再び燃え上がらせるのには十分。

ここで育英は3人目の交代、DF7吉田に代えて、唯一の1年生DF29渡邊泰基が投入される。


36分、育英はダイレクトでのパス回しから左サイドを突破すると、グランダーのクロスに飛び込んでいったMF14関川のシュートはマークのプレッシャーもあってか惜しくもバーの左。
この関川は昨年の伝説となったキャプテンMF14鈴木徳真の14番を背負うわけであり、誠司、拓郎と好調な両サイドの貴重なバックアッパーとしての期待がかかる。


そして育英は38分、4人目最後の交代枠を使い、FW10横澤に代えてFW23田端を投入。



最後はしっかり守り切り、ベスト8進出!!

ようやく後半も40分を迎えるが、なんとアディショナルタイムは長めの4分。
あと1点決められてしまうと、同点に追いつかれる可能性は十分。

先ほど得点を決めたFW19松本のパワフルなドリブルが右サイドから入るも、気迫のスライディングで止める育英DF陣。
もうこれ以上1点もやれない。


そしてタイムアップ。

帝京第三のベスト8進出の夢を砕き、前橋育英はベスト8へと駒を進める事となった。



なかなかに手ごわかった帝京第三。

さすが山梨学院を倒して山梨の代表となっただけの事はある。

特に前半のあの上のバーを叩くシュートが入っていれば、試合はどちらに転がるかわからなかった。


ただ、大胆にもGKを代えてくる采配といい、テンポよく交代を入れていく采配といい、山田監督の采配とチームのリズムが噛み合っている。

昨日、右サイドでヒーローとなった佐藤誠司、横澤に対し、今日は左サイドの金子拓郎と、日替わりでヒーローが変わるこの流れは大変良い。

続く準々決勝は明後日、國學院久我山と戦う事となる。

当然どの相手も強豪ばかりだが、トーナメント表の逆サイドからは昨年の宿敵・石川の星稜も順当に勝ち上がってきている。

星稜が決勝まで来るかもわからないが、とにかく再び決勝の舞台に上がるまで、前橋育英の戦いは続く。





(16.1.3UP)






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