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2015-2016全国高校サッカー選手権
H28.1.2 第2回戦
前橋育英(群馬) 3−2 大津(熊本)


〜難しい初戦、2度追いつかれるも横澤のドリブルで突破!!〜

横棒



準決勝の壁を突破した群馬勢、残るは全国制覇のみの前橋育英

未だ記憶に鮮明な昨年1月の準決勝、鈴木徳真の同点ゴールからの群馬県勢初の決勝進出を果たした前回大会から早1年。

決勝では延長までもつれながらも、惜しくも星稜に負けて準優勝となった前橋育英としては、当然今年は狙うは全国制覇のみ。

長らく準決勝の壁に阻まれてきた群馬県勢としての足かせが外れた今、いよいよ優勝が目前に迫ってきたと、期待せずにはいられない。



メッシ横澤、キッカー尾ノ上ら擁する前橋育英

これまで60人のJリーガーを輩出している山田監督率いる育英はMF8大塚が唯一の2年で、他は皆3年。
特にメッシに揶揄されるレフティードリブラー横澤や、FW11野口は昨年の準優勝経験者で、得点も決めている2トップであり、更にゲームキャプテンのMF5尾ノ上(おのうえ)の正確なプレースキックと、攻守を引っ張る育英伝統のボランチたるプレーにも期待したいところ。
更に両サイドの金子拓郎、佐藤誠司もプレーの精度が高く、昨年の凌磨に偏りがちだったメンバーと違い、今年の育英はどこからでもムラの無い攻撃が出来るところに強みがあると感じる。

DFラインでは、群馬県大会決勝では右サイドバックを務めたDF3小畑がセンターバックに戻り盤石の布陣となっている。



11野口
10横澤
13金子拓郎   9佐藤誠司
8大塚 5尾ノ上

7吉田         15綿引
4大平陸 3小畑

1山岸



ベンチはFW23田端、FW17馬場、MF27高沢、MF19高橋、MF6井上、DF29渡邊泰、DF16大畑、GK21星野、GK12平田。



ガンバ内定野田、一美擁する熊本の大津

熊本代表の大津も、多くのJリーガーを輩してきた名門校で、キャプテンDF5野田、FW9一美の2人のU−18を抱え、野田、一美共にガンバ大阪に内定。
これが県立高校だというのだから驚きだが、群馬勢としても前橋商業の今後の奮起が期待されるところ。


9一美

11原岡 10吉武 15田中匠 14杉山
 7河原

2大塚            6坂田
4眞鍋 5野田

16前田



立ち上がり、横澤のシュートから佐藤誠司の先制点!!!

開始2分、育英は早速MF13金子拓郎が右サイドからペナルティに侵入し、見事なキックフェイントでマークをかわしての、左足でのシュートは惜しくも相手のブロックに阻まれCKへ。

更に6分には右サイドからMF9佐藤誠司がドリブルで運び、2人のマークの間を通す絶妙なパスでFW10横澤にボールが渡ると、横澤は細かいステップによってペナルティ右のゴールライン際から左でショートクロスを上げ、これにドンピシャでゴール正面からFW11野口がヘディングを放つと、これがバーの上を叩く。
惜しい!!!
この2回の立ち上がりのチャンスが決まっていれば、最初の試合の難しい流れが楽になるが・・・


2回のチャンス以外は全体的には大津のポゼッション率が高く、育英がボールを奪っても、積極的な分厚いプレスですぐに育英選手を囲み、ボールを奪っていくという戦いが徹底されている。
育英相手にスペースを与えては危険であり、とにかくすぐに囲め、という指示なのだろう。


17分、左サイドからDF2大塚がクロスを上げ、ゴールファーでボールを落としたところにMF14杉山が飛び込んでいき、ヘディングはほんのわずかにバーの右。
これはまた危なかった・・・


するとその直後の18分、育英は左寄りからボールを運び、1トップのFW11野口にボールが入ったところで、それを拾って右のFW10横澤に渡し、横澤は得意の左足サイドにスライドしながら鋭いシュートを放つと、これをGK前田どうにかはじくも、これにMF9佐藤誠司が飛び込んでいき、見事にこれがゴールに!!


GOOAAALLLLL!!!!


よく決めた佐藤誠司!!!
横澤のシュートも素晴らしく良く、また起点となった野口のポストプレーも素晴らしい。
まさにチーム一丸となり、それぞれの良さが活きた先制ゴールとなった。




すぐさまPKを与えてしまい、同点に追いつかれる

先制点を狙っていた大津はここから一気にギアを上げ、20分には左サイドからMF11原岡が強引に突破に入り、角度の無いところからの強烈なシュートはGK山岸がファインセーブでこれを食い止める。


しかし続く20分、MF14杉山がペナルティ右に入っていったところで、DF7吉田が引っ掛けてしまい倒すと、これにイエローと共にPKが提示!!!

う〜ん、先制の直後にこれとは・・・

このPK、FW9一美が落ち着いて右足で左に決め、早くも大津が同点に追いつく。

なんとも残念な失点となってしまった。

先制された後の大津の猛攻は確かに凄まじかったが、そこを耐えてこそのサッカーであり、この5分間を耐えられなかったのは本当に残念。

DF吉田も決してPKで止めなければいけない場面ではなく、ペナルティエリア内だっただけに慎重な、落ち着いた守備の心がけが欲しかった。


27分、育英はDF5野田のハンドでペナルティ手前左寄りという絶好のポジションでのFKを掴む。
これを蹴るのはやはりMF5尾ノ上、右足から放たれたボールは惜しくも壁に当たってしまう。



お互い一歩も引かずドローのまま後半へ

しばらく両チーム共に試合が落ち着き、集中したボールの奪い合いに終始する中、38分、久々の決定機、MF13金子拓郎がゴール前から左足でシュートを鋭く狙っていき、これがわずかにバーの左に逸れる。


高校サッカーは両ハーフ5分ずつ短いため、早くも前半も1分間のロスタイムへ。

最後にはFW11野口の左足でのシュートもバーの上に逸れ前半終了。

お互い一歩も引かない強豪同士の対決は、1−1でのタイスコアのまま後半へと入る事となる。

育英としても、良い形で首尾よく先制を奪えただけに、あそこの大津の猛攻の5分を耐えられれば、かなり有利に試合を進める事ができたチャンスだったが、その5分を耐えきれずにPKでの同点はちょっと嫌な流れとなったが、その後は攻守共に落ち着き、前半最後には決定機を作っていくなど、自分たちのサッカーが出来ている印象だった。

特に守備の面で特筆すべきは、相手の攻撃の核であるFW9一美をDF3小畑が徹底マークし、ほとんど一美にプレーさせていない事も大きい。



後半立ち上がり、佐藤誠司2点目で再び先制!!

後半頭から大津は選手を1人代え、MF15田中匠に代えてMF8河田を投入する。
この河田、熊本の県大会ではハットトリックも果たした選手とのことであり、攻撃にテコ入れを加えてくる。

後半開始2分、右サイドでFW10横澤が速攻を仕掛けようとドリブルしたところで、DF4眞鍋はたまらず腕で倒す形となり、当然のイエローが提示。


後半4分、大津はFW9一美の体格を活かしたキープを起点に、左のMF11原岡にフリーでボールが渡ってしまうが、原岡は自分でいかずに折り返しを選択してくれ、これをはね返したところでMF10横澤が小さい体をうまく相手のふところに入れてボールを奪うと、そのまま中央をドリブル突破へ。
横澤、独特のリズムのドリブルから突破していき、これを相手がどうにか引っ掛けるも、これを再度MF8大塚が拾い、右にフリーになっていたMF9佐藤誠司にボールが渡ると、誠司、これを力強くシュートにいき、相手DFのブロックもはじきながらゴールへ!!


GOOAAALLLLL!!!!


おおおおお!!誠司、今日2得点目!!!!??
半分は横澤の得点ともいえるほど、横澤のボール奪取からのドリブル突破は素晴らしかった。

これで育英、再度の先制となる。


しかしここから大津、前半と同じく失点直後から猛攻撃を仕掛け、特にここまで抑えられていたFW9一美を中心に圧してくるようになり、7分にはペナルティ左内から一美の強烈なシュートをDF3小畑が至近距離でどうにかブロック。
小畑のブロックが無ければ、再度追いつかれるという非常に嫌な展開になっているところだった。




GK山岸まさかのトンネルで同点に・・・

11分には右サイドで横澤がドリブルで仕掛けたところにDF4眞鍋がストップさせるも、横澤が再びこれを鋭いスライディングで奪い返し、そのままドリブルにというプレーでチームの起点となる。
MF9佐藤誠司に横澤が加わり、更にDF15綿引が加わることで完全に右サイドを制圧する。


しかし13分、大津は中央からMF10吉武がドリブルに入りながら、前が空いている隙を突いてのシュートを放つと、GK山岸がキャッチするも、シュートの勢いを止め切れずに股をくぐる形でゴールに・・・


・・・・・・・・・・・・!!!!????・・・・・・・・・・


ええ???
これまで好セーブでチームを守ってきたGK山岸が、まさかのトンネルとは・・・

これまた前半のPKに続き、非常にもったいない失点となってしまい、これで再度の同点に戻されてしまったことで、また嫌な流れでの試合展開とされてしまうこととなる。


同点とされてから、やはり勢いは大津に。
劣勢の中で何度もゴール前を脅かされるが、DF吉田らの気迫のブロックでゴールを死守する。

24分には左寄りでボールを受けたMF10吉武が強烈なシュートを放つも、わずかにバーの右。


27分、前橋育英は1人目の交代、MF13金子拓郎に代えて、2年生のFW17馬場を投入。
182cm長身の馬場をセンターFWに入れて、横澤が左サイドに回る。

30分、更に前橋育英は2人目の交代、MF9佐藤誠司に代えてMF19高橋英が投入される。


ロスタイム、またしても横澤の突破から3度目の正直の先制で逃げ切る!!!

33分、大津も2人目の交代、MF14杉山に代えてMF20秋永を投入。

大津はこの秋永が右サイドに入り、よく秋永を中心にゴールライン際深くまで攻め込んでくるようになり、何度も育英はピンチに追い込まれる。


もう時間が無い39分、育英は右CKを掴むと、尾ノ上は横澤とのショートコーナーを選択し、何度もボールを拾って入れていくも、どうしても大津のゴールは割れず。


ついに40分になるところで、大津はPK戦に備えて2年生GK16前田に代えて3年生GK1中村を投入。

更に前橋育英もロスタイムにGK1山岸に代えてGK21星野を投入。

なんと両チームともにPK戦に備えてGKを代えるという、前代未聞の展開。


しかし、ロスタイム1分を過ぎたところでドラマは待っていた。

右サイドの混戦からキャプテン尾ノ上が左に展開すると、これをDF7吉田が拾って前にドリブルで進め、いったん相手に絡まって止まったところでMF10横澤が得意のドリブルでゴールライン際まで相手に付かれながら攻め込んでからの決定的なゴール前への折り返しに、フリーで入っていったFW17馬場が冷静に決めてゴールへ!!!

GOOAAALLLLL!!!!


またしても横澤か!!!!

結局この試合、横澤が完全に両チームにとってのジョーカー的存在となり、全て横澤の突破から3点を決める事となった前橋育英が3度目の正直の先制。


そして大津も野田、眞鍋の両センターバックが前線に上がり、吉武がロングスローを入れていく猛攻にどうにか耐え抜き、前橋育英、本当に苦しい初戦突破となった。




もはやPK戦しかないと思われた中での、ジョーカー横澤の突破からの3点目は本当に今年の育英というチームを象徴するような展開となった。

おそらく、メンバー的にはガンバ内定の一美や野田を初めとして、相手の大津の方が上回っていたと思われる。

しかし、育英は守備陣のミスから2点を奪われながらも、チーム全体で粘り強く戦い、崩れる事なく戦い抜いた。

そして2年生ながらも前回大会からその技が光っていた横澤という稀代のドリブラーが、この3年生での全国大会のところで、ついにそのドリブルを完全なる完成形に仕上げてきた事が非常に喜ばしい。

チーム全体で戦える力、そして横澤というジョーカーの存在。

今年の前橋育英も本当に期待できる。

試合は待ってはくれず、早くも3回戦は明日、山梨の帝京第三との試合となる。

強豪大津との試合が実質の決勝だったと言われるよう、優勝するまで負けるわけにはいかない。




(16.1.2UP)






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