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2015-2016全国高校サッカー選手権
H27.11.8
群馬県大会決勝 前橋育英 2−2(PK10-9) 桐生第一


横棒



全国への切符を賭けた群馬県大会決勝

今年もいよいよ全国高校サッカー選手権の季節がやってくる。

特に昨年の群馬県代表・前橋育英は、群馬県勢長年の悲願であった準決勝の壁を突き破り、初の決勝進出を成し遂げた。

その決勝進出を決めた瞬間の準決勝のスタンドで、私自身も思わず感涙したものだったが、本当に高校サッカーにはJリーグなどには無いドラマがあるのが魅力。

当然今年は決勝進出のその先の悲願となった、全国制覇を狙うしかない。

その全国への切符を賭けた戦い、群馬県大会決勝が今年も開かれる。



全国を経験した横澤、野口ら擁する前橋育英

育英はまだ記憶に新しい、今年1月の全国選手権の決勝も経験している、ドリブラーMF10横澤、レフティーのFW11野口らを擁する。

特に野口は決勝での初スタメンで得点も決めた経歴を持つ。

今年は桐生一の方に一歩リードされているようだが、果たして昨年度の決勝での雪辱を晴らすための全国の切符を今年も手に入れられるか。


11野口
10横澤
13金子拓郎   9佐藤誠司
8大塚 5尾ノ上

16吉田        3小畑
4大平 19中嶋

1山岸




3冠を狙う桐生一

昨年は決勝進出を逃した桐生一だが、今年は新人戦、インターハイと、県内の大会で2連覇しており、いよいよこの最後の本番の決勝でも3冠達成を狙う。

注目は双子の滝沢兄弟、兄のMF8和司は左サイドからの突破が鋭く、弟のFW10昴司(こうじ)は得点源。




10滝沢昴司
 9熊谷
8滝沢和司     7井上
6島田 13木暮

2堀越        4金子
14一宮(いちみや)5宇賀神

1休石(やすいし)



育英、CKから首尾よく先制点!!

朝からの小雨でピッチがやや滑る中でのキックオフ。

お互い立ち上がりは一進一退の攻防だったが、13分、中央でボールを受けたFW11野口が得意の左足を振り抜いた強烈なミドルシュートで、GK1休石も外にはじき出すのがやっと。

これで掴んだ育英の右CK、MF5尾ノ上の右足から放たれたボールは良い軌道でファーまで飛び、ここに待ち構えていたMF13金子拓郎がヘディングをドンピシャで決める!!


GOOAAALLLLL!!!!


おお、もう得点が決まったか。
決勝となると、お互い慎重になり渋い展開が続く事も多いが、この試合は早いうちに試合が動く事となる。

特に今年の場合は結果を出している桐生一の方に分があるかと思われていただけに、この育英の先制はやや意外というか、これで試合は面白くなる。




横澤、見事に追加点を決める!!

反撃したい桐生一は、右サイドの速攻から、一気にゴール前でファーの左にボールを入れ、ここにMF8滝沢和司が詰めていきシュートにいくも、後ろからなんとか追いついたDF3小畑がスライディングで気迫のブロック。


26分、右サイドからMF10横澤が得意のドリブルで突破していき、更に右サイドを回り込んできたFW9佐藤誠司が深い位置から折り返し、そこにFW11野口が詰めにいったところを、GK休石が一度は跳ね返すも、これを横澤がキッチリ詰めていき、これがゴール左に決まる!!


GOOAAALLLLL!!!!


まさに横澤の得意のドリブルが起点となり、完全に桐生一のDFラインを崩した結果だった。

さすがは全国でも席巻した横澤のドリブル。
相当に切れ味は鋭い。

これがエースNo.10を背負う横澤の実力か。




アンカー尾ノ上が鍵をかけ、育英2点リードで折り返し

それにしても、なかなか桐生一は攻撃をうまく機能させてもらえない。
起点となるべきFW10滝沢昴司へのマークが厳しく、ほとんど前を向かせてもらえず、そして育英の精神的支柱MF5尾ノ上がアンカーの役目としてもしっかりと中盤の底で鍵をかけ、桐生一の攻撃をことごとくシャットアウトさせる。
更に、アンカーの位置から攻撃の起点となるパスも出せるし、先制点のアシストとなったように、セットプレーでのプレースキックの精度も高く、攻撃でも貢献。
ちょうど昨年大活躍した鈴木徳真の姿を彷彿とさせる出来。


こうして育英がスコア通りの、思い通りの試合運びで2点リードで前半折り返しとなる。

しかし、4年前、現ザスパの横山翔平の時代、育英は2点リードから挽回されて逆転負けをしており、決してセーフティーリードでは無い。

桐生一に1点入ればどうなるかわからず、どう後半巻き返してくるか。




後半頭から選手交代で攻撃にリズムを作る

後半、やはり2点リードを許した桐生一は頭から選手を入れ替えにいき、MF9熊谷に代えてFW18松家(まつか)を投入する。

松家は右サイドバックに入り、DF4金子がセンターバックに移り、そしてDFのDF14一宮が前にポジションを上げ、攻撃にシフトしていくという姿勢をみせる。


更に10分を過ぎると桐生一は2人目の選手交代、MF13木暮に代わりFW11今泉を投入。
今泉は地元前橋エコー出身で、1回戦ではく離骨折を起こしていたが、ギリギリ2週間で復帰してきたという、突破力の持ち主とのこと。


元々攻撃的なプレーヤーだった一宮を中盤に上げた桐生一は、一宮を攻守の起点に攻撃が回るようになり、速攻が入れやすくなる。


19分、左サイドMF8滝沢和司の低いクロスから、MF7井上が右サイドでシュートにいくも、育英守備陣も気迫のブロックでこれを防ぐ。





桐生一、昴司のゴールで1点を返す!!!

そして24分。
左サイドからボールを繋いだ桐生一は、FW11今泉がヒールで落としたところからDF2堀越のシュートは一度ブロックに当たり、これを拾ってシュートにいったFW10滝沢昴司の右足でのグランダーのシュートは、DFやGKの手もすり抜け、ゴール左隅に突き刺さる!!


GOOAAALLLLL!!!!


おお、桐生一が先に1点返すとは!!!

さすが今年は地力で勝るとみられる桐生一、後半に一宮を上げた事で本来のボール支配率を高め、一気に試合の流れを変えた。

これでまったく分からなくなった。
いわゆる、次の1点を先にどちらが奪うか、といった状況。
育英としても、残り15分を守り切る事は、高校サッカーにおいては難しいミッションとなるわけで、追加点を狙っていかなければいけない。





FW今泉、一瞬のスピードから同点弾!!!

29分、1点差に詰められた育英はここで選手交代、DF19中嶋に代えてDF18大畑を、FW9佐藤誠司に代えてFW15田端を投入する。

これでDF3小畑が本来のセンターバックに戻り、DF18大畑が右サイドバックに入る。
また、FW15田端が左サイドに入った事で、MF13金子拓郎も左から右にポジションを変える。

流れがやや変わって31分、MF10横澤が細かいタッチのドリブルから桐生一DFを引き寄せ、右横にパスを出すと、MF13金子拓郎のシュートはブロックに当たりバーの上。


そしてそして35分、中央への縦パス一歩からFW11今泉が一瞬のスピードで抜け出し、ワンタッチで放ったループ気味のシュートはGK山岸の手も届かず、ゴール左に突き刺さる!!


GOOAAALLLLL!!!!


凄い・・・まさか残り5分で同点に追いつくとは・・・・

まさに4年前の奇跡の再来。

前半の2点リードでてっきり勝負は8割9割決まったかと思ったが、ここで同点に追いつくところは、今年の桐生一の地力の高さを感じる。

見事な得点を決めた今泉も、1点目の起点となった飛び出しからのヒールといい、とても大怪我から2週間で復帰したばかりとは思えないスピードとキレを見せた。
一宮のポジションを上げたところも含め、桐生一は後半の交代策が見事に的中させている。




試合は延長戦へ突入

ここで崩れるわけにはいかない育英も39分、左サイドからFW15田端が突破し、ゴールラインぎりぎりからの折り返しに、ゴール前右でFW11野口がダイレクトに合わせるも、この決定的シュートはわずかにバーの左に逸れる。
育英は、こうした何回かあったダメ押しの3点目を決めきれなかったところが桐生一の同点弾を許してしまった。

アディショナルタイムの3分も間近になり、左サイドからのスローインに、野口が落としたところに田端のシュートは惜しくもバーの左。

こうして試合はなんと桐生一がひっくり返した形で同点のまま前半後半10分ずつの延長戦へと突入する。


延長2分、左サイドのスローインから、MF10横澤が見事なトラップで一瞬にマイボールにし、野口へのスルーパスは惜しくもオフサイド。


その後も互いにチャンスは作るものの、なかなかシュートには行け切れないまま延長前半の10分はあっという間に経過し、残り10分の延長後半に入る。



延長で試合決まらず、PK戦へ

延長後半5分、育英はなんと後半に投入したFW15田端を下げ、MF14関川を投入するという思い切った交代。
田端は気迫のあるプレーで勢いをつけるには良かったが、ややトラップミスによる攻撃のブレーキの面もあったので、その点を考慮してか。


7分、桐生一は育英のゴール前で競り合いにいったところで、GK山岸がリーチの長さを活かしてわずかに手を当ててボールをかきだし、桐生一もMF7井上が最後のシュートにいくも、これは足に当たらず。

8分、今度は育英、遠目のFKにMF5尾ノ上のゴール前へのボールに、懸命に足を伸ばしたMF13金子拓郎が先に足を当てたシュートは惜しくもGK休石の正面。
このプレーで試合開始から運動量豊富だった金子拓郎も足を攣らす。

この金子拓郎に代えてFW23馬場が試合終了間際に投入され、最後の育英のCKも流れホイッスル。

試合はそのままPK戦へともつれこむ。



運命のPK戦は10人目までもつれ込む接戦

PK戦の先制をとったのは育英。

最初の一番重圧のかかる一番手はやはり精神的支柱、キャプテンMF5尾ノ上。
右足ながら右サイド隅にしっかりと流し込み先制。

桐生一も試合のキープレーヤーとなっていたゲームキャプテンのMF14一宮が強く中央左寄りの上に決めていく。

2人目はエースMF10横澤が、左足で中央右寄りのコースが甘めに入り、GK休石も手に当てるが、そのままシュートはゴールに決まる。

桐生一はチームキャプテンMF7井上が一宮と同様の位置にしっかり決めていき、両者譲らず。


3人目、育英はFW11野口が左足で右隅にしっかり決める。
桐生一はDF5宇賀神が右足で落ち着いてGKと逆をつく右に決める。

4人目、育英はDF3小畑が右足でGKの逆をつく右に決める。
桐生一は途中交代で流れを変えた立役者のFW11今泉が右足でGKの逆を突く左にきっちり決め、両チーム共に4人が全員成功させるという、精神的な強さを見せる。

5人目、育英はDF16吉田、左足で左に落ち着いて決め、これまで育英がずっと右に決めていたので、GK休石も右に飛んでいたところの逆を突く。
桐生一はエースFW18滝沢昴司が右に豪快に決め、これで両者一歩も譲らず、PK戦でも延長に突入。
本当にこの試合、両者全くの互角状態が続く。


6人目、DF4大平は右で左上をきっちり決める。
桐生一はMF6島田が時間を置き、そして助走でフェイントを入れて左に決める。

7人目、MF14関川が右足で右をつきGKの逆を突く。
桐生一はMF8滝沢和司が右足で右隅に落ち着いて決める。
いったい、何人目までいくんだ・・・

8人目、DF18大畑が右足で左を狙い、GK休石も読んでいたが、手が届かずに左に決まる。
桐生一はDF4金子がきっちり右に決め、互いに8人成功。

9人目、2年のMF8大塚が右足で浮かしていき、左上に決める。
このコースはかなりふかしてしまう事が多いリスキーなコースだが・・・よく2年で決めるものだ。
桐生一のDF2堀越、右サイドを狙い、GK山岸も読んで手に当てるが、そのままゴールに決まる。

10人目、先ほど投入されたばかりの2年のFW23馬場が追いついて右に決める。
桐生一、いよいよGK休石がキッカーに登場し、右足で左を狙うも、これがバーの左をわずかに逸れ、ついに、ついに長く長かった決勝に終止符が打たれる。





こうして全国の切符を掴んだのは、まさかの2点リードを追いつかれたものの、そこから踏ん張りPK戦まで制した前橋育英となった。

延長20分間はむしろ育英が圧しており、ならば後半のところでもっと力を発揮し、80分間で決めたところだったが、この2点追いつかれてからの粘りは良い経験となったことだろう。


桐生一は、常盤高校とのPK戦の立役者でもあったGK休石が、最後のキッカーとなったことも本当に皮肉なものだったが、よく桐生一は2点差を追いついたものだ。
育英、桐生一共に全国から選手が集まる中、この試合をひっくり返した立役者が地元出身のFW今泉であったことも、非常に印象深く残った試合となった。

本当に、互いに全国に出るのに相応しい、強いチームだった。
これが全国でもトップレベルを誇る群馬の高校サッカーだ。


群馬を制する者は全国を制する。

そういったフレーズが見合うよう、前橋育英は桐生一の分まで背負って悲願の全国制覇を遂げる義務がある。


キャプテン尾ノ上が控え、攻撃陣での”メッシ”横澤、左足とフィジカルが魅力であるFW野口、左右どちらのサイドでも力を発揮できる金子拓郎など、魅力ある選手が今年も揃う前橋育英。


年末から始まる全国選手権、本当に頼んだぞ、前橋育英!!!









(15.11.8UP)






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