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2014-2015全国高校サッカー選手権
H27.1.10 準決勝
前橋育英(群馬) 1−1(PK5-4) 流通経済大付属柏(千葉)


〜ついに壁を越え悲願の決勝へ〜

横棒


前橋育英イレブン
準決勝に挑む前橋育英イレブン

一緒に参戦したSさんのご提供の写真により、大幅追加アップです!!
(15.01.11)


悲願の決勝進出へ・・・群馬勢、準決勝のジンクスをついに破れるか・・・???

もう何年待ち焦がれたか・・・

年月が経ちすぎ、もはやその夢も忘れかかってくるところだった。

しかし、正月が近づくと、何度でもその夢は希望となって訪れ、そして敗れ、また1年を待たなければいけない日々が続いた。


高校野球の夏の甲子園に対する、冬の全国高校サッカー選手権、群馬県勢初の決勝進出・・・どうしても越えられない準決勝の壁・・・


私の悲願の始まりは、今年再びザスパクサツ群馬に戻ってくる、MF松下裕樹の頃の前橋育英からだった。
1998年、当時から圧倒的なキック力を武器に、高校サッカー界随一のボランチとして君臨していたMF松下裕樹をはじめ、FW佐藤正美、GK岩丸、MF茂原と、後にJリーガーとなる2年生達が早くからレギュラーの座につき、伝統ある前橋育英としては異例の、2年生レギュラーが7人くらいいるという、とんでもない世代が松下世代だった。

そして、その2年生主体のチームは、その年に前橋育英の最高成績となる、ベスト4まで行った。


その全国でベスト4を経験した2年生達が3年生となった翌年の1999年、前橋育英は史上最強のタレント集団として全国に名を轟かせ、なおかつその圧倒的な松下世代の3年生達に混じって、唯一の2年生レギュラー、青木剛(たけし・現在もずっと鹿島アントラーズ)も加わり、どう考えても敵などいなかった。

そう、そのチームは優勝を宿命付けられたチームだった。


当然のごとく、そのチームは2年連続のベスト4まで駒を進め、そしてもう一つの優勝候補、市立船橋と対戦した。

前橋育英は、当然のごとく圧倒的なポゼッションを武器に攻めに攻め、シュートを撃ちまくったが、しかし当時無失点優勝というとんでもない偉業を成し遂げた市立船橋の鉄壁だけはどうしても崩しきれず、スコアレスドローのまま不本意なPK戦となり、はじめからPK戦狙いだった市船にまんまとPK戦で敗退。


今思うと、この年のチームの敗退が、その後の前橋育英の全てを物語っていた。


その後も、わずか2年後に、今度は佐田聡太郎や大谷兄弟、坪内ら、Jリーグ内定者を7人擁した、松下世代を上回る超・タレント集団を擁したチームも、またもやベスト4止まり。

そして6年前、六平(むさか)や佐藤穣らの黄金の中盤を擁したチームも、またしてもベスト4止まり。

また、もっと遡って前橋育英以外の群馬勢でいえば、ザスパの監督に就任したFW服部浩紀と、MF鳥居塚のコンビが2年連続ベスト4に進んでいるが、やはりここでもベスト4止まり。


つまり、通算で6度も群馬勢は準決勝に挑戦し、そして一度も勝てないという、とんでもなく高い壁のジンクスが存在する。
(なお、もっと正確に言えば、1965年の新島学園もベスト4止まりとのこと)



自分は、いつかこの壁を越えてくれるものと信じ、毎年正月の時期になると、強い思いをもって群馬県勢を応援してきた。

だが、松下世代の15年前から、ずっとその期待は裏切られ続けた。

ついには、前橋育英としては、先に野球部の方が夏の甲子園で優勝するという大どんでん返しまで生じてしまった。
まさかサッカー部より先に野球部が全国を制するとは夢にも思わなかった。


じゃあ、いつなんだ・・・

いつになったら群馬勢の決勝進出は見られるんだ・・・


このHPを立ち上げてからの10年間、ずっとここで泣いてきた。




しかし・・・


ついに時は来た。



今年のチームは、かつてのタレント集団とは質が違う。


良い意味でも、そして悪い意味でもタレント集団だった前橋育英は、何よりも精神的な弱点があった。

個の力が封じられると、チーム全体で打破できない。

そんな悪い癖があった。

そして、精神的な弱点からか、とにかくPK戦に泣いてきた。



だが、今年のチームは、その苦手とするPK戦にも勝ち、先制されても追いつき、そして苦しい展開の中でもセットプレーで点を獲ってきた。

そのどれもが、これまでの先輩たちのチームには無かった、精神面の強さを証明するものばかりだ。


確固たるタレント集団ではないから、逆にチーム全体で戦える。
決してU−19代表の鈴木徳真や、渡辺凌磨らに頼り切ることもなく、守備でも攻撃でもチーム全員が助けあえる。


レギュラー全員が3年生だからだろうか、そんな不思議な団結で結ばれた、強い絆を感じるチームだ。



このチームでジンクスを打破できずに、いつ打破できる。


もうベスト4止まりなんざ、まっぴらご免だ。

勝とう。

敵は己の中にしかない。

己の中の最大の敵に打ち勝って、そして悲願の決勝の舞台へ、次のフィールドへ進もう。



群馬県民の熱い思いを背負って、ついに新たなステージを切り開く戦いが、今始まる。

これまでのサッカーの聖地だった国立が2020東京オリンピックでの改修工事に入り、今年2014年度にサッカー専用スタジアムである新たなサッカーの聖地・埼玉スタジアム2002に準決勝からの舞台が移り、大阪から東京に移った蹴都移転に続く2回目の移転となる。

まさに新たなステージでの戦いとなるわけで、その歴史の1ページに名を刻みたい。

埼玉スタジアム2002
新たなサッカーの聖地・埼玉スタジアム2002
天気は最高の快晴!!!
ただ風が相当に強い!!!!




DF16上原復帰の前橋育英

前橋育英は、6年前の失敗を糧に、今回は準々決勝が終わってからも地元群馬に戻らず、静岡で合宿を組んでモチベーション、コンディションを上げてきた。

その中で、準々決勝は膝の怪我で欠場したDF16上原が復帰し、ベストメンバーが揃う。
注目はやはりU−19代表の鈴木徳真、渡辺凌磨に間違いないが、ストライカー青柳やドリブラー坂元ら注目の選手が揃う。


9青柳
15関戸
10渡邊凌磨      11坂元
13吉永 14鈴木徳真

3岩(いわ)         2下山
4宮本 16上原

1吉田


ベンチはFW7菊池、FW24野口、FW25佐藤誠司、MF8小泉、MF19金子、MF23横澤、DF6渡辺聖夢、DF5河西、GK12山岸。

前橋育英イレブン
頼んだぞ!!前橋育英イレブン!!




プレッシングサッカーの流経大柏

流経大柏は、MF7澤田を中心としたプレッシングサッカーが武器とのこと。

また、戦力的には、DF登録ながら精度の高い左足を武器に左ハーフで存在感をみせるMF2小川がFC東京に内定するほどの実力を持ち、その他スピードスターの右ハーフMF11久保、これまで3得点とチーム得点王のFW9高沢らも脅威。



9高沢
28渋谷
2小川       11久保
5浅沼 7澤田

16大竹        19本村
4山田 3広滝

25瀬口



出足とプレスが鋭い流経大柏に圧されるも、決定的シュートを放つ育英

立ち上がりは、流経大柏の方が出足が良く、ポゼッションを奪われるも、9分、縦パスに競ったところからFW9青柳がうまく身体を入れてシュートを放ち、バーの上を超すものの、これが最初のオープニングシュート。

最前線で身体を張るFW9青柳
最前線で身体を張るFW9青柳

10分、左サイドからの柏のFK、MF2小川が入れていったゴール左前へのボールに、FW28渋谷が飛び込んだところに、GK吉田が思い切って飛び出し、渋谷と交錯。

これで吉田、足を痛めた様子で、その後のFKのキックを自分で蹴りに行こうとしても、痛みからまともに蹴られない様子で、DF16上原が代行。
吉田といえば、非常に質の良いキックを蹴る事がこの大会で証明されてきただけに、この吉田がキックを蹴られなくなると非常に痛いと心配されたが、その後痛みが引けたら大丈夫な様子でホッと一安心。



18分、左サイドからのスローインをペナルティ左角で受けたMF10渡辺凌磨が思い切って右足を振り切ってのシュートが、左上の枠を捉える強烈なシュートとなるも、GK瀬口がファインセーブでこれをはじき出す。


23分、右サイドからFW15関戸がボールを運び、そのボールをペナルティ内で受けたFW9青柳がシュートを放つも、バーの右。


全体的には出足の鋭い柏の方に勢いが見えるが、結果的にシュートまで持ち込めているのは育英という立ち上がりの展開。



30分、ルーズボールへのチャージでFW28渋谷にイエローが提示される。


前橋育英イレブン
前半、圧される展開が多い苦しい戦い



ピンチもどうにか防ぎ、スコアレスドローで折り返し

シュートシーンこそ多いが、やはり全体的には柏のプレスが激しく、特に左ハーフのMF10凌磨や、右ハーフのMF11坂元といった育英の攻撃を司る両ハーフのところは徹底的にスペースを消しにこられ、なかなかこれまでのようなシュートの場面まで持ち込めない。


34分、柏は左サイドからMF2小川がクロスを入れにくるが、これがどうやらシュート性のボールで、ゴール方向に向かうも、GK吉田がはじき出す。

とにかく心配な点としては、相手にかなりCKを与えてしまっており、1本1本のキックの質としてはMF10凌磨の方が上だが、いい加減これだけ蹴られると合わされてしまってくる。

37分にも中央遠目でFKを与えて、MF2小川の左から送り込まれたゴール前へのボールに、GK吉田とDF3岩が一瞬見合わせた様子から、岩がどうにかヘディングでCKに逃れる。


柏の前線からのプレッシングも強いので、育英DF陣もなかなかボールを持たせてもらえず、かなり頻繁にGK吉田までボールを戻す場面が多いものの、しかし随一のキックの精度を誇るGK吉田はこれをミスすることもなく的確なキックで処理する。

特に吉田の、低く抑えた精度の高いキックは本当に特徴的であり、山田監督が天才的とまで評するほど。

前橋育英イレブン
前半、流経大柏に迫られるも、GK吉田を中心にゴールを死守

前橋育英DF4宮本
前橋育英DFラインの主軸・DF4宮本(高崎出身)


43分、MF11久保に中央に切れ込まれ、ペナルティ手前でFW9高沢がボールをペナルティ内に持ち込もうとしたところを、DF4宮本が思わず倒してしまい、ホイッスル。
位置が位置なだけにヒヤリとしたが、どうにかペナルティライン一歩手前からのFKとなり、このチャンスにMF2小川が自慢の左足を振り抜き、狙い澄ませた直接シュートで左上を狙うも、ほんのわずかバーの上を超す。

前半も1分のロスタイムが過ぎたところで、相手の左サイドからのドリブルをMF11坂元がスライディングで倒してしまい、イエローギリギリだったが、ここでホイッスルでスコアレスドローで折り返しとなる。


どうも全体的に、ギリギリの安全マージンがほとんどない守備が前橋育英側に目立ち、やはり柏の攻撃がそれだけ鋭く、手を焼いている様子がわかる。
対して攻撃は、柏に比べ手数は少ないものの、シュートチャンスが無いわけではなく、その数少ないチャンスをいかに決められるかといったところ。

さすが流経大柏は強い・・・

ハッキリ言って試合内容では圧されている。
明らかにこれまでの中で一番の強敵だ。


やはり準決勝の壁は、果てしなく高い・・・

だが、この壁をいつかは越えなくてはいけない。

どうにか前半ゼロに抑えてきた意味を、後半に活かしたい。

DFラインを高く保てており、ボールを回すところは回せている。
自分たちのサッカーをやり切りたい。


前橋育英イレブン
後半も苦戦する前橋育英



後半、流経大柏は切り札・FW福井を投入

流経大柏は後半頭に選手交代で、MF28渋谷に代えてMF10相澤を投入。
渋谷は前半にイエローももらっていたので、それも考慮してのことだろう。

後半立ち上がりを狙ってきた柏は、前半終了間際の勢いそのままに圧してきて、4分には縦パスからMF10相澤が抜けていこうというところをDF4宮本が倒してしまい、イエロー。

5分、前橋育英の交代、DF3岩(いわ)に代えてDF6渡辺星夢(しょうむ)を投入。
岩は定評通りの守備の強さで、MF11久保らの攻撃によく対応はしていたが、ここで敢えて岩を代えるとは意外だった。


この柏の後半立ち上がりの攻撃を受け止めた育英は、8分に左サイドからMF10凌磨がボールを受けて、DFのマークを背負いながらのゴール左至近距離からのシュートをGK瀬口がファインセーブでこれを止め、更にその後右サイドからのボールをファーで受けたMF10凌磨の決定的なシュートは、なんと左上のクロスバーを直撃!!!

この2度の決定機を決められないところに、この大会で未だノーゴールのエースMF10凌磨の苦悩が見える。

前橋育英MF10渡辺凌磨
例え点が取れなくても、やはりMF10渡辺凌磨は攻撃の中心


しかし、こういった場面でも点が取れないという事は、逆にその後のピンチに繋がってしまうのがサッカーであり、とにかく先に先制が欲しい。


19分、DF19本村に代わり、スーパーサブのFW20福井が投入される。

この福井、数々の試合でスーパーサブとして投入され、何度も決勝点を挙げてきた、まさにスーパーサブ、切り札とのこと。

これでMF2小川が左ワイドに回り、DF16大竹が下がる事で、守備陣自体は3バックに変わる。


それに対し前橋育英も21分、FW15関戸に代えてMF23横澤が投入される。
横澤も2年生ながら、前の試合では得点も決め、まさに前橋育英のメッシ。

その横澤が左サイドに入り、MF10凌磨が1.5列目の位置まで上がる。


互いにスーパーサブを入れた形。




一瞬の隙を突かれ、柏についに先制を許す

25分、MF14徳真のところに入ったルーズボールをMF7澤田が狙いスライディングでこれを強引にとると、そのまま前線に送り、FW9高沢の左サイドからのシュートはミートせず。
この澤田と浅沼の2ボランチの熾烈な守備力は、徳真ら擁する育英以上のモノがある。


そして27分、中央の密集したところから、MF10相澤が出した縦パスに、左アウトサイドに回っていたMF2小川が一気に前に走り出しており、これに対応が遅れ抜け出されてしまい、この縦パスを受けた小川が、前に出ていたGK吉田の位置も見て、左アウトサイドでぽーんとループシュートを放ち、これがゴールに吸い込まれる・・・


・・・・・・・・・・・・!!!!!???・・・・・・・・


明らかに先制が重要、もしくはスコアレスドローでのPK戦突入もあろうかと思われていた展開だっただけに、この一瞬の隙を突かれた形の失点は非常に痛い。

小川も左ハーフから、アウトサイド、サイドバック気味にポジションを下げていたので、DF陣もマークに付きにくくなってしまった。

これは非常に痛い・・・

ダ・・・ダメなのか??

まだ、サッカーの神様は、群馬県勢に決勝の地を踏ませてもらえないというのか??

いったい、何度・・・何度挑戦すれば許してもらえるのか・・・

非常に痛い先制を浴び、悲願の決勝進出が一気に霞む事となる。

ここでMF13吉永に代えてMF8小泉を投入。

前橋育英MF13吉永
鈴木徳真とコンビを組むボランチMF13吉永(高崎出身)



立ちはだかる柏の赤い壁

その後、前橋育英はまだ時間があるはずだが攻撃が中央にボールを入れる一本槍の攻撃になってしまい、これでは柏も跳ね返すだけでいいので、御しやすくなってしまう。

そんな中、35分には左サイドからFW9高沢にシュートを撃たれてしまい、これがギリギリ左バーの左に逸れて助かる。
とにかく、2点目を取られたら完全に終わってしまう。

前橋育英
どうにか1点を取り返しに行く前橋育英イレブン


36分、育英は更なる交代策、なんとDF2下山に代えてフィジカル、高さのあるFW7菊池を投入するという、サイドバックに代えてFW投入の明確な攻撃の意思表示を送る。

これで先ほど投入されたMF8小泉が右サイドバックに回る。


しかし、残念ながら菊池投入の効果はそんなに見られず、やはり一本調子の攻撃に拍車がかかったようなモノ。

どうにかこの局面を打開しようと、MF14徳真が積極的に前線でボールを持ち、繋げようとするも、柏の固い守備がそれをことごとく阻む。

とにかく流経大柏はやはり強い。
この場面でも、なおも追加点を獲ろうと、DF3広滝までもチャンスにはまだ上がってくる。
小川と同じく、アウトサイドに回ったはずのMF11久保も、守備にも攻撃にもまだ運動量が衰えず、そのスピードで育英を苦しめる。


ヤバい・・・もう時間が・・・後半44分を回る・・・


歴史に刻む、徳真渾身の一撃!!!!!

前橋育英MF14鈴木徳真
キャプテンMF14鈴木徳真が、この時間帯は積極的に攻撃に撃って出る

点を獲られてからこの15分以上、ほとんどチャンスも作れず、このまま何も出来ずに決勝進出の夢が途絶えるのか??と思うしかない、そんな時間帯だった。

FW7菊池が執拗にボールを追い、ゴール左サイドでGKと交錯する。

そして、再度左サイドからMF23横澤がドリブルで押し上げ、いったん戻したところから、MF8小泉がクロスを送る。

これに菊池や青柳が競りにいき、柏DF陣がいったん跳ね返すも、これをMF14鈴木徳真が拾い、見事なトラップで最高の前のコースにボールを落とすと、ほとんどコースなど無い中、思い切って右足を振りぬく。

なんとこの地を這うミドルシュートが、相手DFの足にわずかに当り、GK瀬口が左足に体重をかけた逆を突き、瀬口からみた右側のゴール左寄りに突き刺さる!!!!


GOOAAALLLLL!!!!



入った!!!!!

本当か????

よく決めた徳真!!!!!!

お前がキャプテンだ!!!!!

ここで決めるのがキャプテンだ!!!!!!!!



まさに奇跡は起こった。

もう時間など無かった。

準決勝の壁は、またしても乗り越えられないほど、時間と共に高くなっていった。

正直、98%は心の中で諦め、それが45分をそろそろ過ぎ、99%になろうかというところだった。


15分以上チャンスが無かった中、たった一本のクロスから、高さのある菊池と青柳の2人が押し上げたところで、一瞬だけ、鉄壁の柏の守備陣が下がり、押し上げが一瞬遅れた。

そのほんの一瞬、たった一度きりしかないチャンスを、大黒柱・キャプテンMF14鈴木徳真は決めてみせた。


もはや、これは徳真1人のシュートではなかった。

群馬県民みんなの思いを乗せた、まさに渾身の一撃だった。







運命のPK戦

そのままロスタイム3分は、互いに思いが高ぶった中での激しい展開となるが、互いに点は入らず1−1のドローのまま終わり、試合はPK戦へと突入。

ピッチは前橋育英側に獲れたが、先行は流経大柏に獲られる。

1人目、柏はこちらも大黒柱MF7澤田が右で左を豪快に決め、育英はMF14徳真が右できっちり左ギリギリを狙い、これを決めて1−1。

2人目、柏はFW9高沢が右で右方向を狙い、これにGK吉田も読んでいて右に飛ぶ中、なんとこのボールを左手の中指の先に当て、右バーを直撃させる!!!
育英は前回と同様にMF10渡辺凌磨が出てきて、自信のある左コースへ鋭く決めて、これで1−2で先行する。

3人目、DF16大竹が右足で右のコースを狙い、右のバーに当たるギリギリの中で決め、育英はFW9青柳が右で右を狙い、2−3で先行を守る。

4人目、柏はキャプテンDF3広滝が右で右に冷静に決め、育英はDF6渡辺星夢が左で豪快に右を狙い、GK瀬口も読んでいたが見事に決め3−4。

そして最後の5人目、MF2小川は左で左を狙い、GK吉田も読んでいたがコースが良く決められ、育英最後はMF11坂元が左で強気に右を狙い、これが右コースに突き刺さる!!!!!!

PK戦
5−4でPK戦を制する!!!


決まった・・・!!!!!!

これで決勝!!!!!!!

群馬県勢、7度目の挑戦で、ついに準決勝、ベスト4の壁を越え、決勝へ!!!!!


やった〜!!!!!!!!

ついに・・・ついに壁を越えた!!!!!!


と叫んだ後、自分の頭の中を走馬灯のように、松下世代から追い続けたこの15年間の事が駆け巡り、15年・・・と頭の中でその年数の重みが響くと、涙が込み上げてきた。


お、、、お前ら、よくやった・・・・・・・・・・

本当に・・・・・・・本当によくやってくれた・・・・・・・・

長かった・・・・・・・・・・

15年は長すぎた・・・・・・・・・・・・




涙が止まらない。
本当に壁を越えたんだと思うと、その長年の夢が叶った事を実感してきて、そしてよくやってくれた選手たちに本当に感謝の涙が止まらない。

今、こうして文を打っているだけでも涙が出てくる。

それだけの意味が、この勝利にはある・・・


前橋育英イレブン
よくやってくれた!!!前橋育英!!!





歴史は刻まれ、そしてまだ見ぬステージへ・・・

歴史はここに刻まれた。

山田監督も前橋育英の監督業に就き33年、山口素弘の時代も、松田直樹も時代も、そしてその後数々の代表クラスの選手を育てながらも、成し遂げられなかった決勝進出、ファイナリストとなる歴史を、ここに刻んだ。

後半45分になろうとする中、あそこまで劇的な同点ゴールを決める事など、全くこれまでの前橋育英では考えらない事だった。

そして、圧倒的なPK戦。

山梨学院戦でのPK戦に続き、誰も失敗しない。

これまでのチームが、散々泣いてきたPK戦、それがむしろ今年のチームは得意分野になっている。

そのどれもが、もはや前橋育英のものではない。

おそらく山田監督自身が一番驚いているのではないだろうか。



蹴都移転の初年。

この歴史に、優勝という名を刻むのは、もはや今年のチームしかない。

この勢いをそのままに優勝できなければ、また随分と長い年月がかかることだろう。


相手は、一昨年ベスト4、昨年準優勝、そして今年こそはと優勝しか狙っていない石川県代表の星稜。

この流経大柏戦の前に、私も日大藤沢戦を観戦したが、とにかくフィジカルとテクニックを兼ね備える、非常に厄介なFW10大田が、かつての星稜の10番、本田圭佑を彷彿とさせ、その大田が常に最前線で相手DF陣を引きずり、その裏でスピードと決定力のあるFW11森山らが大田を飛び越してゴールを狙うという、とんでもない強敵だ。

雰囲気的にも、誰がどう見ても優勝の分は決勝初進出の前橋育英ではなく、星稜にあると思う事だろう。


関係ねえ!!!!!

勝しかない!!!!!

今勝たずして、いつ勝つ!!!!!!!



初の決勝というステージ。

そして、そこで決めるであろう優勝、全国制覇の夢。



観るしかない・・・

1月12日、その日は夕方に日本代表がアジアカップ?
細貝もいない、今の1.5軍のアギーレジャパンなどに一切興味などない。


まさかの3連休のうち、2日の参戦となるが、再び埼玉スタジアム2002にて、新たな歴史の1ページをこの目で観たいと思う。



MF14鈴木徳真
明らかなこの日のMVPキャプテンMF14鈴木徳真のヒーローインタビュー
徳真!!!お前は偉い!!!!!
本当に、伝説のシュートだった・・・



(15.1.10UP)






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