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難しい初戦を突破し、3回戦へ!!
今年こそは悲願の全国制覇を狙う前橋育英だが、初戦となった2回戦の初芝橋本戦は難しい試合となった。
まさかの初芝橋本の前半の猛攻に、初戦の難しさを痛感すると共に、全国選手権の厳しさを初戦で体験できた事は大きいし、その初戦を突破できた事が大きかった。
3回戦の相手となるのは、滝川二、岐阜工と破ってきた山梨学院。
2回戦で苦戦しただけに、そろそろ自前の攻撃陣により、早めに先制をとっていき、試合を楽に進めていきたい。
U−19の鈴木徳真、渡辺凌磨擁する前橋育英
今年の育英は昨年のU−17W杯で大活躍となったFW渡辺凌磨(りょうま)とMF鈴木徳真(とくま)の2年生コンビが、3年生と自分達の世代となり、全国を逃した悔しさをバネに準決勝でライバル桐生一を4−1で粉砕し、今年こそ全国での舞台を狙う。
既に世界を体験したこのコンビを軸に、相変わらずのタレントが揃う育英、今年は久々に桐生一が相手ではないが、果たして。
攻撃陣では凌磨の他に、FW青柳、桐生一戦で2得点のFW坂元が揃い、DF陣では184cmの高身長で空中戦での強さを誇る宮本、そして的確な読みでボールを奪取するという岩(いわ)と揃う。
9青柳
15関戸
10渡邊凌磨 11坂元
13吉永 14鈴木徳真
3岩(いわ) 2下山
4宮本 16上原
1吉田
ベンチはFW7菊池、FW24野口、FW25佐藤誠司、MF8小泉、MF19金子、MF23横澤、DF6渡辺聖夢、DF5河西、GK12山岸。
5年前の王者・山梨学院
5年前の初出場で初優勝を遂げている山梨学院は、なんといっても前線に188cmのFW原が控える。
DF2山中キャプテンをはじめ、こちらも全員が3年生。
エースNo.10でFC岐阜入りが内定しているMF10小川雄大は左膝の打撲でベンチに座る。
9原
20宇佐美
8福森 11伊藤
6大場 7多田
5安西 2山中
4大野 3渡辺剛
17古屋
立ち上がりから押し込む育英、大チャンスを逃した山梨学院
立ち上がりに主導権を掴んだのは育英。
渡辺凌磨を中心に、序盤からシュートを放つ。
4分にも右サイドから切れ込んだMF11坂元が鋭いシュートを放ち、GKのこぼれ球にFW9青柳が詰めるも惜しくもゴールならず。
7分には左サイドからMF10渡辺凌磨がDF3岩とのコンビネーションでゴール左至近距離まで攻め込み、こぼれたところをMF14徳真がミドルシュート。
9分、徳真からの縦パスから抜け出したFW9青柳の強烈なシュートも相手GKがどうにかブロック。
昨日の試合と違い、かなり立ち上がりから攻める事が出来ているので、こうなると前半のうちに得点できないと逆に厳しくなる。
何度か山梨学院にも攻められるが、そこは難なくしのぎ、14分にはFW15関戸のミドルシュートが相手に当たりCK。
この右CK、凌磨のキックはストレート系でそのままファーに飛び、ファーからの折り返しに逆サイドでヘディングを放つも、これまたGK古屋に止められる。
このGK古屋、身長が173cmと決して高く無いが、ここまでの2試合を無失点に抑えるなど、かなり当たっているGKのようだ。
そしてこの連続のピンチを防いだ山梨学院は反撃、18分に右サイドからMF11伊藤が切れ込んでいき、ライン際からショートクロスを上げると、これにゴール前中央で狙い澄ませたようにFW9原がドンピシャのヘディングを叩きつけ、これはやられた!!!!と思われたが、なんと左バーを直撃し、そこに更にMF8福森が詰めてくるも、GK吉田がギリギリ抑える。
まさに命拾い。
もはや入っていない方が奇跡のピンチだった。
やはり、チャンスを先に決めなければ逆にピンチを迎える。
ノッているGK古屋相手に、なんとしてでも先制を決めなければいけない。
山梨学院の猛攻も耐えてスコアレスで前半折り返し
その後はやや硬直状態となり、特に山梨学院は高さのある原か、スピードで何度も育英DF陣を苦しめている伊藤の前に長いボールを入れてくる。
確かに成功率は低いが、いざこのボールが通ると一気にピンチになるので、嫌な攻め方だ。
昨日の初芝橋本のドリブラー末吉塁にも舌を巻いたが、もう一度末吉が出てきたのか?とデジャブを感じるほどの伊藤のスピード。
34分、そのMF11伊藤に右寄りのサイドから一気に攻め込まれ、これになかなか付いていききれない中、がら空きとなってしまった左サイドにボールを出され、MF8福森のシュートはバーの上にふかし助かる。
更に続く36分もセカンドボールを拾われ、ボランチのMF7多田が中央に割って入られてしまい、そのまま左足でのシュートもどうにかバーの上。
こうして、前半の後ろの方は圧倒的に山梨学院に攻め込まれたままで1分間の前半ロスタイムも終わり、どちらもチャンスがありながらスコアレスで折り返す事となる。
立ち上がりはかなり攻め込む事が出来ていたので、あの流の中で先制が奪えれば良かったが、30分頃からは完全に山梨に攻め込まれる形となり、逆にここで先制されなかったのは収穫と言える。
両チーム、本当に差が無い。
どちらも攻撃の核である育英の凌磨、山梨の伊藤、原と、互いの守備陣が対応しきれてないところもある中、どちらがそこのギャップをうまくついて先制できるかだろう。
後半開始早々、手痛い先制を浴びる
後半開始早々、1分、凌磨にいいボールが入り、中央に入ってコースが空いたが、凌磨のコントロールが一瞬長くなってしまいシュートを撃てず、そのボールを奪ったカウンターから、今度はFW20宇佐美が一気に縦に突破し、育英DF陣も人数は揃っていたので、一度は挟み込んでボールをカットするも、それを再度宇佐美に奪われ、そのまま宇佐美が前に入っての右足でのシュートが、GK吉田の手も届かず、ゴール左隅をとらえ、これが入ってしまう。
・・・・・・・・・・・・!!!!!???・・・・・・・・
やられた!!!
一度はカットできていたのに・・・
なんとも残念な失点となってしまった。
ここまでイーブンに来ていただけに、先に先制されたのは非常に痛い。
また、ここまでみてわかるように、山梨学院の守備陣が相当に堅いので、ここから1点を追って奪えるかとなると、相当に困難な試練となる。
DF宮本、2試合連続のヘディングシュートで先制!!!
10分、凌磨からのパスにDF3岩が入っていったところをDF3渡辺にカットされCKに。
この左CK、凌磨のキックからファーに飛んだところに、ドンピシャで入っていったのがDF4宮本!!!
このヘディングが見事にゴール左に決まる!!
GOOAAALLLLL!!!!
まじか?また宮本か??
なんと、こういった場面のセットプレーで点を獲るのは珍しいと、昨日山田監督からコメントがあったばかりだというのに、まるで昨日の試合のリプレイを見ているかのようなファーでの宮本のヘディングにより、再び育英は同点に戻す事となる。
これで3試合目にして、山梨学院初の失点。
まさに値千金。
センターバック宮本が、今大会のラッキーボーイとなっている。
互いに選手交代で打開を図る
まさかの初失点で振り出しに戻された山梨学院は、12分に1人目の交代、どうやら足を痛めたらしい、先制ゴールのFW20宇佐美に代えて、怪我が心配されるエースMF10小川を投入する。
13分、MF11伊藤がまたしてもスピードを活かし、2人のマークを相手にグングンドリブルで上がっていき、ゴール前ファーにボールを入れると、これがアウト気味にかかってあわやゴール枠に入ろうかというところで流れる。
投入された小川も警戒しなければいけないが、この伊藤もまた厄介。
17分、育英はうまく相手自陣でセカンドボールを拾い、前に出てきたMF14徳真にボールが渡ると、徳真がヒールでスルーパスをゴール前に送ると、これに入っていったFW9青柳が決定的なシュートを放つも、惜しくもバーの右!!
青柳!!それは決めろ!!!!枠にいかないとダメだって!!!
徳真のここ一番での冷静なプレーが光る。
19分、MF10小川に対し、足を引っ掛けてしまったDF16上原がファールで倒し、この試合初のイエローが提示される。
21分、育英は1人目の交代、FW15関戸に代えて、MF23横澤を投入。
更に23分を過ぎ、MF13吉永に代えてDF6渡辺星夢(しょうむ)を投入。
星夢は県大会決勝の左サイドバックのスタメンメンバーだが、右足首を怪我してスタメンを外れていたが、この大一番での投入となった。
星夢はそのまま左ボランチに入る。
互いの決定機入らず
その交代直後の24分、良いタイミングでボールを出され、左サイドからMF10小川がやや中央に切れ込んだところから決定的なシュートを浴び、これにGK吉田、ギリギリ左手をわずかに当て、このシュートが左のバーを直撃!!!
ギリギリのところで本当に吉田もよく手に当てたが、この試合、これで2回もバーに救われた。
この後、MF11伊藤にイエローが出る。
27分を過ぎたところで、互いに選手交代、育英は3人目の交代として、DF16上原に代えてMF8小泉を投入。
小泉はボランチに入り、入ったばかりの渡辺星夢がセンターバックに入る。
山梨学院は、2人目として、注目のFW8原を下げ、FW19池添を投入し、攻撃のリズムを変えてくる。
28分、MF23横澤がペナルティエリア内でドリブルに入り、DF2山中に倒され笛が鳴り、PKか??と思われたが、逆に横澤がシミュレーションをとられイエロー提示。
まあ高校サッカーで審判をあざむくという事は無いのだろうが、これは確かに山中はボールにいっていたので、PKにはならない。
36分を過ぎたところでMF23横澤が抜けていき、ゴール前に出したボールにFW9青柳が詰めにいったところをGK古屋が間一髪前に出てこれをブロック。
さすが古屋、ここも固いか・・・
山梨学院、守備固めに入りPK戦へ・・・
ここで山梨学院は3人目の交代、これまで散々育英を苦しめてきたMF11伊藤大祐に代えてDF12中内を投入。
これは明らかに守備固めで、どちらかというと昨日も制しているPK戦に持ち込む構えか??
その後も団子状態になった山梨ゴール前でどうにかDF宮本がシュートを放つも、これはGK古屋が抑える。
39分、ペナルティ中央手前でMF10凌磨がボールを受けると、マーク2、3人を相手にフェイントをかけ、左にかわしたところからの左でのシュートはわずかにバーの右!!
更に40分、徳真のスルーパスから青柳が抜け出すも、これもGK古屋が前に飛び出し、先にセーブ。
試合はそのまま3分間のロスタイムに突入。
1分を過ぎた所で、徳真のスルーパスに凌磨が抜け出て、一気にペナルティエリア内に攻め込んだところで相手DFのスライディングに倒れるも、これはホイッスルなし。
凌磨も足をつらせ気味の様子。
更に2分を過ぎた所で、凌磨がマークをかわしてのミドルシュートが枠の左下をとらえるも、GK古屋がこれもファインセーブではじき出す!!
そして終了のホイッスル。
最後は凌磨を中心にシュートを放ちまくった育英だったが、2試合連続、どうしても試合の流れの中で点が獲れないまま、1−1のドローで試合は終了し、PK戦となる。
PK戦を制し、育英ベスト8へ!!!
運命のPK戦。
先行は前橋育英。
1人目は絶大な信頼を受けるキャプテンMF14鈴木徳真。
落ち着いて左に決め、大きな先制を決める。
山梨学院はDF6大場、これも冷静に左に決めて1−1。
2人目、MF10渡辺凌磨はGKの逆をかき、右に決め、さすがはこの2人、世界を知る落ち着きをみせる。
DF3渡辺剛も、右に飛んだGKの逆をつき、右に決め2−2、互いに譲らない。
3人目、途中出場のDF6渡辺星夢、利き足の左で強く右下に決める。
MF8福森は右に決め、3−3。
どう考えても、通常ならPK戦は1人目が決めさえすれば先行有利なので、そろそろ後攻の方がプレッシャーがかかるはずだが、さすがは一度PK戦をくぐり抜けている山梨学院、ここまでノーミスなところは凄い。
4人目、MF11坂元は利き足の左で右に決め、DF2山中は左に決め4−4。
5人目、FW9青柳、時間がかかり、ここは厳しいかと思われたが、見事に左上に決める。
そして昨日のPK戦で外しているMF10小川、冷静にコントロールショットで右下に決め5−5、これでPK戦もサドンデスの延長へ。
6人目、2試合連続ゴール中のDF4宮本はコントロールショットで左に決める。
DF4大野は左にコントロールショットを放つも、ついにGK吉田、これを読んでおり、見事にセーブ!!!!!
さすが吉田!!!!!
最後まで絶対に止めてやる!!!という気迫が勝った。
確かに、山梨学院には、PK戦を制したばかりというアドバンテージはあったが、それ以上に同点に追いついた流れと、逆に守りに入った山梨学院との差が出た。
本当に厳しい戦いだった。
戦力的にも五分五分だった。
しかし、この試合は多くの収穫があった。
先制されても追いつく力を、この土壇場で身に付けることが出来た。
セットプレー時の宮本の得点力は、もはや育英の大きな武器といって良いだろう。
また、後半投入されたMF横澤は、最初のうちは初出場ならではのプレーの堅さがあったが、試合終盤には相当にチャンスを作り出す事が出来るようになり、運動量もあるため、今後の試合でも大きな戦力となる。
更に、これまで伝統的に敗れてきたPK戦。
ここで、1人目徳真、2人目凌磨、更に重要なポイントとなった5人目青柳や、6人目宮本と、選手たちがここ一番で冷静さを保ってくれた。
今後もPK戦になっても、これは自信となるだろう。
これでベスト8。
久々のベスト4進出まであと1試合。
そして幻の決勝進出まであと2試合。
このチームなら勝てる。
何よりも、これまでの前橋育英の一番のウィークポイントだったメンタル面が、今年のチームは違う。
これまでの育英とは、そこが大きく違う。
勝とう。
最後まで、勝とう。
(15.1.3UP)
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