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2013-2014全国高校サッカー選手権
H26.11.8
群馬県大会決勝 前橋育英 4−1 前橋商業


〜7年ぶりの前橋クラシコ〜

横棒



7年ぶりのライバル対決、前橋商業久々の群馬県大会決勝

かつて高校サッカー選手権群馬県大会決勝といえば、このカードしかあり得なかった。

共に全国で2年連続ベスト4までいった歴史を誇る前橋育英と前橋商業の前橋クラシコ。



しかし、7年前に現在J2松本の主力として活躍するMF岩上擁した時以来、ここ6年はずっと新興勢といえる桐生第一に前橋商業は後塵をはいしていたが、今年は組み合わせの妙もあって7年ぶりに決勝の舞台に戻ってきた。

そして全国にいったのは、粘り強い守備とCKから点を獲るという、センターバック糠谷の圧倒的存在感によってベスト8まで登り詰めた2004年以来、久しく全国から離れている。

既に古豪という言葉が似あってしまっている前橋商業の奮起なるか?


やはり生まれも育ちも両親の生まれも前橋である、生粋の前橋っ子の自分としては、この前橋クラシコは堪えられない。



U−19の鈴木徳真、渡辺凌磨擁する前橋育英

今年の育英は昨年のU−17W杯で大活躍となったFW渡辺凌磨(りょうま)とMF鈴木徳真(とくま)の2年生コンビが、3年生と自分達の世代となり、全国を逃した悔しさをバネに準決勝でライバル桐生一を4−1で粉砕し、今年こそ全国での舞台を狙う。

既に世界を体験したこのコンビを軸に、相変わらずのタレントが揃う育英、今年は久々に桐生一が相手ではないが、果たして。


攻撃陣では凌磨の他に、FW青柳、桐生一戦で2得点のFW坂元が揃い、DF陣では184cmの高身長で空中戦での強さを誇る宮本、そして的確な読みでボールを奪取するという岩(いわ)と揃う。



9青柳
15関戸
10渡邊凌磨      11坂元
13吉永 14鈴木徳真

6渡辺星夢         3岩(いわ)
4宮本 16上原

1吉田




しぶとく勝ち上がってきた前橋商業

準々決勝、準決勝と共に1−1のPK戦で勝ち上がってきた前橋商業。

武器はエースNo.10を背負うMF品川のロングフィードからの展開力と、キャプテン澤口と山崎の両サイドの豊富な運動量からのチャンスメイクとのこと。

また、育英の攻撃を豊川と額田(ぬかだ)のセンターバックコンビがいかに止めるかにも懸っている。


9堀
13堀口
11澤口      7山崎
10品川 8干川

14山田        3川口
5額田(ぬかだ)4豊川

1青木



いきなり凌磨の左足一閃から育英先制!!

久々の黄色と黒の縦縞であるタイガー軍団の前橋育英と、白と黒の縦縞であるゼブラ軍団の前橋商業の戦いとなった敷島陸上競技場(正田醤油スタ)でのピッチ。
この対照的なユニフォームのコントラストも、やはり伝統ある一戦である事が偲ばれる。


開始4分、こぼれ球から2年生のMF13堀口がロングシュートを狙い、これはGK吉田がはじきCKに。
その左CKの流れで、左サイドからのクロスをゴール前に入れ、これをMF13堀口らが詰めるも、GK吉田が身を挺して抑える。


しかしこのピンチの直後の6分、育英が押し寄せた後にペナルティ左手前でこぼれた球を拾ったMF10凌磨が、キックフェイントで切り替えし縦に入ると、すかさず左足を振り抜き、これがコーナー右上ギリギリに決まり、いきなりの先制!!


GOOAAALLLLL!!!!


ちょうどうまい具合にボールの軌道がGKの手を離れていくようにホップする回転がかかり、ちょうどコーナーのスポットに収まる絶妙なシュートとなった。

昨年は桐生一に封じ込められ、後半にCKからの1点で惜敗した育英としては、昨年の二の舞になるまいとするこの先制の意味は非常に大きい。

それも、点を獲ったのがエース凌磨となれば、これはチームが乗ってくる。




前半はスコアレスで折り返し

その後は凌磨と星夢(しょうむ)の渡辺コンビを中心に左サイドから崩す事が多い育英が試合を制し、前商はとにかく最少失点に抑えるべく、まずはこれにしっかり対応。

必然的に前商ゴール前での競り合いが多くなる。

なかなか前商としては、前線の1トップFW堀に当ててから攻撃を展開したいところだが、育英守備陣がほとんど仕事をさせないため、前商の攻撃のスイッチがなかなか入らない。


24分、ようやく苦しい体勢ながらも左サイドから前商が攻め入り、ペナルティ左のFW9堀に渡すと、素晴らしい素早いターンからのシュートが可能性のある威力を持つも、GK吉田がセーブ。


そして26分にも、左サイドからMF11澤口が一気にドリブルで攻めあがると、ゴールニアに鋭い低いクロスを入れ、ここにFW9堀が詰めていったシュートは、GK吉田がどうにかセーブ。

まだ怪我から復帰したばかりというFW堀だが、やはり前商イレブンの信頼が厚いのだろうという、仕事ぶりを前線で魅せる。



青柳の追加点により2点リードで前半折り返し

その後は攻撃時は積極的にトップ下のような位置に入るMF13吉永に対し、MF14徳真がアンカーのポジションでセカンドボールを拾ったり、相手の速攻を止める役目を忠実に担う育英が1点リードを背景に再び試合を制し始める。

それにしてもU−19代表の徳真はやはり素晴らしい。

落ち着きぶりが半端なく、いつでも育英というチームは徳真にいったんボールを戻すだけで本来の形に戻る事ができ、良い意味でのリセットをかけられる。

特にピルロのように一歩引いたポジションに位置するため、相手もマークに付きずらく、そこから正確なロングフィードで的確にボールを送られてしまうものだから、前商としてもなかなか主導権を握れない。

雰囲気的には2010年に天才ボランチとして全国に名を馳せ、その後レッズ、現在徳島にレンタル移籍中の小島秀仁に近い。

いや、セカンドボールの支配率から言えば、アンカーとしては秀仁以上のモノがある。
そう考えると、上背が無いところからしても、前商出身ながら松本の岩上にむしろ近い。



このまま1点リードで折り返しか、と思われた前半終了間際の40分、育英は前商からのセカンドボールを拾うと、そのまま前線にダイレクトに送っていき、MF13吉永からワンタッチで入れていった浮き球の縦パスから、ゴール前左に詰めていったFW9青柳がうまくダイレクトに合わせて相手GKの足元を抜く形でシュートを流し込む!!


GOOAAALLLLL!!!!


う〜ん、前商としてはどうにか1点で抑えて後半にいきたかった中での、ワンチャンスを決められてしまったような形で、なんとも無念な展開。

対する育英は非常に良い時間帯に追加点を奪え、正直この試合はもう決まりか??
と思える2点リードでの前半折り返しとなった。





後半開始早々、前商痛恨のオウンゴール

後半開始直後の3分だった。
育英がカウンターの体勢となり、左サイドからDF6渡辺星夢のパスをフリーで受けたFW9青柳が、ペナルティに入ったところで決定的なシュートを放つと、これはGK青木触れなかったが、枠は外れる・・・と思ったが、なんと懸命に戻ってきていた前商DFに当たってしまい、これがそのまま痛恨のオウンゴール!!!


これでほぼダメ押しといえる3点目が入ってしまう。
これは前商にとって非常に不運。

やはり前半終了間際の追加点で、完全に流れが育英にいってしまった。




坂元の追加点で4−0

もうこうなると育英ペースは止まらない。
10分、右サイドのDF3岩から上げられたクロスにニアで競ったFW9青柳からのこぼれ球を拾ったFW11坂元が、そのままゴール前右で勝負にいき、鋭いフェイントでDF14山田を完全に抜くと、そのまま左足を振り抜きシュートをニアに決める。


GOOAAALLLLL!!!!


もう完全に試合は決まったが、こうなると育英としても次の全国の舞台を前に、いかに決められるところを決めるかという舞台となる。

ここで前商は選手交代、元々時間限定だった怪我上がりのFW9堀に替え、1年のFW20金枝(かねえだ)を投入。
それにしても堀は怪我上がりとは思えないほどのゴール前での力強さでチームを牽引し、育英相手にあと一歩まで詰め寄ってみせた。

更に16分にも選手交代、2年のDF4豊川に代えて3年のDF6贄田を投入。
前商としてはとにかくまずは1点取り返したい。



FW金枝が獲ったCKから前商1点取り返す!!

23分、育英も選手交代、攻撃にもよく顔を出したMF13吉永に代えてMF8小泉を投入。

24分、前商はMF7山崎が右サイドから2人のマークを相手に力強いドリブルで前へ前へボールを運び、マイナスの折り返しからFW金枝がボールを受けにいったところを倒されるもPKまでの判定にはいけず。

山崎の縦の仕掛けがようやく活きた場面だった。


28分、前商は縦パス一本からMF13堀口がヘディングで前線に送り、ここにFW20金崎が抜け出てGKとの1対1気味となったところからのシュートを放つも、GK吉田がファインセーブで抑える。

金枝のスピードはこれまでに無かったチャンスを作り出している。


30分、育英は2人目の交代、FW13関戸に代えてMF23横澤が入る。


31分、ペナルティ内でボールを受けたFW20金枝、果敢にドリブルで縦に仕掛け、CKを勝ち取る。
この左CK、一度バウンドしてファーにはねていったボールに、DF5額田が身体を投げ出して放ったヘディングがゴールラインを割り、GK吉田がはじき出したかにみえたが、先にラインを割っていたということでゴール判定に!!


GOOAAALLLLL!!!!


これまでもCKからFW陣よりも点を獲っているという額田のセットプレーの強さが活きた起死回生の1点だった。

前商としては完全に試合が終わったかに見えた中でも、もう一度古豪たるプライドを取戻し、この時間帯押し返していたところでの得点となった。
これぞ前商の粘り強さ。




今年の群馬代表は育英

40分、育英はFW11坂元に代えてFW19上地(うえち)を投入

更にロスタイム3分に入ってからMF14徳真に代えてDF5河西も投入。

そしてMF10凌磨が足を負傷したらしくピッチを出る。
大丈夫か?凌磨!!


最後は育英もかなりドタバタしたものの、そのまま試合は4−1で終了。

伝統の一戦はやはり地力に勝る育英に軍配が上がった。

かつてたった1人でタレント集団の育英を苦しめた前商出身の岩上を彷彿とさせる徳真にまずは期待し、そして前線には凌磨、青柳、坂元とタレントが揃う。

これは期待できる・・・

なんとしてでも高校野球に続いての、悲願の優勝を。

もういい加減群馬代表に、決勝の壁を破って優勝を掴みとってきてもらいたい。







(14.11.8UP)






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