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平成22年度 第89回
全国高校サッカー選手権大会
第2回戦 平成23年1月2日
前橋育英(群馬)4−0室蘭大谷(北海道)


横棒



好スタートの育英、堅守の室蘭大谷を崩せるか?

昨年は第2回戦からの戦いで、いきなりジャイアントキラーの香川西と当たってしまい、不運な惜敗を喫したが、今年はしっかりと第1回戦で勝利でスタートした前橋育英。

昨年ベスト8で、今年は特に攻撃力の評判の高かった神村学園相手に、ほとんど危なげなく4−1という圧勝を手にした事は大きい。

勝因としては、チームの大黒柱であり、浦和レッズに入団が内定しているMF小島に頼り切る事無く、その相方のMF湯川が積極的に攻撃参加することで、相手チームが抑え所が無くなり、エースFW小牟田らを軸にチーム全体で点を獲るという形が出来ていること。

4得点どれも決して個の力に頼ったものでなく、相手のバイタルエリアでパスを繋ぎ、3人目、4人目の動きが連動して得点しているところが素晴らしい。


また、守備も近年の育英にはない、チーム全体で粘り強く守るという意識も徹底されており、GK牛越、DF川岸らを軸とした守備陣もなかなか堅い。



さて、2回戦の相手の室蘭大谷は、なんといっても堅守が武器とのこと。
特に札幌に入団内定しているDF櫛引が育英の前に立ちはだかる。

思えば現ザスパ草津キャプテンのMF松下が率いた当時の前橋育英で、準決勝で当たった当時大会無失点を誇った鉄壁の守備の市立船橋からどうしても点が奪えず、PK戦までもつれこんで惜敗したことが本当に今でも思い出されるし、悔しい。

しかし、そういった鉄壁を崩してこその全国制覇。

何としてでも得点し、勝ち進んで欲しい。





小島・湯川ボランチコンビ好調の前橋育英

育英はとにかく小島・湯川のボランチコンビが好調。
特に前の試合で湯川は先制点をアシストし、試合の流れを決定付けた2点目も自ら獲った。

エースFW小牟田にも得点が生まれ、センターバックのDF4川岸も得点を決めるなどチーム全体が好調。
とにかく鉄壁の室蘭大谷から得点を奪いたい。




10小牟田 11飯沼

24白石       17戸内
14小島 7湯川

3筑井          15榊原
4川岸 6北爪

1牛越




DF櫛引率いる堅守の室蘭大谷

室蘭大谷はとにかくキャプテンDF櫛引が圧倒的な存在。

その他はネットをみてもほとんど情報が無いので、とにかく大谷の守備を崩せるかが鍵となるだろう。



18内山 11前田

7笹原        6山田
10石川 8小玉

19川上         2中内
5櫛引 4吉田

21中西


立ち上がりから攻める育英、守る大谷

立ち上がりから攻めるはやはり個々の力に勝る育英。
5分にはルーズになってペナルティ内左にこぼれたボールに小牟田が詰めにいくも、ここはDF5櫛引がさすがのカバーで先にカット。

やはり大谷の守備は必ずボール保持者に対しきちんと詰め、特にサイドなどでは数的優位を作ってクロスすら入れさせない徹底がみられる。
パラグアイなどでもそうだが、やはり守備のチームの鉄則を守っているようだ。


大谷ももちろん守っているだけではなく、8分には左サイドバックDF19川上のいいカットから逆の右サイドに繋げ、MF6山田がオープニングシュートとなるミドルを放つ。
これは威力なくGK牛越が抑える。


大谷も寄せが速いが、育英ももちろん負けないプレスで攻守の切り替えの早い展開となり、なんとか風穴を開けようとする。

13分には右CKを得た育英がゴール前で混戦となる中、MF小島を中心に非常に狭いエリアでも果敢にドリブルと細かいパスで崩す育英スタイルでゴールにあと一歩まで近づく。


17分にも右寄りの位置からのFK、小島のキックが逆サイドゴール前に飛び、ボールが落とされルーズになったところを後方からのMF7湯川のミドルは惜しくもバーの左。




DFラインの裏を狙う巧みな大谷の戦略

育英のポゼッションは当然続くが、大谷も育英の攻撃に慣れてきたところもあり、徐々にボールを持てる時間帯も出てくる。

逆に育英としては、大谷が少しは攻めに出てきてくれないとなかなか守備に隙も出来ないので、そこをついていきたい。

21分、大谷の中盤の激しいプレスをどうにかかいくぐってパスを前に繋ぎ、FW小牟田がペナルティエリアまで詰めるも、これは大谷のDF陣とGK中西が挟み込み、小牟田とGK中西が交錯し中西倒れるも復帰。


大谷の攻撃の狙いは解説陣も言うとおりとにかく育英のDFラインの裏にボールを出し、育英のDFラインを押し下げる事。
榊原、筑井といったサイドバックもこれでなかなか上がれない。


27分には大谷がショートカウンターの形で右サイドを抜け出し、逆サイドのMF7笠原に渡ると、ここの笠原のシュートはループ気味に狙うも左枠の上。


31分にはDF5櫛引が左サイドを上がってきて良いクロスをペナルティ逆サイドに送ってくる積極性も見せる。


大谷のここまでの戦い方は非常に正しい。
中央は湯川、小島のテクニックと、センターバックの川岸らの強さで抑えこまれ、逆にボールを失うとそのまま小島らが攻撃の起点となってしまうが、とりあえず前に、DFラインの裏までボールを遅れれば悪い形でボールを失う事はなく、攻撃が止められてもきちんと守備ラインを整えられる。




スコアレスで前半折り返し

それにしても大谷の守備がいくら堅いからといっても、ここまでのシュートが少なすぎる。

わざとか?と思うくらいペナルティライン上からのミドルのシュートが少なく、あくまで中央の狭いエリアを通していこうという姿勢はちょっと育英伝統の良いところでもあるし、悪いところでもある姿勢が見え隠れする。

現に前半30分を過ぎたあたりは明らかに大谷のペース。
なかなかシュートまでいけない苛立ちがプレーの荒さに出てきてしまって今年の育英最大の武器である流動性が失ってしまっている。


そうこう言っているうちに前半は1分のロスタイムも終わり、前半はスコアレスでの折り返しとなる。

シュートの数でいえばむしろ大谷の方が上回る、というかあまりにシュートが撃てないまま終わってしまった前半。
明らかに守りの大谷の狙いどおりの展開ではあるが、しかしこの前半のワンチャンスで1点入れられていればもう終わりだったが、スコアレスで折り返せた事はうまくいっていない割りには救いはある。

とにかく後半、どちらが先に1点とるかで勝負は決まるだろう。
もしくはスコアレスでPK戦までもつれこむか・・・

いや、それは冒頭に述べたとおり松下時代の市船戦の悪夢が蘇るので、やはり80分で勝負を決めなければいけない。
ただ焦っては負けになる。
自分たちの流動性のサッカーを信じてゴールを狙うのみだ。




後半立ち上がりも大谷ペース

後半開始からむしろ攻め込むは大谷。
前半の出来の良さの勢いのままに、どこか個々が自身を持ったように前からのプレスが育英の個の能力を上回り、サイドから押し込む展開も見られる。

5分、ペナルティエリアへの縦パスにDFラインと競りながら前にいったFW小牟田にイエローが出される。
ん?遠目のビデオではわからなかったが、よっぽど腕で押すようなプレーがあったか?
1試合目の湯川と同じだが、2枚のイエローで累積欠場となるので、小牟田、湯川、小島、川岸、牛越とといった欠かせないセンターラインの主軸選手は気を付けて欲しい。
相手のカウンター時などやむを得ない時もあるので、つまらないカードにだけは気を付けないと。

しかしこのファールもやはりうまくいかない小牟田の苛立ちの表れとも言えるかもしれない。


9分、FW18内山がペナルティ右サイドを抜け出し、力のこもったシュートを放つもバーの左を外れる。


完全にこの後半序盤も大谷のペースで、前半とは違いポゼッションすら大谷に奪われてしまっている。



白石の起死回生の一発で先制!!!

厳しい育英の状況だが、しかし考えようによっては攻めて攻めて点が取れず、カウンター一発でやられて0−1の惜敗というのが最悪のシナリオであり、むしろ大谷に逆にボールを持たせた方がこの試合勝機はあるかもしれない。


まさにちょうどそう思ってきた矢先の12分だった。

DFライン右サイドからの大谷のお株を奪うDFライン裏への縦パス一本から、FW小牟田がフィジカルとリーチを活かしてどうにかキープしてDF5櫛引のマークを背中に受けながらゴールライン際から反転しながらのクロスをぎりぎり上げると、ペナルティ左で受けたMF24白石がワントラップの後に左足を振り抜きゴール逆サイドの右に突き刺さる。


GOOAAALLLLL!!!!


よし!!!
やはりこういう時か、点が決まるのは!!!

この後半、正直初めて育英が攻めたと思えたチャンスを唯一の2年白石が落ち着いてそして自分の利き足である左足を信じて振り抜いた決定力の高さが出た。


よし、鉄壁の大谷から点を奪った。
これで勝てるか!!!??




1点入りペースが戻る育英

1点入った事で育英らしさが戻り、小島の中盤でのボールキープを中心に押し込むようになる。

だが17分、大谷の速攻に繋がる場面のところでMF24白石が相手を倒してしまいイエローを受ける。
貴重な左サイドアタッカーの白石も途中で失いたくない選手であり、ちょっと軽くイエローをもらいすぎている感じがする。

18分、育英は先に動きMF17戸内に代えてスーパーサブFW18松井を投入。

その投入直後の19分、育英はバイタルエリアでダイレクトパスを回して大谷の守備陣を崩し、MF7湯川のスルーパスにFW11飯沼が見事にゴールを突き刺すがこれはギリギリオフサイドの判定。
いや〜オフサイドか?あれ?
惜しい!!


20分、大谷も1人目の交代、DF2中内に代えてDF14坂本を投入。


21分、育英は左CKのチャンス、小島のキックが鋭くニアに飛び、FW11飯沼がコースを変えてゴールニアを襲うも、これはGK中西かDFがかろうじて足に当てクリア。




大谷はエース安藤を投入し攻勢へ

27分、大谷はFW18内山に代えてFW23広瀬と1年FW同士の投入だが、広瀬は182cmと高い身長からのヘディングが武器とのこと。

28分、大谷は左サイドからFKのチャンスを得ると、壁のところでこぼれた裏でFW11前田がシュートを狙うもアウトにかかってバー右を逸れる。

29分、FW11飯沼はDF4吉田との競り合いでイエローをもらってしまい、ちょっとこの試合カードをもらい過ぎている。

30分、育英は左サイドの攻撃からゴール前左でFW小牟田がマークを背負いながらうまく身体をターンさせてのシュートもGK中西が足でセーブ。


31分、ペナルティ手前ほぼ中央でFKの絶好のチャンスを得た大谷は、ここで同時にMF7笠原に代えてFW9安藤を投入させる。
投入された安藤は本来エースだが、左足に怪我があったらしく、時間限定の一発勝負らしい。

このFKがこぼれたところで、安藤は早速痛めた左足を振り抜きシュートはバーの右を逸れる。
危ないところだった。


やはり安藤投入後、明らかに大谷のスイッチが入り、気持ちのこもった気迫の攻撃が続くも、育英もサイドバック筑井らがここはしっかりと粘り強く対応し防ぐ。




小牟田の冷静なループシュートでダメ押し点!!

その粘り強く守った成果は早速現れた。

34分、カウンターの縦パス一本からFW11飯沼が頭で繋ぎ、そのままの勢いでボールを受けたFW10小牟田が抜け出してDFラインも追いつけず、GK中西も前に出ざるをえないところで、その裏をかくように小牟田はループシュートを見事に、難なく決めてみせる。


GOOAAALLLLL!!!!


やはり大谷は前がかりになったところで、らしさである堅守が崩れてしまった。
エース小牟田の決定力もさすがという、圧巻のシュート。
1試合目の1対1を決めた時もそうだが、小牟田の決定機の冷静さは凄まじい。
毎回あれが出来るのならば、どこのJリーグチームでも欲しいほどの逸材といえる。
まあ、それを本当に毎回出来たら凄いストライカーと言えるが、とにかくこの大会では小牟田はとんでもない決定力を誇るストライカーだ。


この得点でもうこの試合は決定。
やはり、後半最初の得点を決めた方が勝利を収める。




ロスタイムに2点を追加し、4−0で勝利!!

38分、勝負が決まったところでFW25松井に代えてDF22イ・ジョンスを投入し守備固めに。

DF5櫛引も最前線に上がり、もはやパワープレイしかない大谷。

40分になろうかというところで育英は更にMF24白石に代えてFW13柏俣を投入。

ロスタイムは3分。

GK中西も積極的にペナルティラインを飛び出し、前線にボールを送り続ける。


そんな中、ロスタイム3分に入ろうかというところで、右サイドをMF7湯川が抜け出し、マークを引き寄せたところで空いたペナルティ左にボールを送ると、投入されたばかりのFW13柏俣が難なくこれを決めて3点目となる追加点。


更にそのキックオフからのボールをカットした育英は前線にボールを送ると、FW10小牟田のポストで後方から上がっていったMF14小島がするするっと抜け出し、難なくペナルティ右サイドからシュートしこれを決めてなんと4点目。


最後の2点は本当におまけの得点となったが、しかしここでもやはり今年の育英の決定力の高さが伺えたし、やはり櫛引がいないDFラインにはもはや堪える術は無かった。



次に立ちはだかるは流経柏

本当に苦しい前半の内容だったし、その影響をひきずるように後半も押し込まれたが、しかし堅守・室蘭大谷を崩すにはむしろ後半の展開はラッキーでもあった。

育英のポゼッションのみで試合が続き、大谷のカウンター一発に終わればこの試合負けだっただろうが、逆に大谷のポゼッションになれたところで大谷の鉄壁の守備を崩すことができた。

そして今年の育英の決定力の高さには本当に驚かされる。
きっちりと決めるべきところで決められる、小牟田を中心としたこの決定力と、後半途中まで苦しい時間帯を乗り切った粘り強い守備があれば、まだまだ先に行ける力はある。


だが、ここで3回戦に立ちはだかる敵はあまりに強大だ。

そう、3年前に清水に入った大前らを擁して優勝した流経大柏。

MF小島の兄も所属し、小島が兄も踏んだ国立の舞台にいきたいと言っていた兄の母校がついに小島の前に立ちはだかる。


名古屋入り内定のレフティーMF吉田をはじめとした強力なフィジカルを誇る攻撃陣、そしてそれ以上にフィジカルと高さを誇るDF増田らを擁する守備陣と攻守共に全く隙がない。

果たしてこの最強ともいえる流経柏に勝てるか。


だが、当然優勝するにはいつかは当たるチーム。

この全員守備、全員攻撃で、サッカーというものがどういうものかを見せつけて欲しい。

流動性こそ全てを制す。

今年の育英はひと味違う。

とにかく1つでも前へ。







(11.1.2UP)






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