TOPへ戻る>>その他群馬サッカー関連について




平成21年度 第88回
全国高校サッカー選手権大会
前橋育英(群馬)2−3香川西(香川)


横棒



悲願の冬の全国優勝を目指し・・・まずは初戦

夏のインターハイを相変わらずの中盤の強さで制し、ついに群馬県勢初の優勝を手に入れた前橋育英。

しかし野球でも春の選抜よりも夏の甲子園の方が重要視されるように、サッカーでは夏のインターハイよりも冬の選手権の方が遙かに重みが違う。

当然の事ながらインターハイを制した前橋育英は優勝候補筆頭という事になるが、しかし野球でも春、夏の連覇が難しいようにサッカーでもかなり難しい。

そして群馬県勢としてまずは乗り越えたいのが決勝への壁。

現ザスパ草津の主軸として活躍するMF松下がキャプテンとして率いた頃や、昨年の六平、米田などの黄金の中盤を擁したチームでも準決勝では実力を発揮できずに決勝進出ならず、もう何度も何度もベスト4止まりで悔しい涙を流してきた。


おそらく決勝までいけば、インターハイのように優勝できる可能性は高まるだろうが、問題はそこまで順当に勝ち進めるかということ。

あくまでノックアウト方式のトーナメントは何が起こるかわからない。

その初戦となるこの香川西戦にしても、昨年も3回戦で当たっているが、先制はしたもののどうしても追加点が取れずに1−0での辛勝を収めたチーム。

まずは初戦を良い形で勝って、決勝進出まで弾みを付けたい。



前橋育英

とにかく今年の育英の戦力は素晴らしい。
絶対的な注目選手がいない代わりに、かえって相手のマークを絞らせず、チーム全体でどこからでも攻撃を仕掛け、得点を狙える強みがある。

特に昨年の準決勝を経験している2トップのFW13西澤、FW10皆川のコンビ、2年生ながら黄金の中盤の一角を担ったMF7中美、途中出場で全国を経験済みのMF9上星、MF8三浦、そしてチームで唯一の2年生レギュラーながら、U−17で活躍しチーム一のテクニックを誇るMF14小島。

DF陣も昨年も2年生ながらレギュラーを張ったDF4代田、各クラブチームも注目しているというDF6木村、昨年も途中出場しているDF3田中、主将のDF2小山。

そしてGKは1年生からレギュラーを張る守護神・志村。

攻守共にどこにも穴が無い。
昨年は唯一の2年生ながらレギュラーの半分を占めたメンバーがいよいよ3年生となり、松下の頃の黄金期がここに堂々の復活を遂げる。


・・・これでもし優勝できないようなら・・・

いや、あり得ない。
このメンバーで優勝できないなんて事があってはいけない。
もう、、、もう永遠の優勝候補の名はたくさんだ!!!!
今年でいい加減けりを付けよう。
優勝しなければ、結局歴史には何も残らない。
優勝するしかない。これが山田監督の言葉だ。

とにかく1戦1戦、育英の実力をきっちりと発揮したい。



13西澤 10皆川

7中美     11粕川
14小島 8三浦

3田中       6木村
4代田 2小山

1志村





香川西

香川西は昨年の対戦の時からいたFW11大西、FW10福家、MF6佐々木、DF5井上、DF2田中と育英に負けず劣らず全国経験者が揃う。
ん?そのうち大西と佐々木はまだ2年・・・というと昨年は1年だったということか。
(※もしかしたら苗字が被っているだけの可能性もあります)




11大西 10福家

7伊藤      19中谷
6佐々木 9高橋

5井上         2田中
3米田 4花崎

1澤柳


立ち上がりから育英の猛攻、しのぐ香川

立ち上がり、まだお互いボールが落ち着かない中、香川西のDF5井上のペナルティ手前右からのシュートはGK志村正面に収まるものの良いシュートだった。
井上は立ち上がりから積極的に攻め上がっていく姿勢が見られる。


その後は育英が西澤、皆川の2トップにボールを集め攻め込み、3分、たまらずにMF7伊藤がファールでイエローをもらう。

6分、ペナルティライン上に抜け出したFW13西澤がまずはシュートを一発放ちバーの上。

7分にもペナルティ左隅のところをMF7中美らが崩し、なかなか香川もクリアしきれない中、左サイドからDF3田中のFW10皆川への決定的なクロスはGK澤柳、かろうじてその前で抑える。

10分、右サイドをDF6木村が連携して上がり、ファーへのクロスにFW10皆川へはわずかに合わず。

11分、ペナルティ左手前からMF7中美のミドルはGK抑える。


昨年と同じだが、育英は1人1人の技術が高く、またみんな3年生となっており球際への強さも増しており、そうそうにボールは獲られないため、圧倒的なポゼッションの中からシュートをとにかく狙う事となる。

香川は必然的にそこを粘り強く対応しながら、FW福家などに速攻のパスを送りたいところ。



GK志村のこぼれからまさかの失点

18分、最初のCKはうまくFW大西がサイドでボールをキープした香川、蹴るのはDF5井上、ここでまともに蹴らずにニアに転がすフェイントをかけるも、育英もここはしっかり対応する。


21分、左サイドからMF14小島が入れたファーへのボールをFW皆川が落とし、MF11粕川がGKの前でちょこんと浮かせループ気味にシュートをゴールに送るも、これはやや弱くバーの左。


22分、縦パス1本から左サイドを抜け出したMF7伊藤がグランダーのクロスをニアに送ると、FW10福家を囮に、DFとGK志村がやや交錯してしまいこぼしたところをFW19中谷が詰めて、DF陣もぎりぎりカバーが間に合わずなんとゴールへ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!


なんとまさかの失点。
なんでも無い場面だったので、しっかりとGK志村も抑えたかったところだが、こういった失点があるのもまたサッカー。



まさかのPKで2失点目

反撃しなければいけなくなった育英、25分には右サイドからスルーパスを受けたFW13西澤がGKと1対1となるが、シュートはGKの足に当たりノーゴール。
相変わらず西澤・・・シュート数は多く放てるが決定力にやや難があるな・・・


そして驚くべき出来事はまだこれだけではなかった。

27分、香川西は速攻からマークをぎりぎりかわしながらのカウンターを仕掛け、MF9高橋が抜け出すと、DF4代田が身体半身かわされてしまい、GKと1対1の絶体絶命の場面で高橋のシュートのところを代田が後ろからチャージをしたことでイエローと共にPKとなってしまう。

これを蹴るのはエースFW福家。
冷静にゴール左隅に決める。


・・・・・・・・・おいおいおいおい!!・・・・・・・・


マジか?
こんな事が起こるとは・・・
1点は覚悟していたが、あまりにつまらないところから2失点もしてしまうとは・・・

これが初戦の怖さというもの。
西澤らが決定機を決めきれない中、香川は2回のチャンスで2点を決めた。



中美、意地で1点返すも、その直後に福家に3失点目

まさかまさかの2失点でさすが育英にも動揺が見られ、パス回しでボールを獲られるようになる育英に対し、勢いに乗る香川。
30分には左サイドからMF7伊藤が決定的なクロスをゴールライン際から送るも、これは大きくなりすぎファーに流れる。

その直後の31分、左サイドからMF7中美がペナルティライン左でボールを受け、3人に囲まれながらも強引にシュートを放ち、これが見事にゴール右に決まる。


GOOAAALLLLL!!!!


さすが中美!!
この時間帯で1点返せた事は大きい。


しかし喜ぶ間もなく、その直後のキックオフからDFライン前のスペースを突かれ、左サイドからゴール方向に向かっていったFW10福家がマークが追いつく間もなくゴール右に決める。


・・・・・・・・・・・・・はあ???・・・・・・・・・


何やってんだ??今日の育英は????
貴重な1点を返した後だからこそ、ここはしっかりと守って最低でも前半を1点ビハインドで乗り切る場面だろうが!!!!!

それがDFラインの前であれだけのスペースが空くとはどういうことだ??
中盤は何をやってる???

他の2失点は偶然が重なったところがあったが、この3失点目だけは許される失点ではない。
他の2点と違い、あまりにダメージがでかい。



2点ビハインドで折り返し

34分、左サイドからのクロスにゴール前でFW西澤が競り、こぼれたところを再度西澤が詰めるも体勢十分ではなくシュートが弱かったためGK抑える。


38分、FW皆川にクサビのボールを入れ、右サイドから上がったDF木村の思いきったシュートはバー左。

前半はこのまま1−3で折り返しとなる。

とにかく2失点までは仕方ない。
しかしあの3失点目だけはダメだ。
話にならない。
サッカーにならない。

所詮、期待されればされるほどこんなものか???
攻撃にはやるあまり、サッカーの基本である守備の意識があれだけおろそかになってしまっては、トーナメント戦では到底勝ち上がる事などできない。
技術の高さはともかく、精神的に今日の育英はまったくもって優勝候補筆頭の安定感の欠片もない。


後半は2点を追うかなり厳しい中、相手の前線には点を決めた福家、中谷、そして大西らのカウンターとしては十分な戦力が虎視眈々とダメ押し点を狙ってくるという、相当厳しい戦いが予想される。




後半も得点入らずに時間は進む

後半、香川は当然しっかりと守備に人数を揃え、奪ったら前線の福家らが狙うDFラインの裏にシンプルにボールを送る。

6分、育英は早めに選手交代を送り、MF11粕川に代わり2年ながら188cmのFW15小牟田(こむた)を投入。
小牟田は昨年も1年ながら積極的に途中投入され、活躍していた切り札だ。

7分、育英は左寄りからのFKはゴール前に送られ、こぼれたところをFW皆川がシュートを放つも惜しくもバーの上。

9分、右サイドでゴール前に攻め込んだFW西澤、シュートしても良い場面だったが大事にいきすぎコースが潰され、これを再度拾うと、左サイドDF3田中からのクロスにMF8三浦のヘディングはバー左。


後半立ち上がりから圧倒的にチャンスはつくるものの肝心の点が決まらないまま時計の針は過ぎていく。
とにかく高校サッカーは準々決勝までは前後半40分づつしかない。


15分にも左サイドからのDF田中のクロスにファーで小牟田が高い打点で合わせにいくも、わずかに当たらず。

17分、右手前でFKのチャンスを掴むも、DF3田中の左から放たれたシュートはバーの右上。


ようやくの2点目を返す

18分、中央にいったんFW小牟田らにクサビのボールが入り、左サイドにいったん出すと、DF3田中がマークと競り合いながらゴールライン際まで攻め込み、マイナスの折り返しに手前で1人がスルーし、その後ろでFW15小牟田が落ち着いてシュートをゴール左に決める。


GOOAAALLLLL!!!!


やっと後半1点か。
小牟田の投入は無駄では無かった。
散々チャンスをフイにしているエース西澤よりはこの試合としては小牟田の方が数倍良い。

とにかく相手にダメ押しの4点目を決められる前に1点返せてまだこの試合可能性がある。


1点差となりいよいよ育英も息を吹き返し、20分にはFW15小牟田がゴール前で4人に囲まれながらも強引にシュートまで持ち込みバーの上。



あと1点が遠い育英

24分、育英は2人目の交代、MF8三浦に代えてMF16湯川を投入。

その後もダイレクトのパスを多用しどうにか香川の守備を崩そうとする育英と、DFラインと中盤で分厚い守備を敷く香川。
育英はどうしても強引な中央を狙ったスルーパスが多く、もう少し右の木村からのクロスなどを使えないものかと思う。
2点目のアシストとなった左の田中の攻撃力も今日はかなり魅力だ。



29分もペナルティ左サイドをMF中美が抜け出して切れ込むも、DF2田中がいいブロックでこれを潰す。

31分、右サイドをダイレクトパスに縦に繋ぎ、MF16湯川のクロスがニアに入り、DFに当たりこぼれたところでFW皆川がシュートを放つも、わずかにバーの右。
これには山田監督も入らないのか??とあきれ顔。
そうだ、この試合まだ皆川、西澤の3年生2トップにまだゴールが無い。
このままおまえら終わる気か??


32分、香川は左CK、またトリッキーにショートコーナーを使ってきて、意表を突かれてしまいDF5井上にゴール左まで詰められあわやというところをなんとかGK志村抑える。



決定機2回も入らず・・・まさかの敗戦

いよいよ時間がない育英、33分にDF3田中に代えてDF25竹石を投入。
そういえばまだ香川は交代が無い。

35分、香川はようやく選手交代、FW19中谷に代えてMF16小川を投入。


36分、西澤がペナルティ手前左角でFKを得て、こぼれたところを後方からMF7中美の決定的な強烈なシュートがゴール左上に飛ぶも、GK澤柳これをファインセーブではじき出す。
こ、、、これが入らないとは・・・この試合、この一場面で決定的か・・・



後半も40分が過ぎ3分間のロスタイムへ。

ゴール右に抜き出たFW13西澤がここでまたしてもGKとの1対1となり、いよいよ最後のチャンスを掴むも、GK澤柳の飛び出しもありコースが無くなったか、西澤のシュートはわずかに、本当にわずかにバーの左へ・・・
正直言わざるをえないが、この試合の戦犯ともいえるな・・・西澤は・・・




こうして悪夢のような試合は終わった。

私は11日の決勝までしっかりとスケジュールは調整し、育英の長くなる戦いを1戦1戦楽しみにする予定だった。


それが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


まさか1戦のみで終わるとは。

冗談じゃない。
こんな落胆が他にあるだろうか。

例え日本代表がW杯に行けなかった事よりも、ザスパがあと一歩でJ1昇格が出来なかったとしても、それより遙かに悔しい。

そうだ、これが高校サッカーの凄いところだ。

高校野球もそうだが、1戦1戦にドラマがある。

昨年のような快進撃もあれば、こういったまさかの落とし穴もある。




とにかく、、、、、、、、、、

あんな失点するようじゃ、とても優勝は無理だ。

まあ高校サッカーでは限界があるだろうが、かつて松下らが率いた黄金期でもついに1点が取れなかった当時の市立船橋のように、滅多な事では点をやらない堅固さが必要だ。

育英のパスサッカーは非常に高いレベルにあるが、しかし守備がどうしても持ちこたえられない弱さがある。
昨年もそれで涙を飲んだ。
失点してもいいが、連続で失点してしまう弱さがまたしても今年出てしまった。

山田監督の目指す理想もあるだろうが、現実的に考えるともっと粘り強く守れる事をベースにすべきだ。



インターハイも制し、最強メンバーが出揃ったはずの今年のチームだったが、昨年の六平、米田という両ボランチを擁した強さは無かった。

頼みの小島がまだ唯一の2年生だったという事もあるだろう。

特にあのあってはならない3失点目は、小島などのボランチのところがどうなっていたんだ??と問いつめたいほどの大失態だった。
パスサッカーを目指すからには、きちんとその裏のリスクマネージメントが出来なくてはトーナメントは勝ち上がれない。
小島もこの試合を教訓に来年はしっかりと守備面でも成長してくれることを願いたい。


とにかく来年は明らかに小島中心のチームとなるだろうが、西澤や皆川よりもたくましく見えた小牟田なども来年いる。

しっかり守れ、そして決定機をしっかり決められる、優勝できるチームを来年も期待したい。




結局、飛び級ではまだ夢は届かないということだ。
今シーズンはまず初のインターハイ優勝を手に入れた。

3歩進んで2歩下がりながら、それでも冬の全国制覇ははっきりと見えてきている。
どんなに落胆の結果を受けようとも、それでも毎年チャレンジしていくしかない。






(10.01.02UP)






TOPへ戻る>>その他群馬サッカー関連について


inserted by FC2 system