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2008-2009全国高校サッカー選手権
準々決勝 2009年1月5日
前橋育英 1−0 國學院久我山(東京B)


〜黄金の中盤健在も決定力不足で辛勝しベスト4へ〜

横棒



ついに準々決勝・・・ベスト4を賭けて

ここ数年は2回戦の壁をなかなか突破できていない群馬県勢、特に前橋育英だったが、今年は全国初出場校が続いた対戦相手にも恵まれた感もあり、終始試合を支配する形で順当に勝ち上がり、ついに久々の準々決勝、ベスト8まで駒を進めた。

キャプテン米田も戦前から言っていたとおり、ベスト8に進出したことでとりあえずは強豪校としての面目躍如といったところだが、やはりここまできたら目標は優勝しかない。

格下のチーム相手になかなか点が取れない前線の決定力の物足りなさはあるものの、3試合無失点のチーム全体でまとまりのある守備力はここ近年の育英には無いものがある。


思うに最近の育英はJリーグ内定の岩沼、三澤、青木拓、廣瀬など特定の個々の力に頼る傾向があり、こういったチーム全体で戦うようなチーム作りがなかなか出来ていなかった。

それが、今年の場合はMF10佐藤穣のみがザスパに内定しているだけで、個々の力に頼るというよりは、全体でしっかりと囲んで守り、攻めては2列目、3列目から次々と選手が飛び出し分厚い攻撃を見せるといった、チーム全体で戦う意識が強いのが今年のチームの強さではないだろうか。



さて、3回戦まではクジ運の良さもあったが、ベスト8同士の対戦ともなるといよいよ力と力の真っ向勝負となる。

その相手は2年前、育英が2回戦でPK戦で敗れた那覇西を、なんと7−1という圧勝で倒した國學院久我山。
ちなみに久我山は2回戦の松山北相手にも7−1の同じスコアで圧勝を収めている。
夏のインターハイでの対戦では2−1で勝った育英だが、決定機に苦しむ育英とはチーム状態に差があるように思える。


とにかく、2001年度以来の7年ぶりのベスト4進出を賭けて、負けるわけにはいかない。
ここからは1戦1戦厳しい戦いとなるが、残り3試合勝ち抜いて欲しい。



黄金の中盤健在の前橋育英

育英はなんといっても黄金の中盤と称される4人のMFが中心。
当初はエースナンバー10を背負うザスパ内定の佐藤穣を中心に注目していたが、大会が進むごとにMF7六平の中盤の底からのゲームメイクが冴え、キャプテン米田は積極的にゴールを狙う。
前の試合ではMF陣唯一の2年生、MF20中美が香川西の急造右サイドバックの急所を狙い次々と左サイドから突破してみせた。

問題は2年生2トップ、エースのFW13西澤と、長身のFW25皆川らに得点が少ない事か。
山田監督としては後半投入で徐々に力を見せている1年生の長身FW15小牟田の方が逆に良いのでは、という見方もあるほど。

とにかくサッカーは点を決めなければ中盤がどんなに良くても意味がない。
しっかりと決定機を決めていきたい。


13西澤 25皆川

20中美     10佐藤穣
7六平 14米田賢

6笛田       18木村
23代田 2藤崎

12志村



MF田邊、FW川久保擁する國學院久我山

2回戦でも点を決め、3回戦では共にハットトリックを決めたJ1・FC東京入り内定のMF10田邊、FW11川久保らの決定力が脅威。
FW18松村も2試合連続得点で波に乗る。

とにかく、久我山と対戦した過去の2チームと同じ轍を踏まないためにも、まずはしっかりとチーム全体で粘り強く守りたいところ。


11川久保 18松村

8森藤       10田邊
7松田 9石尾

4河村        5松下
3斉藤 2高橋

1間宮


立ち上がり、六平の飛び出しもファールで止められる

立ち上がり2分、ペナルティ手前右寄り中央でFW25皆川に対しDF4河村が足を上げるファールでイエロー。
皆川、これで出血する。

FKは右に意表をついて右にはたくが、合わなかったかクロスは上げられず。


7分、中央から抜け出したMF7六平、ボールをうまく上に上げてDFラインを抜け出しGKと1対1に。
ペナルティ外まで飛び出してきたGK間宮をも六平は右にかわし、あとは無人のゴールに入れるのみ・・・
といったところでGK間宮、ファール覚悟で足を伸ばし六平転倒。

解説陣もこれはもしや??と言ったとおり、明らかに決定機阻止の一発レッドかと思われたが、手で払うのではなく足だったせいか通常のファール扱いでイエロー。
ここでGK退場となれば序盤から優位に立てるチャンスだったが、ジャッジには従うしかない。

このFK、MF10穣が直接狙いにいくもイメージよりも落ちずにバーの左上に。


11分には中盤からのスルーパスをもらったFW13西澤がゴール右サイドまで攻め込み至近距離からシュートも、GK抑える。


開始から圧倒的に育英が押し込む展開。



互いの決定機がバーに阻まれる

立ち上がりの時間を我慢した久我山もMF10田邊らがサイドからの速攻で攻め出す。

しかし19分、中盤でボールを奪ったMF7六平が絶妙なサイドチェンジを左サイドに入れ、MF20中美が強気のシュートをニアのゴール左上に放つも、これがバーを直撃!!


そして返す刀で今度は右サイドからMF10田邊が攻め込み右CKに。
MF7松田が蹴るボールはゴールファーポストに飛び、そこでフリーでいたDF5松下がヘディングを放ち、これまた左のバーを直撃!!

互いの決定機がバーに阻まれる。


24分、DF18木村のクロスからペナルティ左サイド寄りでボールを受けアタックにいったMF20中美がファールをもらうと、MF14米田が早いリスタートを送ろうとするも、DF5松下がこれを阻止した形でイエロー。


改めてMF14米田が今度は狙い澄まして右足から巻いてゴール左上を狙い、高さ、威力共に十分だったが、ほんとにわずかに曲がり過ぎてバーの左。
う〜ん、、、惜しい・・・


これまでの3試合ではここまでの時間帯で先制点を上げていたが、さすがに準々決勝ともなるとゴールが遠い。


育英、圧倒的にシュートを放つも得点ならず

29分、なんと久我山は早くも選手交代。
FW18松村に代え、FW20具島を投入。
確かに育英が押し込んでいる前半の展開とはいえ、2試合連続ゴールの松村を早くも代えるとは、思い切った采配。


育英は攻め込みはするものの、しっかりとリスクマネージメントも忘れない。
特にMF10田邊に対しては常に前後で挟み込みプレッシャーをかけ、寄せが早い。
当然だが、山田監督としてもかなり警戒しているのだろう。


32分、育英は速攻からのスルーパスにペナルティ右にFW13西澤が抜け出てシュートも、力無くGKに収まる。
ここまでの試合に言える事だが、この辺でのFW陣の決定力が現在の育英の最大のウィークポイントだ。


33分、右サイドからMF10穣の柔らかいペナルティ外中央へのパスに、MF14米田がゴール前に送り、FW13西澤のダイレクトでのシュートはGK間宮、至近距離でのファインセーブ。

35分も左サイドからMF20中美とFW13西澤で崩し、西澤のシュートはバーの上へ。

いい加減この良い前半の時間帯に得点が出来ないと厳しい。



内容はパーフェクトも、得点ならず前半折り返し

育英は得点こそ取れないが、内容はほぼパーフェクト。
解説陣が絶賛するとおりMF7六平、MF14米田の守備面での貢献が大きく、DFラインと連携してほとんどスペースを与えずセカンドボールを支配し、右サイドに張るMF10田邊までボールを回させない。

あとは点を決めるだけだが・・・


これだけ攻め込んでも結局はゼロで抑えられているということは、逆に言えば久我山の守り勝ちともいえる。
点が入るべき時に点が入らなければ、どんな強いチームでも負ける。


1分の前半のロスタイムも経過し、結局はスコアレスのまま前半終了。


1点も取れなかった事にかなりの危機感を感じる前半が終わり、久我山も勝負に来るであろう後半を迎える。



後半立ち上がりも育英攻め込む

後半開始1分、左サイドからFW11川久保がスピードを活かして抜け出し、GK志村が決死の飛び出しを見せ、DF陣も粘ってこれをクリア。

やはり前半1点も奪えなかった事は後半に響いてくる。


対する育英もやはり後半も攻める。
特に左サイドハーフのMF20中美は好調をキープしており、鋭いサイドアタックが冴える。


4分、久我山の左サイドからの攻撃に積極的に前に出たGK志村が痛恨のクリアミス。
すかさずMF8森藤が無人のゴールを狙うも、バーの右。

育英も3回戦無失点のとおり取られそうで点を取られない。


5分、右サイドに出たサイドチェンジから、MF10穣が右サイド深くまで攻め入り柔らかいタッチで折り返しのボールを送ると、攻め上がったMF14米田が果敢に飛び出し角度がないながらもシュートを放つと、ぎりぎりバーの左を出て行く。


7分、中央でFW25皆川のポストから、左サイドをMF20中美が突破し、ゴール前でMF10穣のシュートはGK間宮これまたファインセーブ。

シュートが今一歩決定打に欠いた。
これでもまだ入らないのか??とゴールの遠さに愕然とする。



久我山2人目の選手交代

8分、なんと久我山は2人目の選手交代で、前半29分で投入したばかりのFW20具島を下げ、MF19洞内を投入。

後半になっても相変わらず続く育英の攻撃の流れをどうにかしたいのだろう。
そもそもこの具島という選手は流れを変えたい時に投入する選手ということで、結局流れが変わらなかったので、お役ご免と言うことか。
凄い交代策だな・・・


これで流れがやや変わり、久我山が押し込む場面が出てくる。

11分、速攻からMF10田邊が飛び出し、ゴール目前まで攻められるも、わずかにオフサイドの判定。

14分にもカウンターからゴール前中央に押し込まれシュートを撃たれるもDF6笛田がぎりぎりブロック。


とにかく点が入っていないのだから、スコア上は五分五分。
久我山はワンチャンスで1点さえ入れればいい。

しかし育英もよく守る。



ついにMF佐藤穣、値千金の先制ゴール!!!

久我山の攻撃力も徐々に顔を出しはじめ、暗雲たちこめてきた中の15分だった。

センターでMF14米田、MF7六平のボランチコンビで巧みにボールをキープすると、六平の前線へのパスにMF10穣が抜け出し、ペナルティ右サイドゴール前まで進入すると、ブロックに入ったDFもさすがの柔らかいヒールを使ったテクニックでひらりとかわし、そのままシュートを流し込む。


GOOAAALLLLL!!!!


ついに!!!!

ついにゴール!!!!

もうこの試合はスコアレスのPK戦か、久我山のワンチャンスが決まり苦敗となる最悪のシナリオばかりが後半脳裏に浮かんだが、何よりも欲しかった先制ゴールがようやく攻撃の核・MF穣から生まれる事となる。



育英、なおも攻める

その後もFW13西澤の単独カウンターや、混戦の中からの19分のシュートなどチャンスが続くが追加点はならず。

20分には右サイドからMF10穣やDF18木村が崩し、最後は後方からMF7六平がミドルを放つも、これはわずかにバーの右へ逸れる。

21分、左サイドDF6笛田のクロスからペナルティライン中央でFW25皆川が相手DFを見事に抑えて落とし、FW13西澤の満を持してのシュートも力が入ったかバーの上を越す。


先制してから更に勢いを増して攻め込むのはこれまでの3試合と変わらず。
この、決して守りに入らない、あくまでも全員攻撃、全員守備を貫くチーム全体の意識の高さが今年のチームの強さだ。



久我山のチャンスもかろうじて防ぐ

時間が無くなる中、久我山にもチャンスの場面。

27分、右サイドからMF10田邊がついにフリーで攻め込み、ペナルティ右サイドでDFのマークを振り切ろうとしたところで足がかかり転倒。
これは??とヒヤリとしたが、ファールの判定ならず。

続いてゴール前中央からMF9石尾がシュートを放つもバーの右に逸れてくれる。


30分、久我山は3人目の交代、DF5松下に代えDF14伊藤を投入。

31分、育英もいよいよ選手交代、ポストプレーがこの日は冴えていたFW25皆川に代え、同じく長身FW、1年のFW15小牟田を投入。


更に35分には2人目の交代、MF20中美に代え大会初登場のMF17上星を投入。


36分、FW15小牟田が抜け出し、マークを受けながらもGKと1対1の場面を作ってシュートも、GK間宮にセーブされる。



育英、ついにベスト4!!そして悲願の決勝を賭けた戦いへ・・・

時間はどんどん経過し、ついに40分に入ったところで3人目の交代、FW13西澤に代え、DF4小山を投入。

そして2分のロスタイムへ。

身体を波って守るDF陣、サイドで粘る前線一体となって守り、最後は右サイドからのカウンターからMF17上星が抜け出てGKとの1対1からシュートを放つも、GK間宮、なんとか止めたところで終了のホイッスル。


結局育英は過去3試合と同じように中盤を圧倒的に制し、そして数は少ないながらも相手の決定機も粘り強く守備陣が対応して守り、決定力不足に泣かされながらも虎の子の1点を守って見事に競り勝った。


ついに7年ぶりの準決勝へ・・・

そして、はるか昔、FW服部とMF鳥居塚のコンビが活躍した前商のベスト4からはじまり、ザスパキャプテン松下の時代の2年連続ベスト4、その2年後のDF佐田の時代のベスト4と、なかなか決勝の舞台があと一歩遠い群馬県勢。

そんな群馬県勢悲願の初の決勝進出へ、飛び抜けたエースのいない、チーム全体で戦う育英には珍しいタイプの今年のチームが挑む。


相手は今年の育英とは好対照な、鹿島内定が決まっているスーパーエース大迫勇也を擁する鹿児島城西。

正直決勝までは当たりたくなかった相手だが、今年のチームには近年の群馬県勢には無い無限の可能性を感じる。

特に、久我山を相手でも圧倒的に中盤の主導権を握った”黄金の中盤”は出場校屈指のレベルだろう。
同じように中盤を制すれば、今日の試合の田邊、川久保を消したように、スーパーエースを封じられるかもしれない。




勝って・・・

勝って初の決勝のフィールドに立ちたい。







(09.01.05UP)






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