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2008-2009全国高校サッカー選手権
第3回戦 2009年1月3日
前橋育英 1−0 香川西(香川)


〜中盤を支配も追加点奪えず辛勝〜

横棒



いよいよ本当の戦いへ

1回戦の京都橘、2回戦の武蔵工大二ともに全国大会初出場校であり、試合内容を見てもやはり格下ではあり、正直対戦相手に恵まれている感はあった。

しかしこの3回戦からはいよいよ実力者が揃う、1試合1試合が決戦の場となる。


その3回戦の相手は、なんとインターハイ優勝の市立船橋を破るという大番狂わせを起こした香川西。
特に2点を決めた1年生FWの大西と、J1川崎入りが決まっている左利きのMF登里に注目が集まる。


昨年までと違い守備のまとまりの良さで粘って、育英らしいパスサッカーで3回戦も突破したい。



連戦の疲れが気になる前橋育英

さて、大晦日での1回戦に続き、昨日1月2日も2回戦を戦いこれが3戦目となる育英。
高校生とはいえ、サッカーでこのタイトなスケジュールは疲労も心配される。

これまででイエローカードを貰っているDF2藤崎やMF14米田ら守備陣のイエロー累積も勝ち進んだとしたら影響が出てくる。



13西澤 25皆川

20中美     10佐藤穣
7六平 14米田賢

6笛田       18木村
23代田 2藤崎

12志村



川崎入りの登里擁する香川西

市船に勝った香川西、やはり2点取ったその攻撃陣に注目が集まる。
2得点した1年生エースFW大西はもちろんの事、J1川崎に入団するMF登里(のぼりざと)のスピードと左足にも苦戦する事だろう。
ただ、その登里は市船戦で左ひざ内側靱帯(じんたい)を伸ばしたらしく、その怪我の影響はどうか。

FW大西の他、MF6佐々木も1年で、その他2年生も多く、学年にこだわらない実力主義といったチーム作りが見られる。


18大西 9福家

8登里      7石田
10景野 6佐々木

5井上       11田中
3村上 2増田

1城立


立ち上がりはシュートチャンスがあるも得点ならず

開始1分、右サイドから攻め上がり、中央でMF7六平(むさか)が送ったパスにペナルティラインからFW13西澤が放ったシュートがオープニングシュートとなり、これはGKに収まる。

その後も4分には、FW13西澤が落としたところにMF10穣が豪快にミドルを放っていき、これはバーの上。

立ち上がりは育英のシュートチャンスが目立つも、決定機とまではいかない。


6分、今度は香川のMF8登里が左スローインから抜け出て角度の無いながらもシュートにいき、飛び出したGK志村が足でセーブ、再度詰められるも、このシュートもセーブ。
この場面はDF18木村がマークを外してしまったことに起因しており、こういった何でもないセットプレーからの失点は集中力の差であり、失点は避けたい。
また、そこを見逃さない力を持つのがやはり登里の実力といえる。


六平のPKで先制!!!

全体的にはやはり育英の黄金の中盤の方が香川のそれよりも技術力で凌駕しており、ポゼッションは育英にある。
ただ、前線にボールが渡ってもなかなか2年2トップは相手DF陣に割って入るまでのプレーはさせてもらえない。


そんな中、やはり拮抗を破ったのは好調のボランチ陣だった。

12分、MF7六平が飛び出しペナルティ右サイドに進入、そこを後ろからDF3村上が強引に足を入れてタックルに入り、六平もさすがに転ぶ。

当然これにはイエローと共にPKが与えられる。


このPKのチャンス、蹴るのは六平本人。

絶妙の間合いをとり、GKが左に飛んだところの逆をついて右に冷静に流し込む。


GOOAAALLLLL!!!!


またしても3戦連続で早い時間帯に育英は貴重な先制点を得る事となる。

六平はボランチながらこれで大会2ゴール目で同じくボランチのキャプテン米田と並びチームトップ。
このチームにとって、いかにこのボランチコンビが重要な役目を担っているかがよく分かる。

このゴールにはやはりスタンドに観戦に来ていた父親で俳優の六平直政も大喜び。
これで早くも父親の目の前で2得点を挙げるとは、六平も親孝行者だ。



六平、中美らが左から攻める

22分、左サイドセンターからMF7六平が絶妙の左サイドへのパスでMF20中美が抜け出して起点となり、そのまま上がっていった六平が左サイド深くまで持ち上がって折り返したところをDF6笛田のシュートはバーの上。

この辺も六平の際だったテクニックが目立つ。
それにしてもこの六平や米田のボランチコンビはまだJチームからお呼びが無いが、このまま活躍を続ければどこかに決まるのではないだろうか。
もしフリーならせめてザスパが拾って欲しいものだ。
あまりにもったいない。


黄金の中盤の一角、唯一の2年のMF20中美(なかみ)も負けてはいない。

25分、左サイドを切れ味鋭くスピードで突破し、折り返したセンタリングにFW13西澤の至近距離からのシュートは惜しくもGKの正面を突き、はじかれる。
あと少しずれていれば貴重な追加点という、まさに決定機だった。

続く右CKから、こぼれたところをMF中美がシュートはわずかにバーの右に逸れる。


28分、香川は早めの選手交代、右サイドバックのDF11田中に代えDF12磯部を投入。

中美や六平、笛田らに好きなように右サイドを蹂躙されていたので、守備のテコ入れか。



冴える六平のゲームメイク

28分、香川はようやくシュートのチャンス。
ゴール前右に上がった縦パスに、DF6笛田とクロスする形でMF7石田が飛び込み、GK志村も上がっていた中でつま先で少し当てたボールはわずかにバーの右へ逸れる。
こういったワンチャンスがあるのでサッカーは気が抜けない。


32分、またしてもセンターラインからMF7六平が右サイドへの絶妙な柔らかい縦パスを送り、そこに走り込んだMF10穣が飛び出してきたGKをかわすようにループを放ちにいくも、GKのプレッシャーもあって右に逸れる。
六平のパスセンスを活かした中盤の底からのゲームメイクは本当に素晴らしい。


香川は主軸のMF8登里にボールを集める間もなく、苦し紛れの縦パスも目立ち攻撃がなかなか繋がらない。


前半は1点リードで折り返し

35分、中央に上がったボールへの競り合いで、DF5井上がジャンプした落下地点に強引に入ったということでFW25皆川にイエロー。

何度も言うが、こういった要らないイエローがレギュラー陣にちょくちょく出るが、大会全体のことを考えると主力が1試合でも累積欠場すると非常に戦力的に痛いため、1枚でも減らしたい。



PKなどで時間を使ったためか、前半のロスタイムは長めの2分。

ペナルティライン外の左寄りで、この日好調のMF20中美がマークをものともせずに右足で強烈なシュートを放ち、惜しくもバーの左上に当たって外に出る。
非常に惜しい、入っていれば大会No.1にもなりそうな素晴らしいシュートだった。

その後1分、センターでのルーズボールの争いでスライディングにいったFW13西澤がイエローを受け、早くも前半で2トップ2人がイエローをもらう事となる。



これで前半は終了。

数々の決定機がありながら、結局得点がPKによる1点のみというのは頂けないが、とりあえず香川にほとんど攻撃をさせなかった守備陣の出来は褒めたい。

しかし初戦などもそうだったが、やはり流れが良いときに取れるだけ点を取らないとサッカーとは足下をさらわれる。
1点ではリードのうちに入らない。



後半、登里無念のリタイア

後半開始6分で、香川はMF8登里に代えMF20中谷を入れる。
やはり登里の左ひざの怪我の具合は相当に良くなかったらしく、ほとんどそのJリーグ入団の実力を示せぬまま無念のリタイアとなった。


8分、育英はカウンターから右サイドをFW13西澤が快足を飛ばして突破し、素晴らしいクロスを送ると、ゴール前で競ったFW25皆川のヘッドはわずかにバーの右へ。
中盤の得点ばかりが目立つ育英、そろそろ皆川にも1発が欲しい。


後半はさすがに点を取りにくる香川にゴールライン際まで押し込まれる場面も出てきてセットプレーも多くなるが、高さでも引けを取らない育英DF陣、そこはしっかり抑える。



FW皆川もゴールが遠く交代

18分、育英は右CK、MF10穣のゴール前へのキックが落とされたところにFW25皆川がシュートにいくもアウトにかかりすぎてわずかにバーの左へ逸れる。
なかなか追加点が遠い。


20分、育英は1人目の交代、FW25皆川に代わって同じく長身のFW15小牟田(1年)が投入される。


その後も育英は右サイドからのクロスや、23分には左サイドからのパスに抜き出たFW13西澤がシュートを放つなど、持ち前の2列目、3列目からの飛び出しを活かした分厚くスピードのある攻撃で決定的となる追加点を取りにいくもゴールは遠く。

やはり3回戦ともなるとそうやすやすと勝たせてはもらえない。
それも相手は市船を破ったチームだ。


なかなか追加点が奪えない育英

27分、育英は2人目の交代、FW13西澤に代えFW9森を投入。
小牟田や森などの控えもそろそろ結果がついてこないと大会を通じてのチームとしての底上げが厳しい。


29分、香川の左サイドからの攻撃を育英クリアしきれず、右のMF10景野に粘られると、ペナルティ右からループ気味のシュートを放たれGK志村が懸命に延ばした手にかろうじてあたってクリア。

やはり追加点が入らなければいつゲームがひっくり返ってもおかしくない。
同点にでもされPK戦になれば相手の思うツボだ。


しかし30分過ぎからは育英もあまりリスクをかけた攻撃は鳴りを潜め、縦パス主体となりGKに収まるか、オフサイドかという展開が多くなってしまう。



終了間際最大のピンチも脱し3回戦突破!!!

残り時間もいよいよわずかとなり、36分、香川は3人目の交代、なんと後半投入されたMF20中谷に代え、MF14濱田を投入。
香川もラストの賭けに出る。


39分、育英も最後の守備固め、MF20中美に代えDF3田中を投入。

不本意ながら時間はあとわずか、もはや追加点を狙うよりは1点を守りきる方が先決か。


そしてロスタイム2分に突入。

香川も最後猛攻を仕掛け、右サイドから人数をかけて襲いかかるも、育英DF陣もかろうじてブロック。
そのままFW9森のカウンターが香川ゴール前まで攻めるもシュートは右に逸れる。


もうあと1回くらいの攻撃か、というロスタイム終了ぎりぎり、香川は1人抜け出してこの試合最大の決定機となるGKとの1対1の場面。

しかし育英DF陣も猛追してプレッシャーを仕掛け、シュートではなくフェイントで躊躇したところをブロックするが、そのこぼれ球を再度右サイドで拾われ、GK志村が飛び出していた無人のゴールを狙われるも、残ったDF陣が決死のブロックに入り、まともにシュートさせず。


かなりヒヤッとした場面だったが、かろうじてこの窮地を脱し、薄氷の思いでの1点を守りきっての3回戦突破となった。



いよいよベスト8、準々決勝へ

正直なところ、やはり相手が市船でなかったのはラッキーだった。
香川西には失礼だが、主軸の登里が負傷がちの中で、これといったストロングポイントを感じなかった。
結局は1戦目、2戦目同様に中盤を圧倒的に制しての勝利を手に入れる事が出来た。
3戦ともに相手に恵まれている感は否めない。


それにしても追加点が絶対に欲しい試合だった。
内容的には3点くらい取っていても良い試合だったが、FW陣などの決定力が今ひとつ物足りない。

何はともあれ久々のベスト8進出となり、これまでの3試合はやはり中盤を圧倒的に制しての横綱相撲といった内容で勝ち上がった事は強豪の名に恥じない結果を残した。



そしてザスパ草津のDF佐田や大谷兄弟、MF里見、DF坪内、FW相川など多数のJリーガー輩出となった2001年度のタレント集団以来の準決勝進出を賭ける準々決勝の相手は、2年前に育英が2回戦で敗れた那覇西をなんと7−1の圧勝で破った國學院久我山(東京B)。

高校サッカー選手権もいよいよ残り3試合となり、ベスト8同士、当然力と力のぶつかり合いとなる。

もはやこれまでの3戦のように、決定機を外してる場合ではない。
内容云々よりも決めるべきところで決められるかが、結局は世界との差でもある。

初戦の京都橘になかなか追加点を取れず、格の違った武蔵工大二にも3点しかとれず、中盤を支配しながらもわずか1点のみだったこの香川西戦の3戦を見る限り、やはり決定力に不安が残る。


とにかく3戦無失点の守備陣の粘りをそのままに、しぶとく1、2点をもぎとって準決勝に駒を進めたい。







(09.01.03UP)






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