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2007-2008高校サッカー選手権

群馬県大会決勝 前橋商業 1−2 前橋育英


宿命の対決 育英、前商の死闘

横棒



育英、前商 宿命の決勝戦

また今年もこのカードの決勝戦がやってきた。
一時期黄金世代を誇った伊商がその牙城を崩したものの、その後やはり前橋育英と前橋商業の2校の力は圧倒的であり、今年の全国高校サッカー群馬大会決勝戦もやはりこの2校の対決となった。


準決勝の様子は群馬テレビでダイジェストが放送されたが、その様子からすると前橋商業は桐生第一の攻撃を持ち前の全員守備で防ぐと、前半からの決定機を確実に決めていき、結局終わってみれば3−0という完勝で決勝進出を決める。


一方前橋育英は前回優勝チームであるためシード権があり、準決勝からの出場となったため逆に強豪といきなり初戦を戦う不利な状況。
しかも相手は一昨年の優勝校伊商であり、伊商GKの好セーブ連発もあり試合終盤まで0−0のまま試合は拮抗していたが、終盤になり育英が1点入れると緊張の糸が切れたように3点立て続けに決め、結局3−0でのスコア上では完勝で勝ち上がった。

互いの試合共にやはり個々の選手のレベルは他校を圧倒しているイメージ。


この宿命の関係である両雄の対決、今年はいかに。



U-18代表候補の廣瀬、青木擁する育英

前回群馬大会優勝の育英はやはり今年もタレント集団。
昨年も1年や2年で活躍した攻撃の佐藤兄弟、守備の米田兄弟はじめ、ドリブラーとして昨年輝かしいプレーを披露したU-18候補のMF10廣瀬、同じくU-18候補のボランチMF5青木、キャプテンDF陣の大黒柱鈴DF2木と相変わらず隙の無いメンバー。

しかしこれでも今年に入り廣瀬や青木らが怪我をしたり、笛田か鎖骨を折ってスタメンを外れたり、FW木原も欠場を余儀なくされたりと負傷者続出らしい。

前の試合で先制点を挙げた1年FW24西澤らの活躍に期待がかかる。

24西澤 8佐藤穣

7六平     10廣瀬
5青木 14米田賢

23田中        16宇治川
2鈴木 4米田淳

12志村


攻守の鍵を握る岩上の前商

タレント的にはやや育英に劣るものの、前商だって負けてはいない。
昨年の決勝戦を経験するMF7石井、長身FW22八木、そして何と言っても大黒柱は1人フリーのリベロのポジションに就くキャプテンMF10岩上。
昨年も得点力のあるボランチとして活躍したが、今年の前商では攻撃も守備も全て託される絶対的な存在。
全員守備、全員攻撃が昔から身上の前商にあって、ただ1人個の力で圧す力をもつ岩上がどう絡むかに注目が集まる。


22八木
11栗山       9萩原
14入澤    7石井
10岩上
2大竹         23樋口
6吹上 5佐藤

1吉田


立ち上がり岩上のプレースキック

スタンドにはザスパ草津植木監督兼ゼネラルマネージャーの姿も。
まだ今年の獲得選手は1人という植木ザスパ、この試合で掘り出しものがあれば1人か2人は、といったところか。


立ち上がりからどちらかというと攻め込むは前商。
MF10岩上の右足から何本ものCK、FKを育英ゴール前に浴びせるも、フィジカルと高さではやや育英に分がありことごとくはじき返す。



1年西澤の抜けだしから育英先制!!

そんな育英やや劣勢の中で時間が進んだ9分だった。
中盤でプレスの掛け合いとなりボールを奪った育英はセンターライン付近左サイドからMF5青木がワンタッチでのスルーパスを前線に送り、これにDFの間にうまく身体を入れ抜け出した1年FW24西澤、そのままGK吉田と1対1となり、冷静にゴールに流し込む。


GOOAAALLLLL!!!!


前の伊商戦での先制ゴールからの勢いを持続したまさにワンチャンスをそのまま活かした育英の先制ゴールが決まる。


1点をとられますますチーム全体での攻撃の意欲を高める前商。
20分、久々に流れの中からFW9萩原が中央から切れ込みシュートを放つ。

26分も前商、MF10岩上が右サイドから意表を突いたロングシュートを放ち、バーの上。


U-18候補MF青木のテクニック

しかし育英も負けてはいない。
自分はこの試合の育英ではやはり前年から活躍をみせているドリブラー廣瀬のプレーに期待していたが、この試合では廣瀬のドリブルが活きたような場面は少なく、逆に目をみはったのがもう1人のU-18候補MF5青木のプレーの数々。

密集地帯でもまるでアルゼンチン代表のリケルメのプレーを見ているかのような足に吸い付くようなボール捌きで滅多な事ではボールを失わず、先制点同様に29分、センターライン付近から前線への絶妙なスルーパスを送る。
このパスはFW8佐藤穣が合わせにいくもわずかに合わずGK吉田に抑えられる。


このプレーから育英が再び波に乗る。

30分、ボールを丁寧につないだ育英はMF7六平がドリブルで前線に抜け出し、DFのブロックに合う前に右横にパス。
そこにいたMF10廣瀬のシュートはバーの上を直撃。

決定機ではやはり個の力に勝る育英に分があり、球際の強さが表れる。



気を吐くキャプテン岩上

どうしても個々の力では若干見劣りする前商の中で1人気をはくのはキャプテンMF10岩上。
攻守に渡って1人フリーなポジションを任され、ピッチを縦横無尽に駆け回り、自陣でボールを奪い、パスを送り、そして敵陣ゴール前まで顔を出してシュートにいく。

近年の前商には珍しい個の力を発揮するタイプのプレーヤー。


その他にも右サイドから鋭い攻撃を何度もみせたFW9萩原もプレーも光った。

全員守備、全員攻撃が身上の前商、走力では育英を上回り個の力を運動量で補う。


そうして前半は1−0で育英リードのまま折り返しとなる。



後半、どちらも選手交代

ハーフタイムで育英は右サイドバックのDF16宇治川を代えDF6笛田を投入。
負傷明けの笛田の投入はおそらくプランどおりか。
勝っているチームが逆に早めの投入をやるところは高校サッカーならではといったところ。


後半立ち上がりは両方とも守備の集中力も高く一進一退の攻防。

10分、育英の左CK、MF5青木のキックから中央MF14米田賢のヘッドはバーの右へ。

11分、前商も1人目の交代。
FW22八木に代えFW8田島を投入。
八木はこの日、あまり長身を活かせるプレーは少なかった。



PKから前商同点に!!!

18分、中央でのボールの奪い合いからMF7石井のスルーパスにFW9萩原が抜き出たところでGK12志村素早く前に出てカットにいきボールをはじくも、ボールより先に萩原を転ばしてしまいイエローと共にPKをとられる。

この非常に重要なPK、蹴りにいくのはもちろんキャプテンMF10岩上。

慎重にボールを置き、慎重にコースを狙ったボールはゴール左隅のサイドネットに突き刺さる。


GOOAAALLLLL!!!!


かなりのプレッシャーがかかったはずのPKを確実に決めるあたりはさすが。
前商は貴重な同点ゴールを決め、試合を振り出しに戻す。



育英、連続の選手交代

同点にされ再び点をとる必要が出た育英は20分2人目の交代、FW24西澤に代えFW15喜屋武を投入。

その交代の直後、前商のMF7石井のミドルシュートが飛ぶも、GK12志村、PKの悔しさを晴らすように右手1本かろうじて当てて弾き出すファインセーブ。

21分、前商もMF11栗山に代えFW25堺谷を投入し決勝点を狙いにくる。


なかなか同点になってからは互いに再び守備の集中力も増し、シュートチャンスは訪れない。

26分、育英山田監督は3人目の選手交代、MF7六平に代えFW13佐藤大樹を投入。

33分にも4人目の交代、FW8佐藤穣に代えFW11山口を投入。
あれ?何人交代できるんだ?高校サッカーは。



育英、喜屋武の決勝ゴール!!!

お互いに選手交代も実らず時間は経過し、あっという間に後半40分終了まで3分を切った37分。
もうこのまま同点のままか、と思われたところで右サイド途中出場のDF6笛田が前方にフィードし、後半はかなり前目に攻め上がっていたMF14米田賢が後方からそのまま切れ込み、ゴールライン際でマイナスのセンタリング。
これをゴール前でこれまた途中出場のFW15喜屋武が詰める。


GOOAAALLLLL!!!!


ついに均衡を破る決勝ゴールが育英に訪れる。

40分ロスタイムに入ったところで前商はFW9萩原に代えFW24根岸を投入するも、タイムアップ。

2年連続の宿命の対決は2−1でまたしても育英に軍配が上がる。



育英そしてMF青木、群馬の代表として頼んだぞ!!!

全体的にみて引き締まったいいゲームだった。

育英は個の力だけでなくボランチ陣やサイドバックもよく上がる運動量もみせ、この日不発気味だった廣瀬らの個人技を補った。

前商は球際や競り合いでのフィジカル、高さなどの弱さを全員守備全員攻撃の運動量で互角にもっていった。


しかし正直この試合を通じて私の興味はあのMF5青木が全国の舞台でどのようなプレーをできるかに既に向かっていった。

青木のプレーは素晴らしい。
私は一発で惚れてしまった。

青木ほどのプレーヤーならば昨年からもっと頭角を表してもいいはずだが、そういえば同じポジションにJ1札幌にいったMF岩沼がいたので、出られなかったのも仕方ない。

しかし青木のプレーはかつての前橋育英のキャプテン山口素弘のプレーを彷彿とさせるセンスがある。

同じ育英のボランチ青木というと鹿島の青木を思い出すが、タイプ的にはかなり違う。

かといって浦和の細貝ともまた違う。
まさにパスとキープのセンスによって試合を支配するセントラルMFだ。


青木のいるチームは強い。
今年の育英はJリーグ内定者こそいないが、やはりタレントは揃っている。
特に昨年全国を経験している選手が多く、それにプラス青木のような逸材が加わっている点が大きい。



育英は31日大晦日に奈良育英と戦う事になる。
同じ育英同士、かなりの好ゲームが予想されるが、最近不発気味の群馬代表、ここらでベスト4以上の成績を目指して欲しい。




それにしても・・・獲れねえかな、ザスパに青木・・・
将来を任せられる逸材だが・・・










(07.12.09UP)






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