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2005-2006高校サッカー選手権

群馬県大会決勝 伊勢崎商業VS前橋育英


育英、前商2強の牙城が崩れた日

横棒



FW反町、MFアトムの育英

群馬県の高校サッカー選手権の代表といえば、”必ず”前橋育英か前橋商業の2チームと決まっている。
この2つのチームは常に全国のスカウト陣が必ず一度はチェックを入れ、Jリーガーが大変多く輩出される。特に育英は全国に行こうが行くまいが、昨年レッズに行ったMF細貝のようにJリーグに行ってしまう。

それだけこの2チームにはタレントが揃う。特に私立である育英は体育特待の制度もあるため(今はどうなのかよく知りませんが)、群馬県内のみならず、近隣の地域からも選手が集まり、3年の田中亜土夢は新潟からやってきて、この度晴れて地元のJ1新潟アルビレックスに内定した。

育英といえばアトムの他にも当然ザスパの特別指定選手、FW反町がいる。
この180cmの恵まれた体躯、そして左利きというこの若きエースは、ザスパ草津でもJ2の試合に夏場に出場。ヘディング、テクニックなど万能型のストライカーで、プロの中で十分通用するそのプレーの質の高さは御墨付きという印象だ。
進路は大学進学らしいが、できればザスパに欲しかった。

しかし、今のザスパはサテライトチーム=草津での半分仕事だし、あまりに環境が厳しい。
トップチームに行ったとしてもまだまだ施設と呼べるものもなく、条件が悪すぎる。
しかも今の成績では・・・
やはり反町ほどの逸材はザスパには来てはくれないか・・・


黄金世代の伊商

上記のとおり、常にタレント豊富な前橋育英に群馬大会の決勝で対戦するは、伊勢崎商業。

はっきり言って最近まで高校サッカー界では聞き慣れない名前だったが、昨年の群馬県決勝で前橋商業と戦った。
その決勝では0−3と前商相手に完敗であり、しかしその前商は全国でベスト8まで勝ち進んだ。

その当時はさして気にとめていなかったが、なんとその時の伊商のメンバーはほとんどが1年か2年。
そう、かつて前橋育英がFW正美、MF松下、茂原、GK岩丸らを擁し、2年連続ベスト4という記録を作った時の黄金期と同じく、伊商のメンバーもほぼ同じメンバーで昨年に引き続き今年も勝ち上がってきた。

しかも伊商は昨年の決勝の相手、前商を準決勝で3−0と破り、完全に昨年のリベンジを果たす。
前商もエースFW都丸を怪我で欠くものの、昨年も全国で活躍したGK土田やDF大河原、MF大朏ら多数のベスト8メンバーを擁していたにも関わらず(つまり前商も黄金期メンバーだったといえる)、その前商相手に完勝した事は伊商の昨年からの実力を証明するものだった。


これまでの長い間での前橋育英と前橋商業の群馬2強時代に風穴を空けるべく、雑草軍団と自らを呼ぶ伊商黄金期メンバーは立ち向かう。

果たして歴史は動くのだろうか。


反町、アトムのW司令塔、前橋育英メンバー

前橋育英の布陣はいつものとおり、中盤ボックスの4−4−2。
しかしおそらくマークを外す目的でエース反町をあえて中盤に下げ、この日はパスの受け手ととしてよりも出し手としての効果を山田監督は期待する。


14藤倉 9吉原

11反町  10アトム
15小島 6岩沼

4笠原       7高田
3掘越 5市川

1金井


FKの#8須藤、エース#9関の伊商

伊商の武器といえば#8須藤のFKとFW関らしい。
布陣は育英とほぼ同じ。

11小林 9関

18守田  8須藤
3根岸 10福島

6西澤       7小山
4萩原(彬久)5萩原(麻人)

1女屋


このうち、関、守田、須藤、福島、小山、麻人、女屋、そしてキャプテン彬久らが昨年の群馬決勝メンバー。
(彬久は昨年まではFW)


前半、風上の育英が攻める

群馬、それも前橋(群馬サッカーラグビー場)での名物といえる強風が北から吹く中、試合開始。
前半から風上に立ち、最初で勝負を決めたい前橋育英と、前半は耐え後半風上に立ちたいという伊商の正反対な両監督の思惑がここで一致し、どちらがコイントスに勝ったのか、育英が風上に立つ。

風下に立った伊商は防戦一方。
ほとんど育英のゴール前まで攻めこめないまま、育英の前半勝負の猛攻が続く。
CKからの#5市川のヘディングや、前半10分の遠めからのバーを叩くロングシュートなど、何度も惜しい場面が続くが、得点はならず。

伊商は前半27分の#9FW関の左のバーを叩く惜しいシュートを含む2本程度しかシュートを打てない。

そんな中、前半30分、育英CB#3掘越がCKの際に足を接触し負傷退場。#18ホン・ジョンチェルと交代。

そしてなんと続く41分、これまでセットプレーで圧倒的なヘディングの強さを見せつけてきたもう1人のCB#5市川も負傷退場となり、ハーフタイムで#24米田と代わる。

4人交代枠がある高校サッカーとはいえ、このチームの要、2人のCBを前半で欠いた事は育英にとって大きな痛手となる。


後半、風上を利用し伊商CKが直接決まる!

なんとか前半を0点で抑えた伊商。
攻撃こそほとんどできなかったものの作戦どおりといえ、後半は風上に立ち、いよいよ逆襲となる。
前半はほとんど#8須藤のセットプレーでのキックも見られなかったが、立ち上がり早々にCKを得る。

その右CKを蹴るは当然#8須藤。
アウト気味にシュート級の球を蹴り、なんと風にもおされたのかそのままゴール左隅サイドネットに突き刺さる。
GKにとって屈辱のCK直接ゴールとなったが、風もあったしこれはなかなか取れない。

てっきり前半で3点差がつくこともありえるかと思えたこの試合、なんと伊商が先制を奪う。


激しい交代の応酬、一進一退

この後、風下に立ちながらも、やはりその個々の強さを盾にぐいぐい攻め込む育英と、風上のアドバンテージに加え、全員サッカーでとにかく走る事を身上とする伊商の一進一退の攻防が続く。

後半14分、伊商 #11小林→#17立川
後半20分、伊商 #15MF小島→#23FW廣瀬
後半26分、伊商 #18MF守田→FW笠間
着々とメンバーを代えていき、全員サッカーの運動量をキープする。

後半28分、育英 #14FW藤倉→#8MF宇治川
これにより反町をいよいよFWに上げる

後半36分には育英の右サイドバック#7高田のいいクロスが入り、混戦となる中で反町が詰めるも決まらず。

育英は風下に立ちながらも持ち前の球際と人への強さを発揮し、押し込むが、やはりそれでもどうしても点が入らない。
はっきりいって運がない。
サッカーはこれだけ押していても、結果的に点が入らなければ何にもならない。
つくづく難しいスポーツだ。


2点目のロングシュートが決まり勝負あり

いよいよ時間もなくなってきた後半38分。
(プロは45分ハーフだが、高校サッカーは40分ハーフ)

ゴールキックからのボールをセンターラインから少し上がったところで、#8須藤が落とされたボールを受けたと思ったらそのまま振り向きざまにロングシュート!

やはり強風に乗ったその上がり気味のボールは、当然こんな位置でのロングシュートを予想しておらず前に出ていたGKの上を越し、そのまま入る。

CKに引き続き、須藤の右足の強烈さと共に、風を最大限に利用したシュートを決めた。

ツキの無い育英に対し、風が味方した伊商。
本当にこの試合をよく表わした2点目だった。

もはやこの時間で2点差では勝負あり。
伊商のFW関などは既にこの時点で泣く。


しかし、後半43分、育英は最後の意地で#10アトムがクロスを入れ、#8宇治川が落とし#11反町が相手ともつれ倒れながらもシュート。
一矢を報いる。

が、時既に遅く、そのまま試合は終わり、2−1で伊商が歴史的な勝利をおさめる。


ついに2強に風穴、しかしこれから

こうしてついに群馬2強時代に風穴を開けた伊商。
はっきりいって運と風という味方もつけた結果だが、前商、育英と破ってきた実力もまた本物だろう。

育英と前商がこれまで全国で成し遂げてきた数々のベスト4。
群馬の悲願はとにかく決勝まで進むこと。

私はその夢を都丸らを擁する前商か、反町らを擁する育英が今年はやってくれると思っていた。

正直に言うと、個人的にはこの2校の敗退は残念だ。

しかし、その2校を破ってきたという誇りを胸に、この予選の戦いを忘れずに伊商には全国でベストを尽くして欲しい。

群馬勢初の決勝進出、そして悲願の優勝を。

正月明けの戦い、伊商の戦いに期待したい。



(05.11.13UP)






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