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平成10年度(1998) 第78回
天皇杯
準々決勝 1998年12月23日
横浜FLUGELS 2−1 ジュビロ磐田


横棒



最後の聖戦、いよいよ強豪磐田戦へ

2011年春、東日本大震災でJリーグが中断している間に、もう12年以上前の横浜FLUGELS最後の聖戦となった天皇杯での激闘の観戦記を綴っていこうという企画も第2弾。

第4回戦で勢いに乗るJFL甲府を地力の差で破った横浜FLUGELSは、ついに強豪で優勝候補のジュビロ磐田と当たる事となる。

負けたら横浜FLUGELSとしてラストゲームとなってしまい、そして解散となるプレッシャーの中、選手達は元日の決勝目指し悲壮の決意で試合に臨む。

さて、どうなるか???





ベストメンバーのFLUGELS

FLUGELSは前回に続きイエローカードなどももらわなかったので欠員が無くまさにベストメンバー。

前試合2得点と調子に乗るラッキーボーイFW吉田に注目が集まる。



9吉田 22久保山

10永井
6三浦         12波戸
5山口 8サンパイオ

3薩川 13前田 4佐藤尽

1楢崎


ベンチにはFW28大島秀夫、MF24氏家英行、MF29アンデルソン、DF7原田武男、GK16佐藤浩

それといいね〜この日もベンチにバッチリ佐野さんいるね〜




黄金期のジュビロ

ジュビロはまさに黄金期。
奥、藤田、名波、福西、服部といった中盤の層の厚さはあまりに脅威。
そしてDF陣には鈴木秀人が怪我のため、その後ザスパ草津主将となるDF喜多の名も!!

ただ直前まではあの当時ブラジル代表キャプテンだったMFドゥンガがリーグ戦終了で退団した直後らしい。

ん?ということは福西あたりはまだレギュラーじゃ無かったということか・・・

ドゥンガは早々に帰国したけど、同じブラジル代表のサンパイオはずっと一緒に戦ってくれたんだよな〜



29奥 9中山

7名波     10藤田
6服部 23福西

14山西         28古賀
25喜多 5田中誠

12大神


サブはまだ若いFW19高原、恐怖のスピードを持つスーパーサブのスペシャリストFW13川口、まだマリノスに移籍前の前商出身のMF18清水、DF11デジマール、GK1尾崎と、かなりの顔ぶれ。



立ち上がり、アツのロングスローから久保山が先制!!

立ち上がり3分、左サイドからのMF6三浦アツからのFKから、落としたところで後方からMF5山口のミドルはGK大神が抑える。

対するジュビロは5分、MF10藤田からのスルーパスから右サイドをDF古賀が上がりゴール右隅前まで詰め寄ってのシュートは楢崎が左手一本でセーブ。

6分、左サイド三浦アツからのパスを中央で受けてMF5山口が中央突破を図るも倒され、このFKをアツの効くは壁に当たりスローインへ。

この右サイドからのスローインをアツがロングスローでペナルティラインやや中のMF8サンパイオにいつも通り合わせ、サンパイオがバックヘッドで落としたところに裏でFW22久保山の左足でのシュートがゴール中央に流し込まれる!!


GOOAAALLLLL!!!!


おお!!アツのロングスローからサンパイオが落とし、久保山らFWが詰めるという、まさに黄金パターン!!

アツはFKのキックの精度も高いし、ロングスローもかなり効果的にペナルティ内に入れる事ができるので、本当に素晴らしい攻撃のオプションの宝庫だったな〜

劣勢が予想されたジュビロ戦での、この先制は大きい。



ジュビロのポゼッションをはね返し、2回のバーを叩くシュート

その後、時間が経過していくと、藤田、名波、奥らのキープ力、パス能力の高さによりポゼッションをするようになり、12分にはペナルティ左隅からFW奥が左に切り返してからの左での巻いていくシュートはヒットせずバーの左上へ。

FLUGELSはしっかりと守ってカウンターに繋げたいところ。

15分には藤田が中央を持って上がろうとしたところで、猛追したMF10永井が奪い返し、右足アウトで技ありのパスを前線に通し、FW吉田、2人のマークを相手に果敢にシュートにいくもGK正面。


16分、DF田中誠が故意のハンドということでイエローをもらう。

20分、ペナルティ手前で名波に対しサンパイオのカットがファールをとられ、このFKをDF山西が左で直線的にゴールを狙うもバーの上を越す。


21分、左CKを得たFLUGELSは、アツが右足でのキックでゴールニア左上を直接狙いにいくもクロスバーを直撃。

続く22分、今度は左サイドからアツがロングスローを入れ、いつもどおりサンパイオが落とすもこれはいったんクリアされるが、再度サンパイオらが落としたところでDF12波戸のロングシュートは強烈にゴールを襲うも、惜しくもバーの上中央を直撃!!

ここにきてFLUGELSの多彩な攻撃のオプションがジュビロを襲う。



前半は1点リードで折り返し

しかし30分、DF古賀がワンツーから抜け出し鋭いスピードでGK楢崎もかわし、ゴールライン際から決定的なマイナスの折り返しを逆サイドへ転がすも、このあまりに決定的な場面に詰めたFW奥に対し、DF4佐藤尽がギリギリ詰めてかろうじてコースをブロック。

更に35分にはFLUGELSのセットプレーから逆にジュビロにカウンターを喰らいそうになるも、MF7名波に対しMF8サンパイオがしっかりとケアしておりこれを阻止。
このサンパイオの中盤での役割の大きさは素晴らしい。


そして2分の前半ロスタイムも終わり1点リードで折り返す事となる。

FLUGELSは立ち上がりの先制をうまく守りながら、ジュビロ相手に自分たちのペースに持ち込んだ。

ジュビロもチャンスはあったが、DF佐藤尽らの高い集中力が最後のところでしっかり守った。




後半、ジュビロは川口投入、永井の1対1はバーに阻まれる

後半、ジュビロはMF23福西に代えてFW13川口を投入。
川口は順天王大からこの年に入ったばかりだったらしい。

FWのポジションながら、引いてきてボールをもらう事も多かった奥をボランチに下げ、川口と中山の2トップとする。

後半立ち上がり、MF6服部が中央でボールをもらって、キックフェイントを使いながら左足でのグランダーで跳ねるミドルシュートを放つも、GK楢崎がこぼさずにしっかり抑える。
中山がすぐ目の前に詰めていたので、こぼしたら危なかったが、このキャッチング能力の高さがさすが正剛。

後半7分、ジュビロは奥、服部らがボールを回すも、前線に入れたところを見逃さずにサンパイオ、薩川が連動しこれをカット。
薩川がそのままの流れでドリブルで上がり、そのままの勢いで前線を走るMF永井にパスが通り、永井は得意の高速ドリブルからGKと1対1になってのシュートも、惜しくも右のバーに直撃!!!!
惜しい!!!

ジュビロのポゼッションをものともせず、鋭いカットからの速攻の切れ味の鋭さは本当に抜群だった。


その後は中央でMF5山口を中心に攻撃を組み立て、右サイドからの波戸のクロスが何本か入るも、ゴール前に飛び込むのは2トップのうちどちらかだけなので、なかなかここには合わない。
まあ高さで勝負するタイプの選手がこのFLUGELSの前線にはいないから、サイド攻撃が得意な割りにはあまりクロスからは得点は入らない。



田中誠、2枚目のイエローで退場

11分、ペナルティ右サイドに攻め上がったFW中山からのスルーパスにゴール前に走り込んだFW川口をブロックする形でサンパイオが倒すも、これはPKの判定にはならず。

やはりジュビロ相手に1点だけのリードではリードとも思えない。
先ほどの永井の好機逸失が痛い。

15分、左サイドでの守備で薩川が粘り、永井に繋げると、永井技ありのキープで中央に折り返し、FW久保山がカウンターへ移行しようとしたところをファール覚悟でDF田中誠が倒す。

ん???誠は確か前半にも・・・ということで田中誠、なんとこの日2枚目のイエローで退場となる。


やむを得ずMF6服部がDFラインに下がり対処する。
1点を追う立場として、この退場は痛すぎるジュビロ。


1人多くなり、サンパイオ、山口を中心にゆっくりとボールを回し、相手を焦らしたところで三浦アツの強烈なミドルシュートがゴールを襲うも、これはGK大神がファインセーブで弾き出す。



窮鼠猫を噛む中山の同点ゴール

もはや中盤でほとんどプレスを仕掛けられないジュビロ。
こうなると、とにかくまだ1点差なので守って、カウンターなどの一発にかけるしかない。

そして26分、ここぞというところでMF10藤田が持って上がり、これに連動するように最終ラインからMF6服部がすっと上がっていくと、藤田のパスをダイレクトで逆サイドのゴール前右に送り、クロスの動きで見事にマークを振り切ったFW中山が身体を捻らせてのヘディングをゴールに決める。


・・・・・・・・・!!!!!??・・・・・・・・・・


まさかの1人少ないジュビロの逆襲を喰らったFLUGELS。
やはり、これがジュビロの底力。

まさに狙いどおりの形でジュビロは起死回生の同点ゴールをもぎとった。



またしてもロングスローから吉田の決勝弾!!!

しかしまだ女神はFLUGELSに微笑んだ。
32分、左サイドからの三浦アツからのロングスローがまたもペナルティ内のサンパイオに合わせられ、ここにジュビロDF陣も3人がいってしまい、ボールが後ろに反らされたところに詰めたFW9吉田が見事に頭で合わせ、またしてもゴールへ!!


GOOAAALLLLL!!!!


まさかの、ロングスローからの全く同じ形での2点目!!
これで天皇杯、吉田は6ゴール目と、ラッキーボーイっぷりを発揮している。

ジュビロは1失点目もサンパイオに2人のマークが集中して、後ろに流れて入ってくる選手を見逃すという基本的なミスを犯したわけだが、その教訓が全く生かされないまま痛恨の2失点目を喫した。

全く同じミスから失点するとは、ジュビロらしからぬ、プロ失格のミスだった。



そして準決勝進出へ

点を獲りにいくしかないジュビロは34分、MF10藤田に代えてFW19高原を投入。

対してFLUGELSは37分、MF10永井に代えてMF29アンデルソンを投入。
そのアンデルソン、投入直後に右サイドからペナルティライン手前で中央まで切り返しながら左足でのシュートは惜しくもバーの右を逸れる。

相変わらずFLUGELSは山口、サンパイオを中心に相手のバイタルエリア手前でパスを回し、ほとんどハーフウェイラインからFLUGELS側にボールを入れさせない。


試合も残り2分のロスタイムに入ったところで波戸のミドルシュートが飛ぶもGK大神正面で抑える。

そして更にパスを回すFLUGELSだったが、右サイド波戸のバックパスをFW中山が狙って詰め寄るも、ここはGK楢崎が防ぐ。

こうして試合も終わり、危なげなく準決勝進出を決めた。



柱谷の解説にもあるとおり、FLUGELSはこの3−5−2、3バック、2ボランチ、ウィングバックの徹底したサイド攻撃の鋭さなど、自分たちの戦術を見事に完成型に仕上げている。

そして何よりも互いのチームの勝利への執念の違い。

大黒柱ドゥンガが抜け、まだ若いジュビロにはもう後が無い鬼気迫るFLUGELSの面々にはメンタルの面で解く及ばなかった。


そして準決勝の相手はこれまた強豪の鹿島アントラーズ。

1999年元日の舞台に上がるまで、それまでチームを存続させる目標まであと1勝となった。









(11.04.13UP)






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