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平成5年(1993)Jリーグ開幕戦
1993年5月16日(ホーム・三ツ沢)
横浜フリューゲルス 3−2 清水エスパルス


横棒



93年、伝説のJリーグ開幕戦

コロナ禍の中でJリーグが長い間中断となる中、Jリーグはユーチューブにて1993年のJリーグ最初の開幕戦5試合を、原さんと観よう企画を期間限定で立ち上げ、その情報を知った自分は慌てて横浜フリューゲルスと清水エスパルスの開幕戦を観るに至った。

やっと最後の天皇杯以外での、念願のフリューゲルスの試合の観戦記を書ける・・・

そして動画のゲストには、当時スタメンを飾った反町さんと、山口素弘師匠が並び、清水エスパルス側は堀池巧と大榎と、両チーム伝説クラスの往年のメンバーが揃う。

なんて素晴らしい企画だろうか!!!


横浜フリューゲルス 1993年5月16日 Jリーグ開幕戦
Jリーグ最初の開幕戦の地は、”俺達の”三ツ沢!!!

奇しくも、フリューゲルスの最初の対戦相手と、そしてチーム最後の対戦相手、どちらも清水エスパルスだったという奇妙な繋がりもここで再認識。





薩川が右サイドバックのフリューゲルス

この当時のフリューゲルスの右サイドと言えば大嶽のイメージしかないが、当時の大嶽はチーム唯一の日本代表に呼ばれており、この試合の前はろくにチーム練習に加われなかったということで、敢えてベンチ要員となり、代わって入るは薩川!!!??
身体能力の高さからの初速の速さで、その後はフリューゲルスや柏レイソルなどで長い間、名ストッパーとして活躍した薩川だが、まだ若い当時はまずはサイドバックからの起用だった。
あの松田直樹も井原、小村の日本代表センターバックコンビがそろっていた頃はしばらく右サイドバックだったし、何度か生でも観た記憶がある。

なお、2トップでストライカーのイメージが強いFW9前田治だが、当時は右サイドのアタッカーであり、左サイドが反町だったとのこと。
確かに、エドゥがサイドをやるイメージは無いし、この方がチームとして断然バランスが良い。


11アンジェロ
7反町       9前田治
10エドゥー
5山口 8高田

6モネール        2薩川
4岩井 3渡辺一平

1森


ベンチにはFW15桂秀樹、MF14小林慎二、DF13大嶽、DF12堀直人、GK16石末


横浜フリューゲルス 1993年5月16日 Jリーグ開幕戦
エドゥ、モネール、バンダナ姿が衝撃的だったGK森・・・
ああ、懐かしい・・・
思えば、当時一番最初に興味を持ったのは森のバンダナだった
その後、なんて渋い面白そうなチームがあるんだろうと、それからがフリューゲルスのファンになったきっかけで、その後にキャプテン山口素弘という絶対的な存在を知ったわけだ



清水エスパルス

この頃の清水は1トップのトニーニョが強力で、そこにまだ当時若かった司令塔澤登に、右サイドアタッカーの長谷川健太、そして左には向島もいるし、大榎はボランチに入り、右サイドバックには堀池巧もいると、本当に懐かしい、清水エスパルスの代名詞と言えるメンバーが揃う。



8トニーニョ
11向島     9長谷川健太
10澤登
5大榎 7エドゥー
6平岡         4堀池巧
2アントニオ 3内藤

1真田


ベンチは、FW15青嶋、MF14杉本、MF13太田、DF12斎藤、GK16大滝



開幕から激しいプレスの応酬

待ちに待ったプロとしてのJリーグ開幕という事もあり、どちらも相当に気合が入ったプレスの応酬から試合は始まる。

モネールの大げさなジェスチャーからの倒れ込みで相手のファールを誘う様が本当に懐かしい。

11分、相手MF7エドゥーに対してのファールでDF2薩川がイエローを受け、27分にもDF6モネールがイエロー、対して相手DF内藤も19分にイエローを受け、この試合の激しさを物語る。

平岡の左サイドからのロングスローが度々放り込まれ、このロングスローがとんでもない飛距離をみせる。

え?ゴールの逆位サイドまで飛んでないか??

これまで散々ロングスローは観てきたが、史上最高に飛距離がある気がする。


前田治の突破からアンジェロの先制!!

すると12分、セットプレーの流れからポジションとは逆の左サイドに流れていたFW9前田治が右利きを活かしながら中央にカットインしながら、得意の右足からのシュートにいくと見せかけて、ニアにいたMF7反町にパスを選択し、反町は現在の本人いわく、まさかパスとは思わなかったとのことで、足のタイミングが合わず、スルーの形となり、そしてその裏に走り込んでいたFW11アンジェロがドフリーとなり、落ち着いてシュート!!!


GOOOAAALLLL!!!


前田治のドリブル突破で清水DF陣が引っ張られ、そして更にニアの反町へのパスで清水DF陣の集中が完全にそちらにいった中で、本人達も騙されたまさかの反町のスルーで決定的なアンジェロのフリーの状況を作り出した結果からの偶然の要素も組み合わさった美しい先制となった。




一進一退での攻め合い

先制された清水は、司令塔・MF10澤登と前線で存在感をみせるFW8トニーニョらを軸に、さすがの豊富なタレント力を見せつけ反撃に出る。

18分、清水は右サイドから長谷川健太が抜け出し、センタリングからFW8トニーニョが左サイドでヒールで落とし、MF5大榎の鋭いシュートがゴール左枠を捉えるも、GK森が横跳びでセーブ!!


逆に20分、左サイドを抜け出した反町のところで大きくゴール前を飛び出してきたGK1真田が一度は頭で跳ね返しつつ、反町が無人のゴールに大きく蹴り出したところに、急いで戻った真田がパンチングでかろうじてはじき出す。


24分、左サイドからエドゥーの左足からの長く正確なサイドチェンジから右サイドでFW9前田治が落としたところで、ペナルティ手前中央からのMF5山口素弘のシュートはミートせずに上にふかしてしまう。


28分、清水はペナルティ手前中央からのFK、澤登がトリックプレーで右に流し、DF2アントニオのシュートが右に流れ、MF7エドゥーが抜け出しシュートを狙うも、GK森がスーパーセーブ!!・・・と思ったらその前にオフサイドの判定。




前半終了間際に清水が追いつき1−1で折返し

36分、左サイドからDF6平岡の左足からのシュートは素晴らしいアウトサイドにかかったシュートとなったが、これはGK森がしっかりとセーブ。


さらに39分、清水の右サイドからのクロスをニアで後ろにそらされ、ゴール左前でFW8トニーニョがGK森と競ってくるも、ヘディングシュートはギリギリバー左を外れる。


ここまで観ていてあらためて思うのは、試合が意外にも今のJリーグと同じくコンパクトであり、あまり間延びもせずに互いにボールをあまり保持できず、プレスの応酬といった感じ。

やはりこの当時、加茂監督が掲げていたゾーンプレスの戦術の影響が見られ、解説に入る山口素弘からも、当時はとにかくボールにいかないと監督に怒られたとのこと。



すると前半間際の43分、清水は左サイドからのサイドチェンジ気味のパスからFW8トニーニョがセンタリングにいくも、これは一度跳ね返し、それをペナルティ右手前で拾ったDF4堀池巧からの技ありのループパスが前線に出て、これをMF7エドゥがフリーで抜け出して、GK森のプレッシャーを受けるも落ち着いてゴール左に流し込む。


・・・・・・・・・・!!!!!・・・・・・・・・・


おお、まさに一瞬の隙・・・
一度はフリューゲルスDF陣も跳ね返したところで、これは前半間際の残念な失点となってしまった。

フリューゲルスとしては前半はリードで折り返したかったところだろう。


こうして前半は1−1で折返しとなる。

横浜フリューゲルス 1993年5月16日 Jリーグ開幕戦
白に青の横浜フリューゲルスと、オレンジの清水エスパルス




後半、相手の連携ミスからモネールの追加点!!

後半に入り12分、MF7反町に代わり、当時Jリーグ最小身長のドリブラーFW15桂(かつら)を投入。

おお、スーパーサブといえば桂!!懐かしい!!!

(山口師匠いわく、ここでソリさん(反町)に代わって桂が投入されたおかげで、良い流れになりましたよね、とこれだけは言いたかったコメントを突っ込む(笑))



すると13分、左サイドに流れたボールに対し、GK真田が追いかけて前に蹴り出すと、なんとこのボールをFW11向島がキープをしそこねて、DF6モネールが奪ってしまい、モネールが無人のゴールに蹴り込んで難なくゴールに!!!

GOOOAAALLLL!!!


本来はこのパスは右サイドバックのDF堀池巧がフォローに入るべきところだったが、プレーが切れるものだとばかり思っていたら、なんと真田が蹴ったので慌ててしまった、とのこと。

この試合、堀池巧としてはこのシーンの気を抜いてしまったところしか覚えていないトラウマだったらしい。



岩井のカット、スルーパスから前田治の追加点!!

この失点で完全に流れが変わり、15分、DF4岩井が中央でカットしたところで、そのまま岩井は攻め上がり、満を持してのスルーパスからFW9前田治が抜け出し、前田の速い突破から独走となり、ゴール右サイドからの1対1からゴール逆サイド左に流し込む!!

GOOOAAALLLL!!!


素晴らしい岩井のカットからのパス、そして前田治のまさにストライカーたるドリブルと決定力が素晴らしいダメ押し点となった。


互いに選手交代策・・・大嶽はアクシデントで開幕出場を逃す

ここで清水も選手交代、FW11向島に代えてMF14杉本を投入。

更に2人目を投入、DF6平岡に代えてFW15青嶋を続けて投入。


後半30分、フリューゲルスはFW11アンジェロに代えてDF13大竹を用意していたが、ここの右サイドでDF3渡辺一平が相手のFW15青嶋と腕を抱えられたまま倒れ、肩を脱臼するような形で負傷してしまい、急遽大嶽をやめてDF12堀を渡辺一平と交代。

本来、大嶽もセンターバックは出来るはずだが、当時の加茂監督としては大嶽は右サイドバックしか選択肢が無かったらしい。

いや、というか薩川をセンターバックにして、大嶽を右サイドバックに入れれば良いだけでは・・・というのは今の自分からすると思うだけか。

とにかく、これでこの後長い間フリューゲルスの右サイドバックの代名詞となる大嶽の開幕戦出場はご破算となる。




終了間際、清水意地の1点を奪え返すも、フリューゲルスの開幕勝利!!

40分、右サイドからフリーで上がったFW9前田治がゴール右でのキックフェイントで相手DFを翻弄し、持ち替えての左足でのシュートは清水DF陣もかろうじてブロックするも、前田治の切れ味がやはり半端ない。
この年、前田治は開幕から4試合連続ゴールと、イケイケ。

清水の長谷川健太も右サイドアタッカーだが、フリューゲルスには前田治というアタッカーがいたという事。


試合もそろそろロスタイムに入ろうかというところになると、清水もどんどんフリューゲルスのゴール前にアーリークロスを送り、トニーニョなどに合わせてくるも、ここはGK森も身体を張って空中戦を制しにいく。

思えばこの試合、前半にも何本も相手清水にフリーでシュートを撃たれる場面もあったが、ことごとく森が当時独特のレゲエのリズムと言われた素晴らしい瞬発力からのセーブで防いできたことが、この2点リードの状況に繋げた。


するとロスタイムに入り試合終了間際、清水は左サイドからDF15青嶋がスピードに乗って抜け出し、センタリングにトニーニョがシュートを放つと、これが一度左バーに当たるも、さらにこれを自らトニーニョが頭で押し込みゴールへ・・・


・・・・・・・・・・!!!!!・・・・・・・・・・


おお、ここで清水1点返すとは!!!
やはりJリーグ開幕戦、最後の最後まで試合を諦めてはいない。

これには大盛り上がりのアウェイ清水サポ。

左CKで澤登が蹴るところなどは、もう同点を信じて疑わないほどのヴォルテージとなるが、どうにかここを弾き出してタイムアップ。


こうしてJリーグ開幕戦はフリューゲルスが制する事となった。


開幕戦のMVPはアタッカー前田治

試合としては、先制点を演出したドリブル、そして3点目のダメ押しを決めたFW9前田治がMVP。

本当に、その後の前園が出てくるまでは、このアタッカー前田治と、魔術師エドゥーの左足がチームの大きな武器だったんだなと思うし、更に左サイドバックの怪人・モネールはやはり当時から左サイドバックながらもガンガン上がってチャンスを演出したんだなと感慨深い。

我らがキャプテンMF5山口素弘は、機を見たミドルシュートはあったものの、まだ裏方気味のプレーに感じた。

ゲームキャプテンとは言えども、まだ当時は大卒2年目、とにかく当時は加茂監督の掲げるゾーンプレスの申し子として、とにかくどこでゾーンプレスを仕掛けるか、まずは守備面に意識が置かれていたと思う。

その後、山口素弘といえば、もはやボランチの枠を超え、あれ?センターFWだっけな?くらいに前線に上がりまくり、中央でボールを受ければマルセイユルーレットターンで相手を華麗に置き去りにするイメージが色濃いし、鹿島戦での伝説のミドルシュート3連発などもその後は決めていく事となるが、それはまだ先の話というところか。



それにしても、今はサッカー協会に入っている反町と、名古屋のフットボール統括になっている山口素弘との当時の思い出話は面白かった。

(反町)なんで大卒2年目の山口素弘がキャプテンなの?納得いかない、という不満顔に対し、(山口)当時岩井さんとかいろいろキャプテンをやったが、自分がキャプテンの時が一番勝率が高かったので、それからずっとキャプテンになったんですよねと。

(反町)自分なんか前園が出てきてからさっぱりになったしとふてくされると、(山口)大丈夫ですよ、当時のフリューゲルスはソリさんのチームだってみんなわかってますからとフォロー。

また、当時の開幕戦の前、それまで全く清水には勝てず、加茂監督も特にFWトニーニョを問題視していたので、MF高田をマンマークで付けさせるかと本気で考えていたところを、当時の山口としては冗談じゃない、そんな事したらチームが機能しなくなると危ぶみ、結局マンマーク策は取られなかったことが、この開幕戦の勝利に繋がったといったところか。


先日の天皇杯最後の決勝と共に、ここにきてフリューゲルスの試合を続けて2試合観られて幸せなコロナ禍の中のひと時となった。

ああ、フリューゲルスは今でも心の中で永遠の存在だ・・・





横浜フリューゲルス 1993年5月16日 Jリーグ開幕戦
Jリーグ開幕戦の勝利に沸く観客席と横浜フリューゲルスのイレブン


(20.05.17UP)






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