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メジャー3枚目、インディーズの『HURRY UP MODE』を含めれば4枚目のアルバムとして出された「TABOO」は、デビューから2年の人気絶頂の中で作られた1枚。
世間はバクチク現象に狂乱する中、狂乱する日本からいったん離れてロンドンでレコーディングされ、その中で今井は冷静に次のバクチクのあるべき姿を見据え、初シングル「JUST ONE MORE KISS」というドメジャー曲を収録しながらも、アイコノ、SEXフォー・ユー、エンブリオ、そして今でも新鮮でいて、昨年の武道館(2015)でも選曲された「ANGELIC CONVERSATION」といった、現在のBUCK-TICKにも繋がる、いわゆるダーク系の片鱗を見せた1枚と言われる。
30年近く経つ現在聞いても、全く色褪せない曲が多く、やはりB−Tはデビュー当初からB−Tなんだな〜と感じる。
私はB−Tのデビューから7、8年経った殺しの調べや狂った太陽などから好きになったので、このTABOO以前の初期の曲には、そんなに興味が無かったが、今回改めて何度も聞きなおしていく中で、かなりこのアルバムもB−Tの長い歴史の中で欠かせない1枚として気に入った。
TOKYOあたりはさすがに時代感は感じるものの、今の若い世代の初心者にもオススメして良い1枚と言えるかと思う。
ところで余談だが、このTABOOが出されてから3カ月後に、今井がLSDによる麻薬取締違反で逮捕され、半年間の謹慎となった。
もう結成から30年近くになるBUCK−TICKは、これまでただの1度も「解散」や「活動休止」という言葉を使った事は無いが、たった1度、「謹慎」だけはあった(苦笑)。
しかし、翌年「惡の華」で鮮烈な復活を遂げ、そしてその更に翌年に伝説の「狂った太陽」をリリースし、そこで全開に麻薬の事を題材に曲をどうどうと披露してしまうところが素晴らしい。
どこまで器の大きいバンドなのかと、今でも震撼する。
01.ICONOCLASM
〜詞:今井 曲:今井〜
(Hurry up iconic from beyond the desire)
ファンには「アイコノ」でお馴染みの、ライブの定番曲。
今井のギターのリフに合わせ、手をピストル状にした左右の手を交互に出す振りは、あまりにもお馴染み。
ICONOCLASMとは、聖像破壊。
当時のBUCK-TICKといえば、異常な人気の渦にいたわけだが、そんな中で今井はそんな熱狂、虚像なんて要らないと突き放したような題名と歌詞。
こんな曲、他のバンドに作れるのか?
今思えば、BUCK-TICKというバンドが唯一無二である事を証明する1曲であると強く感じる。
なるほど、当時これをリアルタイムで聞いていたファンは、この曲の印象が強く、そして今でも推すからこそ、ライブでも頻繁に採用されるということか。
02.TOKYO
〜詞:櫻井 曲:今井〜
( It's dead cyber Tokyo その目の中バラ色 燃えあがるのさ)
壊れゆく東京を書いているとのことだが、詞全体を見ると、クスリによって夜の東京全体の風景が壊れていくように見えてしまっている男と女を描いているように、私は読み取れた。
何にせよ、破壊と、それを受け入れるしかないという、櫻井の詞によるある終末的な歌詞といえる。
しかし、サイバー東京・・・
もう一つの意味としては、やはり群馬の片田舎から東京に出てきた、まだ若い彼らから見えるサイバーの世界である東京という、虚像でありながらも、巨大に見える畏怖のような意味合いも、やはり一部にじみ出ているようにも感じる。
曲としては、リズムの良い、今井らのバックコーラスのサイバーTOKYOもよく効いてる曲だが、やはり歌詞と共にこの曲だけは約30年前という時代感を感じざるを得ない。
さすがに、もうこの曲だけは武道館でも選曲出来ないだろうと思う。
03.SEX FOR YOU
〜詞:櫻井 曲:今井〜
(凍えそうな身体が 熱く熱く SEX FOR YOU 身悶えする心は 落ちる落ちる SEX FOR YOU)
(NO NO NO NO 熱く燃えて NO NO NO NO 抱いて抱かれ)
まー、さすがにこの曲は単なるSEXに関してのセクシー系ということで良いでしょう。
櫻井好きの女性ファンには堪らない曲と言えるだろう。
曲的には、最後のNO NO NO NOのところがかなり格好いい。
04.EMBRYO
〜詞:櫻井 曲:今井〜
(SO LONELY I'm embryo Kiss me please)
エンブリオとは胎児の意味であり、堕胎の歌詞の内容。
SEXフォー・ユーの後に、この曲は・・・
罪の無い胎児が、許されぬ命だからとその命を一方的に奪われる。
相変わらず櫻井の詞のワールドはこういった重いモノが多い・・・
ただ、曲自体はそんな暗さ、重さをあまり感じない、サビのところなどはなかなかの完成度だと感じる。
05."J"
〜詞:今井 曲:今井〜
(花を愛してたday by day 恋人とのday by day)
(夜にひらいた 涙が止まらない Because my name is Mr.J)
Jとは、切り裂きジャックをテーマにした曲とのこと。
そもそも切り裂きジャックは1888年のロンドンで実際にあった連続殺人事件であり、ロンドンでのレコーディングということで、そこは意識したのだろう。
全体的に連続殺人のテーマのわりには、リズミカルでポップな印象の中、特にサビの最後のミスタージェイー、のところの裏声の使われ方が良い。
06.FEAST OF DEMORALIZATION
〜詞:ヤガミトール 曲:星野〜
(Tast of Heart 夢を淫らに映しても Tast of Night Tast of Love 嘘を呟き飾っても)
割合の少ない星野作曲に加え、世にも珍しい、ヤガミトールの歌詞。
星野の曲なのに、なぜ櫻井の歌詞じゃないのかは、どうやら当時櫻井が多忙すぎたから、とのこと。
その詞の内容は、男女の関係性の事を書いているようであり、言葉の選び方といい、なかなかに堂に入っている。
曲調としても、なかなかに良い曲だと思うし、またヤガミの作詞が復活しても良いのではと思うところ。
07.ANGELIC CONVERSATION
〜詞:今井 曲:今井〜
(Angelic Conversation Sympathy for the Devils 覆われた 天鷲絨(びろうど))
(夢を食いちぎる バクを狩り 大蛇に乗る)
この初期の頃のBUCK-TICKの曲の中では、頭一つ抜き出た完成度を誇るのがこの曲。
2016年の今聴いても、全く色褪せる事なく、この9月末に出る新アルバムにも、こういった骨太な曲が1曲は欲しいところ。
初期の曲ながら、自分としてもベスト10、、、いやベスト20か30には入れておきたいと思う名曲。
昨年2015年末の武道館でもいきなりスタートに演ってくれたが、いや〜ホントに素晴らしい。
とにかく詞の内容がどれもこれもカッコイイ。
バクを狩り大蛇に乗る、ウスバカゲロウは群れを離れ、深紅の意思をひるがえす、、、いや〜ホントにカッコイイ。
今度、久々にカラオケで唄いたい1曲。
08.SILENT NIGHT
〜詞:櫻井 曲:今井〜
(What a silent night この手で殺してしまいたい)
ロンドンでの収録の際に、1曲デモテープを日本に忘れてきてしまったため、急きょ現地で作った曲との事。
そのためか、この頃のBUCK-TICK、いや、エレキギター全盛期といえるこの頃のロックバンドには珍しい、アコギメインのしっとりした曲調のバラード。
本当に急きょ作ったのかというほどの、しっかりしたバラードであり、完成度も高い。
歌詞の内容としては、ロンドンに感化されたのか、歌い出しは英語一本で押していき、その後の歌詞の流れから、別れてしまいそうな恋人に、いっそ別れるくらいなら、この場で、この手で殺してしまいたい、実際にやったあとの妄想をイメージしたような内容。
09.TABOO
〜詞:櫻井 曲:今井〜
(A-mour A-mour A-mour ふたり TABoo TABoo TABoo...)
表題曲だが、実はそこまでインパクトがある曲ではない。
ただ、タブー、タブー、タブー、、のところは女性コーラスと合いまって非常にカッコイイ。
タブー、禁忌の恋ということで、不倫のような内容だろうか。
これもやはり、女性ファン向けの、櫻井ワールドに浸れる一曲といえる。
10.JUST ONE MORE KISS
〜詞:櫻井 曲:今井〜
(JUST ONE MORE KISS横顔はまるで 刹那の美貌)
この曲に関しては、もはや何の説明をつける必要も無いだろう。
なんとメジャー3枚目のアルバムにして、初のシングルがこのジャストワンモアキッス。
高校に入ったくらいの頃だろうか、確か初めてまともにカッコよく歌えたと思えた曲が、この曲だった。
(まー、つまり、それだけ曲の難易度が初級ということ・・・^^;)
ただ、じゃあ飽きるのかといえば、不思議と飽きの来ない曲であり、こういったメジャー曲ですら、やはりバクチクはバクチク。
以上、初期の最終アルバムのTABOO。
TOKYOから、アイコノまで、随分と振り幅がある1枚であり、10曲を何度でもさらっと聞けてしまう辺りは、さすがバクチクと言える。
9月末発売のニューアルバム・アトムに向け、他の初期アルバムもそろそろアップしていきたいところ。
(2016.08.20UP)
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