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BUCK-TICKシングル紹介・批評
『LOVE PARADE』(2014.1)


LOVE PARADE

横棒



デビュー25周年を記念して制作されたBUCK-TICKのドキュメンタリー映画『劇場版BUCK-TICK 〜バクチク現象〜』(前篇「T」、後篇「U」)の各テーマソングとして書下ろされた2曲がシングルとなったもの。

映画の前篇「T」のテーマソングとなった“LOVE PARADE”、後篇「U」のテーマソングである“STEPPERS ?PARADE-”、どちらもが映画のラストにはエンディングロールと共に流された。

私も映画を観ていて、最後に流れたこの2曲がなかなか良い曲だな〜過去に聞いた事が無いな〜ということは書き下ろしか?CD化するのか?と思っていたところでのシングル化での発売だったので、早速予約購入となった。

最近のBUCK-TICKの初回限定にはライブ映像DVDが付いており、インターラプターなど魅惑の曲も入っていたので、やはり買わずにはいられない。

2曲とも曲名に”PARADE”を冠しており、まさに2曲セットの曲とも言えるが、星野と今井のそれぞれの作曲であるところも面白い。

しかしBUCK-TICKとは不思議なもので、この2人の全く違うはずの曲調が、BUCK-TICKというフィルターを通すと完全に違和感なくBUCK-TICKの名曲の一つとして完成されてしまうのが凄いところ。

そして、これまた不思議とこの曲調の違うはずの2曲はパレードというキーワードに強固に結びつけられ、まるで前半と後半で同じ曲の中でリズムだけ変えて続いているような錯覚ももたらす。

実際に映画館で2曲続けて流れた時がそういった感じだった。

あれ?このエンディングテーマ、1つの曲なのかな?2つ別々なのかな?と。

パレードという、いわゆるお祭り騒ぎをテーマとしながらも、それぞれの表面と裏面を表裏一体で綴る2つの兄弟曲。


そんな、なかなかの名曲と言えるパレード2曲は、なんと次の新アルバム「或いはアナーキー」には収録されない事も発表され、完全に他の曲達とは一線を画す存在と位置づけられた。
25周年記念となったドキュメンタリー映画と共に記念曲として位置づけられるこの2曲のパレードをここに紹介しておきたい。


(追記)
また、パレードといえば、20周年記念で2005年に発売されたトリビュートアルバム以来、他のアーティスト、バンドも呼んだ対バンツアーやフェスにも、このパレードという言葉がよく冠されるようになった。

BUCK-TICKという、歴史の長いバンドにとっては、本人達ももはや自分たちの行っている活動が個人のものではなく、社会にも何らかの形で残し、何らかの形で貢献していきたいという思いも感じる。

それが自然とこのパレードという言葉に表れている。

後継のバンド達を育てたい、自分達の思いを少しでも世に送っていきたい、届けていきたい、そのためには閉じられた世界だけで活動しているだけでもダメで、もっと広い視野で広げていくためには、フェスのようなオープンな形式が必要であり、更には、最終的には公道で行うパレードのような、誰もが気軽に、意欲的に参加できる場をなるべく作っていきたい。

そんなテーマがあるのだろうと思うところ。

特に今回のパレード2曲にはそういったメッセージを感じる歌詞もところどころ出てくる。





01.LOVE PARADE

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(バラ色のパレードが通りを過ぎる 木漏れ日を浴びながら 君を連れてく)


ラブパレードとは、2010年の死亡事故を受けるまでドイツで毎年開催されていた世界最大のレイヴであり、現在もその流れを受け継ぐ形で世界中で開催されている。

その様相はネットなどでの写真を見るだけでも熱狂的で、あまりに多くの人がひしめきあう様が伝わってくるが、しかしこの曲はそんな喧噪の中での、静かな、そこだけ音が無くなり、時間が止まったような一コマを連想させるような星野らしい曲調と、櫻井の詞になっている。


世間にもまれ、落ち込んだ少年・少女に対し、優しく手を差し伸べ、そして希望を与えてくれる。

あまりに優しい櫻井の唄が心に染み入る。






02.STEPPERS -PARADE-

〜詞:櫻井・今井 曲:今井〜

(ルナパーク 猫も連れて いいねBABY)
(PARADE 闇をゆけ MOONLIGHT 照らせ)


いかにも今井の曲らしい、お祭り騒ぎのパレード、そしてステッパーズ-おそらくここではパレードの中での音楽に熱狂して足を踏み鳴らす参加者達-をあおり立てるような曲調。

まさにパレードの名に相応しい。
前回のアルバム「夢見る宇宙」の代表曲であるクライマックストゥギャザーにも繋がっているような部分もある。

歌詞に何度もMOON LIGHTとあり、実際ジャケットの画もメンバー5人が月をバッグにパレードしているような格好となっており、こういった形でメンバーがジャケットに出てくるのはBUCK-TICKでは珍しい。


個人的に興味深いのは、”ルナパーク”という名が出てくるところであり、かつて戦前に世界の遊園地の代名詞だったこのルナパークの名も、今ではすっかりディズニーに入れ替わっているところだが、おそらく唯一このルナパークの名を冠している遊園地が、BUCK-TICKの地元である群馬の前橋市にある「るなぱあく」。

もともと郷土の大いなる詩人・萩原朔太郎が遊園地のルビに”ルナパーク”とふったところから取られた名だが、おそらくこの群馬のるなぱあくと無関係では無いだろう。

10円で乗れる国の登録有形文化財の電動木馬をはじめ、1回50円で乗れる乗り物がメインとなっており、日本一安い遊園地は今の時代からこそ健在。

我が家も子供が小さい時は非常にお世話になった、地元前橋の誇れる日本一安く、親しみやすい遊園地だ。






(2014.05.25UP)






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