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BUCK-TICKアルバム紹介・批評
『memento mori』(2009.2)


横棒



2005年、「13階は月光」で非常にマニアックなアルバムを披露し、2007年、その反動からか今度はあまりにも分かりやすいストレートなロックミュージックを追った「天使のリボルバー」を発表し、こちらはバクチクファンにとってはやや物足りないものだった。

そして2009年発表となったこの「memento mori」ではバクチクらしいマニアックさも残しながら、ほとんど外れのない、珠玉の集まりのアルバムとなり、ここ最近ではヒットアルバムだったモナリザを凌駕するものとなった。

初心者の人が聞きはじめるのならばモナリザか、もしくは1ライフ1デスあたりかと思っていたけど、このmementoが出た時点で、このアルバムが初心者お奨めNo.1。

本当にいい曲が揃っています。
というか何度聞いても飽きないという、まさにバクチクらしい1枚。
正直天使のリボルバーや13階は何回も繰り返しは聞けないよな〜
このmementoはリピートで永遠聞いてられるもんな〜

というか、そもそもこのアルバム収録曲は15曲!!
この内、インスト、間奏曲のようなものは一切なし!!
ほとんど捨て駒なしの力を入れている曲ばかり!!
こんなアルバム今まであったか??
なんてサービス精神旺盛な1枚だろうか・・・



ちなみにmemento moriという言葉はラテン語で「死を忘れずに」という意味で、昔からホラーものの映画の題材などになっているらしいが、このアルバムでいうこの言葉の意味は、どうせいつかは死ぬのだから、今を精一杯生き抜き、愛し抜こうというような、どちらかというと前向きな捉え方で良いと思う。

主題曲のmemento moriの曲調からいってもそうだろう。


とにかくこのアルバムを引っさげた2009年のライブツアーは最高だった。
セクシーストリーム以来の感動だった。
まだ間に合う人は1回でも多く参加する事を強くお奨めする。




01.真っ赤な夜-Bloody-

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(このまま俺は夜になる 何も無い 夜という名前さ)

いつもながらアルバムの1曲目にはリズム感の良い曲を持ってくる。
当然ライブでもこれが出だしとなり一気にヴォルテージを上げてくれるところはさすが。

その他はかなりシンプルな詞の内容。



02.Les Enfants Terribles

〜詞:今井 曲:今井〜

(狂おしい アンファンテリブル 骨までしゃぶっていいかな)

アンファンテリブルってなんだ?と題目をそのまま検索してみると、フランスの文学家ジャン・コクトーが書いた小説「恐るべき子供達」という題目らしい。

そ、それにしてもこの曲の詞の意味は分からない・・・

恐るべき子供たちという小説は何やら早すぎる性に目覚めた子供たちの物語のように検索では読み取れたので、そういう視点で詞を眺めるとだいたいそういう怪しげな内容なのかなと思う。


まあ曲の意味はともかくとして2フレーズ目の今井のボーカルのところは本当に格好いい。
残念ながらその後はこういった2フレーズ目の部分が無く、この1回で今井のメインボーカルが終わってしまうのはなんとももったいない。

今井の作詞作曲なだけにギターも全面に出てくる曲で、細かい間奏のところで今井の左右に足を踏み荒らすゼスチャーが良く似合う。
やはり今井という存在がバクチクの最も重要な所であり、このアルバムの中ではその今井らしさが全面に出ているこの曲はかなりの位置づけになる。
いつもバクチクは2曲目にメイン的な曲を持ってくる事が多いように感じる。



03.GALAXY

〜詩:櫻井 曲:今井〜

(真夜中 君は夢見て泣いている とても綺麗な夢を見た)

毎回、一応世間に顔見せするために理解されやすくノリの良いシングルを出すが、まさにこの曲がそう。

しかし、そんなバクチクらしからぬ売れるための曲なのに、この出来がまた良い。

ダークなバクチクと、こういった表向きの曲を作るバクチク、この2面性がまた良い。

自分はこういうバクチクの柔軟なところがまた好きなんだよな〜とつくづくバクチクの奥深さには感心させられる。


歌詞としてはおそらく初体験でショックを受けている少女に対し、そんなショックを受けるようなものではなく、これが素晴らしい、自然な事なんだよ、とやさしく説き伏せているような・・・まあそんな感じだろう。

ところで題名のGALAXY(銀河)って何が関係するのか・・・
バクチクにはよくあることだ。



04.アンブレラ

〜詞:今井 曲:今井〜

(ほら、わかるか? あれが太陽 欲しがっていた あれが太陽)

今井の作詞だけあって構成がシンプルな1曲。
アルバムの中ではあまり特徴が少ない曲にみえるが、ライブになると3つ数えたら行こう、3、2、1、GO!のところで観客も指を折ってカウントするところや、手拍子を入れられるところがなかなか良い。

しかし13曲目のセレナーデの副題にも愛しのアンブレラと出ており、歌詞もアンブレラ(英語で雨傘)のとおり雨の中での出会いといった点でかなりダブるが、なんか繋がりがあるのか?

ライブで、ああ、これはアンブレラね、と隣の友人と話し、その後「あれ?そういえばアンブレラって2つある?」と混乱を招いた。



05.勝手にしやがれ

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(いいじゃない ちょっとくらい 死にゃあしないさ)

5曲目あたりになってくると毎回のとおり星野ヒデの曲が入ってくる。

曲調がヒデらしくないが、前回のアルバムのクリームソーダの流れをちょっと組んでいるのかな、と。

詞も逆説ばかりのひねくれたような内容で、随分と変化のある曲。



06.Coyote

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(髪飾りはハイビスカス 夕焼けやけにsuicide)

今回のアルバムの中で隠れた名曲はこれだろう。
同じバラード調だと他にも星野あたりに名曲がたくさんあるので、なかなか歴代の上位には食い込みにくいが、今回のアルバムの中で1位に挙げる人も多いのでは。

ライブでも手拍子の合いの手で絶大な一体感を覚える。
特にラスト前で一瞬演奏が途切れるところで手拍子だけが渋く鳴り渡るあたりは鳥肌が立つ。

狂おしいほどの愛を歌いきった逸品。



07.Message

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(君を見ている ずっとここで 僕には八日目の朝が来たよ)

この曲もまた星野ヒデらしい素晴らしい出来のバラード。
ピアノが中心になるというのもまたバクチクにしては珍しい。
(記憶にないだけ?)

相変わらず詞の内容はどこか愛とその裏に静かに潜む破壊といったテーマを感じる。
例えば死んでしまった恋人の事を1週間以上寝ずに思い続け幻を追う男、といった内容にもとれるし、単に1週間恋人を思い続けるストレートな恋歌にもとれる。
こういった詞が多いね、櫻井は。
あの星野の名曲「ミウ」に詞の内容が似ているな。



08.Memento mori

〜詞:今井 曲:今井〜

(LOVE& DEATH愛と 死、出会い と 別れ)

完全に沖縄民謡にそのままバクチクを乗っけてみたという意欲作。

演奏から歌い方から合いの手の入れ方など、いったい何が始まったんだ??と過去からのバクチクファンも度肝を抜くが、まあだいたい1曲くらいはこういった超変化球が入らないと名アルバムとは言えない。

とにかく表題曲でもあるわけで、今井のこの曲にかけた想いは強いのだろう。

ライブでも合いの手をふんだんに入れ、会場との一体感たるや半端なモノではなく、まさに夏の祭りを感じる。
これ今後もライブで入れていって欲しいね〜


詞の内容としてはまさに人生は愛と死が隣り合わせであり、死ぬまで一生懸命愛し合おう!と活気づけているイメージ。
LOVE&PEACEならぬ、LOVE&DEATHというところがいかにもバクチクらしい。




09.Jonathan Jet-Coaster

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(超音速爆撃 戦闘 ステレス DEVIL'S No.1)

とにかくノリのいい、ジェットコースターの名のとおりスピード感が出だしから最後まで止まらない曲。

ライブでは「イェイ、イェイ〜」の合いの手がなかなか心地良い。

というか、このアルバムは本当にライブ向きの、サービスの多い曲が多いな〜


歌詞としては、今井の作詞じゃないのか?といったスピード感重視のぶっ飛んだ単語が並ぶ。
本当に櫻井の詞?
これが本当に櫻井の詞だとすれば、今井との境目が分からなくなる



10.スズメバチ

〜詞:今井 曲:今井〜

(Hip Shake! Boom Boom Boom ハチガトブ〜 )

ひたすらに夜の男女の営みを激しく歌いきった曲。
まさに今井の曲だね。
ヒップ、シェイク!ブンブンブン!蜂が飛ぶ〜の今井のバックコーラスがライブでも盛り上がる。

いいね、こういう曲を作れるバクチクが。
まだまだ錆びないね〜今井も現役だね〜。



11.Lullaby-V

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(マダム、酒をくれよ ウィムッシュ、ケセラセラ!)

ララバイ=子守歌という題名の割りには随分と酒呑みの内容となっている。

このララバイVということで、じゃあUはあるのかというと、実は前の前のアルバム「十三階は月光」の10曲目に伴奏だけの短いインスト曲がまさに「Lullaby-U」という曲であり、この曲の伴奏がそのまま使われている。

まあ随分と粋な事をやるもんだ・・・というか初め分からず、ネット上の情報でやっと知った。
伴奏だけの曲ってたいていは飛ばしてダビングしちゃうからな・・・しっかり聞けということか。


詞の内容や曲調はまさに十三階は月光にそのまま入っても良さそうな、いかにも二昔前のヨーロッパの片田舎の雰囲気がよく似合うモノとなっている。

このアルバムの中では異質の存在だが、まあこのアルバム自体1曲1曲個性に富んでいる。



12.MOTEL 13

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(剥き出し 愛しているBABY びしょ濡れ MOTEL 13)

星野の曲第3弾。
とにかく出だしのギターのリフが格好良く、最高にロック。
ライブで聞き終わった後、ギターが得意な友人も一言「ロックだね〜」としみじみ。

ほぼそのギターだけを引き立たせるようなギタリスト星野ヒデならではの1曲。

詞の内容は完全に大人の世界です。
ついでに言うと、女性ファンへのサービスとも言えるでしょう。



13.セレナーデ -愛しのアンブレラ-Sweety-

〜詞:今井 曲:今井〜

(泣いたりしないで 雨はセレナーデ奏でてる)

4曲目のアンブレラのところで前述したとおり、題目や歌詞がダブっている兄弟曲。

しかしこちらは随分と軽やかな感じで、まさにメリーポピンズの映画がよく似合うような優雅さ。

それにしてもバクチクの曲としては如何なものか??
今井らしい遊び心というやつか??



14.天使は誰だ

〜詞:今井 曲:今井〜

(堕天使 人で無しルシファー 林檎食べてトロけちゃった ・・・ 愛 愛 LOVE LOVE)

このアルバムの中でかなりのランク付けとなるであろう1曲。
コヨーテが隠れた名曲ならば、この天使は誰だはまさに代表曲といっても良い秀逸な出来の曲。

変化に富んだ曲調が散りばめられ、何度聞いても飽きない。
飽きないということは名曲ということ。

それにしても歌詞の内容が天使だのリボルバーだの、なぜこれが前作のアルバム「天使のリボルバー」に入らなかったのかが非常に疑問。
この曲さえ入ればあのアルバムの意味もかなり違った事だろう。


ライブ的にも全体的に非常に盛り上がる曲で、今井の「オレは夜で オレはシューティングスター」のバックコーラスの入り方もいいし、愛、愛、ラブ、ラブの合いの手もいいし、極めつけは「拍手喝采の」で手拍子を揃ってやる一体感が良い。

いや〜これも良い曲だな〜
今後もライブで入れて欲しい秀作。



15.HEAVEN

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(この美しき 腐りゆく世界で 胸に挿した 白いカーネィション)

最後を飾るのはしっとりと歌い上げるシングル曲、ヘブン。

ららら、ら、ら、ら〜で始まる優しい出だしから、全体的に世界の素晴らしさをみんなで歌い上げる、バクチク教のラストを飾るに相応しい感動系の曲。

それにしても題名のヘブンといい、PVの天使の羽で始まる出だしといい、これも天使は誰だと同じくなぜ前作の天使のリボルバーに入らなかったか、と首をかしげる。

きっと最後の2曲は本当なら前のアルバムに入れたかったんじゃないだろうか。
というか前のアルバムの印象を引きずって出来た2曲なのかもしれない。

しかしお陰でこのアルバムに素晴らしい2曲が入った事で、このmementoというアルバムの存在価値を一層高めた。







全体的にみて、やはり素晴らしいアルバムだな〜と感じる。
1曲1曲変化に富み、ライブにもぴったりの曲が多い。

やっぱりもう1階このアルバムのライブ行きたいな〜
バクチク初心者にも強くお奨めできる逸品。





(2009.06.01UP)






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