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BUCK-TICKアルバム紹介・批評
『異空-IZORA-』(2023.4)


BUCK-TICK 異空-IZORA-

横棒


デビュー35周年を越えてリリースされたBUCK-TICKの23枚目のニューアルバム「異空-IZORA-」。

コロナ真っ盛りの中でリリースされた前作のアブラカダブラに続き、まだコロナの余韻も残りつつ、衝撃的なロシアのウクライナ侵略戦争を受けて、櫻井敦司の反戦運動がふんだんに入れられたアルバムとなった。

ちょっと反戦に走りすぎでは・・・と思うが、今回のアルバムは今井作曲・作詞の曲が1曲しか入らないなど、明らかに櫻井カラー強めで作られた1枚のため、これは致し方ないところ。

正直、はじめ聞いた時は、ライブ向きの曲があまりに少ないため、これでツアー回れるのか??どういうつもりなのか??と思ったものだが、なかなか聞きこむと良い曲もあり、なるほどさすがバクチクだなといった感想。

とりあえずはじめにこのアルバムから入るのはおススメできませんが、バクチクマニアにはこれはこれでアリのアルバムかなと。


また、そもそもアルバムの題名、異空IZORAについては、今回珍しく、どこの歌の題名にも歌詞にも入っていない完全オリジナルの題名となっているが、やはり異なる空でも、全国どこでも繋がっているこの空の下で、今でも残酷な侵略戦争は行われているんだというメッセージが込められている。



01.QUANTUM I

〜曲:今井〜

オープニング曲の題名であるquantumとは、直訳で量子のこと。
最小単位である量子という言葉で、今井先生はシンプルにオープニングとラストの曲としたかったのかなと。


02.SCARECROW

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(俺の目玉を狙う鴉(クロウ)友達じゃない あっち行け あっち行け 来るな)

SCARECROWとは、かかし、こけおどし、みすぼらしい人。
かかしの目玉をカラスが狙うように、自分に対しても狙ってくる奴に対して逃げようとするが、動けないかかしのように逃げられない・・・
という八方ふさがりな歌詞の内容になってますが・・・

これも一方的に侵略戦争を受けて、元々の住民としては逃げ場所なんて無いんだと。
最初はカラスも、俺たち友達(同じロシア)だろ?と声をかけてくるが、違う、自分はウクライナ人だと。
そんなメッセージもあるだろうか。


03.ワルキューレの騎行

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(気分爽快かい? 誹謗中傷がグロいわ)

このアルバムのメイン曲、代表曲の1つではと思われる、まさに今のバクチクを体現してくれている、バクチクらしい1曲。

今井先生のセンスが光る”らしい”ギターのリフ、歌詞も櫻井作詞のわりには、一部は今井作詞なのでは?と思わせる、なかなかの攻めっぷり。

そもそもワルキューレとは最近ではマンガなどの中で戦乙女といった意味合いが強くなっているものの、元々は戦死者を選ぶもの、という意味もあり、死んでもいい、俺を選んでくれ、といったメッセージも感じる内容。
まあこの辺はまた後で書き直すかもしれません(^-^;

それにしても、単純にRighty…Righty Right!のところがあまりにカッコいい曲。





04.さよならシェルター destroy and regenerate-Mix

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(今夜 地球はまるで 美しい 流れ星 綺麗だ)

昨年9月に出たコンセプトベストアルバムの中で唯一先行で入ったのが、このさよならシェルター。
実質、超先行シングル曲とも言え、このアルバムを引っ張る代表曲とも言える。

ベストアルバムの中に収録されたため、その後に開催されたツアーでも披露され、自分も既に生で聴いてはいるものの・・・

このアルバムに収録されたさよならシェルターは、黒色すみれのさちさんがバイオリンを収録したバージョンとなったことで、まるで別の曲に生まれ変わった。

その大胆なストリングスアレンジはまさに圧巻であり、まず出だしからがバイオリン、そしてサビ、最後のラストと、全てがこのバイオリンの美しい音色のために仕組まれたような完璧な曲となっている。

いっそ、このバージョンのさよならシェルターでミュージックステーションもやってもらえれば、おそらく全国の反響は大変なものになったんじゃないかと思う。

バクチクの世界観、曲調、力強さ、奥深さといったもの全てに、バイオリンが完璧にマッチする。
今後はさちさんを本気でサブメンバーの1人に据え、毎回アルバムの中で2、3曲、バイオリンを伴う、バイオリン前提の曲を収録するべきではと本気で思うし、願う。

一時は変な虫が付いたと女性ファンから煙たがられたとも聞いている黒色すみれだが、どうでしょう藩士でもある黒色すみれは「語呂合わせのコニーデ」「菊練りしたい」「フィヨルドの恋人」の3曲を既にどうでしょう藩士たちにも披露しており、自分としては非常に身近な存在である中、このさよならシェルターを完璧なまでに仕上げたバイオリンという要素によって、今後は無くてはならない存在になっていないかというレベルまで考えさせられた。

あまりに衝撃だ。
このアルバムの存在価値をバイオリンの力で一回り増させた功績はあまりに大きい。



05.愛のハレム

〜詞:櫻井 曲:星野〜

()

かつての星野らしい曲調、だいたいアルバムに1曲入るよねという星野曲。

最近多かった怪しげな幻想曲をここに詰め込んだ形で、モロッコの最大都市カサブランカと、世界遺産都市マケラケシュ、そこをさまよう自分はエトランジェ(異邦人、はぐれもの)、そこで開かれるカルナバルという名の謝肉祭、カーニバルへ、といった内容。




06.Campanella 花束を君に

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(兵隊さん おとうさん おかあさん 花束)

会報誌などからすると、本当はもっと明るい曲で今井先生も作ったはずが、櫻井の戦争批判の的にされたらしく、ガッツリと戦争反対の内容となった。

カンパネラとはそもそも小さな鐘という意味であり、本来平和の鐘が鳴り響くこの町で戦争なんて嫌だよと、全ての武器を花束に変えようよ、という無邪気な子供の願いを形にしたような曲。

曲調はかなりポップなだけに、このアルバムの中で考えると他の曲で反戦はやってくれないかなと思うところもある。




07.THE FALLING DOWN

〜詞:今井 曲:今井〜

(オレハ逆撫 怠惰サカシマ 堕天の飛翔体)

最近にしては珍しい、今井作詞作曲がアルバムの中に1曲しかないという中の、唯一の今井曲。

よって今井先生のコーラスがガッツリ入るのもこの曲だけで、最近にしてはやや寂しいところ。

曲全体のモチーフは堕天使
2人で自由にエデンへ急降下していこう、といったもの。

一時期、今井先生の曲といえば、まず題名からしてどう訳せばいいのか?といったところからはじまり、一言一言が難解だったものだが、随分とシンプルになったものだ(^-^;





08.太陽とイカロス

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(青い空を 何処までも行(ユ)こう 鳥になって 風となって さあ逝(ユ)こう)

このアルバムの中でライブで最も盛り上がるであろう先行発売第一弾シングル曲。

曲調のベースとして、先に発売してどこのアルバムにも惜しくも入らなかった星野作の名曲「るなぱーく」を継いでいる感のある、こちらもなかなかの名曲。

全体的にかなりノリノリな曲調ながら、歌詞をみると、どうも自由を得るために無謀にも神話のイカロスと同じく、空に飛び出そうとしているような危うさ、陰を感じる内容。

しかしまあ、最近のバクチクは今井×櫻井よりは、星野×櫻井の方がかなり前向きな、ファンが求める最近のバクチクらしい曲を作ってくれる感があり、もっと星野曲の比率を多くするべきではと切に思うところ。




09.Boogie Woogie

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(雨ニ撃タレテ行コウBoogie 夢なんて追いかけて行こうWoogie!)

このアルバムにしては珍しくライブ向けの曲かなといったところ。
横浜たそがれメリーさん、伊勢佐木あたりじゃBLUES 赤い服脱いだあの娘 異人さんに連れられて行った と、なかなかユーモラスなパンチの効いた歌詞が並ぶ。

ちなみに連呼される シュビドゥバ というのは、最近の曲にはほとんど使われない昭和感のあるフレーズだけど、何の意味か全くわからないので改めて調べてみたら、スキャットという技法で何語とかの意味は特に無いとのこと。

ああ、なるほど、そうなのか・・・



10.無限 LOOP -IZORA-

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(無限のLOOP 波がきらめ〜く 今宵 月も 濡れている)

先行発売の2枚目のシングル。
題名のとおり、あなたとの夢、愛は無限のループで永遠に続くと・・・

曲自体は悪くないが、物議を呼んだのが、バクチクが28年ぶりの登場となったミュージックステーションで、なぜかこの曲1曲だけしかやらなかったこと。

あまりにインパクトが薄いこの曲をなぜ選んだのか、だったら悪の華くらいカップリングのリレー曲でセットでやればいいじゃないかとも思うところだし、1曲しかやらずに今のバクチクここにありと世間に知らしめるのならば、せめてもう1曲のシングル曲、太陽とイカロスにしておけばだいぶ良かったはずでは、といった、やや残念な放送回となってしまった。

ミュージックステーションといえば、あの伝説を残した櫻井敦司とタモさんの笑っていいとも!などもはじめ、もっとタモさんとの絡みもやって欲しかったと願う。

是非ともミュージックステーションには次回もリベンジで出てもらいたいと切に願う。
今のバクチクはこんなものではない。




11.野良猫ブルー

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(You kidding? 朝が来ればもうお別れかい?)

題名のとおり終始ブルースといった感じで、野良猫という題名からも、つまり夜な夜な他の男のところを渡り歩く雌猫といったところかなと。
You kidding?とは、冗談だろ?といった意味で、あれだけ昨夜愛し合ったのに、朝になればハイサヨナラかよと。
気高くも、悲しきブルーと。




12.ヒズミ

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(ララバイ グッバイ サヨナラ 切り刻んで しま・・え)

イビツの歪と書いて、歪む(ヒズム)と読ませるという、この曲。

まさにララバイ、子守歌といったブルース調のまま流れていく曲。
お母さんの夢を犯し、お父さんの夢を殺し、日曜の夕暮れ、雨の中、信号が赤に変わる中、次の電車が来る(狂う)と・・・

まあ、またしても櫻井さんが作詞しそうな生と死を天秤にかけるような曲ですかね。




13.名も無きわたし

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(名も無いわたしにも 赤や 黄の 夢が・・・)

このアルバムの中でも相当な名曲の部類ではないかという力強い歌。
ひとしずくの雨だけでも、一輪の花だけでも、虫も来てくれるし風も当たる、雨も降る、そうして赤や黄の花が咲き乱れる事ができるなら、今は精一杯咲き乱れ、命を燃やそうと。
そんなはかない名も無く咲いている花の命と己の命を同類に並べ、そこから力強さを学ぶ。
そんな詞的な歌なのかなと。

この曲をラストに持ってくるところがバクチクらしいし、カッコいいなと思うところ。



14.QUANTUM II

〜曲:今井〜

オープニング曲と同じ題名の2番ということだが、こちらは1番と比べて随分と静かに終わっていくようなイメージのエンディング曲。



以上、なんともマニア向けなこの1枚の批評、レビューでございました。
前半のワルキューレ、シェルターからイカロスあたりは通して聴けるけど、後半は名も無きわたしにとりあえず助けられつつ・・・といった、やや軽く聴くには厳しい感もある1枚といった感じ。

さて、ツアーでのライブ参加となれば、また違った聴き方になるかもしれないので、どうなるやら。




(2023.5.30UP)





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