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BUCK-TICKアルバム紹介・批評
『アトム未来派No.9』(2016.9)


BUCK-TICK アトム未来派No.9

横棒


前作の或いはアナーキーのリリースから、今回のアルバムまでは2年以上の時間が空いた。

この間、メンバーの櫻井や今井はソロ活動でそれぞれのバンド活動を行い、そして再びBUCK-TICKに戻り作り上げたのが、このアトム。

アトム未来派No.9という題目が発表されてから薄々勘づいてはいたが、やはり今回は相当攻めてきた感がある。

最近の夢見る宇宙やアナーキーなどで多かった、シンプル、ストレートな曲というものがほとんど無く、全ての曲に今井節というか、一癖も二癖もひねった、まさにBUCK-TICKがやってきた!と感じる今井色豊かな1枚となった。

思えば、今井達が最高傑作だったのではと自ら評するメメントモリから、アルバム作りに苦戦している風もあったが、ついに原点回帰というか、今一度BUCK-TICKというアイデンティティ、存在意義を見つめなおしたような1枚といえる。

まさにBUCK-TICK好きには堪らない、嬉しい限りの1枚といえる。


また、No.9ということで、まず思い当たったのが、元BY-SEXUALのNAO氏とBUCK-TICKの元マネージャー小嶋氏が営業し、メンバーもよく行くという、麻布十番にある”麻布九番”という店をまず思い浮かべた。

麻布九番には自分も一度、年末武道館ライブの後に行ったが、その場で焼くお肉や様々なメニューがかなりおいしい、オススメの店だった印象が強い。

今のところ、No.9と九番との直接の繋がりの情報はまだ無いが、無関係ではないだろう。


〜(以下、追記16.10.19)〜

このページをアップしてから数日後、偶然、FMぐんまを聴いていたら、突然メンバーのコメントと共にアルバムの紹介が流れ、そこから得た情報でちょっと追加。

「アトム」は原子、そして高度成長期の頃からの未来の象徴としての鉄腕アトムとして、「未来派」については、そもそも未来派とは、過去の芸術の徹底破壊と、機械化によって実現された近代社会の速さを称えるもので、20世紀初頭にイタリアを中心として起こった前衛芸術運動と、wikiにはある。

この運動は文学、美術、建築、音楽と広範な分野で展開されたが、1920年代からは、イタリア・ファシズムに受け入れられ、戦争を「世の中を衛生的にする唯一の方法」として賛美されたとある。

つまり、本来は純粋な新しい芸術の精神だったことが、それを逆手にとって戦争に利用されたという悲しい歴史を繰り返してはいけない、という意味がこのアルバムの「未来派」には込められているとか。

なお、No.9については憲法9条、アトムの原子には原子爆弾に対する揶揄も秘められ、つまり3つのキーワード共に共通するのは戦争に対するメッセージでは、という事も・・・


ただ、本人達の別のコメントでは、ロックは昔から政治色が強いものだけど、自分たちはそこまで踏み込んでいないような、はぐらかすコメントもあり、真意は定かではないが、まー、色々と深く思慮できるのもBUCK-TICKの奥深さの面白さ。

結局、それぞれの受け取り手の感覚が大事なんだというのが本人達の本意でしょう。

(16.10.19追記)



01. cum uh sol nu - フラスコの別種 -

〜詞:今井 曲:今井〜

(フラスコの別種 禁断 クリーチャー)

アルバム一曲目から凄いのを持ってきた。
アナーキーの1曲目、DADA DISCOも相当で、私の中では歴代トップ10に入る名曲だったが、この曲もDADAに負けず劣らず凄い。

全体的に、もはやどこか異国の、邪教の唄というか、お経にしか聴こえない。

ああ、BUCK-TICK教という邪教に入信している己をハッキリ自覚する、B-T愛が試される一曲といえる。


まず題目だが、ハッキリ言って読めない。

cumは、どうも英語のスラングで「イク」という意味らしい。
・・・なるほど、初っ端から今井節が効いている。

solは柏レイソルの語源でもおなじみの太陽(太陽神)といったところか。

しかし、どうやら本当の意味は別にあり、アナグラムとして英語を並べなおすと、Homunculus、ホムンクルスとのこと。

ホムンクルスとは、ルネサンス期の錬金術の中にあった、小人の人造人間のこと。

一節によると、この小人はフラスコの中でしか生きられないということで、まさに題目と歌詞にある、「フラスコの別種」、そして特にキリスト教が最も忌み嫌う、神の領域に踏み入れる人造という「禁断」、そして創造の生物「クリーチャー」。

 BUCK-TICKというか、今井の歌詞、世界にはしばしば「ドリー」に表したクローンや、夢見る宇宙でのロボット、アンドロイドからの視点など、空想ながら、近い将来に擬人化されるであろうヒトではないが、ヒトに限りなく近い、存在自体が危ういながらも、それでも自らのアイデンティティを求めていく苦悩といったものを表現される事が多い。


また、最後の、まさにお経のようなフレーズの意味は、「アガルタ」がアジアのどこかに存在するとされた、地下都市の事であり、その首都が「シャンバラ」(別名・シャングリラ)、そして「ノンマルト」は地球原人の意味。


「愛してる 帰ろう nihil(ゼロ)null(ゼロ)消える」の後に「I'm never die」の連呼。

フラスコの中で造られた人造人間が、自分たちを作ったはずの人間たちの身勝手な考えで、消されようとしている。
だが、決して死なない、決してフラスコの型になどはまらない、と叫び、人間達とは違う、地下都市で理想郷を造り上げてやろうじゃないか、いや、実はシャンバラに棲むノンマルト(地球原人)達がフラスコで造り上げたのが、現在の人類なのかもしれない。


・・・いろいろな想像力の働く歌詞内容だが、それにしても、歌詞、曲ともに今井節が最高に炸裂。

ホント、最初の1曲目としてあまりに圧倒された。





02. PINOA ICCHIO - 躍るアトム -

〜詞:今井 曲:今井〜

(雑ざり合ってはいけないそう 混ぜるな危険だ)
(愛のクリスタル 踊れアトム(原子))

副題の通り、このアルバムの主題曲と言える曲だが、肝心の曲名が1曲目に続き、またしても意味不明。

おそらくピノキオ=PINOCCHIOの間にAI=人工知能、もしくは愛?といったキーワードを入れた造語だろう。

特にAI=人工知能というものによって、いよいよ世の中はヒトに限りなく近いヒトを創り出そうとしており、これについてはこのページの最後、まとめに書こう。

とにかく、ピノキオ、つまり人間の造りし操り人形、ロボットにAIという人工知能と愛、命を与えられたアンドロイドが主人公といった歌詞の内容。


全体としてだが、この2曲目アトムは1曲目とセットのように最初から聞こえた。

今井の作詞作曲だし、歌詞の内容、世界としても、いきなりのキマイラ(合成獣)、ジャカロープ(鹿の角を生やしたウサギ)、hybrid(あいのこ)、そして「雑ざり合ってはいけない」、「混ぜるな危険だ」。
合成→共存、暴走→相乗といったところからも、やはり1曲目・フラスコでの創造というテーマからの引き続きの流れを感じる。

フラスコでも述べた、近い将来に登場するクローン、アンドロイド、ロボット、そして人造人間といった新しいパートナーに対し、我々人類はどう対峙できるのか、共存、相乗といった新たな世界を開けるのか、と問いかけていると感じる。

それにしても、アトムというと、日本ではやはり鉄腕アトムをまずは思い出すところで、歌詞の中では原子のアトムの事を指してはいるが、、、まー、イメージ的にはやはり鉄腕アトムも人間の作り出したロボット、アトムという語源はやはり原子だが、その新たな人類のパートナーの総称として、アトムという名前を選んだのだろう。



交ざり合ったら危ない。

人間より遥かに力のある鉄腕アトムや、遥かに優れている人工知能が融合し、そして感情まで持って、自らの意思で判断するリミッターさえも無くなったら・・・もはや神に等しき能力を得てしまう、ヒトではない超越した存在。

その存在の危うさ。

その危うさともはや目を背けられないレベルまで、科学は、コンピュータの性能は達してしまっている。


果たして人類は、最悪の暴走とせずに、共存、相乗の関係を保てるだろうか。






03.DEVIL'S WINGS

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(Massive Attack Massive Attack Human Being 人間悪魔)

初っ端から2曲があまりにキ過ぎている中で、スピード感のある、割とストレートな曲。

歌詞の世界としては、題名どおり悪魔の翼を得た人間の背徳感を感じながら、その快楽の夜の空に埋もれていくといった感じ。

この背徳感や快楽の渦にといったところは、やはりBUCK-TICKらしい、クスリなどによっても得られる異次元の世界感を感じるところ。





04.El Dorado

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(なあ美しいだろう 夢見たElDorado)

4曲目でようやくこのアルバム初の星野の曲。

今回のアルバムで特徴的だと感じたのが、星野の曲ですら今回は一癖も二癖も味付けされ、まさにBUCK-TICKテイストとして一体感が出されているというところ。

この曲も、多少だが櫻井のヴォーカルにもエフェクトがかかり、打ち込みのリズムとアコースティック、エレキといった楽曲が終始交ざり合い、非常にB-Tらしい複雑でいて奥が深く、そして曲として統一された完成度の高い曲となっている。

また、アルバムの13曲中、このエルドラド、シーサイドストーリー、クバリブレの3曲が「太陽」というキーワードが強調されており、かなりの特徴だとも思った。

前アルバムでも、「太陽なんかいらない」などもあり、思い返せば、そもそもB-Tが弾けた史上最高傑作の代表作が「狂った太陽」であり、B-Tにとって太陽は何らかの象徴、指針なのだろう。


歌詞の世界観としては、エルドラド=黄金郷を求めて車を飛ばしてさまよった結果、大事故の際に、はたまた辿り着いた酒場で酒と娼婦に酔って、最後の朦朧とした意識の中、最後の最後の幻の先に、ようやくそのエルドラドの影がおぼろげに一瞬かいま見えた・・・といったところか。


なかなかに全体的に重厚感もあり、櫻井の気持ちのこもったエルドラドに向けたヴォーカルの強さも良い感じの1曲。



05.美 NEO Universe

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(いいぜより深く 愛し合VODKA)

ネオユニバースといえば、ラルクに同じ曲名があり(そして私はこの曲を非常によくカラオケで唄っていた)、その頭に「美」と付けているだけだが、ネオユニバースとは直訳すれば、「新しい万物」といったところ。

詞の中でも新しい命だ、といっているとおり、この世に生まれし新たな生命の誕生を祝おうというもの。

その新しい生命とは、単なる普通のBaby=赤ちゃんの意味か、このアルバムの中で共通しているような、まさにヒトに近いヒトで無いものの、アンドロイド、人造人間といったもののことか。

全体的にはこれまたB-Tらしい、生の演奏と打ち込みのテクノの楽曲が非常によくマッチしている、これまた重厚感のある作りとなっており、この素晴らしいアルバムの一部として相応しい。

それにしても、11曲目のクバリブレ以外にも、この曲でもVODKA=ウォッカと、酒の名前を持ってくるところが、またB-Tらしいというか・・・アルバムとしての一体感を感じる。

そう、このアルバム13曲は、何かが微妙に連携している感覚がある。




06.BOY septem peccata mortalia

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(ヨダレがもう止まんない オイシソウBaby 我慢なんて出来ない ケダモノだもん)


これは素晴らしい。
ほんと、堪らない。よだれが止まらない、至極の一曲。
とにかく歌詞が素晴らしい。

いったい、世界中の誰が「ケダモノだもん」のダモノとだもんで韻を踏むなど考えつくだろうか???
本当に素直に凄いと思った。


曲の世界感としては、題名のとおり、BOY(少年)のseptem peccata mortalia(七つの大罪・セプテム・ペッカータ・モルターリア)。


superbia=高慢、avaritia=貪欲 冗談じゃない
luxuria=色欲 ira=憤怒 gula=貪食 話にならない
invidia=嫉妬 acedia=怠惰 僕はもっと欲しい

何が七つの大罪か?
素直に自分の感情に正直で何が悪いのか?
自分に?をついて生きる事の方がよっぽど不自然では?

いや、もうそんなのどうでもいい。
はしたなかろうが、なりふり構っていられない。
とにかく君が欲しい。
それはもう人間というか、動物としての自然の本能だ。

いいよ、ホント。
何かしらにつけ、いろいろと自分を隠し、自分に正直になれない現代社会に、これほどのストレートな表現をぶつけられる事こそ、まさに世の真の姿を貫いたBUCK-TICK。






07.樹海

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(今夜もひとりでBaby 夢の夢の記憶 闇に迷い沈みゆく)

ギタリスト星野の作曲らしい、まさに星野のギターソロがかき鳴らされて始まる、かなりカッコイイ1曲。

樹海って何かな〜と思ったが、どうも歌詞の内容をみる限り、普通の富士山の樹海とかじゃなくて、あなた(彼女)の密林の中って感じですかね。

それと、その時の、その頃の季節が遠のき、昔の記憶を思い返す悲しい男の思いも、遠い記憶の樹海に沈んでいってしまっている・・・といった、2つの樹海の意味が込められている様子。


かなりセックスアピールの強い1曲であり、特に櫻井好きの女性ファンには、これまた垂涎の1曲なんじゃないだろうかと思うところ。


それにしてもエルドラドに続き、この樹海・・・の完成度・・・

今回は星野の曲も相当にキレている。。。




08.THE SEASIDE STORY

〜詞:今井 曲:今井〜

(太陽の下を貴方と歩きたい ちょっと痛いけど どうってことないわ)

これはもう完全に、最初のインパクトから昭和の歌謡曲がイメージ出来た。

近いのは「ピンキーとキラーズ」の超有名な「恋の季節」か。

途中には、確信的に今井のギターで、ディープ・パープルの「スモークオンザウォーター」のリフがサラッと入る。

もうやりたい放題というか・・・


でも、この前テレビでもやっていたが、近代芸術の代表的なピカソの凄いところは、他の芸術家達の作品を盗むのではなく、吸収し、そしてオリジナルを凌駕する進化に結びつけたところが、まさに天才だったという。

そうなれば、今井という天才も、当然この程度の吸収、進化はいとも簡単に行えてしまうわけで、本当、天才がゆえの余裕というものを感じる。


それにしても、この曲もまた良い・・・

空、永遠(とわ)、命、の伸びのある櫻井のヴォーカルもまた良い。

このアルバム、かなり今井先生はやられてますね〜


(以下、貴重な情報をファンの方から頂いたので追記(17.08.28))

この歌について布袋寅泰の1991年リリースの2枚目のアルバム「GUITARHYTHM II」の中の「drivin to your heart tonight」に酷似しているという事実。

まあ、確かにそもそも布袋の方もピンキーズに寄ってる感がありますが・・・

あまりに曲調が同じなので、まさか今井がパクった???と思いがちだが、そもそも布袋は藤岡での今井の高校の直属の先輩。

同じギタリスト同士、お互い親交もあるわけで、恐らくノリで、あの布袋先輩の曲、カッコいいですね。自分も使っちゃおうかな〜と言って、いいね、使ってみれば?くらいの感じで承諾を取ったのだろう。

それで、ディープパープルのリフも加える事で、この曲はいろいろな先輩方の曲調取り入れて作りましたよ、とメッセージを込めたんじゃないかと考えられる。

いや〜ほんと、全く同じなんでビックリしました( ̄▽ ̄;)




09.FUTURE SONG - 未来が通る -

〜詞:今井・櫻井 曲:今井〜

(そこのけ そこのけ 未来が通る そうだ 未来だ)

アトムに続く、アルバム表題曲であり、またこのアルバムに共通する”未来”をそのまま題名とした、まさにこのアルバムの代表曲。

その代表作を、やはりアルバムの題目のNo.9に持ってきた事は、もはや確信的だ。

基本的には今井の作詞作曲の、まさに今井の曲だが、櫻井が歌う箇所は櫻井の歌詞となっているところが、これまた私がベスト10曲に入れると思われる、ラズルダズルのタンゴ・スワンカと同じ。


特に中盤の今井節炸裂のゲシュタルト崩壊からお前は誰だ、エントロピーの増大までの畳掛けるフレーズの洪水から、一気に曲調を変えて櫻井が歌を引き継ぐ流れが素晴らしい。

その今井節のところの歌詞の意味が以下のとおり?↓
ゲシュタルト崩壊→バラバラに切り離される知覚現象。
ハイヨルコントン→這い寄る混沌?クトゥルフ神話のナイアーラトテップ?
エントロピーの増大→乱雑さ、無秩序

・・・う〜ん、分からない。

とにかく、すぐそこまで迫っている、新たな世界、ロボットなどの新たなパートナーとの世界が現実のものとなろうとしている未来が、他のどうでも良いことなど蹴散らして、もうそこまで来ていると、天才・今井寿には見えている世界を表現した、まさに未来をテーマにした曲。

まさにこの傑作のアルバムを代表するのに相応しい、タンゴ・スワンカに匹敵する名曲といえる。
この曲があるからこそ、このアルバムに”未来”と名付けられた。
まさに今井先生渾身の作。





10.曼珠沙華 manjusaka

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(どうって事ないさ 呟いてみる 声を殺したまま 叫んでいた)


日本では通常、彼岸花と呼ばれる、この秋の季節になるとやたらと田んぼのあぜ道で咲き誇る、その割には随分とまた艶やかな花は、彼岸花とは別に、その特殊な姿、存在から様々な呼び方があるようで、仏教の方では天界に咲く花ということで、曼珠沙華(マンジュシャゲ)とも呼ばれ、さらにサンスクリット語の呼び方が「マンジュサカ」。


星野作曲の最後の曲は、このどれもスピード感のある曲が揃うアルバムの中でも、最もバラード調のしっとりした重みのある1曲となっている。


題名と最後の歌詞の彼岸花のとおり、明らかに鎮魂歌だが、血を吐く桜と、桜が珍しくキーワードに出てきているところは、やはり「狂った太陽」のサクラを彷彿とさせ、そうなると、やはり櫻井の母親への、久々の鎮魂歌ということになるのかと、一部ネットでも話題になっているそう。


もうあれから15年以上経ったが、それでも今でも思い出す。
眠りの中の夢だけでいいから、もう一度会いたい。

その後に出てくる「どうって事ないさ」。
そういえば、サクラと同じく狂った太陽のMADの最後の詞も「どうって事ないさ」。

当時、まだ若かりし頃は母親の死に何度も狂いそうになりながら、しかしどうって事ないさと強がりもみせ、必死に耐えた。

大丈夫、きっと。
この先もどうって事ないさと乗り切ってみせるさ。

でも・・・
やはり一目だけでいい・・・


それにしても今回のアルバムは、こういったバラード調の曲でさえ、その圧倒的な重厚さ、1曲1曲の重み、存在感、インパクトが凄い。

こんなアルバムを、ソロ活動の直後にまだ作ってしまうとは・・・




11.Cuba Libre

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(Bravo! 踊れ Amore Le Carnaval)

題名のクバリブレとは、日本ではそんなに馴染みが薄いが、キューバ独立戦争にちなんで作られたラムベースのカクテルの事。


9曲目の未来でも、櫻井の詞の部分はやたらとラテンのアモーレ連発だったが、この曲はまさに題名からしてラテン。


かなりノリのいい曲であり、観客用のクラップ部分もあり、このアルバムの中ではかなりライブを意識した1曲となっている。




12.愛の葬列

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(愛の葬列が 闇夜を逝くよ)

今回のアルバムは今井節の効きまくっているスピード感、リズム感のある曲も多いが、櫻井の熱唱が入る歌もこれまた多い。

そして、この愛の葬列がまさに熱唱系の代表格。


まさに題名からして曼殊沙華と同じく鎮魂歌だが、曲の終末感は前回のアナーキーのラスト前の曲となった無題と被る感じもあり、やはりこのアルバムでもこういった曲をラスト前に持ってきた同じ手法が見られる。


これまた一部のネット情報になるが、このアルバムが出る約4カ月前、6月3日に死去した、ソフトバレエの森岡賢への鎮魂歌としての要素も加えたのではとの推測がある。

時期的に、既に曲は出来ていたと思われるが、曲の最後のところで、女性のささやくような、ギリギリ聴き取れない声で森岡賢へのメッセージも入れたのでは、とされている。

実際、このアルバム作りには同じソフトバレエで、その後森岡賢とマイナスというユニットを組んだ藤井麻輝も参加している。


ソフトバレエは私も約20年前になるが、1枚のアルバムを借りて聴き込んだ思い出がある。

まさにBUCK-TICKと通じる世界観を持っている惜しいバンドだった。






13.NEW WORLD -beginning-

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(これが世界 君の世界 夢幻の闇 君は流星)

このアルバム発売前のシングル先行曲。

表向きの代表曲であり、歌詞の途中にはアルバム題目の「No.9」も出てくる。

先ほどの「無題」に対する「愛の葬列」と同じく、この先行シングルがラストに入る並びも前回のアナーキーと同じ。


まさに、このアルバムに共通するテーマ、「新しいパートナー」との、新しい世界を、君はどう切り開いて行くのかと、最後に我々に問いかける事で、締めくくりとなる。


全体的に、なかなか初心者向けとは言い難い今回のアルバムだが、やはりこの曲だけは初心者でも入りやすい、比較的キャッチーな曲調となっており、爽やかなイメージでこのなかなかに深いテーマのアルバムのラストを、せめて未来に向かって明るい印象で終わらせてくれる。






ところで、このアルバムのテーマとなった未来。
1曲目のホムンクルスのテーマからはじめ、2曲目に秘められたAIなど、ヒトがヒトに限りなく近いモノをいよいよ創れる時代がすぐそこまで見えてきた。

特に近年急速に発達したコンピュータの性能から発生した2曲目からの「AI」”人工知能”。
将棋をはじめ、囲碁でも人間を越える性能を見せつけ、コンピュータだからこそ出来る、人間を遥かに超える演算、反復計算の圧倒的な量を見せつけた。

そして、現実的についに車の自動運転がすでに実用可能レベルまで達しようとしている。

SFの世界でしか考えられなかった自動運転がついに・・・

運転は咄嗟の判断力を、五感全てのあらゆる情報を一瞬で集約して行う必要があり、そして何より状況に対応する思考が必要であり、その思考能力をコンピュータが人間の脳にとって代わる時代が来てしまった。

自動運転すら出来るコンピュータは、もはやエヴァンゲリオンで人間を越えて状況を判断し、正解を出してしまう人工知能の『MAGI』が現実のものとなっているということ。


そうか・・・自分が生きているうちに、、、というか、こんなにも早くそんな世界が来てしまうとは・・・


人工知能さえあれば、果てしなく人に近いロボット、アンドロイドの創造など、もはやすぐだ。
そうなれば、思考能力の先にある感情を手に入れたアンドロイドこそ、まさに今井という天才の頭の中で展開される世界そのもの。

空想ではなくなっている・・・

天才・今井寿の、もう20年前から頭の中にあったであろう未来が、ついに現実のものになろうとしている。






(2016.10.15UP)

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