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BUCK-TICKアルバム紹介・批評
『ABRACADABRA』(2020.9)


BUCK-TICK ABRACADABRA

横棒


デビュー33周年を迎える2020年9月21日にリリースされたのがBUCK-TICKの22枚目のニューアルバム「ABRACADABRA」。

最近は1年半くらいのスパンでテンポよくアルバムが出ていたところ、前作よりやや間が空いて昨年末の武道館、、、ではなく臨時の代々木体育館での年末ライブにて、2020夏にリリース!!と発表されていたわけだが、その後の2020年3月から急に蔓延した新型コロナウィルスの影響でリリースが遅れ、結果的にデビュー記念日に2年半ぶりのニューアルバムのリリースとなった。

いや〜、ホント長かった。
まさに待ちに待ったとはこのこと。

そして世界的に有名なこの「ABRACADABRA」という呪文には、全て消え去れ、という意味もあり、当然そこには悪霊退散、新型コロナウィルス退散というメンバーの願いも込められている。


そんな33周年のアルバム「ABRACADABRA」に対し、10月の高崎芸術で開催されるフィルムコンサート前に予習として収録曲の批評なんぞをいつもの通りやってみます。


01. PEACE

〜曲:今井〜

このアルバムの表題曲である「ユリイカ」を解体して作った曲。
本当はユリイカをこのアルバムの最後に持ってきて、最初のこのPEACEに戻れるように循環させても面白いのでは、という構想もあったとか。


02. ケセラセラ エレジー

〜詞:今井 曲:今井〜

(幻想の始まりだ 運命共同体 君と繋がって)

ケセラセラとは「なるようになるさ」の意味であり、エレジーとは「悲歌、哀歌、挽歌」ということで、なるようになるさと言いながらも悲しい歌とは??という題目。

狂騒も合法も本能で喰っちゃってと、久々にドラッグ関連の歌詞も出てきて、まさに今井の歌ってところ。

個人的に初めの方で入る「漂流のサーファー 荒波乗り越えて がんばってやっちゃって!」のところが非常に好きで、このフレーズを聴く度に、よし!頑張らないと!と残業をやっていてもテンションが上がる。



03.URAHARA-JUKU

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(純度はイイニ キマッテイル!何が欲しい?お嬢ちゃん!!)

舞夢マイムの大人の新宿ではなく、若者の街・原宿を題材に、「ニュースで少女拉致監禁事件が報じられる中、自分としても衝動的に怒りを感じ、少女が、いろいろなものを好奇心半分に自分の身体すらも売ったりしているが、“だけど気を付けなよ”というストーリーを描こう、と。自分の身は自分で守れ、という意味を込めた」とのこと。

「最後は表参道で、悪いヤツを少女が突き飛ばして。ソイツは車に撥ねられる」
「だけど、“お前は家に帰って寝ろ。俺がやったことにしてやる”みたいな。そんなストーリー」

・・・なるほど、そういった物語だったか。

純度はイイニキマッテイルと、サラッとドラッグ歌詞が出てくるところも、やはりバクチク。





04.SOPHIA DREAM

〜詞:今井 曲:今井〜

(ららら 闇をゆくエレメント あなたな孤高)

ビートルズの「Lucy in the Sky With Diamonds」のイメージがそのまま歌詞になっているような曲。

まさにダイアモンドと共に少女が天空から見下ろしているという、アルバムのジャケットそのままのイメージ。

また「Lucy」といえば以前に今井がソロ活動の際にhideとユニットを組んでいたギターヴォーカルのKiyoshiと、ドラム・マニュピュレートの岡崎達成の3人で組んだロックバンドの名称。
今井にとって、このビートルズの名曲は特別な意味があるようだ。

全体的に曲調としてはゆっくり流れていくような、左右に揺れているうちに世界に溶け込んでいくような曲。




05.月の砂漠

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(お〜お〜お〜お〜 月の砂漠を〜 お〜お〜お〜お〜 遥々(はるばる)とゆくよ〜

「骨になるまで 灰になるまで」のところで、生に対する執着のようなものを入れた曲。
星野+櫻井コンビの曲にある、力強い曲で、なかなか骨太な曲という印象。

サビで英彦のお〜お〜お〜お〜のバックコーラスに、月の砂漠を〜と被せるところがなかなかいい感じ。




06.Villain

〜詞:櫻井・今井 曲:今井〜

(生まれながらのアンチ 稀にみるレベル 軽々とまさに惡の華)

「Villain」は、人間の闇。普段は笑顔でいる人が、ネットでは自分が鬼の首を取ったようなつもりで、匿名で誹謗中傷を繰り返している、とか。だけど“そんなおまえのことを知ってるぞ!”と書いたとのこと。

この歌は素晴らしい・・・
まさに今井先生による今井先生の歌!!

今井先生のフレーズは相変わらずカッコいい。
これは不変のものだ。

BUCK-TICKの代表曲・惡の華が歌詞に出てくる唯一の曲であり、今井先生としてもこの歌には魂を込めたのだろう。
このアルバムの中での影の代表曲。
この歌だけでも、このアルバムを買った意義がある。



07.凍える Crystal CUBE ver.

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(さあ ララ ラララ ねんねん ころりよ)

自死が題材になった曲。
偶然の一致で俳優・三浦春馬が自死を遂げたが、それよりずっと前に作った曲とのこと。

自死を選ぶ前に“自分なりでいいよ。ただ当たり前な感じでいいよ”みたいな。だから、もしかしたらそういう、ちょっとマイナス思考の人にとっては、少しはホッとできるんじゃないかなというセーフティーネットのような部分を出せたら、とのこと。

ほー、そうなのか〜といった歌詞だが、とにかく凍えるような絶望の中でも、とにかく一度寝てしまおうよと。
寝て明日を迎え、そして新しい希望を持っていこうよ、という意味を込めた凍えるという題名と曲といったところか。

曲としては、ヴォーカルとして高みに登った櫻井敦司の透き通った声がよく響く、活きた曲といえる。



08.舞夢マイム

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(存じ上げていたわ 周知の事実よ まさか本気だと 思っていらして)

今井が曲を持ってきた際に、櫻井として「昭和歌謡だな」と感じたという曲。

「カラオケの男女のねっとりとした掛け合いだとか、新宿の空気のようなイメージ、そこには悲哀があったり、ニヒルな男のカッコ付けた背中だったり、強がっていきていく男女だったり……そういった世界を徹底してできたらいいな、と思って、昭和の劇画タッチの感じ」とのこと。

まさにBUCK-TICK初の歌謡曲といったところで、昭和の雰囲気たっぷり。



09.ダンス天国

〜詞:櫻井 曲:星野〜

(あの子はどう?ギラギラね 腰を振ればそう 世界中 ダンス天国)

舞夢マイムに続き、これも昭和の世界観、アヴァンギャルドを意識したという曲。

こちらは新宿では無く、「三島由紀夫の『仮面の告白』の中です。ラストシーンで、主人公の男が逞しい男の人の身体を見て陶酔していく」世界観。

「舞夢マイム」の男女観とは異なり、最新形のLGBT観、男でも女でもどっちでもいいじゃん、楽しんで踊ろう!というアッパーな感じのイメージ。

ふーん、なるほどそういったところか。

全体的には、クリームソーダで櫻井を狂わせた星野曲の第二弾といった感もある。




10.獣たちの夜 YOW-ROW ver.

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(愛という名のケモノたちよ 禁断の実をアアンアン We Love you))

シングルA面の曲であり、このB面のRONDOはアニメ・ゲゲゲの鬼太郎のエンディング局にもなった。

これはシンプルに今井曲、櫻井詞の曲だな〜と感じる。
いかにも最近のBUCK-TICKのシングル曲だ。

禁断の実をアアンアンといったところで、いかにもイケナイことをしてしまっている痴話事といったことを表現している。





11.堕天使 YOW-ROW ver.

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(嘆きの天使 アッハ!ワタシヲ)

獣たちの夜の後に発売されたシングルのA面。
しかし非常に残念な事に、このシングルの真骨頂はB面の星野英彦の名曲・Luna Parkであり、ルナパークがこのアルバムに入らなかったのが残念でならない。

ちょっと思うに、獣たちの夜とこの堕天使の曲、詞が似通っており、連続で出すシングルとしてはどうだったかと思うところ。

どちらかを今井先生の詞の曲にするなど、変化を付けても良かったのでは・・・
もしくは名曲ルナパークの方をA面で推すべきだが、そういった事をBUCK-TICKはしない。





12.MOONLIGHT ESCAPE

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(悲しみの無い世界 永遠にESCAPE 僕は舞う)

堕天使の次に出たシングルのA面。
B面が先にあげた凍える。

この曲は幼児虐待だとか。そういったことに対して、逃げ道というか、“逃げていいんだ”みたいなことを書いている、とのこと。

先に出た獣たちの夜や堕天使のような、無理に踊れ狂えや愛なんて幻想なんて言うより、最近のBUCK-TICK、櫻井の歌詞はこういった優しさの中に強さがあるような曲の方がしっくりくるし、櫻井の力強いヴォーカルがかなり活きる。

なかなか良い曲。
B面も凍えるであり、どちらも静かに力強い熱唱系と言える。




13.ユリイカ

〜詞:櫻井・今井 曲:今井〜

(あなたに恋をした 全て消え失せろ ABRACADABRA Woo!Yeah!Readdy、stesdy、GO!)

今井が本当は最後に持ってきてもいいのでは、としていた曲。
実際、このアルバムの中でも最後に出来た曲とのこと。

サビのLOVE!LOVE!YEAH!YEAH!のところだけ今井が曲と共に歌詞を決めて、あとは櫻井がコロナ禍の完全閉鎖ムードの1ヵ月間の中でじっくり作詞したとのこと。

ユリイカ、Eurekaとは、元々はギリシャ語で「発見」、「パイオニア」、「先駆者」といった意味があるとのことで、発見した時の感嘆詞として使われるとのことで、古代ギリシャの数学者アルキメデスが物の容積によって液体があふれ出る様子を発見し、「ユリイカ!!」と叫んだとのエピソードがある。

日本語で言うところの、見つけた!!わかったぞ!!といったところ。

まさに、このアルバム、アブラカダブラを歌詞に入れたアルバムの表題曲であり代表曲。

アルバム・アブラカダブラと言えば、このユリイカをイコールと覚えるファンも多いだろう。
(自分としてはヴィランだが)


アブラカダブラという魔法の呪文には、全て消え失せろという意味もあるのことで、まさにこのアルバムが出た頃の世間を苦しめた新型コロナウィルスなんて、吹き飛んでしまえ!といった意味が込められている。

春 狂う などはseraphimを彷彿とさせるし、とにかく世の中を変えたい、チェンジさせたいという意図を感じる。

このアルバムの中でとにかくノレる、非常にエネルギー溢れる曲であり、厳戒体制の中でこのコロナ禍の中で唯一開催されたライブ、年末武道館でのTHE DAY IN QUESTION 2020では、まさにこの1年、コロナウィルスに苦しめられた観客たちが1年の鬱憤をこの1曲で晴らした事だろう。
ライブ映像からも、この曲の盛り上がり用が伝わってくる。




14.忘却

〜詞:櫻井 曲:今井〜

(忘れ去られてゆけばいい 通り雨のように 何気ないある晴れた日 風が通り過ぎる)

緊急事態宣言が発令される直前に出来て歌入れをしたという、このアルバムの最後を飾る曲。

「土に還ったり、胎内回帰だったり。この世に生まれて、“いろんなことありましたね。疲れましたね。じゃあ帰りましょう”みたいな。そういうストーリー」とのこと。

先のムーンライトエスケープでも書いたとおり、最近の櫻井歌詞の曲は、こういった静かに、そして力強い曲の方がしっくりくる。

なんというか、BUCK-TICKほどにこの世にあらゆるカルチャーを刻み続けたバンドでも、絶対いつかは時代の流れと共に風化していく。
それにすがって生きてきた我々ファンだって、同じく歳をとり、そして朽ちていく。

土に還っていく。
そしていつか新たな生命として回帰していく。

それでいいと。
いつか無くなるものだと。
それが自然なんだと。
それに逆らう必要もないんだと。

本当に、そんな無の境地というべきか、ユリイカという最大限に盛り上がる表題曲の後に、最後にこの忘却で締めくくる事は本当に素晴らしい。




以上、とりあえず14曲、いろいろ分析してみました。
実は2020年10月9日の高崎芸術でのフィルムコンサートの前にとりあえず予習の意味で書きはじめたのに、結局ページが書き終わったのは、なんと2022年8月末の今になってしまった。

・・・この約2年間、結局コロナウィルスにずっと振り回されていた感がある・・・


そんなBUCK-TICKも、ようやく2022年の今、まずはファンクラブ限定ライブから始まり、そして3年ぶりの全国ツアーもはじまる。
群馬に、高崎芸術にもやってくる。

ようやく、久々の生BUCK-TICKに触れ合える機会が、再びやってくる。

今はとにかく、その喜びをかみしめたいと思う。





(2022.8.30UP)





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